HS病院薬剤部発行     

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薬剤ニュース

1995年

6月15日号

NO.178

PL法が来月より実施されます。            

 〜製造物責任法への対応を考える〜     関連記事 PL法(1) もご覧下さい。

 本年7月1日より、いよいよ欠陥を責任要件とする製造物責任法(以下PL法)が施行されます。これにより、製造物(医薬品を含む)の欠陥によって被害があったことの立証に成功すれば、損害賠償の請求をできるようになりました。医薬品の単なる販売や調剤行為はPL法の対象とはなりませんが、院内製剤や治験薬はPL法の対象となります。

医師や医療機関において行われる医療は、サ−ビス業とみなされ、PL法の対象にはなりません。ただし、適正使用について過失責任を負います。

{参考文献}月刊薬事 5 1995

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◎院内製剤について

 PL法の対象とする製造物とは法2条1項によれば「製造または加工された動産」とされており、また3条では「その引き渡したものの欠陥により」

 としています。したがって院内製剤もPL法の対象 となるものと考えざるを得ません。今後、院内製剤にあっては、下記の項目を検討するのが望ましいと されています。

1.安易に製造しないこと。
2.院内臨床委員会を通し、科学的妥当性、倫理的妥当性を検討すること。
3.患者や家族のインフォ−ムドコンセントを得ておくこと。
4.交叉汚染等の事故を防ぐ意味でGDP(調剤と品質に関する基準)を整備すること。

 また、少なくとも以下の3要件を満たすことが求められています。

a.人為的な誤りを最小限にすること。
b.製剤に対する汚染および品質変化を防止すること。
c.高度な品質を保障するシステムを設計すること。

◎副作用等の指示警告義務について

 有用性のある医薬品であっても、必要かつ適切な指示警告がなければ、欠陥品となります。ただし、副作用の細部にまで説明すると、患者さんに不安感を与えるだけなので、その患者ごとの配慮が必要となります。

 医薬品は適切に用いても副作用は発現します。しかし人為的に副作用が出やすいような状況が生ずれば予測を上回る障害が発し得ます。適応症の順守と用法・用量の順守が最も大切です。

 法律的な見解としては、過去の裁判事例が参考にされると思われます。注目すべき事例としましては昭和63年の東京高裁クロロキン事件判決があり、その中で、医師には「製薬会社側からの情報の有無に捉われることなく、常にその時々の医療水準に照らして自ら医薬品の有する科学的性質のみならず、薬効の程度、範囲さらに副作用の有無、種類、内容など十分に認識把握するなどの調査確認しつつ医療

 行為に携わる義務がある。」とされています。これにより医師の過失責任が問われる可能性があることが示唆されています。

   関連記事 PL法(1) もご覧下さい。


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海外への医薬品の持ち出しについて

2004年10月15日号 No.393

 アメリカ本土、ハワイなどで薬剤の持ち込みに関し、日本人のトラブルが多発しています。

 睡眠薬は、米国では麻薬取締法に含まれ、不法所持で入国の際に逮捕留置された医師の例があります。

 日本では、一般的に処方されている医薬品であっても、サイレース錠(フルニトラゼパム)は米国では持ち込み禁止薬剤に指定されています。

 各旅行会社の団体ツアーで、自分の持参している薬剤の適切な英文証明書を持参していないため、入国時に別室に連れて行かれ数時間尋問を受けているケースが多発しています。

 また、抗うつ剤を、多量に日本の主治医から家族が受け取り、郵便で米国にいる本人に送り逮捕留置され、現在裁判中の日本人駐在員もいます。

 これは、特に法律が改正強化されたためではなく、9.11のテロ事件以降、爆発物や炭疽菌のチェックのため空港や郵便物の監視が強化されており、違法持ち込み発見の頻度が高くなっているためです。

<米国に薬剤を持ち込む際のルール>

1.薬剤や類似物は、適切な表示が必要。
2.滞在に必要な量と予備だけを持参する。
3.使用法などの指示を明記した主治医からの英文証明書が必要
4.必ず税関で申告する。
5.連絡のとれる主治医の電話番号も明記する。

 自分の疾患治療のために特に抗精神薬等の携行を必要とする場合は、予め渡航先の在日大使館(インターネットでリストが公開されています。下記参照)などで確認するのが確実と思われます。

 また入国審査で無用なトラブルを避けるためにも薬剤の商品名、一般名や使用方法等を明記した主治医の署名入り英文の証明書を持参し入国管理者に提示するのが無難です。

 かかりつけの医師の英文証明書がない場合は、旅行医学認定医(インターネットでリストが公開されています。下記参照)や、海外に持参する医療文書を専門とする会社(下記参照)に依頼することができます。その場合の費用は6〜8千円が一般的です。

・在日外国公館リスト
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/link/emblist/index.html

・在日外国公館ホームページ
 http://www.mofa.go.jp//mofaj/link/embassy/index.html

・旅行医学認定医
 www.jstm.gr.jp

・医療文書を専門とする会社
 www.obm-med.co.jp

       {参考文献}大阪府薬雑誌 2004.10


医学・薬学用語解説(O) OAB:OverActiveBladderはこちらです。

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