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オーファンドラッグ
1991年4月1日号 No.84
{参考文献}OHPニュース 1991.3
オーファンドラッグ(Orphan
drug)とは、極めて希な疾病の治療に用いられる薬品のことです。
医薬品メーカーにとっては、開発しても利潤が見込まれないため、積極的な研究がなされない場合が依然には多くありました。
1983年米国でオーファンドラッグ法が制定され、この中で希な疾病とは「患者数が20万人以上または20万を越えているにもかかわらず、医薬品の売上高から研究費、開発費が回収できない疾病である」と規定されています。
我が国では、1985年厚生省により希な疾患とは、「極めて発症数が少ない疾病、適切な代替医薬品及び治療方法がないこと、医療上の必要性が高く、早期に承認取得が望まれるもの」と規定され、これらの条件を満たすものを希用薬としています。
アルグルセラーゼ:ゴーシュ病T型の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫、骨症状)の改善
アルベンダゾール
:包虫症
インドメタシンNa:未熟児の動脈管開存症の保存療法(水分制限、利尿剤等)が無効の場合
ウサギ由来ヒトTリンパ球:重症・中等症再生不良性貧血
免疫グロブリン
ウマ由来抗ヒト胸腺細胞:重症・中等症再生不良性貧血
-免疫グロブリン
A型ボツリヌス毒素:局所性ジストニア(眼球痙攣、斜頸)、顔面痙攣
塩酸トリエンチン:ウイルソン病(D−ペニシラミンに不耐性の場合)
塩酸バンコマイシン:メチシリン・セフェム耐性の黄色ブドウ球菌による腸炎
乾燥BCG(膀胱内):表在性膀胱炎、膀胱上皮内癌
コルチコレリン(ヒト):視床下部・下垂体・副腎皮質系ホルモン分泌機能検査
ザルシタビン:エイズ治療前のCD4リンパ球数500/o3以下の症候性・無症候性HIV感染症
シクロスポリン:再生不良性貧血(重症)、赤芽球癆
:ネフローゼ症候群(頻回再発型、ステロイド抵抗性)
タクロリムス水和物:骨髄移植でのGVHDの治療
:腎移植での拒絶反応の抑制
ダントロレンNa
:悪性症候群
トレチノイン :急性前骨髄球性白血球
ペントスタチン:成人T細胞白血病、リンパ腫、ヘアリーセル白血病の自覚的、他覚
的症状の緩解
メカセルミン:インスリン受容体異常症A型・B型、脂肪萎縮性糖尿病、妖精症、ラブソン・メンデンホール症候群での高血糖、高インスリン血症、黒色表皮腫、多毛の改善
:成長ホルモン抵抗性の成長ホルモン単独欠損症タイプA、ラロン型小人症
メサラジン:潰瘍性大腸炎(重症を除く)、クローン病
ピシバニール
:リンパ管腫
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ニッチバスター薬
ブロックバスター薬
ニッチ(niche)とは特定分野や隙間市場のことで、ニッチバスター薬とは限られた患者で薬効を示し、商業的にも成功した薬のことです。
ブロックバスター薬は、ピカ新ともいわれるようにどんな患者にも同じような効果を示し、その対象疾患では、ダントツの売り上げのある医薬品のことです。
しかし、ブロックバスター薬は、ジェネリック医薬品により、売り上げが落ち、またそれらを超える新しいブロックバスター薬の開発が困難になってきています。
そこで、今後の医薬品開発としてニッチバスター薬の開発戦略への移行が注目されています。既に成功している例としては癌の分子標的治療薬イマチニブがあります。
出典:日本病院薬剤師会雑誌 2009.3等
小児医薬品のオフラベル問題
オフラベル医薬品とは、対象患者に対して添付文書に適応症、用法・用量が記載されていない状態で使用されている医薬品
小児に使用される医薬品では圧倒的に頻度が高くなっています。
小児医薬品のオフラベル問題の根本原因は、小児医薬品の収益性の悪さにあります。
コンパショネート・ユース制度
compassionate use
Compassionateとは、「憐れみ深い、情け深い、同情的な」という意味ですが、「重篤な疾患で、代替治療法が無い場合などについては、人道的見地から、限定的に未承認薬の製造、輸入、販売などの禁止を解除する」というものです。
米国で重篤な疾患に対し代替治療法の無い場合に限り、未承認薬を合法的に使用できるようにする人道的な制度をコンパショネート・ユース制度といいます。
日本では、治療を目的とした医師あるいは患者自身による個人輸入は認められていますが、個人輸入の手続きは非常に煩雑なことから、厚生労働省の委員会で人道的な見地から、一定の条件を満たす場合に限り、製薬会社が製造・輸入・販売できる制度を検討すべきとする提言がまとめられつつあります。
出典:メディカル・トリビューン 2008.4.10 等