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サイコエデュケーッション
Psychoeducation
精神障害者、エイズ患者、癌患者、外科手術患者などや、その家族に対して、疾患の性質や治療法、予後や対処方法などに関して正しい知識や情報を提供する教育的援助アプローチ
このようなアプローチにより、患者は主体的に疾病を受容し、治癒遵守性が高まり、対処技術が向上し、病識が芽生えてきます。一方家族は、心理教育により、患者に対する態度が変化し、再発率が下がるという報告が、とくに精神分裂病に関して数多くなされるようになってきています。
感情表出は、精神分裂病患者に対して家族が表出する感情を測定したもので、批判的言動、敵意、情緒的巻き込まれ過剰、温かさ、肯定的言辞の5項目からなり、これが高い家族では、分裂病が再発しやすいといわれています。
心理教育は、この感情表出を低下させ再発率を下げる、心理教育を他の身体的療法にうまく統合させることにより、より効果的治療が期待できます。
出典:SCOPE 1998.4
Th1/Th2バランス 関連項目 アトピーと感染の関係
リンパ球には細胞性免疫を司るT細胞と、液性免疫が中心的役割のB細胞があります。
T細胞は細胞性免疫の担い手であるとともに、免疫調節の面でも重要な役割を果たし、特にヘルパーT細胞が重要です。
ヘルパーT細胞にはインターフェロンγ(IFNγ)やインターロイキン−2(IL−2)を分泌するTh1細胞、およびIL−4,IL−10を分泌するTh2細胞があることが見出されています。
Th1細胞の分泌するIFNγはTh2細胞を抑制し、逆にTh2細胞の分泌するIL−4、IL−10はTh1細胞を抑制します。Th1細胞とTh2細胞は相互に抑制し、両者は一定のバランスを保っています。
また、Th1細胞の分泌するIL−2およびIFNγは細胞性免疫を亢進し、逆にTh2細胞の分泌するIL−4、IL−5、IL−10は液性免疫を亢進します。
Th1細胞優位では、結核、リステリアなど防御に細胞性免疫の関与する感染症に抵抗性であり、Th2細胞優位では易感染性となります。また、細胞性免疫の関与する臓器特異的自己免疫疾患の発症にはTh1細胞優位が、また、液性免疫の関与が大きい全身性自己免疫疾患やIgEの関与する気管支喘息などにはTh2細胞優位が関与するとされています。
何がTh1/Th2バランスを調節しているかは明らかではありませんが、抗原提示細胞の分泌するIL−12がTh1優位に導くことが注目されています。
出典:SCOPE 1998.4
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BCG瘢痕サイズは、その後の喘息発症リスクと関連がある。
5mm未満のBCG瘢痕は、喘息発症リスクの増大に関連していることが報告されています。ブラジルの研究チームは、BCGワクチンによる強力なヘルパーT1リンパ球刺激作用とTh1/Th2アンバランスが喘息の病因になるという仮説を立て、喘息小児を対象にBCG瘢痕の直径を測定しました。
その結果、喘息小児では対照小児に比べ、BCG瘢痕が5mm未満になるという可能性が3倍以上高く出ました。
Th1細胞が活性低下することでBCG瘢痕が小さくなり、またTh1/Thの関係が変化してTh2応答が優位となり、そのため喘息になりやすくなると考えられます。新生児期のバランスの程度が、喘息の遺伝性素因の変化を決定づける要因になるかもしれません。
出典:Indian Pediatr 2004;40:916-921.
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ロイヤルゼリー(ローヤルゼリー)とTh1/Th2バランス
ヘルパーT細胞は、産生するサイトカインの違いからTh1細胞とTh2細胞に分類され、このTh1/Th2バランスが種々の疾患の発症や生体防御に大きく関与することが、近年明らかにされてきました。
細胞内病原体に対するTh1細胞応答の優位性、寄生虫感染に対するTh2細胞応答の優位性は良く知られています。したがって、ある疾患がTh1/Th2バランスの異常によって惹起されている場合、そのバランスを正常に戻すことによって、その疾患が治癒する可能性があります。
ローヤルゼリーはIFNγの生成を促進し、IL4の生成を抑制しました。
Th2細胞が産生するIL4とIL10は、Th1細胞の反応を阻害し、逆にTh1細胞が産生するIFNγは、Th2細胞の反応を阻害することになります。つまり、IFNγの生成が促進され、IL4の生成が抑制されたことは、Th2細胞優位の状態からTh1細胞優位の状態への転換を示唆しています。
アレルギー疾患は環境抗原に対するTh2細胞の応答によって発症すると考えられており、この場合、アレルゲンに対するTh2細胞優位の応答をTh1細胞優位の応答へ転換することは、アレルギー疾患の新たな治療法として期待されます。
ローヤルゼリーは、ミツバチの雌の働き蜂が花粉を食べることにより、体内で合成、分泌される給餌用のゼリー状蛋白質で、ミツバチの中で唯一生殖能力のある女王蜂だけがこれを食べます。
古来より、不老不死の薬と言われ、現在では強精・強壮・若返りなどの効果を目的とした健康食品として知られています。成分としては、ハチミツに比べ必須アミノ酸をはじめとするアミノ酸が豊富に含まれ、蛋白質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く含んでいます。
ローヤルゼリーには、その他にマクロファージのグルタチオンレベルの回復やNO産生、プロスタグランジンE2生成抑制などの作用が認められています。こうした様々な作用の相乗効果により、ローヤルゼリーは、生体をTh2細胞優位の状態から、Th1細胞優位の状態へと転換し、その結果、アレルギー兆候の発現を防ぎ、またその症状を軽減することが推測されます。
ローヤルゼリーの効果としては、乳幼児の小児喘息や虚弱体質の回復、中高年層の更年期障害や老化の防止、若返りなどが報告されており、多くの研究者がそれらの作用メカニズム解明にチャレンジしていますが、全貌は未だに解明されていません。
出典:ファルマシア 2001.12 関連項目 アトピーと感染の関係
インターベンション
Intervention
狭心症の治療でカテーテルによるもの
PTCA、ステント留置、DCA,回転式アテレクトミー(ロータブレータ)、血管内超音波
出典:臨床と薬物治療1998.10
Interventional Cardiology:従来の内科的治療法が薬物療法中心の非侵襲的なものであったのに対し、カテーテルを体内に挿入することによって心疾患の治療をすること。
interventionalとは侵襲的という意味ですが、外科的治療法に比べ侵襲度は低く患者への肉体的負担は軽い。
クロブスイツキー単位
約22℃で、脱カルシウムを施した新鮮馬血5mlを10分間以内に凝固させるヘモコアグラーゼの量
レプチラーゼ
スカベンジャー
捕捉剤。化学反応性の高い遊離基と反応して、反応性の低い遊離基や分子に変化させる物質。
活性酸素スカベンジャー:有害な活性酸素と反応(捕捉)し過酸化水素を生成するものを指しますが、カタラーゼやグルタチオンペロキシダーゼにより最終的に無毒化するステップに重要
スカベンジャー理論
動脈硬化は老化自体ではなく、生体内の異物を処理する機能をもつマクロファージ(大食細胞)が、動脈壁に蓄積した過酸化LDL(低比重リポ蛋白)に過剰に反応することで発症します。
LDLの変性(酸化)やマクロファージの過剰反応を抑制することで、動脈硬化の発症を防げる可能性があります。 動脈硬化は、本来、スカベンジャー受容体を介して、生体内の異物を処理するマクロファージが、動脈壁に蓄積した過酸化LDLに過剰に反応することで発症すると考えられています。
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アスタキサンチン
==== 鮭とトマトで健康増進 ====
出典:治療 2002.2 p148
アスタキサンチンは自然界に豊富に存在するカロチノイドの一種で、エビやカニ、タイ、サケ、マスなどの殻や肉の赤色色素です。
カロチノイドはいずれも、体内で生じた活性酸素が細胞に酸化障害を与えるのを防ぐ抗酸化作用を有していますが、アスタキサンチンはその抗酸化作用が非常に強いことが知られています。
LDLコレステロールが酸化され、その結果生じた酸化型LDLになると動脈硬化の原因となります。従って、血中の抗酸化活性を上げることは、動脈硬化を予防する上で有効と考えられています。
その生理作用としては、現在までに免疫賦活作用、抗ストレス作用、日内リズム調節作用、肌の色素沈着予防作用などが報告されています。
なお、アスタキサンチンと種々のカロチノイドを組み合わせることによって、本来のアスタキサンチンが備えている免疫賦活作用などの生理作用が一層強化されることが期待されています。これは、サケやエビ、カニなどの海産物に含まれるカロチノイドと、ニンジン、トマト、ホウレンソウなどの陸産物に含まれるカロチノイドの組み合わせが健康維持に大いに役立つということです。
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リコピン
リコピンは、トマトの赤い色素で、カロチノイドの1種です。
βカロチンのように体内でビタミンAには変わらないので、栄養学的には重要ではないとされていました。しかし、リコピンには強い抗酸化作用があることが分かり、生活習慣病や老化の予防効果が期待されています。
リコピンの抗酸化作用はビタミンEの100倍、βカロチンの2倍あるとされています。
また、細胞の癌化を防ぐ役割を持つ遺伝子を活性化する機能があると考えられています。
トマトの中でも特に赤系トマト(ジュースやケチャップなどの加工品に用いられるトマト)に多く含まれています。
リコピンは、油に溶けやすく、熱に安定であることから、効率よく摂取するには油で炒めたり、調理することで吸収が良くなります。
フィットケミカル
植物性食品に含まれる化学物質の総称
色、香り、苦味などの成分で、植物が紫外線の害や害虫などから自らを守るために作り出している物質です。
<種類>
・ポリフェノール類
主な作用:抗酸化作用
主な成分:カテキン、アントシアニンなど
主な食品:緑茶、ワインなど
・カルテノイド類
主な作用:抗酸化作用
主な成分:βカロテン、リコピンなど
主な食品:にんじん、トマト、パプリカなど
・βグルカン
主な作用:免疫力向上
主な成分:βグルカン
主な食品:きのこ類など
・イオウ化合物
主な作用:抗酸化作用、血栓溶解作用
主な成分:アホエン、硫化アリル
主な食品:にんにく、ネギなど
・テルペン類
主な作用:癌細胞抑制作用
主な成分:リモネンなど
主な食品:柑橘類果実など
*フィットケミカルの色素性分は、赤、黄、橙、緑、紫、黒、白の7色に分かられます。
赤〜リコピン、カプサイチンなど:トマト、唐辛子など
黄〜フラボノイド、ルテインなど:玉ねぎ、レモンなど
橙〜プロビタミンA、ゼアキサンチンなど:人参、南瓜など
緑〜クロロフィルなど:ピーマンなど
紫〜アントサニンなど:なす、赤紫蘇など
黒〜クロロゲ酸、カテキンなど:ごぼう、茶など
白〜イソチオシアネート、硫化アリルなど:キャベツ、玉ねぎなど
出典:RNiF No.3 ENIFメディカルニュース 2010.2.10 Vol.19
MMC様運動
胃、腸管連動運動誘発作用
空腹期の胃、小腸運動が示すパターンのうち、フェーズ3といわれる運動。胃上部に始まり、回腸末端にいたる連続性の強収縮でinterdigestive
migrating motor coplex(MMC様運動)と呼ばれています。
セレキノンをヒトの空腹期に静注、又は空腸内に与薬するとこのMMC様運動が早期に出現しプリンペランと異なり胃、腸管連動運動が誘発されます。
<<子宮内膜症の治療>>
逃げ込み療法(ダナゾール)
ダナゾールは、視床下部-下垂体系の抑制および卵巣のステロイド産生の直接抑制によりエストロゲンのレベルを低下させます。また、子宮内膜組織への直接作用の両面を有しています。基準的1日量である400mgによってエストラジールは50pg/mlあたりにまで低下します。
桂枝茯苓丸単独で治療効果が十分得られなかった症例に本剤を使用。若年者に対しては基準的服用期間である3〜4ヵ月に限定した与薬を行っていますが、閉経を間近にした症例では、いわゆる‘逃げ込み療法’として、桂枝茯苓丸と本剤の低量(100〜300mg/日)の併用療法を行い、良好な結果を得ています。
アドバック療法
add-back療法
子宮内膜症の治療
スプレキュアは、下垂体のGn−RH受容体数を減少させることにより、LH、FSHのレベルを低下させ、その結果卵巣でのエストロゲン産生の抑制をもたらします。これによりエストラジオールは10〜30pg/mlにまで低下し、ほてりや骨量低下などの低エストロゲン状態による副作用が生じます。
これに対して「アドバック療法」といわれるエストロゲン補充を行うことをいいます。
しかし、スプレキュアの1日基準的投与量900μg(6噴霧)を450〜600μg(3〜4噴霧)にし、桂枝茯苓丸との併用を行います。これによって副作用を軽減し、やはり「逃げ込み療法」(上記)のための長期与薬が可能となります。
いわゆるアドバック療法は、GnRhアゴニストとともに卵胞ホルモン製剤などを併用し、血中エストロゲンを理想的レベルに調整しようとする試みです。しかし、一方でエストロゲンを低下させようと努力しながら他方で補充するという、マッチポンプてきな不整合感を抱く治療法であるだけでなく、現実に不正出血を伴うことが多いなど、問題点も指摘されています。
出典:臨床と薬物治療 2001.2等
偽妊娠療法
子宮内膜症の治療
臨床と薬物治療 2001.2
エストロゲン・プロゲストーゲン合剤を連日服用するのもので、避妊薬として承認された副作用の極めて少ない低用量ピルでも同様の効果が期待できます。
子宮内膜症患者が妊娠すると、内膜症の症状・所見の改善が認められることから開発された、歴史的に古い方法です。
エストロゲン・プロゲストーゲンを同時継続服用するため、排卵・月経は停止し、妊娠時と同様の異所性内膜の脱落膜化、最終的には病巣の壊死・吸収が起こります。
長期服用により子宮内膜組織は、さらに萎縮し、内膜症病変の進展も抑制されます。また、主にプロゲストーゲンの作用により、プロスタグランジンの産生が抑制されることが明らかになっており、これが月経痛の緩和を惹起することも内膜症に対する効用の1つです。
ダナゾール(ボンゾール)やGnRH誘導体のような強力な病巣縮小効果は期待できない反面、月経痛や骨盤内疼痛には有効で、副作用が少なく長期に渡る治療が可能なので、未婚若年例や、維持療法として適していると考えられます。
経口避妊薬服用中の女性では、子宮内膜症の発症が有意に少ないという報告があり、発症予防効果も持っていることが明らかにされています。
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チョコレート嚢胞
とくに卵巣に発生した子宮内膜症の場合、卵巣子宮内膜症と呼び、嚢胞を形成し膨大化したものをチョコレート嚢胞と呼びます。
リエゾン療法
リエゾンとは連絡・連携のことであり、他の診療科とと協力して患者の診療にあたる精神科の一領域
「総合病院で精神科以外の診療領域で精神科医の行う診断、治療、教育、研究のすべてを含む臨床精神医学の分野」
出典:治療 1999.1
HDCT
High-dose chemotherapy
固形癌の治療成績の向上を目指したASCT(PBSCT)併用大量化学療法
morning dip
気管支喘息患者は夜間から早朝に咳や喘鳴により睡眠が妨げられることが多く、この呼吸機能の低下を言う。
PEM
PEM:Prescription-Event Monitoring
ある薬を服用した後に現れる「副作用と疑われるもの」はもちろん「一見副作用と関係無いもの」についても情報を収集し、医療従事者が因果関係を疑わなくとも副作用を発見できるようにするための研究
処方イベントモニタリング(薬事 1999.11)
イベントとは〜モニターの対象となった薬の使用後に
1.新たに発生した疾患、症状、検査値の異常
2.原疾患の予期せぬ悪化、軽快
3.副作用を疑われる事象
4.他科・他院への紹介または入院
5.その他カルテに記載すべき患者の訴えなど
DEM
dispensing event monitoring
日本薬剤師会が提唱している。医薬品を使っていて起こった出来事を何でも良いからモニターする。
PEM参照(上記)
トロンボモジュリン
出典:医薬ジャーナル 1999.4
TM(トロンボモジュリン)は内皮細胞が産生する抗血栓因子の1つであり、細胞膜上でトロンビンと複合体を作り、続いてプロテインCが活性化され、血液凝固反応が抑制されます。
TMは1981年に発見された血管内皮細胞上に存在する一種のトロンビン受容体
トロンビンを凝固酵素から抗凝固酵素に変換する受容体
また、トロンビン活性を直接阻害するとともに、プロテインC(PC)の活性化を促進します。活性化プロテインC(APC)は、活性化血液凝固因子第X因子(FVa)、第[因子(F[a)を不活化することによって血液凝固カスケード反応にネガティブフィードバックをかけ、トロンビンの生成を抑制します。
出典:JJSHP 1999.6
つまりTMはトロンビン依存性に凝固・線溶活性の双方を阻害します。この作用には、ヘパリンのようにアンチトロンビンVを必要とせず、出血傾向の助長が少ないとされます。
現在、TMはヒトの尿から精製したものと遺伝子組み換えで製したものの2種類がDIC治療薬として臨床試験中です。
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APC
Activated proteinC
ヒト活性化プロテインC
出典:日本病院薬剤師会雑誌 2001.7
APCは、血中のプロテインCが、血管内皮細胞膜表面のトロンボモジュリン(TM)に結合したトロンビンにより活性化され生成する物質です。
APCはセリンプロテアーゼの1つで、トロンビン形成に重要な活性型凝固第V因子(F.Va)、および第VIII因子(F.VIIIa)を不活化する作用や血栓溶解を阻害するプラスミノゲンアクチベータインヒビター1(PAI-1)を不活化する抗凝固線溶促進作用を持つ重要な血液凝固系の制御蛋白です。
APCは、また、白血球の活性化を抑制し、炎症反応をも制御することが分かっています。
このような作用を利用し、APCは、抗血栓、または臓器障害抑制剤として臨床応用が始まろうとしています。
<APCの臨床応用>
1.先天性プロテインC欠損症、2.DIC、3.敗血症
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TNFα
炎症性サイトカイン、可溶性腫瘍壊死因子
TNFαは、好中球や血管内皮細胞を活性化し、活性化好中球の血管内皮細胞への粘着を促進させ、結果として、好中球エラスターゼや活性酸素種による血管内皮細胞傷害を惹起します。すると、好中球エラスターゼや活性酸素種による血管内皮細胞傷害を引き起こします。
この結果、血管内皮細胞による白血球の活性化抑制作用を有するNOやプロスタグランジンの産生が低下し、微小循環やさらなる単球や好中球の活性化が惹起されます。それにより、TNFαの産生が亢進し、血管内皮細胞や平滑筋細胞に誘導型NO合成酵素が誘導され、大量のNO産生による血圧低下や微小循環虚脱、すなわちショックが起こります。また、さらなる好中球により引き起こされる血管内皮細胞傷害がARDS、肝不全、急性腎不全等の臓器障害が引き起こされます。
APC(上記)は、単球のTNFα産生を抑制することが動物実験で示されており、この作用によりエンドトキシンで引き起こされる肺血管内皮細胞傷害やショックにより、虚血再灌流性の腎障害を軽減します。
重症感染症では炎症性サイトカインの作用によりAPCの生成や機能が低下することが示されています。
TNFα等の炎症性サイトカインは、血管内皮細胞や好中球を活性化し、敗血症性ショックや臓器障害を引き起こしますので、APCのTNFα産生抑制作用は、重症感染症に伴うDICや臓器障害を軽減する可能性が高いと思われます。
TNFαはインスリンの作用を阻害することが確かめられています。このTNFαの作用と拮抗するようなサイトカインとしてアディボネクチンがあります。
また2005年に発売されたエンブレル(エタネルセプト)は関節リウマチ(RA)の治療薬で、TNFレセプターが体内でTFNの作用を調整することに着目して開発された、TFNα/LTαレセプター製剤です。
関連項目 TNF−αとクローン病 内臓脂肪の役割(メタボリック症候群での)
機能性食品
2005年9月1日号 No.413
機能性食品という言葉は、日本で生まれました。日本では、古くから食品による健康維持に関心が高く、経験的に優れた食品や食事療法が言い伝えられています。
近年、食品の有効性に関する科学的研究が急速に進歩し、食品の機能を利用して病気を治し、予防しようという考え方が注目されるようになってきました。
{参考文献}医薬ジャーナル2005.8
食品には、本来3つの機能があります。
1.栄養になる。2.おいしい。3.薬効性の3つで、そのうち第3の機能から、1970年代に「健康食品」という概念が生まれました。
健康食品は、普通の食品よりも健康に良いと称して売られているもので、法令上明確な定義はありません。
最近はやりのサプリメントは米国の“Dietary
Supplement”の略でいわゆる「栄養補助食品」とか「健康補助食品」とも言われるもので、ビタミンやミネラル、蛋白質やアミノ酸、脂肪酸、植物線維などのほか、西洋ハーブ類、微生物やその発酵産物などの食品があります。
サプリメントには、ある物質を特定して抽出・精製した「成分サプリメント」と、天然素材のものの成分をそのまま加工した「自然食品」の2つに分けられます。
日常の偏った食事などによって不足する栄養分を補うといった意味合いで、サプリメントは利用されていましたが、最近ではそれプラス医学的効能・効果を期待してサプリメントを摂ろうという食品と薬品の中間といった使い方もされています。
サプリメントにより効果的な「メタボリックチューンアップ(代謝機能向上)」を図るために厳密には個人個人の状態に応じた適正摂取量の管理が重要です。
微量栄養素の場合、特に鉄などでは過剰はむしろ肝や腎などに酸化損傷をあたえる場合もあります。
人参やニンニクのような滋養強壮の目的で食べられていたものでも、エキスなど濃縮された形で摂取するサプリメントの場合には、摂取量や薬物との相互作用が問題になる可能性も有ります。
<サプリメントよりも食事で>
サプリメントはこれまでのところ、心筋梗塞、脳梗塞などのどの疾患においても予防したという確かな証拠は得られていません。
サプリメントが無効な理由として、一般にサプリメントの使用期間は短く、食品を摂取する期間のほうがはるかに長く、食品として摂る場合には吸収や生物活性が良いことが考えられます。
極端に1つの要素だけを大量に摂取することは他の因子の代謝を阻害することも推定され、危険である可能性があります。
出典:ファルマシア 2006.9 p892
<がんや前がん病変患者に利益なし?!>
英国での研究によりますと、がん患者に対する食事介入臨床試験をおこなった結果、食事介入に便益など何らかの効果があるというエビデンスはほとんど得られなかったのことです。
一方、多くのがん患者や前がん病変を持つ患者は長生きして、食事に関連した他の疾患により死亡する可能性があるため、健康的な食事を積極的に摂ることは極めて重要だとも報告されています。
出典:薬局 1999.4 治療 2003.11
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<食品機能に関係する用語>
・Chemopreventive agent 抗癌性因子
食性、非食性を問わず科学的に研究されている発癌阻止機能を因子
・Designer food デザイナー食品
疾病予防効果の知られている食品素材の成分等と付加して加工した食品。遺伝子組換えを利用した食品も含まれる。
・Fuctional food 機能(性)食品
今までの栄養成分以上に健康影響作用を持つ加工食品や食品成分
・Neutraceutical ニュートラシューティカル
食物やその成分で病気の予防・治療を含めて医学的、健康的な利益をもたらすと考えられるもの一般
・Pharmafood ファーマフード
病気の予防や治療効果を含めて医療、健康効果をうたう食品や栄養成分
・Phytochenical ファイトケミカル
1日何g単位で摂取されている野菜・果物に発見された成分で、代謝調節を通して癌を予防するもの。
<米国で流行っている植物由来サプリメント>
イチョウ葉 :記憶の向上
:アルツハイマー
:グルコーマ
ニンニク :感染防御、免疫賦活
:心臓血管系強化
エキナセア :免疫賦活
人参 :男性機能、糖尿病
:てんかん、免疫調節
ノコギリヤシ:前立腺
:慢性前立腺肥大
セント・ジョーンズ :うつ、情緒不安定
・ワート :傷や火傷の感染
ナツシロギク:片頭痛
:関節炎
生姜 :運動異常、骨粗鬆症
:消化不良
:腸過敏症、めまい、朝ボケ
バレリアン :不眠症
:不安症
医薬トピックス(13)
ゴマ(セサミン)の抗高血圧作用と血管内皮機能改善効果 はこちらです。
サプリメント
サプリメントは、食品と医薬品との中間的なものと捉えられていますが、法律上はあくまでも食品として扱われます。
日本では、サプリメントあるいは健康食品という言葉について明確な定義はありません。
ビタミン、ミネラルのみがサプリメントとみなされる場合もある一方で、ハーブ類などの植物成分など様々な成分を含むものまでサプリメントと呼ばれている場合もあります。
米国ではDietary Supplement(栄養補助食品:下記)を「錠剤、カプセル等の医薬のような形状の食品であって、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、生薬等の植物由来成分等を摂取するもの」と定義しています。
日本では、清涼飲料水の形態をしたものも流通していることから、「保険上の効果を期待して、一般の食事とは別に摂取する食品」と定義するのが妥当かと思われます。
ダイエタリー・サプリメント
Dietary Supplement
1994年米国議会を通過
この法律の目的は市場に出回っている医薬品や食品以外で健康食品のように健康に対する効能を表示した多くの製品や販売を一定の枠をはめて規制すること。
米国では法律ができるまでダイエタリー・サプリメントは、日本で使われている言葉と同じような意味の「栄養補助食品」のことをいっていました。ビタミン、ミネラル、タンパク質のような必須栄養素を含む製品がそうです。しかし、新しい法律はもっとその範囲を広げて一般食品の補充物として摂取する製品をダイエタリー・サプリメントとしました。
その定義から考えるとむしろ「健康食品」と一般に呼ばれている製品がそれに近いものだといえます。例えば、繊維類を多量に含む製品、あるいはコレステロールを下げる製品などは栄養補助食品ではありませんが、ダイエタリー・サプリメントの定義に入ります。
ドクターズサプリ
ドクターズサプリとは、高機能健康食品の事を指し、安全性、有効性、副作用などについて、医師が責任を持って処方するサプリメントです。
薬物療法同様に、サプリメントによって得られる効果をしっかり評価することが大切です。
特徴は、市販のサプリメントに比べて含有成分の濃度が高く配合されていることです。
代表的なドクターズサプリには、グルタチオン、L−カルニチン、L−アルギニン、ケルセチンなどがあります。そのほかコエンザイムQ10は脂溶性で細胞膜を通過し、活性酵素を中和する抗酸化作用があり、エネルギー産生を高めるといわれています。
グルコサミンは、エビやカニの甲羅から採取される成分でキチンをアルカリで加水分解して得られる成分で、変形性膝関節症に対する効果が注目されています。
アシドフィルスは、乳酸菌の一種で、腸内細菌フローラを良い状態に保ち、便秘や肌荒れに効果があり、又、免疫機能を強化する作用もあるといわれています。
出典:日本病院薬剤師会雑誌 2006.12
オレンジブック
FDA(米国食品医薬局)が1979年より発行しているもので、表紙がオレンジ色のためオレンジブックと通称されています。
正式名称は、「承認医薬品と治療学的同等性評価」
FDAによる承認医薬品(先発品)と後発品(ジェネリック)の治療学的同等性評価を明らかにしています。
具体的内容としては、企業から承認申請された医療用医薬品のAUC、Cmaxなどのデータを基に生物学的同等性の判定を行い、先発品と後発品の交差試験データによって同等と認められる場合は「A」、問題がある場合は「B」と判定しています。
日本でも米国に習い「医療用医薬品品質情報集」いわゆる日本版オレンジブックを1999年より発行しています。
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GEルール
GE:generic
医療用医薬品は銘柄別に薬価基準に収載され、2年に1回見直される薬価基準の価格は実績価格に基づき算定されていますが、同一成分でもメーカーによって薬価が異なっており、上位ランク品目と下位ランク品目との算定格差が2.5倍以上の場合、下位ランク品目の薬価は全て最上位ランク品目の薬価の2.5分の1に設定し、含量・剤型及びGE記号が付された一般名称で収載されます。
ATC/DDDシステム
医薬品適正使用のための有用性調査ツール
ATC分類:Anatomical Therapeutic Chemical classification
system
解剖学、治療学、化学の面から医薬品を分類したシステム、医薬品の分類法の1つ。
DDD:Defined Daily Dose〜1日規定量
主な適応症に対する成人の仮想平均維持1日量(1日規定量)
<DDD>
1日規定量は計量単位で必ずしも推奨される1日処方量とは一致しません。個々の患者や患者群の用量と「DDD」は異なる場合があります。個人の特質(年齢・体重など)や薬物動態の考慮が不可欠となります。
DDDに示された医薬品使用データは使用量の大まかな統計予測を立てられますが、実際の用量ではありません。DDDは薬価とは関係のない固定の計量単位と、研究者が医薬品消費動向の把握や群間比較ができるような定式化のデータを提供しているのです。また、DDDは局所製剤、抗癌剤、アレルゲン抽出物、全身・局所麻酔剤、造影剤には付与されていません。
単味製剤のDDDは単一療法を基本とし、例外は指針で示されます。最低1カ国で承認・市販されないとDDDは規定されません。
<ATC/DDD システムの目的>
医薬品の分類法には治療・薬効を目的としたもの、市場統計を目的としたもの、化学構造、剤型・使用経路に焦点をあてたものなど、目的や対象によって様々です。
ATC/DDD システムは、WHOが普及に努めているもので、全世界が共通の分類法で容易に医薬品の調査や比較ができるようすることを目的としています。
国際的規模の医薬品消費統計の紹介と比較に利用。WHOで公表し、全世界が共通の分類法で容易に医薬品の調査や比較ができるようにその普及に努められています。
ATCコードとDDDの恒常的メインテナンスを行い、医薬品消費動向を把握できるように、頻回でもできるだけ無理のない変更にするのに役立つようにします。
本システムは、医薬品の適正使用のための有用性調査用ツールですが、医薬品消費研究調査に直接関係のない分類やDDDの変更はユーザーにはとても不都合で保険償還、薬価代替治療の意思決定を左右するのに向いていません。また、収載医薬品の使用を勧めるとか、医薬品や薬物群の有効性・関連効力には、いかなる判断もされていません。
<ATC分類の原則>
医薬品は主成分の主薬効で分類され、薬剤統計別に1つのATCコードがつきます。全く別薬効で2種異常の含量(力価)規格や処方がある場合、ATCコードが複数付与されることがあります。
医薬品が同程度に重要な複数の適応症に用いられ、その主薬効が国によって異なり、度々、分類変更が行われます。WHOで問題が討議され、最終決定されます。
ATC分類は、薬効分類としては厳密なものとは言えません。作用機序による詳細な分類がサブグループごとに1物質を持つからです。同じレベルの物質でも、作用機序、治療効果、相互作用や副作用が異なることがあり、薬理治療的に同等とは考えられません。
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日本では現在、「日本標準商品分類」に準拠したいわゆる「87分類」が公的に採用され、新薬の承認時の薬効分類番号、承認番号の一部、薬価基準表などに繁用されています。しかし、近い将来、日本も共通基盤として「ATC分類」を考える日が来るものと思われます
{参考文献}月刊薬事 2001.1