無駄口薬理学薬学用語辞典やさしい薬理学毒舌薬理学  

 

 

 

読み込み中

 しばらくお待ち下さい。

 

 


ARDS
成人呼吸促迫症候群
成人呼吸窮迫症候群

ARDS:adult respiratory distress syndrome

 出血性および細菌性ショック,重篤な肺または全身性の外傷,薬物中毒,ウイルス性肺炎,呼吸性肺炎,出血性膵炎などで加療中の患者で重篤な呼吸不全をきたす症状

<診断基準>
1)手術,ショックなどの侵襲を受けるまで明らかな肺疾患の既往がない(ショック肺shock lung)、 2)心原性肺水腫は除外する、 3)呼吸困難が強く,呼吸数が毎分20回以上であり,努力性呼吸labored breathingがみられる、 4)胸部X線上,両側肺野にびまん性陰影を呈する. 5)急性の低酸素血症hypoxemia(FIO2 60%でPaO2が50mmHg以下). 6)病理学的には肺重量1,000 g以上で,うっ血性無気肺像などが認められる.

ALI
acte lung injury

急性肺損傷:ARDSまでに至らない肺傷害

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

副作用としての場合(ノイアップ、グラン、ノイトロジン、スマンクスの添付文書に記載)

 進行する呼吸困難、低酸素血症、両側性びまん性肺浸潤等の胸部X線異常等が認められた場合は中止し、呼吸管理等適切な処置

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

活性酸素と呼吸器疾患

出典:日本病院薬剤師会雑誌 2001.2

 肺や気道は絶えず酸素にさらされており、ここに白血球が集積して活性化されると、炎症性の臓器障害が惹起されます。 ARDSは、このような病態と理解されています。

 気管支喘息は、気管支平滑筋の過敏性亢進があり、これには浸潤する好酸球や好中球から発生する活性酸素が大きな役割を果たしています。

 肺気腫は、喫煙と最も因果関係の深い慢性閉塞性肺疾患です。タバコの煙は気道を覆う粘膜に接すると、長期間に渡りスーパーオキシドを発生します。一方、喫煙者の肺には白血球が常時ある程度浸潤していて、蛋白分解酵素を放出しています。

 この酵素の働きをコントロールすべきα1アンチプロテアーゼを活性酸素が失活させてしまいます。過剰な蛋白分解酵素の働きで肺胞構造が失われ、肺気腫の発生に繋がると考えられます。

 アスベストは食細胞を刺激して活性酸素を産生させるほか、多くの鉄を含んでいることより長い間排泄されずに留まることで、活性酸素-鉄の作用で遺伝障害を引き起こし、発癌のプロモーションをかけると考えられます。その代表的なものが悪性中皮腫です。




CHD
冠動脈性心疾患
coronary heart disease=虚血性心疾患

CHD
congenital heart disease→先天性心疾患


 2002.7.15号 NO.341

逆流性食道炎
Reflux esophagitis

 消化液(胃液、腸液)が頻回に食道内に逆流し、食道壁を消化してただれさせます。
 手術により破壊された癌や潰瘍で噴門部を切除した後、また短食道という奇形があっても起こりやすいとされています。

   咳嗽と逆流性食道炎→ゴホンといえばPPIもご覧下さい。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

GERD
gasro esophageal reflux disease:胃食道逆流症

食道炎:esophagitis(英語)、

         出典:OHPニュース 1999.3 日本病院薬剤師会雑誌2001.11

 胃酸などの胃内容物が食道へ逆流して起こる食道粘膜障害疾患

 酸などの逆流によって症状、組織障害のいずれかあるいは両方起こるものを言います。最近外国で用いられるようになった概念で、具体的には、胸やけなどの症状があり、内視鏡的食道炎が認められるもの、また症状だけが認められるもの全てをGERDとしています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 食道下部に明らかな病変を認めるものを逆流性食道炎といい、従来の逆流性食道炎のみでなく、おくびなどの自覚症状があっても内視鏡的所見を認めない病態をも含めた概念です。

 非定型的な症状として、喘息、嗄れ声、咽喉頭異和感、狭心症様の胸痛は報告されています。

 最近は、ヘリコバクタピロリ除菌後の本症の増加も指摘されています。

 酸の逆流に関係するのは下部食道括約筋(LES:Lower esophageal sphincter)機能で、LES圧が正常で食後一過性にLES弛緩が起こるものと持続的にLES圧低下を来すものがあります。

 また、薬剤で、Ca拮抗剤、テオフィリン、β遮断剤、硝酸剤などがLES圧を低下させます。

 重要な合併症としてBarret食道があり、酸により食道内皮本来の扁平上皮が円柱上皮に置き変わることで食道腺癌のリスクが高まるとされています。

 またNUDの胃食道逆流型をGERDの一部と考える傾向もあります。なおGERDの発生機序としては、1)逆流を防ぐ下部食道括約筋の働きの低下、2)胃排出能の低下、3)逆流したものを送り出す食道の働きの低下などが考えられています。

 最近、胸やけについて分子レベルの機序が明かにされつつあります。

 その1つとして、痛みの受容体バニロイド受容体1(TRPV1)が注目されており、従来アルコールによる、従来アルコールによる食道下部括約筋(LES)圧の低下が原因と考えられてきた飲酒翌日の胸やけの原因がアルコールによるTRPV1受容体の感受性亢進と関連してくる可能性があります。

 内視鏡陰性GERDには酸逆流以外に多くの因子が絡んでいますが、多くの場合は酸分泌を抑制することにより自覚症状が消失します。しかし、症状の消失率は逆流性食道炎ほど高くないという報告があります。

 無治療で経過した場合でも、疾患の重傷度が増すことは少ないため、胸やけ等の症状のコントロールが、内視鏡陰性GERDの治療の目標となります。
(出典:Medical Tribune  2005.6.9)

<治療>

 生活指導では、よく逆流する人は寝るときに頭を高くして寝るようにしたり、油っこいもの・刺激物のような食事を控えるようにすることなどがあります。

 薬物治療では、消化管運動機能改善薬、胃酸分泌抑制薬、食道粘膜保護剤が中心となります。6〜8週間の服薬による内視鏡的治癒率は、PPIでは80%以上、消化管運動機能改善薬薬では約70%、ゲファニールでは50%以上、H2ブロッカーでは約50%となります。

 また、GERDでのStep-Down Therapyとして、まずPPIを症状が改善されるまで与薬し、次にH2ブロッカー、さらに良くなれば制酸薬に変更するという作用の強い薬剤から弱い薬剤に変更していく方法があります、それと同時にライフスタイルの改善及び治療の継続が必要となります。

 バクロフェンが一過性LES弛緩を抑制するとされ、NO合成阻害薬なども本症の治療薬として本症に治療薬として検討中です。

<胃食道逆流症での一般的注意>

やめるようにアドバイスすること:食直後の仰臥、ガードル・ベルトの着用、過食、脂肪の多い食事
                   :香辛料の摂取、コーヒー・緑茶・アルコールなどの嗜好品

勧めたほうが良いこと:就寝前の高頭位、少食、蛋白質の多い食事、乳製品の摂取

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
S−GERD
symptomatic GERD:症候性逆流症

 粘膜障害の程度に関係なく、「患者が医学的な対応を求める程度の胸やけなどの逆流に由来する不快な自覚症状を有するもの」

 自覚症状があり、なおかつ内視鏡的に明らかな食道粘膜傷害のあるもの(逆流性食道炎)から、内視鏡的には明らかな粘膜傷害を確認できないもの(内視鏡陰性逆流症)まで、逆流症状のあるもの全てが含まれます。

 これまで、「胃炎」とされてきた「胸やけ」症状あるいは逆流症状はその本態が食道内酸逆流で、食道内酸逆流防止治療が必要です。

 「胸やけ」を始めとする食道内逆流症状はその不快さのため患者のQOLを大きく損ないます。内視鏡所見の有無に関わらず患者の受診動機となっているこのような不快症状に適切な対応をすることが必要です。

          出典:PTM 3(2) JUN,2002

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

NERD
non-erosive reflux disease
非びらん性胃食道逆流症


 胸やけなどの典型的なGERD症状があるにもかかわらず食道にびらんがないもの。

 胸やけを主訴とする良性の食道性疾患GERD(胃食道逆流症)が、近年日本でも増加しつつありますが、その半分以上は内視鏡検査でも食道に粘膜病変を同定できない“NERD”と呼ばれるグループです。

 GERDについては、「酸性の胃内容物が食道内を逆流することにより、何らかの自覚症状、あるいは他覚所見を呈するもの」という定義が確立され、NERDはその一部分とも解釈されます。

 しかし、NERDでは、GERDとは異なる症状出現機構を有するらしいとされています。
またその呼び方もsymptomatic GERD,endoscopy negative GERD,non-erosive reflux disease など様々です。

     出典:医薬品ジャーナル 2005.11

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

胃食道逆流症の危険因子としての肥満とエストロゲン

 肥満の程度と胃食道逆流症の出現頻度との間には有意な関係が認めらたという調査報告が成されています。 男女ともBMIが大きくなるにつれ、逆流症状の危険度が高くなり、女性(特に閉経前)ではその傾向が強く、更に閉経後のホルモン療法は逆流症状の危険度をより増大させます。そのためエストロゲンが逆流症の病因に重要な役割を果たしていことが示唆されています。

 胃食道逆流症と肥満、性差との関係について多くの検討が成さてきましたが、結論は一定していません。

 女性では、閉経後では危険度の肥満に依存する傾向が低下するという結果は、胃食道逆流症は可逆的な病態を含んでいることが示唆されています。日本では本症に痩せた症例も多く、その調査の結果がそのまま当てはめられるものではありませんが、肥満例では減量することで症状が緩和する可能性が示唆されています。

 また、日本では骨粗鬆症に伴う多発脊椎骨圧迫骨折例は閉経後の女性に多く、胃食道逆流症で女性に特有の病態についてさらに検討が求められています。

  出典:CRG 2003 No.4 Vol.8 (株式会社ティ・エム・ジャパン)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
円背による胃食道逆流症

 円背(humpback,round back)は亀背とも呼ばれ、農作業に従事する高齢者の女性に多く日本人に特有の変化です。

 円背の患者さんは、胸やけ症状を訴えることが多く、また、上部消化器内視鏡検査を行うと、食道胃接合部に逆流性食道炎を認める症例が多く存在します。

 これは腰曲がりにより腹圧が上昇し、胃が圧迫されることにより食道への胃液の逆流、さらに食道裂孔ヘルニアの形成が加わり、胃液逆流防止機構である下部食道括約機構(LES:Lower esophageal sphincter)が破綻するために発生しています。

 GERDは、最近日本で著しく増加しており、円背の患者さんを見たら、胸やけなどの逆流症状の有無を問診するなど、逆流性食道炎の存在を念頭に置くことが必要と思われます。

   出典:新薬と治療 2004 4−5月号 No.447 山之内製薬


バレット食道


 GERDの合併症としてバレット食道と食道腺癌の増加が大きく意味を持ちつつあります。


 日本では、従来、食道胃接合部は食道下部の柵状血管下端とし、そこから連続的に円柱上皮が伸びたものをバレット粘膜と定義していましたが、2007年4月の改訂により、欧米同様に食道胃接合部の内視鏡的診断基準として縦走する胃のヒダ最上端を取り入れました。

 しかし、食道棚状血管と胃のヒダをどのように基準として用いるのかについては詳述されていません。一方、欧米では、食道胃接合部を胃のヒダの最口側と定義しています。

 欧米の内視鏡医にとっては、食道下部の柵状血管は認識しにくい現状があるようで、食道接合部のマーカーとしては受け入れられていません。

 2003年に、バレット食道内視鏡診断の標準化を目指して、C&M分類(いわゆるプラハ分類)の提唱がなされました。

 C&M分類とは、内視鏡的に認められるバレット食道をEndoscopic Barrett's esophagusと称して、組織学的バレット食道と明確に区別し、さらに、その表記に客観性を持たせる分類法です。

 まず、食道接合部は胃のヒダの最口側と定義されました。日本で基準となっている柵状血管は、逆流性食道炎を伴うバレット食道症例では、観察しにくいなどの理由により、食道胃接合部の判定には用いません。その接合部の診断基準をもとに、食堂円柱上皮の円周性の部分を「C」(Circumferential extent)とし、その長さを測定、次に舌状に伸びる部分の最大長「M」(Maximum extent)とし、バレット食道をこの2つ項目で記載します。

 なお長さの測定は内視鏡シャフトに刻んだ末k-るをバイトブロック上で行うことが推奨されています。

  出典:治療 2008.6

===========================================================================
咽喉頭異常感症
LPRD:laryngopharyngeal reflux disease

 耳鼻咽喉疾患である「咽喉頭異常感症」は「のどの違和感を訴えるものの、通常の耳鼻咽喉科的診察では異常がみられないもの」と定義されています。

 従来は、慢性副鼻腔炎、慢性扁桃炎、慢性咽頭炎が原因のほとんどとされていましたが、50〜60%に胃食道逆流がみられることからGERDが咽喉頭異常感の大きな一因になっていることがわかってきました。この胃内容物の逆流に起因する疾患を耳鼻咽喉科領域では、LPRDと呼んでいます。

 症状としては、のどのイガイガ感、咽頭痛、咳、しわがれ声などで、その発症機序は、1)胃内容物が逆流して直接咽喉頭に暴露して症状を起こす。2)下部食道への逆流が迷走神経反射を介して症状を起こすなどが考えられています。

  出典:大阪府薬雑誌 2011.4

===========================================================================

PPIテスト

PPIテストとは、PPIの強い胃酸分泌抑制作用により、胃酸の食道内への逆流を抑制させ、症状の消失状況を見る検査法です。

胃酸分泌または胃食道逆流を抑えればGERDの症状は改善するはずですから、PPIを使用して症状が改善すればGERDであると診断します。
通常はPPIを1週間内服して症状の推移を観察します。

GERDが逆流性食道炎のみであれば、上部消化管内視鏡検査だけで診断が可能となりますが、逆流症状があっても、食道の粘膜傷害がないNERDでは、内視鏡検査は決定的な診断法にはなりません。またGERDが食道以外の複数の器管に症状が及んでいる場合もありますので、これらを一元的にかつ効果的に診断する方法が必要となります。

この方法の最も優れた点は、食道外の症状も含めて、すべての症状に応用可能なこと、24時間食道内pHモニタリングや内視鏡に比べて患者への侵襲が無いことで、逆流症状の診断に有用な価値の高い方法であると評価されています。

  出典:大阪府薬雑誌 2011.4


inverted hyperplastic polyp

逆行性過形成ポリープ

出典:治療 1999.1

 胃に見られるポリープの中で、粘膜下に粘膜の一部が入り込んで造生し、腺管の拡張を伴うタイプのもの。

 粘膜の障害に伴う筋板の段裂部を通ったり、脆弱部から粘膜の一部が粘膜下に落ち込むために生じます。


オンコセルカ症

出典:科学療法の領域 1996 3月号

 発見者の名前をとりロブレス病とも呼ばれます。

 フィラリアの一種である回旋糸状(Onchocerca volvulus)がブユによって媒介され発症します。河川盲目症とも称されるのは、ブユが河川で羽化し周辺の住民を襲って失明者を生じるためです。その原因は仔虫の眼部進入によります。

 主な分布地は熱帯アフリカと中南米で、アラビア半島の一部にも流行地があります。中南米のものは、アフリカから奴隷貿易で持ち込まれたものと考えられます。全国の感染者数は1770万人で、そのうち失明者数は27万人、強度の視力障害者が50万人いると推定されています。

<治療>

 従来はDEC(殺仔虫剤)とスラミン(殺成虫剤)を組み合わせた治療が行われてきましたが、両剤とも副作用が強いことが難点でした。近年アイバメクティン(商品名Mectizan)が抗フィラリア剤として導入されました。副作用が弱く年に1回でよいことと、その長期服用効果のため、OCP(注)の主戦略であった媒介ブユ対策にとって替わろうとしています。

(注)OCP:オンコセルカ症防圧計画

<症状>

皮膚病変:掻痒疹、脱色素班、皮膚萎縮、小丘疹形成など。中米では海岸性丹毒、紫色皮疹などと称された病変があります。
オンコセルカ腫:躯幹部や頭部の皮下に形成されるもので中に成虫を包含します。中米では頭部にも多数見られますが、アフリカでは躯幹部と大腿部に分布
リンパ系病変:鼠径部下垂やリンパ節腫脹
眼病変:球結膜炎、点状角膜炎、硬化性角膜炎、網脈絡炎、白内障、網膜色素上皮変性、視神経萎縮など仔虫の侵入に伴う病変で視力障害さらには失明を引き起こします。


PFC
胎児循環持続症

胎児循環遺残
PFC:persistent fetal circulation

同義語:胎児循環残存症,新生児持続性肺高血圧症persistent pulmonary hypertension in the neonate(PPHN)

 本来低下すべき肺血管抵抗が出生後も低下せずに肺高血圧が持続するため起きます。卵円孔および動脈管での右左短絡と肺高血圧による症状、すなわち,新生児仮死、著明なチアノーゼ、アシドーシス、陥没呼吸をみます。

 未熟児には少く、母親が高齢出産の場合に多くみられます。肺動脈性第2音の亢進、心電図上著明な右室負荷があり、PaO2の低下が著明で、100%O2でも上昇しません。

 治療は肺血管の拡張とPcO2を低値に保つことを目標とします。


アメーバ赤痢

《定義》

 赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の感染に起因する疾患で、消化器症状を主症状とするが、それ以外の臓器にも病変を形成します。

《臨床的特徴》

 病型は腸管アメーバ症と腸管外アメーバ症に大別されます。

 腸管アメーバ症は下痢、粘血便、しぶり腹、鼓腸、排便痛の下腹部痛あるいは不快感などの症状を伴う慢性腸管感染症で、典型的にはイチゴゼリー状の粘血便を排泄しますが、数日から数週間の間隔で増悪と寛解をくり返すことが多くみられます。潰瘍の好発部位は盲腸から上行結腸にかけてとS字結腸から直腸にかけての大腸です。まれに肉芽腫性病変が形成されたり潰瘍部が壊死性に穿孔することもあります。

 腸管外アメーバ症は多くは腸管よりアメーバが血行性に転移することによりますが、肝膿瘍が最も高頻度にみられます。成人男性に多く、発熱(38〜40℃)、季肋部痛、嘔気、嘔吐、体重減少、寝汗、全身倦怠などを伴います。膿瘍が破裂すると腹膜、胸膜や心外膜にも病変が形成されます。その他、皮膚、脳や肺に膿瘍が形成されることがあります。

《報告のための基準》

○ 珍断した医師の判断により、症状や所見から当夜疾患が疑われ、かつ、以下のいずれれかの方法によって病原体診断や血清学的珍断がなされたもの。

 ・病原体の検出例、糞便からの赤痢アメーバ栄養体の検出、病変部位(組織切片または膿瘍液)からの本原虫の検出など
 ・病原体の遭伝子の検出

 ・  例、赤痢アメーバに特有な遺伝子配列の検出くPCR法等)など
 ・病原体に対する抗体の検出
   例、患者血清からの赤痢アメーバに対する特異抗体の検出など

《備 考》

 検便は場合によって1回の検査に留めず、連続3日間程度の集中検査で検出精度を高める措置が求められます。


サルコイドーシス

 肺および肺外の多臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の多臓器疾患

 若年と中年に好発し、両側肺門リンパ節、肺、眼、皮膚の罹患頻度が高いが、肝、脾、リンパ節、唾液腺、心、神経系、筋肉、骨やその他の臓器に罹患することもあります。

<診断>

 臨床およびX線所見に加えて、罹患部位から採取した組織標本に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が存在すれば確実となります。既知の原因による肉芽腫と局所性サルコイドーシス反応は除外します。

<検査>

 免疫学的には、しばしば皮膚の遅延型過敏反応の抑制と、病変部位でのCD4陽性T細胞/CD8陽性T細胞比の増加がみられます。B細胞活性化を示唆する所見もときに認められ、その一つとして、血清アンジオテンシン変換酵素(SACE)活性の上昇、Gaの取り込み増加、Ca代謝の異常、蛍光血管造影所見の異常があります。

<治療>

 副腎皮質ホルモン剤は症状を改善させ、肉芽腫形成を抑制し、SACE値とGaの取り込みを正常化します。

<臨床症状>

 臓器別の罹患頻度は、胸郭内(肺門および縦隔リンパ節、肺95%以上)、表在リンパ節(10〜50%)、眼(40〜50%)、皮膚(15%)の順

<罹患臓器の症状>

1)呼吸器:咳、胸痛が7%の症例にみとめられるが、一般に著しい胸部異常陰影がみられても自覚症状に乏しい。
2)眼 :ブドウ膜炎および網膜病変としての網膜血管周囲炎や滲出性病変があり、症状としては両側性の霧視、羞明が多い。
3)皮膚: 次の3病変に大別される。
ア)皮膚サルコイド:丘疹や結節性病変。
イ)瘢痕浸潤型:外傷や手術後の瘢痕部に生じる結節性病変
ウ)結節性紅斑:非特異疹
4)表在リンパ節:頸部、腋窩、鎖骨上窩、鼠径部などにリンパ節腫脹を見る。無痛性で融合傾向はない。
5)心臓:心サルコイドーシスは、わが国での死因としてもっとも重要な位置をなす。刺激伝導障害、重篤な不整脈、心筋障害の所見を呈する。

インターフェロン製剤によりサルコイドーシスがみられたとの報告があります。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

サイコイドーシスとACE

出典:薬局 2000.9

 サルコイドーシスは病因未解明の全身性疾患です。その特徴は、非乾酪性の肉芽腫炎がリンパ節、肺、眼、皮膚を中心に起こること、そしていくつかの免疫学的な異常です。

 ACE(アンジオテンシン変換酵素)は主に肺の血管内皮細胞で産生されますが、サルコイド肉芽腫の類上皮細胞でも産生されます。ACEは全身の肉芽腫炎の状態を反映すると言われています。

 ACE遺伝子での挿入や欠損などの多型が、サルコイドーシスでの特徴的な自己免疫症状の発現頻度にどれほど重要か検証がなされています。

 それによりますと、血清中ACE値は正常対照群や自己免疫症状の発現のないサルコイドーシス患者に比べて、自己免疫症状を発現した患者群で有意に高くなっています。そしてこの違いは自己免疫症状のある患者群の内でステロイド治療をしているものでは、さらに顕著となっています。


スチル病

成人発症スチル病
AOSD(adult-onset Still's disease)

出典:現代医療 Vol.31 No.3

 かつては稀とされたが、若年成人の不明熱の重要な基礎疾患

 スチル病そのものは若年関節リウマチ(JRA)の発症病型の一つである全身発症型

 同様の病態が若年成人(ほとんど16〜35歳)に発症したものがAOSDと呼ばれるようになりました。

 古くから同様の病態があり、アレルギー性亜敗血症などの病名で扱われていました。病因については不明


せつ
(やまいだれに節)

 毛嚢または皮脂腺の化膿菌(主として黄色ブドウ球菌)の感染による化膿

 はじめは比較的限局性の腫脹ですが、壊死に陥った組織が解離して中央に膿栓を生じ、ついに自潰排膿して治癒するのが常で、ときに蜂巣炎を伴い、発熱し、急性リンパ節炎を起こすことがあります。顔面のせつをとくに面疔といいます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

癰(よう)

 せつの密生したもので、多数の毛嚢が同時に化膿菌によって侵されて起こる化膿性炎

 化膿がすすむと表面は破れて膿が出る。合併症としてリンパ節炎や蜂窩織炎を起こすことがあります。


ビダール苔癬

 側頸部から項に好発する慢性湿疹の一種で、外陰部、大腿内側、四肢伸側にもまれに生じます。発症は先天性素因も考えられます。


バージャー病
ビュルガー病
閉塞性血栓血管炎

英:Buerger's disease
独:Bu¨rger‐Krankheit
仏:maladie de Leo Buerger
ラ:thromboangiitis obliterans
同義語:閉塞性血栓血管炎thromboangiitis obliterans(TAO)


日本語版総監修 福島雅典のメルクマニュアル医学情報「家庭版」(日経BP社)によるとBuerger’s diseaseをその本のIndex p.1429に収載し、本文p.137-138においてバージャー病と訳されています。

朝日現代用語 知恵蔵1990によれば、p.167にBurger’s disese(スペルは何度も目を通しました。)をビュルガー病と訳し簡単な解説が載っています。ビュルガー病は欄外の難病ー特定疾患研究対象疾患(スペルは誤植ではありません)に、その実施年月が1975年10月となっております。


気管支拡張症
カルタゲナー症候群

 気管支拡張症は、気管支樹が分枝回数を重ねるとともにその内腔が細くなっていく本来の型と反して、中枢部より末梢の内腔が拡大して大きくなっているものを指します。

 先天性異常形成成因別には

・多発嚢胞状拡張を示すカルタゲナー症候群

・特発性気管支拡張症(気管支系発育の未完結の状態にある小児期までの百日咳や麻疹に併発する気管支肺炎に続発して慢性に経過するもので、慢性副鼻腔炎を伴うものが大部分で、円柱状や棍棒状の気管支拡張を呈する)

・続発性気管支拡張症(気管支結核、肺門型気管支癌、誤嚥異物などによる気管支狭窄や閉塞に続発するもので狭窄後性拡張症などとも呼ばれる。)

 気管支拡張症の気管支壁は支持組織や軟骨の破壊があって細胞浸潤やリンパ濾胞の形成をみます。気管支動脈は拡大し、肺動脈と吻合して短絡を形成しているものが多い。

 臨床的には湿性咳嗽を特徴とし、多量の濃(膿?)性痰を四季を問わず喀出します。気管支分泌液が気管支拡張部に貯留して、就寝時など姿勢の変化で流出し、咳、喀痰を繰り返します。血痰と喀痰の頻度が高く、ばち状指は多発しますが爪チアノーゼは強くありません。胸部聴診で吸・呼気両相性の湿性ラ音を聴き、胸部X線所見には中・下肺野の紋理増強、管状または鍔形陰影や小さな輪形陰影が多発し、気管造影で拡張が確かめられます。


狭心症 → こちらの記事(やさしい薬理学)もご覧下さい。

 発作時に心電図のSTが上昇する場合を異型狭心症と呼んでいます。

 一般的には狭心痛は、突然、発作的に前胸部やその他の部位に生じます。

 狭心痛の典型症状は、突然の胸痛や胸部圧迫感(締めつけられる、圧迫される)で、前胸部(特に肋骨の裏側あたり)や心窩部、背中などにみられます。発作が強い場合には、疼痛は左上肢などに放散します。また心悸亢進、呼吸困難、冷汗を伴います。

 労作によって誘発される狭心症は、通常1〜2分で消失しますが、安静狭心症のなかには、5〜15分あるいはさらに30分くらいまで持続するものもあります。強い疼痛が30分以上持続する場合は心筋梗塞が疑われます。安静狭心症は、特に夜間から早朝の安静時に比較的多く出現します。


VTE:venous thromboembolism

血栓性静脈炎       関連項目:ロングフライト症候群PTE:pulmonary thromboembolism

静脈血栓塞栓症


 血液性状や血流の変化が主因となり静脈内に血栓が形成され、その結果、静脈が閉塞される症状。

 四肢の静脈いずれにも発症する。腫脹・チアノーゼ・疼痛と圧痛が三大腫脹です。
大多数の症例は内科的治療で改善しますが、血栓摘除などの外科的治療が必要な場合もあります。最も重要かつ重篤な合併症は肺動脈塞栓症です。

 血栓性静脈炎は、静脈血栓に炎症を伴ったもので、炎症性経過のはっきりしない静脈血栓症とは区別されますが、静脈血栓症に伴って発症する可能性が高いとされています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 静脈血栓塞栓症(Venous thromboembolism:VTE)は、肺塞栓症(Pulmonary embolism:PE)の原因のほとんどが深部静脈血栓症(Deep vein thrombosis:DVT)で、PEはDVTの合併症でもあることから両者を一連の病態と考え、VTEと総称しています。

 一般的に良く知られているのが、飛行機などで長時間同じ姿勢をとり続けて発症することで、俗にエコノミークラス症候群(あるいは旅行者血栓症、ロングフライト症候群)とも呼ばれていて、2002年に日本人サッカー選手の高原選手が発病したことや、新潟中越地震では自家用車の中で避難生活を送る人の中で本症候群の疑いで死亡するケースが相次いだことから注目されました。

 静脈血のうっ滞や血液凝固の亢進が原因となり、血流うっ滞の原因としては、長時間同じ姿勢で居続けることやうっ血性心不全、下肢静脈瘤の存在が挙げられます。血液凝固の亢進は、脱水、感染、長期臥床、手術などが原因で大腿静脈などに血栓が生じ、この血栓が血流に乗り肺へ流れ、肺動脈が詰まると肺塞栓症となります。

 肺動脈が詰まるとその先の肺胞に血流が流れず、ガス交換ができなくなります。その結果、換気血流不均衡が生じ、動脈血中の酸素分圧が急激に低下し、呼吸困難を起こしたり、肺の血管抵抗が上昇して全身の血液循環に支障を来します。軽度の場合は胸焼けや発熱程度で治まりますが、最悪の場合は死に至ります。

 予防法としては、長時間同じ姿勢をとらないことや座席などでは簡便な下肢の運動を行い、脱水を起こさないように適量の水分を摂取し、血栓のリスクのある場合は弾性ストッキングを着用したり、場合により抗凝固療法による予防的投与を行ないます。
 治療は血栓の除去と循環動態の改善を目的とし、ワルファリン、ヘパリンなどの抗凝固薬を使用しますが、ヘパリンは低分子ヘパリンを使用すべきです。そのほかに血栓溶解療法、血管内治療法、手術療法などがあります。
 

 出典:日本病院薬剤師会雑誌 2008.6 等
 


 点頭てんかん
 nodding spasm

 点頭痙縮ともいいます。筋肉痙攣によってうなずくような状態が起こります。

 くる病、線病質に関係があるとされています。幼児に多く、興奮すると点頭(うなずく)が増加します。


肝線維症

hepatic fibrosis

 肝の病理・形態学的な概念。肝の系統的な病態の治癒の結果、線維つまり結合織の増生がみられるものをいいます。

 脾腫、貧血などのバンチ症候群の症状をあらわすもの、脾腫は著明でなくとも腹水、静脈瘤など門脈圧亢進症の症状を現すものが多い。臨床上肝硬変と鑑別しがたく、また無症状のものもあります。


 種々の原因による肝細胞傷害の結果、肝臓に膠原線維の増加した状態が広義の肝線維症です。線維増生により肝小葉が改築され、偽小葉形成のみられるものは肝硬変と呼ばれるので、肝硬変にまで進展しない肝の線維増生が狭義の肝線維症です。

 その原因は,ウイルス性肝炎,アルコール性,薬剤中毒性,栄養障害性,先天性代謝異常,循環障害など多岐にわたります。肝細胞の壊死,脱落による既存の格子線維の膠原線維化、あるいは間葉系の炎症反応に伴う膠原線維の新生によるものです。

 先天性肝線維症は肝嚢腫(肝嚢胞症)と近縁疾患で、腎,肺その他にも嚢腫を伴うことが多くみられます。肝線維増生の結果,肝細胞の機能障害,肝内および肝外血流の短絡(門脈‐大循環系短絡)が生じ,門脈圧亢進による脾腫,食道静脈瘤が認められます。血液生化学上ではプロトコラーゲンIIIポリペプチド(PIIIP)の高値を示し,尿中へのヒドロキシプロリンの排泄量が増加します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

バンチ症候群

Banti's syndrome

特発性門脈圧亢進症
idiopathic portal hypertension(IPH)


 脾腫、貧血、門脈圧亢進を示しますが原因となるべき疾患を証明し得ないもの。以前Banti病と呼ばれた疾患に相当しますが、現在Banti病の疾患概念が明瞭でないためわが国では特発性門脈圧亢進症と呼称しています。

 わが国では全門脈圧亢進症中の10%を占めます。(欧米ではもっと少ない。)

 肝機能は一般に正常で、消化管出血を起こしても肝硬変ほど予後は悪くありません。

 本症の原因は不明ですが、肝内門脈線維症が本態で,前類洞性ブロックによる門脈圧亢進症と考えられています。

 主要症状は、脾腫と脾機能亢進に基づく血液有形成分の減少(とくに貧血)、門脈圧亢進症portal hypertensionに起因する側副血行路形成(食道胃静脈瘤、腹壁静脈怒張)で、これらの存在の確認と肝硬変,寄生虫疾患などの存在を除外することにより診断します。

(Guido Bantiはイタリアの医師,1852‐1925)


楓糖尿病

メープルシロップ尿症

 先天的に分子鎖にケト酸脱炭酸酵素が無いため、尿の中に分子鎖アミノ酸のロイシン、イソロイシン、バリンや、その代謝物の分子鎖ケト酸、ヒドロキシ酸が多く出て、尿にメープルシロップのような匂いがある病気。

 古典型と、間欠型があり、古典型の場合、生まれて1〜2週目にかけて突然お乳を飲まなくなる、呼吸が発作的に止まる、痙攣、チアノーゼ、筋肉の緊張が弱くなったり強くなったりして、体をそるような姿勢をとるという症状が起こります。


CIDP

慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー

ニューロパシー

同義語:末梢神経障害peripheral neuropathy

 末梢神経は各種の原因で障害されますが、原因のいかんを問わずすべての末梢神経の障害を総称してニューロパシーと呼んでいます。原因として、遺伝、感染、中毒、代謝障害、アレルギー、膠原病、癌、血管障害、外傷、機械的圧迫、腫瘍などがあります。

 障害の発生には、これらの要因が組み合わさり、局所性と全身性の影響をうけて起こると考えられます。しかし実際の臨床では、多くの場合、原因不明です。

 ニューロパシーの病変を病理学的に、実質性と間質性の2つに分けられます。
1)実質性ニューロパシーは,末梢神経の実質であるニューロン、シュワン細胞および髄鞘の3つに病因が作用し,病変が現れたものをいいます。各種の中毒や種々の代謝異常でニューロン全体の代謝が障害されると、ニューロンの末梢部から変性が起こり,神経細胞体に向かって変性が進行し、やがて神経細胞体が萎縮します。

 これはdying back neuropathy(逆行性死滅ニューロパシー)と呼ばれ、ビタミンB1欠乏症,ペラグラ,種々の代謝障害,TOCP(tri‐ortho‐cresyl phosphate)中毒,アクリルアミド中毒などがこれに属します。

 シュワン細胞の変性および髄鞘の障害で始まる病変は筋性脱髄(segmental demyelination)と呼ばれ,鉛中毒,ジフテリア,糖尿病,慢性アルコール中毒,ポルフィリン症およびギラン・バレー症候群などでみられます。

 外傷による切断では切断遠位部は全長にわたって変性を起こしてきます。これをWaller変性と呼んでいます。

2)間質性ニューロパシーとは,血管性病変(結節性動脈周囲炎,膠原病など),炎症反応や肉芽組織(癩結節,サルコイドーシスなど),物理的圧迫によるものが含まれます。末梢神経は,局所の圧迫,乏血,神経細胞やシュワン細胞の代謝障害,血管栄養神経の障害によって,二次的に侵されます。

 ニューロパシーの症候は,運動障害,知覚障害,筋力低下,筋萎縮,反射低下,自律神経障害などで,種々組み合わさってみられます。


膠原病

 結合組織の病変が全身におよび発熱、皮膚症状、関節炎などを呈する難治性疾患。

 膠原病という疾患概念を最初に提起したのは、米国の病理学者ポール・クレンペラーで、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、リウマチ熱という6つの疾患について、これらは組織学的に見れば、生体の膠原組織中に主な病変を共通して持つことから、膠原病:diffuse collagen diseaseとしました。

 その後の研究により、リウマチ熱を除く5つの疾患については、その基本的な成因や病態形式には免疫異常が深く関与しており、とりわけ自分自身を攻撃するような自己免疫システムの異常が鍵となっていることが明らかになりました。そこで現在では、膠原病という名称は日本以外では使われず、海外では「全身性自己免疫疾患」や「全身性結合組織疾患」という呼ばれ方が一般的になっています。

 現在ではリウマチ熱を除いた5つが膠原病として定義されています。しかし、膠原病を全身性の自己免疫疾患と考えるならば、その範疇には最低でも50種類の病気が含まれると思われています。その基本的なメカニズムは、リンパ球が各種組織へ浸潤してそこを傷害するという点で共通しています。

 最も代表的な膠原病は、関節リウマチで、主として関節の滑膜にリンパ球の集積が起こりますが、関節だけに病変が発生するわけではなく、患者の30%程度では、唾液腺や涙腺といった線維組織にも病変が惹起されます。また大部分の患者では、肺にも病変部位が発生しています。

 次に頻発するものとして、全身性エリテマトーデス(SLE)があります。皮膚に紅斑ができることからこの名前がつきましたが、この病気では体内に多くの臓器が侵され、特に腎臓はほぼ100%の確率で傷害されます。SLEに伴う腎症にループス腎炎があり、これは抗原と自己抗体からなる免疫複合体が糸球体に沈着し、補体を活性化することから組織を障害するという機序をとります。ですからSLEの病態の管理では、腎臓の保護をはじめとした全身の臓器の管理が体節です。

 強皮症でも皮膚だけでなく食道、腸、肺なども同時に硬くなっていきます。このように各疾患によって表現型は少しずつ違いますが、病態が全身性でかつ進行性であるという点で膠原病は共通しており、病名は違っても基本となるメカニズムは同じと言えます。

   出典:医薬品ジャーナル 2006.6 産業医科大学医学部第一内科学講座教授 田中 良哉


      〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

オーバーラップ症候群
OL:overlap syndrome

出典:治療 2001.2 創刊号

 オーバーラップ症候群は、複数の膠原病が合併するもので、各種膠原病の疾患特異性の高い症状が重複し、活動期には重症になりやすい。

MCTD
mixed connective tissu disease
混合性結合組織病

 MCTDの診断で特に重要な点は、共通所見である手指の腫脹とレイノー減少です。この紡錘状の手指の腫脹は抗U1-RNP抗体と強く関連してみられ、しばしばこの手指を見るだけで、抗U1-RNP抗体やMCTDの存在を予測できるほどです。

 MCTDの診断で注意すべき点として、特定の膠原病と高い特異性を持って出現する自己抗体(疾患標識抗体)が併存する場合です。(例えば抗Sm抗体・抗2本鎖DNA抗体;SLE、抗Jo-1抗体;PM、抗トポイソメラーゼ1抗体;SScなど)


急性腎不全

間質性腎炎、腎乳頭壊死等

 乏尿、血尿、尿蛋白、BUN・血中クレアチニン上昇、高カリウム血症、低アルブミン血症等

 急性腎不全とは、種々の原因で急激な腎機能の低下をきたす症候群で、通常、乏尿または無尿を伴いますが,乏尿を伴わず腎機能障害が進行する非乏尿性急性腎不全もあります。

 急性腎不全は、10日前後の乏尿期と利尿期を経て、多くは、3〜4週間で尿量や高窒素血症hyperazotemiaが正常化する回復期に至ります。

〔治療〕

 適当な水分、栄養の補給と電解質の補正が第一です、場合によっては透析療法が必要となります。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
AKI
acute renal injury
急性腎傷害

 急性腎不全(acute renal falure :以下、ARF)は、老廃物排泄、尿の濃縮/希釈による酸塩基平衡水電解質調節、種々の内分泌機能をもつ腎機能の急性廃絶により、体液恒常性維持が破綻する病態です。

 ARFは重症患者に多く発生する合併症であり、国際観察研究の結果では、全ICU症例の約6%にARFが発生し、その死亡率は60%程度であることが報告されています。これほど一般的で重篤な病態であるにもかかわらず、最近までコンセンサス(合意)の得られた診断基準が存在せず、ほかの臓器障害や症候群に比べ研究や治療が遅れていました。

 しかし、21世紀に入り、国際的な団体により診断基準が作成され、早期の検出・治療と予後改善を目的として急性腎障害(acute renal injury:以下、AKI)という概念が提唱され、統一されてきています。

 現在のところ、AKIの予後を改善する治療法は存在せず、AKIの診断基準の臨床での使用が有意義とはいえませんが、今後それらを使用した臨床研究により、AKIの予防法や予後を改善する早期治療法の発見が期待されます。

 AKIの原因として薬剤による腎障害がかかわっていることも少なくなく、またAKI時には当然、腎排泄型の薬剤の使用にも投与量を調整するなどの注意が必要であり、薬剤師がAKIの予防や薬物療法に積極的にかかわることが重要です。


       出典:日本病院薬剤師会雑誌 2010.10
       参考文献:INTENSIVIST,Vol.1,No3,特集,AKI,2009


虚血性潰瘍
Ischemic ulcer

 壊死に基づく粘膜や皮膚の一定の深さ組織の欠損を潰瘍と言います。
 欠損が浅く、粘膜筋板を超えなかったり、真皮に及んでいない場合をびらん(erosion)と呼んでいます。

 急性に生じる場合と、慢性に経過する場合があります。

 潰瘍の原因としては、1.物理的損傷、2.炎症、3.外来性または内在性化学物質による腐食作用、4.循環障害、5.栄養神経障害があげられます。循環障害による潰瘍は、局所に流入する動脈血量の減少によるものであり、これを虚血性潰瘍といいます。長期臥床患者や褥瘡や動脈硬化による下肢末端の壊死がその例です。


クワシオルコル

kwashiorkor
同義語:低タンパク栄養失調症protein malnutrition, protein deficiency syndrome

 小児の高度の低栄養状態であるPEM(protein energy malnutrition)は発展途上国では深刻な問題です。このうち一般にエネルギー不足が主要因となる場合をmarasmus、そして蛋白質不足が主体となる場合をkwashiorkorといいます。

 離乳期以後,3歳くらいまでにみられる疾患

 語源は西部アフリカ,ガーナの俗語で、意味はkwashi=first, orkor=secondで母親が第2子を妊娠したときの第1子の状態をさすといわれています。この時期,第1子は母乳哺育を止め、トウモロコシ主体の食事で養育され低タンパク栄養に陥ります。

 必須アミノ酸不足のため発育不良,低タンパク血症,貧血,毛髪の変色,ペラグラ様皮疹が出現し,ほかに脂肪肝,下痢,浮腫がみられ,無気力,易刺激性,四肢の振戦などの精神神経症状も現れます。

 細胞免疫,抗体産生能が低下し,易感染性で一度感染すると重篤になりやすく、良質の蛋白を含む低脂肪食を徐々に増量して与えます。

※ Kwashiorkor型栄養欠乏

 エネルギーは保たれているが、蛋白摂取の不足や粗悪な蛋白摂取のため蛋白欠乏に陥った状態

 臨床現場では、蛋白の消費が増加します。敗血症、手術などのストレスによる代謝亢進患者で見られます。

 骨格筋からアミノ酸放出と脂肪組織から遊離脂肪酸放出が抑制され、血清蛋白の低下から浮腫が出現します。脂肪酸が低下し、リポ蛋白の合成も障害されるため、脂肪肝を合併します。

 脂肪組織や骨格筋は比較的保たれ、また浮腫の存在もあって体重減少は軽微なので、身体計測上は異常が少ないように見えます。しかし、内臓蛋白の著減、免疫能の低下を伴い、患者の予後はむしろMarasmus型よりも悪いという特徴があります。

※Marasmus型栄養欠乏(慢性)
 マラスムス型

 蛋白質とエネルギーがともに欠乏。飢餓に基づく栄養失調
 長期間の蛋白質とエネルギーの欠乏により、骨格筋と貯蔵脂肪が崩壊して体重減少は著明です。
 皮下脂肪の損失、筋肉の消耗

 出典:薬局 2005.1 等

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

リフィーディング症候群

 長期間絶食状態が続き低栄養状態に陥った患者に対し、急速に栄養補給を行った際に起こることがある代謝性合併症です。
 急激な低リン血症が最も重要な異常所見です。

 絶食状態では糖質摂取量減少のためインスリン分泌が減少し、糖質の代わりに遊離脂肪酸とケトン体がエネルギー源として使われています。この状態では細胞内電解質、とくにリンが枯渇しています。ところが、エネルギー源が脂質から糖質に急速に切り替わるとインスリン分泌が増加し、ブドウ糖だけでなくリン、カリウム、マグネシウムの細胞内取り込みが促進されます。

 とくにリンの細胞内への移動が重要で、重篤な低リン血症によって心不全、横紋筋融解、呼吸不全、不整脈など多臓器不全を来たします。また高血糖、溢水などが起こり、生命に関わる状態に陥ります。

 症状が非特異的のため見逃れやすいのですが、絶食、低栄養患者への栄養補給開始時にはこの症候群を念頭において血清リン濃度をチェックする慎重さが必要です。

         出典:薬局 2007.5


るいそう
羸痩
Weight loss

 脂肪組織や筋の減少により、標準体重の−10%以下に体重が減少した時のこと。

 ただし、体質的に本来やせている場合はこれに当てはまりません。

 意識的な食事制限時以外で急激に体重が減少したときは、表示体重からの減少が著明でなくても羸痩(るいそう)と呼ぶことがあります。


脂肪肝

 脂肪肝肝細胞内に脂質が異常に増加した状態のことですが、同じ脂肪が増加した状態でも、そのニュアンスにより、脂肪浸潤、脂肪変態、脂肪変性脂肪症、肝臓症などとも呼ばれます。

 肝機能検査では、軽〜中等度のトランスアミナーゼの上昇、アルコール性ではGOT>GPT、過栄養型ではGOT<GPTの傾向、血清コリンエステラーゼ値の上昇は、低栄養型と中毒性を除いて認められ、特に栄養性では著明。
γ-GPT値はアルコール性で上昇する例が多い。

Reye症候群〜肥満と運動不足による脂肪肝


アンビバレンス
ambivalence

一定の人物、対象、状況に対しまったく逆の相反する感情、態度、考えを抱くこと。
例えば、同一人物を愛し、同時に憎むこと。
分裂症の患者に見られる。

 精神分裂病の予後は、1.人格荒廃、2、重い人格欠陥、3、軽度の人格欠陥、4、完全に回復するものなどそれぞれ1/4ずつに分かれます。

治療は、抗精神病薬による身体療法、精神療法、生活し同療法などが組み合わされます。


もやもや病

moya‐moya disease
同義語:ウイリス〔大脳〕動脈輪閉塞症occlusive disease in circle of Willis, Willis circle occlusion syndrome,

脳底部異常血管網症abnormal vascularnet at the brain base, vascularnet of cerebral basal area


 脳血管写上内頚動脈終末部(脳底部)を中心に正常ではみられないもやもやした異常血管網を認め、内頸動脈の終末部や前・中大脳動脈起始部に閉塞や狭窄または閉塞像がみられる疾患、日本人に多い。

 原因は不明で根本的治療法もありません。側副血行を増大させるために浅側頭動脈・中大動脈吻合術やencephalomyosynangiosisが試みられています。

 単一疾患として1982年厚生省特定疾患に指定されました。

 調査研究会の本症診断の手引が設定されていますが、これらをふまえ本症を要約すると若年女性に多く10歳以下、次いで30〜40歳に多い。

 家族内発生(同胞発生)、先天性素因、多因子遺伝が考えられ、成人例では、脳出血・クモ膜下出血での発症、小児例では片麻痺、知覚障害、不随意運動、頭痛、痙攣発作での発症が多い。(脳虚血症状で発症することが多い。)


 診断上脳血管撮影は必須で、前・中大脳動脈,後大脳の造影不良、脳底部の異常血管網(モヤモヤ像)を認めます。これらの所見は両側性にみられます。

 本症の病理所見では、内頚動脈終末部肥厚と内腔狭窄、両側閉塞があります。前・中大脳動脈、後交通動脈などウイリス動脈輪を構成する動脈にも同様の所見があり、ウイリス動脈輪閉塞症の呼称もあります。またウイリス動脈輪を中心に多数の小血管(穿通枝,吻合枝)があります。さらに軟膜内に小血管の網状集合がみられます。

 本症の診断には脳血管写が必須で、内頚動脈終末部の狭窄、閉塞と脳底部異常血管網の存在が決め手となります。したがって成人例では頭蓋内出血症状、小児例では反復性脳乏血症状(痙攣,片麻痺,知覚障害,不随意運動など)発作をみます。脳血管写実施によって診断が確定します。本症は原因不明で、特別の基礎疾患はみられません。経過は反復発作をみるもの、一過性のもののほか多くは固定神経症状を呈するものがあり、長期20〜30年にわたるものがあります。


ライソゾーム病

 厚生労働省の特定疾患対策懇談会は2001年3月22日、13年度の追加疾患としてライソゾーム病を推薦ししまた。

 ライソゾーム病は細胞内にある小さな器官ライソゾーム内の酵素の先天代謝異常により、本来代謝されるべき物質が分解できず、神経系、臓器の腫大などの症状を発生する病気で、根本的な治療法はなく骨髄移植や遺伝子治療など研究レベルに留まっています。

 欠損する酵素によって種類や症状が異なり、現在30種類が知られています。脳などの神経系が障害されやすく、進行性の知能低下、発育遅延、痙攣、視力障害、聴力障害、言語障害、運動失調症、不随意運動、歩行障害などの症状がみられる他。病気によっては筋肉の萎縮や末梢神経障害を示します。

 現在、国内に300人前後の患者がいます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ライソゾーム病とはライソゾーム内の加水分解酵素の先天的欠損により代謝途中の中間代謝物がライソゾーム内に蓄積し、種々の症状を呈する症候群です。

現在、この疾患には約30種以上の疾患が含まれ、同一疾患でも病型により症状は異なります。多くは乳幼児期発症のものが典型的ですが、成人発症例では変性疾患との区別が問題となってきます。

具体的なライソゾーム病としては、ゴーシュ病やファブリー病(下記)が挙げられます。

   出典:日本病院薬剤師会雑誌 2005.8等


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ライソゾーム

 消化(lyso-)に関与している顆粒(-some)という意味でリン脂質二重層を基本構造とする1枚膜で包まれ、その中に広い領域に渡る天然の基質を無条件に加水分解する一群の加水分解酵素を含み、細胞内外の生体高分子を低分子にまで分解する細胞内小器官です。

    出典:クラヤ三星堂薬報 2001.4.6 No.35 等


ゴーシェ病 関連項目:ライソゾーム病

 血球の膜を構成しているスフィンゴ糖脂質は、網内系で段階的に分解されます。

 ゴーシェ病はその分解酵素の一つであるグルコセレブロシダーゼが先天的に欠損している疾患で、そのために基質であるグルコセレブロシドが、患者のマクロファージの中に蓄積して特有の形態を示すゴーシェ細胞となり、これが肝臓や脾臓にたまり、肝脾の腫大を生じます。

 さらに、脾機能の亢進をきたして貧血や血小板の減少を招くため、約40%の症例は脾摘出を余儀なくされ、しかもその半数以上は幼児期に脾摘出を受けるので、感染症を合併した場合は重篤になります。また、ゴーシェ細胞は骨髄に浸潤してその機能を抑制し、貧血や血小板減少を冗長するとともに、骨粗鬆症をきたして骨痛を生じ、しばしば自然骨折を合併して介護が必要となります。

 以上がT型、ほかにそれらの症状とともに神経症状を伴うU型。及びV型がありますが、V型ゴーシェ病よりもU型の方が神経症状が急速に悪化して、予後不良です。

 アルグルセラーゼ(セレデース注:ジェンザイム)は、ゴーシェ病で欠損しているグルコセレブロシダーゼの製剤であり、しかもマクロファージに効果的にターゲットできるように酵素の糖鎖が修飾されていますので、酵素がマクロファージのリソゾーム中に効果的に取り込まれて、蓄積されているグルコセレブロシドが分解され、効果が示されます。しかし本酵素は脳血液関門を通過し難く、U型、V型の神経症状に対してはほとんど効果がありません。

発現する症状:貧血、血小板減少症、肝脾腫、骨痛

治療薬:イミグルセラーゼ(商品名:セレザイム)  


ファブリー病  関連項目:ライソゾーム病

 細胞内リソゾーム酵素の1つであるαガラクトシターゼの活性が欠損もしくは低下して生じる糖脂質代謝異常症です。

 古典的ファブリー病は全身症状(被角血管腫、四肢末端痛、低汗症、角膜混濁など)を伴い予後は極めて不良です。男性に多くかつ遺伝すると言われています。

 心ファブリー病は、心肥大のみを有する病型です。治療法は対症療法しかなく、強い手足の痛みにテグレトールが用いられます。

 発現する症状は、神経、皮膚、脳血管、眼、消化管、心、腎、精神症状と多岐にわたっています。

治療としては、世界的に遺伝し組替え技術による酵素補充療法が広く使用されています。

治療薬:アガルシダーゼベータ(商品名:ファブラザイム)

          出典:大阪府薬雑誌 2002.1 等


木村病

出典:治療 2002.2

 末梢血に好酸球が増加し、皮下軟部組織にリンパ濾胞構造と好酸球、リンパ球、肥満細胞の浸潤を伴う肉芽腫性病変を形成する良性疾患。

 血清IgEが高値を呈する反応性疾患であると考えられていますが、病院は不明です。
男性に多く、少年期から中年期の疾患で、手拳大以下に皮下腫瘤を頭頸部に認めることが多いが、背部や大腿部に生じることもあります。


脱髄疾患

有髄神経線維に起こる疾患で、軸索が保たれたまま髄鞘の崩壊が起こる状態を示します。
代表的な疾患として、多発性硬化症、急性播種性脳脊髄炎、視神経脳脊髄炎等があります。

初期症状として、手足や全身のしびれなど異常感覚があります。また、一過性の視力低下が見られないこともあります。

 

このページは無駄口薬理学のおまけのページです。(個人的な学習ノートです。)