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フリーラジカル

1993年7月1日号 No.132

 

 

 ふつうの分子ではその最も外側を回っている電子は、2個が対になって回っています。
フリーラジカルとは、“対になっていない電子を持つ原子や分子”のことです。
最近、色々な疾患とフリーラジカルとの関連が話題になっています。

{参考文献}薬の知識 Mar.1993 ,Vol.44,No.3

 


 生体でのフリーラジカルの発生機序として重要な機構は、好中球などのいわゆる食細胞の膜の中に存在するNADPHオキシダーゼの活性化です。食細胞の重要な機能である殺菌を遂行するため食細胞は、活性化され種々の活性酵素が発生します。

 この好中球を刺激する物質としては、細菌のほかに免疫複合体、各種サイトカインなどが挙げられ、発生した活性酸素は、細菌以外ではほとんど炎症時の増悪因子となっています。

 もう一つの重要な活性酸素の発生機序は虚血です、虚血時には、ヒポキサンチンやキサンチンオキシダーゼが増加し、この両者によって尿酸が発生するとき同時に酸素から活性酸素の一つであるスーパーオキシダーゼが産生されます。

 生体では種々のバランスのとれた生理的反応が営まれています。これらの生理的現象の調節因子としてフリーラジカルが重要な働きをしていることが判明してきました。その代表的なものは微小循環血管透過性、血管拡張及び収縮、血圧、神経分泌などの調節です。

 とりわけ注目されているのは、血管内皮由来血管弛緩因子(EDRF)である一酸化窒素(NO)です。このNOはフリーラジカルであり、大気中では有害な化学物質ですが、生体内では微量で有益な反応をしています。血管を拡張させて血圧をコントロールし、免疫反応では侵入外敵を殺し、陰茎の勃起を調節し、記憶の維持に携わっています。

 生体内はこのフリーラジカルを消去するための抗酸化剤を持っています。しかしこの抗酸化能力を超えて大量にフリーラジカルが発生すると、その最も近くに存在する物質は障害を受けます。脂質、蛋白酵素、DNAなどで容易に細胞機能が損傷を受け、種々の疾患が発生します。(下記参照)

癌、老化、動脈硬化、脳・心臓疾患などの成人病は、フリーラジカルの発生を抑制、消去することによって予防や増悪阻止が可能です。

抗酸化ビタミン(C,E、βカロチンなど)を多く含む緑黄野菜を多く取ると疾患の予防に有効です。

<フリーラジカルの関与する疾患>

パーキンソン病、脳梗塞、白内障、てんかん、脊髄損傷、動脈硬化、未熟児網膜症
腎障害、消化性潰瘍、膵炎、潰瘍性大腸炎、心筋梗塞、成人呼吸窮迫症候群、肺気腫

慢性関節リウマチなどの膠原病、血管炎、浮腫、糖尿病合併症、紫外線障害、高山病
ポルフィリン血症、熱傷、凍傷、接触性皮膚炎、ショック、多臓器不全、DIC
癌、老化など

<外部からのフリーラジカル>

紫外線、放射線、超音波
抗癌剤〜ブレオ、アドリアシン、マイトマイシンC、ランダ、ネオカルチノスタチン等
除草剤(パラコート等)、殺虫剤、消毒剤、大気汚染物質、タバコ等

関連項目:スカベンジャースカベンジャー理論

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SOD

superoxide dismutase
超酸化物不均化酵素

 活性酸の一つ,スーパーオキシド不均化酵素ともいわれスーパーオキシドを消去する以下の反応を触媒します。
  2O2−+2H+→H2O2+O2

 NOが、活性酸素(スーパーオキシド)と相互作用し、ペルオキシ亜硝酸(パーオキシナイトライト)を作り、脂質や蛋白の過酸化(パーオキシデーション)を起こすことが、知られるようになり、その意味でNOSとSODのクロスストロークは重要な課題です。



フリーラジカルスカベンジャーの生理的意義

出典:三菱東京資料(ラジカット注)

 脳は他の臓器に比し酸素消費量が高く、虚血に対し非常に脆弱な臓器です。また細胞膜脂質に不飽和脂肪酸を多く含むため、脳血栓症、脳塞栓症により虚血が生じた場合、フリーラジカル(O2−、・OH)による酸化的攻撃を受けやすくなっています。

 脳虚血時とその後の血流再開通後の細胞障害にフリーラジカルの関与が考えられています。正常な脳の血管内皮細胞あるいは脳神経細胞では、SOD(superozide dismutase)、カタラーゼ、ビタミンE、ビタミンCなどの生体内ラジカル消去物質がフリーラジカル適切に無毒化しています。しかし、虚血状態ではAA(アラキドン酸)代謝系の活性化等によってフリーラジカルの産生が増加する結果、過剰の・OH(ハイドロキシラジカル)により膜脂質中の不飽和脂肪酸の過酸化反応が開始されます。

 この酸化反応の過程では、LOO(ペルオキシラジカル、L:アルキル基)やLO・(アルコキシラジカル)等の新たなフリーラジカルが産生し、細胞膜の脂質過酸化が連鎖的に進行します。これにより内皮細胞障害と神経細胞障害が引き起こされ、脳浮腫、脳梗塞等の脳虚血障害が進展します。また細胞膜の脂質過酸化は、虚血後の血流再開通により増大し、再環流に後にしばしば認められる脳虚血障害の更なる悪化を招きます。


NOの発見

出典:ファルマシア1997.5


 サイクリックGMP(cGMP)の生理的役割の中で、分かっていることとして、アセチルコリン、ブラジキニンなどの血管を弛緩させるホルモンが、カルシウム依存性に血管平滑筋のcGMPを上昇させcGMP依存性蛋白質リン酸化酵素をがありました。しかし、アセチルコリン、ブラジキニンなどは血管のcGMPを上昇させるにもかかわらず、試験管の中でグアニル酸シクラーゼを直接活性化することはできませんでした。またグアニル酸シクラーゼ活性にカルシウム依存性は見られませんでした。

 1975年に、ニトロソ化合物がグアニル酸シクラーゼを活性化することが見出され、これらのニトロソ化合物はNOを介してグアニル酸シクラーゼを活性化し、さらにNOガスそのものがグアニル酸シクラーゼが活性化することが報告されました。

 一方1980年に別の研究班により、血管の平滑筋を弛緩させる物質を血管内皮細胞が作り、アセチルコリン、ブラジキニンなどのホルモンは内皮細胞からこの物質を放出させることにより平滑筋を弛緩させて血圧を調節していることが報告され、この物質はを内皮由来弛緩因子(EDRF:endothelium-derived relaxing factor)と名付けられました。

 EDRFはNOそのものであると示されたのは1987年です。さらに白血球リポポリサッカライド(LPS)によって活性化されて大量の硝酸、亜硝酸を産生する細胞として同定されました。ここで初めて免疫系の硝酸代謝と血管系のEDRFとがNOで結びついたのです。

 現在では、NOが広く生体内に分布して様々な情報伝達に関わっていることが明らかになっています。

<糖尿病とNO>

 糖尿病による高血糖は脂質の代謝を促進し、コレステロールの合成を促します。コレステロールが産生されるとLDLが増加し、増加したLDLは内皮細胞上で酸化され、酸化LDLが内皮細胞の機能を障害あい、NO合成を低下させます。

 NOの産生が低下すると、血小板が内皮細胞へ粘着するようになり、血栓形成の原因となり、また血管平滑筋の緊張増加による血管収縮、血流低下などの現象が起こります。これらの原因により組織への血流が不全になることから、腎症、網膜症、脳梗塞、心筋梗塞などの合併症が誘発されるという仮説があります。

 糖尿病患者の血管ではSOD蛋白が減少していて、内皮細胞ではスーパーオキサイドアニオンが過剰となり、NOの分解が促進しています。

 


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硝酸薬(NO)の最近の知見

2011年11月15日号 No.556

 硝酸薬は、狭心症や心筋梗塞の際の冠動脈拡張、急性心不全等の心負荷軽減などを目的として古くより使用されています。

 硝酸薬が生体で変換されるNOは重要な生理物質で、様々な作用があることが最近の研究で明らかにされてきています。

 最近、海外では亜硝酸塩(ニトレート)による血管保護作用が見直されてきています。服用した硝酸剤は体内で亜硝酸塩に分解され、血中と組織の両方に同じ濃度で存在します。

 亜硝酸塩は赤血球中でNOに変わり、余分なNOは例えば内皮から産生後にO2と反応して逆に亜硝酸塩になり、NOリザバーとして働き、虚血や組織が酸性に傾いたときなどにはNOに変換され、心血管保護的に働くと考えられています。

 亜硝酸塩の継続した服用は、虚血組織の血管新生あるいは動脈再生を増強させていることが最近になって報告されています。

 硝酸塩は正常な酸素濃度よりも低酸素になった場合に、より血管を拡張させます。低酸素では静脈血流は若干減少する為、これをリバースさせます。動脈でも虚血で低下した血流を亜硝酸塩はより改善することが確認されています。

 臨床応用では、静脈、動脈両方を拡張する為、前負荷と後負荷の両方を取る為以前から心不全に対して使用されてきました。

 硝酸薬を継続して服用している場合では、急性冠動脈症候群が起きた場合に、亜硝酸薬を服用していない場合に比べて、より軽い病態で済む可能性があります。これは硝酸薬によるプレコンディショニング(注:下記参照)効果であることが明らかにされています。

 硝酸薬による遅発性のプレコンディショニングの機序は、亜硝酸塩が直接的に、またNO放出を介してフリーラジカル産生を誘導します。そしてMAPキナーゼ系やPKCキナーゼ系が活性化され、心保護作用の調節へとつながるとされています。

 日本では、心筋梗塞後患者に硝酸薬を長期服用すると心血管イベントを増強させるとした報告があり、そのため、硝酸薬はあまり推奨されなくなっています。(Ishikawa K,et at Jpn Circ J60(10):779-788,1996)しかし、この試験の背景をみますと、患者数が硝酸薬服用群621例対非服用群381例と異なっていたり、硝酸薬服用群では入院患者の比率が圧倒的に多いなど、無作為試験とは必ずしもいえない一面や硝酸薬服用群では重症例が多かった可能性があるなど解釈には注意が必要です。

 2006年の日本循環器学会の「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン」では硝酸薬(ニコランジンルを含む)ではクラス靴任靴燭、最近、冠動脈造影で病変が確認された日本人患者15,628人が登録されたJCAD研究で、硝酸薬服用群(8,319人)のイベント発症が優位差はなかったものの少ない傾向がみられいます。

 これらのことから2008年発行の「急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン」では、クラス僑瓩硲加奮格上げになっています。

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注)プレコンディショニング

 ごく短時間の心筋虚血がその後に起こる心筋梗塞の程度を軽くする現象
 虚血プレコンディショニングともいい、最近、多くの研究者の関心を集めています。そのメカニズムを解明することは心筋梗塞の新しい予防・治療の開発に役立つと考えられています。

{参考文献}メディカル・トリビューン 2011.10.15


 

<トピックス>

テレビを見ると寿命が縮まる?!!

 イギリスでの研究によりますと、1日に平均6時間テレビを見る人では、見ない人と比べて平均寿命が約5年間短縮する可能性のあることが発表されました。(Brithish Journai of Sports Medicine 2011)

 過度の運動不足ではなくても、坐位中心の生活が心筋梗塞や脳卒中による死亡リスクの増加と関連することは知られています。しかし、通常坐位の姿勢で見ることの多いテレビ視聴の平均余命に対する影響に関しては検討されていませんでした。

 1時間の視聴で22分短縮
 今回の研究では、テレビを視聴しない場合、平均余命で男性で1.8年、女性で1.5年長くなることが分かりました。また25歳以上の成人がテレビを1時間見ると、平均余命は22分弱短縮する可能性が示されました。

 今後、これらの数値が因果関係を反映していることが確認されれば、テレビ視聴は確立された行動危険因子と同等の公衆衛生上の問題と見なすことができることになります。

{参考文献}
   メディカル・トリビューン 2011.10.15


フリーラジカルとウイスル

インフルエンザウイルス肺炎病態でのフリーラジカルの役割

化学療法の領域 10  1996

  ウイルス感染症では、ウイルスの増殖による直接的組織障害(いわゆるcytopathic effct:CPE)のみならず、生体側の炎症(免疫)反応を介した間接的組織障害機構の存在が示唆されています。ウイルス感染病態での酸素ラジカル(活性酸素)の病原因子として重要性が報告されています。

 NOは、血管内皮細胞より産生される血管平滑筋弛緩因子の本態であり、さらに中枢あるいは末梢神経系で神経情報伝達物質として作用しています。ラットやマウスのマクロファージがNOを合成する機能を有していることが知られています。

 NO生成系の誘導は、感染や炎症性病巣で産生される炎症性サイトカインとして知られているIL-1β、TNF-α、IFN-γなどにより、誘導型NO合成酵素(iNOS)の発現を介してもたらされることが明らかにされています。iNOSは主に、マクロファージ、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、消化管上皮細胞、気管支上皮細胞、肝細胞、ミクログリア細胞などにより発現され、その結果、過剰に生成するNOは、生体の感染防御反応での主要な炎症性メディエーターとして機能していることが示唆されています。

 生体内での3つのNO合成システムのうち、特にiNOSの発現は、炎症反応や細菌、真菌、ウイルス、原虫など多様な病原体の感染に伴いもたらされます。例えば、G-桿菌の普遍的な構成成分であるリポポリサッカライド(LPS)やG+の細胞壁の成分であるリポタイコ酸(LTP)の刺激により、あるいは炎症性サイトカインの間接的な産生誘導を介して、iNOSの誘導がもたらされることが知られています。さらに、結核菌、非定型抗酸菌などの細胞内寄生菌のマクロファージ内での増殖に伴ったiSONの誘導も報告されています。

 一般に、iNOSからのNO産生はその他のNO合成システム(神経型SOD、血管内皮型NOS)に比較し、長時間持続し、より多量のNO(1μM以上)が生成されることが知られています。一方、最近では、各種ウイルスの生体内増殖でも、このNO合成の亢進が明らかにされており、この場合のiNOSの誘導は、主にIL-1β、TFN-γなどの炎症性サイトカインの産生を介していることが分かっています。

 感染局所で生成するNOの機能として考えられるのが、NOの感染防御作用、すなわち抗ウイルス作用です。しかしウイルスは、宿主の代謝系を利用しなければ増殖することができません。従ってNOが生体内に侵入したウイルスのみを標的として選択性のある毒性を発現することは考えにくく、NOにより抗ウイルス活性が発現される様な状況下では、宿主の細胞もある程度の損傷を受けることが予想されます。

 実際、NOが必ずしも普遍的な抗ウイルス因子としての防御作用を発現するとは限らず、インフルエンザウイルス感染系では、明確なNO依存性の感染防御効果は認められません。

  最近では、NOそのものには、以前考えられていた程の化学的反応性はなく、NOに依存した細胞傷害作用はNOそのものでなく、NOの酸化反応の過程で生じるNO2、N2O3、N2O4、ONOO-などによりもたらされている可能性が指摘されています。



NOS
一酸化窒素合成酵素
nitric oxide synthase

 NOSは、L-アルギニンをL-シトルリンへと変換する際に一酸化窒素(NO)を合成する酵素です。3種類のアイソフォームがあり、血管内皮細胞に存在する内皮型NOS(eNOS)、神経に存在する神経型NOS(nNOS)、マクロファージや血管平滑筋に存在する誘導型NOS(iNOS)です。

 nNOSは、Ca依存性に活性化されます。

 eNOSは、カペオラと呼ばれる微小陥入ドメインに局在し、カベオリンと結合した状態で細胞膜アンカーにしています。ブラジキニンやアセチルコリン、また血流などのずり応力により内皮細胞内のCa2+濃度が上昇すると、カルモジュリン活性化により、eNOSがカベオリンから解離され、NOが産生されます。

 NOは血管拡張作用だけでなく、血管平滑筋増殖や白血球接着の抑制、また血小板凝集などを介した血管リモデリングに重要な役割を果たしています、

 事実、eNOSノックアウトマウスは硬結となり、左質肥大を示し、虚血/再灌流に際し、ACE阻害薬による心筋梗塞サイズ減少効果はみられません。

 nNOSは腎臓のmacula densaに発現していて、tubuloglomerular feedbackに重要な役割を果たしています。
                             (糸球体細管)
 一方、炎症反応などによるiNOSの活性化は、過激なNOを産生し、活性酸素と反応して生じた強いパーオキシナイトライト(ペルオキシ亜硝酸;過酸化亜硝酸)はDNAを損傷し、突然変異や発癌を惹起します。




マクラデンサ
macula densa
密集斑

 遠位尿細管は髄質から始まり、そのネフロンの糸球体血管極付近を走行しています。この部分で輸入および輸出細動脈は遠位尿細管と密に接触していて、この近接部を傍糸球体細胞〔装置〕と呼び遠位尿細管の上皮細胞が輸入細動脈に接する部分では、その上皮細胞の背は高く円柱状で核は尿細管腔側に偏位しています。

 このような細胞が密に並んでおりマクラ・デンサ(密集斑)と呼ばれる斑を形成しています。

遠 位尿細管はナトリウムの選択的再吸収を行いマクラ・デンサは遠位尿細管中のナトリウム濃度に感受性が高いこと、ナトリウムの動態、代謝とレニン分泌との間には密な関連があること、さらにマクラ・デンサはレニン分泌作用を有する傍糸球体細胞と接していることなどから、このマクラ・デンサは傍糸球体細胞からのレニン分泌を調節していると考えられています。

ドメイン
domain
分子内領域

 生体高分子の構造上または機能上の単位を表す領域のこと。構造領域とも呼ばれます。

免疫グロブリンはドメイン構造をもつ代表的なタンパク分子で、抗体活性基を構成する可変領域からなるVL, VHドメイン、補体成分ならびにFc受容体との結合部位を含む定常領域を構成するCL, CHドメインがあり、CHドメインは免疫グロブリンのクラスに固有の一次構造をもち、さらにCH 1、CH 2、CH 3に分かれます。μ鎖とε鎖にはCH 4ドメインが加わります。


フリーラジカルと脳梗塞

脳組織は虚血に対してきわめて脆弱な組織として知られていますが、その原因の1つにラジカルによる細胞膜の脂質過酸化障害の関与が示唆されています。すなわち虚血後には・OH(ハイドロキシラジカル)をはじめとする有害なラジカルが発生し、細胞膜のリン脂質中の不飽和酸を過酸化して細胞障害を引き起こします。

この障害はいったん開始されると連鎖的に進行するため脳浮腫、脳梗塞の進展と各種神経細胞障害を招くとされています。これらのことから脳梗塞発症後の虚血部位や虚血-再開通部位での細胞膜の脂質過酸化反応を抑制し、脳機能を保護するラジカル消去薬の開発が望まれていました。

エダラポン(フリーラジカルスカベンジャー)2001年6月発売

脳梗塞

ラクナ梗塞,
ラクナ型脳梗塞

lacuna, lacune:小梗塞、ラクネ

 深部の径1.5cm以下の小さな梗塞

 穿通枝動脈の閉塞により起こる長径15mm以下の小梗塞で、しばしば多発します。
発症は覚醒時に多く、原因は基礎疾患の高血圧による血管変性(リポヒアリノーシス)が最も多く、まれに穿通枝動脈のアテローム硬化による場合もあります。

 特徴的な症状はラクナ症候群といわれる上肢、下肢のしびれ、片麻痺、感覚障害などで、意識障害はほとんどありません。

 閉塞部位がごく細かい末梢血管であるため、梗塞巣は小さく、一般に症状は軽い。無症状のこともあるので、ラクナ梗塞の発症に気付かないこともあります。

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 ラクナとはラテン語で「小さい空洞」のことで、大脳深部、小脳、脳幹に出来る直径1.5cm以下の小さな硬塞です。
直径200μm以下の細小動脈(穿通枝)の動脈硬化性病変により生じるものです。

 高血圧と関連の深い脂肪硝子変性あるいは血管壊死による小さい穿通動脈の閉塞によることが多く、この場合は多発することが多いという特徴があります。

<高血圧との関係>

ラクナ硬塞は、血圧の上昇により血管の壁が厚くなることで詰まります。硬塞部の病巣は小さく、半身のしびれ、言葉がもつれるなど軽症のことが多いのですが、小さな血管が多数詰まると痴呆などの症状が表れることもあります。

ラクナ硬塞は全硬塞の30〜50%を占め、高血圧、加齢などが主な危険因子で、特に睡眠時に多く発症します。

 

     出典:OHPニュース 2001.8 薬局 2006.7 等

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アテローム
atheroma
動脈硬化症の中では臨床上最も重要

 内膜の脂肪斑、線維性硬化巣を経て粥腫(アテローム)へと進展し、粥腫は合併病変として潰瘍形成、石灰化を伴い、血栓形成へと発展します。

粥状硬化は大動脈および総腸骨動脈などの分枝、さらに冠動脈、脳動脈、腎動脈などに好発します。

アテローム血栓性脳梗塞

 脳の血管壁に動脈硬化によるアテロームプラークが形成され、それにより狭くなった血管内腔に血栓ができ、閉塞します。発症は安静時に多く、また基礎疾患は動脈硬化の原因となる高脂血症、糖尿病、高血圧などです。

 アテローム硬化は長い年月をかけ形成されるため、側副血行が掲載される場合も多く、そのため閉塞しても通常、梗塞巣はあまり大きくなりません。発症も緩徐でかつ階段状です。

 症状は皮質枝症候(失語、失認、失行など)が特徴的で、発症時には意識障害、皮質枝症候とも軽症から中症です。また、TIA(Transient ischemic attack;一過性脳虚血発作)を先行して発症する場合もあります。なお、アテローム血栓性脳梗塞では出血性脳梗塞の出現はまれです。

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心原性脳梗塞症

 基礎に、心房細動、弁膜症などの心疾患がある患者では、心臓壁や弁に付着した血栓が剥離し、栓子となって脳動脈(特に主幹動脈)を塞ぐ場合があります。

 心原性脳梗塞症血栓性の脳梗塞とは異なり、発症は比較的若年にも見られ、活動時に突発的に起こります。意識障害は高度のことが多く、皮質枝症候も高度に現れます。また、麻痺は発症初期に完成します。

 突然血管が閉塞するため側副血行の形成もなく、心原性脳梗塞症の梗塞巣は大きく、動脈支配の全域にわたるものもあります。発症後、高度の脳浮腫を来すことも多く、40%以上に出血性脳梗塞が発現するとされています。(出典:現代医療 vol.31 No.10)

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BAD
branch atheromatous disease
分岐粥腫病変

 病態から見て、
ラクナ梗塞とは言えないが、アテローム血栓性とも言えないという、ちょうど中間型に位置するタイプの梗塞

 治療開始後にもかかわらず神経症状(主に片麻痺)が悪化する比率は、BADで31.3%あり、ラクナ梗塞の6.7%やアテローム血栓性能梗塞での9.7%に比較して圧倒的に多い。

 BADは発症初期からラクナ症候群を呈するため、ラクナ梗塞と診断されカタクロットが治療薬として選択される場合が多かったのですが、最近ではMRI拡散協調画像などのデータに基づいて、早期にカタクロットやヘパリンが使用されるケースも多くなってきています。

 ただし、いくつかの治療薬を試みても、BADの場合は依然として症状が進行する症例が悪化する例が68.8%もあります。

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artery to artery塞栓
動脈原性塞栓

 中等度の血管狭窄になると、
プラーク(隆起性病片)の表面 に血小板が凝集して血小板血栓(白色血栓)が形成されます。

 頸動脈病変で一番問題になるのは、高度狭窄部位で不安定プラークが破綻し潰瘍が形成され、さらにそこで凝集系の活性化が起こり、フィブリン血栓(赤色血栓)が形成される場合です。

 この血栓が血流内に流出すると、artery to arteryに重篤な塞栓症を生じます。これが動脈原性塞栓です。

 フィブリン血栓が形成されると、頸動脈の急性閉塞が現れやすくなります。フィブリン血栓は血小板血栓よりも大型な為、しばしば大きな脳梗塞の発症につながります。従って、高度狭窄で、かつ急性閉塞直前の段階が、頸動脈病変の進行過程で、重篤な脳梗塞発症の危険がもっとも大きい時期と考えられます。

 出典:医薬ジャーナル 2003.11


虚血再灌流障害


 長期に及ぶ虚血は組織や細胞に不可逆的な傷害あるいは死をもたらします。また、血流再開による虚血解除の試みが障害の進行を来すことも明らかになっています。 虚血後の再灌流により急激な血流再開と酸素負荷を与えることが、虚血組織に更なる障害をもたらす事例を生み出すのです。これが虚血再灌流障害です。

 虚血再環流は細胞レベルでは低酸素・再酸素化という培養条件によって近い状態が作り出すことが出来ます。また、虚血再灌流は移植臓器でも病態形成の要因と考えられています。

     出典:現代医療 vol.31 No.10

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