HS病院薬剤部発行  薬剤ニ ュ ー ス   

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1995年

2月1日号

NO.169

   医薬品と製造物責任(PL)法

        ・・・医師・薬剤師の行為と責任・・・   関連項目 PL法(2)、 血液製剤のPL法

 平成7年7月1日以降流通におかれる製造物について、PL法が適応となります。

 厚生省の中央薬事審議会では、「消費者の利益擁護や国際的な調和を図る観点から我が国においても医薬品等について製造物責任制度を導入することが望ましい」との見解を明らかにしており、医薬品についてもこの法律が適応されます。

{参考文献}日本薬剤師会雑誌1995 Vol.47

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 中央薬事審議会は、「製造者の責任を法律上明確にすることに伴い、当該製品を取り扱う医師、歯科医師、薬剤師等の役割の重要性について関心が高まることになるので、製造者による被害防止対策の充実と相まって、医師、歯科医師薬剤師等の自覚を促し、医薬品等のより一層の適正使用が推進されることも期待されよう。」としPL法に賛成である意向を示しています。

 また、医薬品の副作用と欠陥概念という項では、「医薬品の特性に鑑みれば、医薬品の副作用があることをもって直ちに欠陥であるということは妥当でない。副作用による有害性の程度が、その医薬品の有効性を考慮してもなお許容されない場合は、当該医薬品についての欠陥があると解すべきである。」としています。

 次に既知の副作用に触れて、「流通に置かれた時点で既に知られている医薬品の副作用については、医師、歯科医師、薬剤師等に対する指示・警告が適切になされていれば欠陥に該当しないものと解される。」

 更に、医師、薬剤師の関係で、「医薬品の使用形態と欠陥概念」という箇所で、「被害が発生した場合には、医薬品の欠陥によるものか、医師、歯科医師、薬剤師等の責任なのか、あるいは他の原因によるものか慎重な判断が必要である。」と述べています。

 なお、国会審議で血液製剤、あるいは生ワクチンは、PL法から除外すべきだと大変な議論になりまましたが、結果的にはこれらも製造物に含まれるとのことです。

 そしてまた、製造物責任制度以外の安全性確保対策等中、「行政の役割」の部分で「医薬品等の高度化・複雑化、高齢者に伴う多剤併用・長期与薬の増加等により、医薬品等の適正使用の重要性がますます高まっている。このため、医薬品情報デ−タベ−スの構築等による情報の収集。評価・提供体制の充実、医療機関における医薬品相談(くすりの110番)の整備等の対策に努める必要がある。」とあります。

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《製造物責任法》 第1条(目的)

 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係わる被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする 

  PL:Product Liabilityの略     関連項目 PL法(2)、 血液製剤のPL法


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個人情報保護法

   *****例外を中心とした病院での対応******

2005年3月1日号 No.401

 コンピュータやネットワークを利用して、大量の個人情報が処理されている現在、いったん誤った取り扱いがなされると個人に取り返しのつかない被害を及ぼすおそれがあることから、「個人情報の保護に関する法律」が本年4月1日より完全施行されます。

 個人情報とは「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日、その他の記述等により特定の個人が識別できるもの」とされています。(法令第2条第1項)

 医療機関で個人情報となる事例としてガイドラインでは、次のものを指しています。

1.診療録、処方せん、手術記録、助産録   看護記録、検査所見記録、X線写真、紹介状、入院期間中の診療経過の要約 等

2.個人データベース等とは「特定の個人情報をコンピュータを用いて検索することができるように体系的に構成した個人情報を含む情報の集合体又はコンピュータを用いていない場合であっても紙面で処理した個人情報を一定の規則(例えば五十音順、生年月日順など)に従って整理・分類し特定の個人情報を容易に検索できるよう、目次、索引、符号等を付し、他人によっても容易に検索可能な状態においているものをいう」とされています。

3.個人データとは、「個人データベース等を構成する個人情報をいう」とされており、保有個人データとは「個人データのうち、個人情報取扱業者が、開示、内容の訂正、追加、又は削除、利用の停止、消去及び第三者への情報提供の停止を行うことの出来る権限を有するもの」とされています。

(例外1)

*患者の疾病の回復等の医療・調剤の提供のために必要であり、かつ個人情報の利用目的として院内掲示等により明示している場合は、原則として黙示による同意が得られているものと考えられています。

・患者の医療・調剤の為に他の医療機関等と連携を図ること。他の医療機関等からの照会に応じること。家族等へ病状の説明を行うこと。

*(例外2)医療事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで特定された利用目的以外で個人情報を取り扱うことが禁止されていますが、法令上医療機関等行うべき義務として銘記されているものは、本人の同意を得る必要がありません。

・特定生物由来製品の製造承認取得者からの要請に基づき病院等の管理者が行う、当該製品の記録の提供

・医師・薬剤師等の医療関係者による、医薬品製造業者等が行う医薬品等適正使用のために必要な情報収集への協力
・医師・薬剤師等の医療関係者が行う厚生労働大臣への医薬品等の副作用・感染症等報告
・処方せんに中に疑わしい点があった場合における、薬剤師による医師への疑義照会
・調剤時における、患者又は現に看護に当たっているものに対する薬剤師による情報提供
・保険利用期間及び保険薬局が療養の給付等に関して費用を請求しようとする場合における審査支払期間への診療報酬請求書・明細書等の提出
・患者が不正行為により療養の給付を受けた場合等における、保険薬局が行う健康保険組合等への通知

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 個人情報の保護に関する考え方は、社会情勢や国民の意識の変化に対応して変化していくことや個人情報保護法に対する国会の付帯決議で、3年を目途に施行状況について検討を加え、必要な措置を講ずるとされています。

 また、医療における個人情報の保護を推進し、事業者における円滑な対応が図られるよう、本ガイドラインを補完するQ&Aが公表されることになっています。


医薬トピックス(1)飲酒と血圧はこちらです。


<用語辞典>

デザイナーズフーズ
Designers Foods

 デザイナーズフーズとは、「植物性食品に存在する癌抑制作用のある成分を主体にして、癌の予防効果を高めるようにデザイン(設計)した食品」のこと。

 発癌機構は未だ完全に解明されていませんが、近年の疫学調査から、癌発症の1/3以上は食生活が原因であることが判明しています。また一方で、日常食べている野菜や果物に癌予防効果が有ることも明らかになりました。

 アメリカ国立癌研究所は、1990年から食品の癌予防効果を科学的に解明するプロジェクトを開始しました。デザイナーズフーズは、漢方の医食同源や日本が先鞭を付けた機能性食品の考え方にも相通じます。10年間の研究成果として、約40種類の食品に抗酸化作用やDNAを損傷する活性酸素を抑制する効果が確認されました。

 デザイナーズフーズ・プログラムでは、効果の高いと言われる食品を頂点としたピラミッド方式で表示されています。

   出典:日本病院薬剤師会雑誌 2003.5

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デザイナードラッグ
designer drug

 
デザイナードラッグとは、規制薬物である麻薬や覚せい剤の化学構造の一部を、他の官能基に置き換えたもので、乱用目的で流通している化学物質を指します。

 一般的作用は、多幸感、陶酔感ないし催幻覚作用です。

 すでに販売された化合物を規制すると、別の官能基を持つ類縁化合物が登場するという悪循環が生じます。

 こうした薬物乱用の悪循環に対する防止策として、指定薬物制度による規制が導入されました。

   出典:ファルマシア 2010.9

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