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1999年1月15日号 260

アンケートの集計結果

薬剤ニュースをこれからもよろしく

     11月末から12月始めにかけて、院内でこの薬剤ニュースについてのアンケートを実施しました。皆様の御協力どうもありがとうございました。

 回収枚数は73枚(120枚配布:回収率60.8%医師:44枚、看護部:29枚) 

 様々の貴重なご意見をいただきましたので、これを反映さすべく努力を続けていきたいと思いますので、今後ともご愛読くださるようにお願いいたします。

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薬剤ニュースを
    1:いつも読んでいる〜45枚
    2:時々読む〜25枚 
    3:読まない〜2枚
構成について
    1:このままで良い    〜60枚
    2:内容を変えたほうが良い〜10枚
左ページ
    1:参考になる       〜54枚
    2:たまに参考になる時がある〜16枚
    3:参考にならない     〜 0枚
右ページ(シリーズもの) 
    1:参考になる       〜40枚
    2:たまに参考になる時がある〜30枚
    3:参考にならない     〜 0枚
添付文書改定についてどの項目を重視されておられますか。
   1:重大な副作用    65枚
   2:相互作用      35枚
   3:適応症(追加・削除等) 17枚

【主な意見】

<レイアウトについて>

・もっと分かりやすく。
・字数が多すぎると思われます。もっと簡潔に書いてもらえれば読みやすいと思います。
・紙面を読みやすく。簡単な言いまわしで分かりやすいものを
・字も大きく読みやすい。内容も興味深く思います。
・伝達事項についてはもっと見やすいレイアウトを考えてほしい、大切な連絡が見にくいときがあります。
・紙面の構成も良く、非常にまとまっており良い内容だと思う。

<内容について>

・教養となり、見えないところで自分の知恵となっていくと思うような内容と考えます。
・連載もの〜参考になる、ならないを問わず楽しみにしています。まずここから読みます。
・連載もので、(MRSAを)ドラクエにたとえて書いてもらった時は、わかりやすく楽しく学べてよかった。
・「この病院」の発行紙面であるという特徴がない。例えば、薬剤部の普段の活動、問題点、他の業種(Dr,ナース)との関係、意見交換等の臨床的な兼ね合いがあっても良いのではないか。そういう場をも作ってみては?

<載せてほしい記事>

・当院で多く使用されている薬剤について、その都度、薬剤(特に内服薬)について説明文を添付してほしい。
・漢方薬の特集〜最近、効果のあった症例や薬効解析のレポート
・患者さんへの服薬指導等の話題こんなことを間違えるなど
・マーゲンチューブより投薬できる降圧剤などのタイトルで情報があればうれしい。
・新薬や市販薬の紹介、病院薬と市販薬の違い


自己免疫疾患とは何か?

  口呼吸は万病の元 (6)

このシリーズは東京大学医学部口腔外科 講師 西原克成先生の文章を参考に再構成したものです。  

 免疫系とは、生体防御システムなのですが、そう言うだけでも、まだ人の価値観が入りすぎています。我々はこのシステムを地球上で最も適合した適者として設計されたスーパーシステムと思いこんでいる節があります。

 もし免疫が、スーパーシステムであったとしたら、白血球が、自己非自己よりも大事な毒物を見分けてこれを吸収しないように働くはずですが、現実は毒薬などが侵入して来ても吸収してしまい、体細胞のすべてが死んでしまいます。

 白血球は、ある物質や細菌に遭うと自動的に遺伝子が発現して、そのものや菌に対して消化をはじめる場合と、ある物質や菌をそのまま取り込んで共存させる場合があり、これらすべての対応が無目的なのです。

 生き物は主要組織適合抗原さえ持っていなければ、われわれの体の中で共存できます。今の自己非自己の免疫学では、前にも述べましたように人間に寄生するウイルス(内在性ウイルス)やマラリア原虫や回虫さえも「自己」と同様に扱うと言う申し合わせがあります。

 自己免疫疾患は、弱毒ないし無害の常在菌の慢性の感染症により細菌・ウイルスを抱えた白血球が、次に示す各種臓器や器官・組織にその慢性感染を拡散させた時に、以下の矢印(→)で示す疾患を発症する状態のことなのです。

甲状腺→橋本病
唾液腺・涙腺→シェーグレン
胸腺→重症筋無力症
関節頭の白血球造血巣→リウマチ、関節炎
白血球造血巣→白血病
リンパ造血器→悪性リンパ腫・サルコイドーシス
膵臓→糖尿病
大腸→潰瘍性大腸炎
皮膚→皮疹・皮炎
皮下組織→膠原病
脳神経系→偏頭痛・うつ病
気道・気管支→喘息・間質性肺炎
心臓・脈管系→心疾患・動・静脈炎・レーノー
手足の掌蹠→掌蹠膿疱症
腎・副腎→ネフローゼ・腎炎


医薬品等安全性情報151号(概要)


1.ライ症候群とサリチル酸系製剤の使用について

 アスピリン等のサリチル酸系薬剤を含有する医療用医薬品については、使用上の注意のライ症候群の記述を一部改めるとともに、同薬剤を含有する一般用かぜ薬、解熱鎮痛薬については、小児に対する用法を削除するよう承認基準を改定することとした。(現在、一般用解熱鎮痛薬のアスピリン単味剤には小児の用法は認められていない。)
 なお、サリチルアミド又はエテンザミドを含有する医療用医薬品については、その使用上の注意にアスピリンを含有する医療用医薬品と同様の記載を行うこととし、同薬剤を含有する一般用のかぜ薬及び解熱鎮痛薬については、現行のアスピリン含有製剤と同様の使用上の注意の記載を行うこととした。

2.エリルによる消化管出血、肺出血、鼻出血、皮下出血について

 添付文書の「警告」、「使用上の注意」に頭蓋内出血を記載し注意を喚起していたが、承認以降、現在迄に頭蓋内出血以外の出血が16例18件(消化管出血5件、腹腔内出血1件、肺出血1件、気管内出血2件、鼻出血3件、皮下出血3件、口腔内出血1件、咽頭・喉頭出血1件、歯肉出血1件)が報告された。

3.チモプトール点眼剤0.25%、0.5%の長期投与による眼類天疱瘡について

 今般、この薬剤を長期使用した後に眼類天疱瘡(角膜の混濁を伴う粘膜の進行性瘢痕性疾患)の症例が8例報告された。

結膜充血、角膜上皮障害、乾性角結膜炎、結膜萎縮、睫毛内反、眼瞼眼球癒着等があらわれることがある。(頻度不明)

薬局の窓(1)

この新聞から薬局の姿が見えてこないとのご指摘がありました。そこでこのコーナーで薬剤部の紹介をしてみたいと思います。

第1回目は、薬剤部の構成

薬剤部では、調剤室、注射室製剤室(湿性、乾性)があります。

湿性製剤とは、消毒剤、吸入液など水を使うもの。乾性製剤とは、散薬の予製のことです。


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代替医療(CAM)の現状と問題点

2005年5月1日号 No.405

CAM;:complementary and alternative medicin;(補完・代替医学)

類似語
alternative medicine
integrative medicine(総合医学)
NCCAM:The national Center for Complementary and Alternative Medicine

「通常の医学校では講義されていない医学分野で、通常の病院では実践していない医学・医療のこと」

 代替医療の範囲は広く、世界の伝統医学・民間療法はもちろん、保険適用外の新治療法も含んでいます。
具体的には、ハーブ療法、ビタミン・微量元素等のサプリメント、栄養補助食品(抗酸化食品群、免疫賦活食品、各種予防・補助食品など)、アロマセラピー、中国医学(中薬療法)、鍼灸、指圧、気功、インド医学、食事療法、免疫療法、精神・心理療法、温泉療法、酸素療法等が代替医療に包含されています。

 これらの中には、非科学的であり西洋医学を実践する医師や薬剤師をはじめとする医療従事者にとっては受け入れがたいものもありますが、作用機構や有用性が科学的に証明されているものが急増しているのも事実です。

 アメリカでは、近年急速に脚光をあびている医学分野です。

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 日本での最近の調査でも、癌の補完代替医療としてのCAM利用率は45%でした。

 わが国での癌患者が利用しているCAMの大分は健康食品で
アガリクスプロポリスAHCCなどです。

 これらの健康食品の癌に対する効果を検証するための臨床試験は未だに不十分ですが、現実には動物を用いた基礎的研究や体験本を通して癌に対する効果が強調され多くの癌患者で使用されています。

 これまでに健康食品が癌に対していかなる効果であれ、明らかな効果をもたらしたという明快な化学的根拠はほとんどありません。

 米国ではCAMの有効性を検証するための臨床試験が進行中で日本でもそうした取り組みが必要と思われます。

癌でのCAMの問題点

1)診断が正確になされていない、あるいは記載されていない。
2)術後補助療法の症例でありながら病巣が残存しているか否か、明らかにされていない。3)主観的な評価項目(気分が良くなった。元気を取り戻したなど)を使用している。
4)例外的な長期生存を取り上げている。
5)直前あるいは同時期に通常医療が施行されている。
6)製品の製造過程や成分の均質性などが不明確
7)後ろ向きの報告のため必要とされるデータが欠損している。

 健康食品の一部には健康被害を生じているものも報告されていますが、多くのものでは健康に害を及ぼすことはないかあるいはまれとされています。

 薬物との相互作用では、サリチル化ハーブ類などでは理論的にメソトレキセート(MTX)や類似薬の尿への排泄を阻害する可能性があります。

 前立腺癌に効果があるとされるハーブのセントジョーンズ・ワート(西洋オトギリソウ)は抗癌剤のイリノテカンの活性体であるSN38への変換を低下(42%)させ、抗腫用効果を減弱させる可能性が示唆されています。

 CAMを利用されている患者さんは、多くの期待を抱きながら使用されている場合が多く、CAMを頭ごなしに否定し、毛嫌いし、患者さんや家族の気持ちを傷つけることのないように慎重に議論をすめる配慮も必要とされます。

     {参考文献} 出典:JJSHP 2000.7 治療 2005.4


2005.4.15号 No.405

   カレーの医学的効果(2)カレーでアルツハイマー痴呆を予防 はこちらです。


再生医学

出典:JJSHP 2000.8

 再生医学とは生体を構成する組織や細胞に本来備わっている再生能力・治癒能力を積極的に利用して疾病により受けた形態的、機能的損傷を代償させることを基本とする医学です。

 修復再生機構は生体に備わった巧妙な恒常性維持機構であり、肝の再生や片腎摘出後の残存腎にみられる代償性の成長は再生現象のよい例です。再生医学は基礎医学のみでなく、薬学、理・工学をはじめとする周辺学問領域の研究が基本的に重要で、それに基づいて初めて治療医学として成り立つといわれています。

 現在、実態が不明であった肝再生因子の本体として肝細胞増殖因子(HGF:Hepatocyte Growth Factor
)が発見され、組織再生を駆動する実行分子として注目されています。HGFは肝、腎、肺をはじめさまざまな臓器に共通する組織修復因子で、急性疾患のみならず根本的療法の無い進行性線維化疾患に対しても著名な治療効果を示すことが明らかになっています。

その他、傷害に対して細胞保護効果により病態発症を予防することも知られており、糖尿病、神経変性疾患、虚血性心疾患などへの予防的治療も可能となります。

HGFを用いた再生療法は多くの難治性疾患の治療法として大いに期待されています。


トランスレーショナルリサーチ

探索医療

 通常の企業が進める治験とは異なり、臨床研究者の主導によって進められる新しい医療技術の臨床開発研究。
 
 基礎医学研究の成果を臨床応用まで行うには、開発、検証、医療という3本柱があって初めて可能

     出典:薬事 2002年3月臨時増刊号


DMF
ドラッグマスターファイル


 1つ以上の医薬品の製造、化工、包装、保管に用いられる施設や工程や物についての詳細な秘密情報を提供するために用いられるFDAへの提出物

 現在検討中の薬事法の改正に関連してこのDMF:ドラッグマスターファイルの導入が議論されています。

DMFには5つのタイプがあります。

タイプ1:製造施設、設備、運営手順及び人
タイプ2:原薬、医薬品中間体、それらの製造に用いられる材料あるいは製品
タイプ3:包装材料
タイプ4:添加物、着色料、着香料、矯味料あるいはそれらの製造に用いられる材料
タイプ5:FDAが受理した参考情報

             出典:月刊薬事 2002.5


ポストゲノム研究

 世界中の研究者が競争と強力により、蛋白質を作る遺伝子を解読しました。その結果少ない遺伝子をうまく操作して、10万種類もの蛋白質が作られていることが分かりました。

 人間は、進化の過程で自己防衛のために取り込んだとみられる細菌と共通する遺伝子を約200種類を持っています。地球上の全ての人種は99.9%まで共通した遺伝情報を持っていて、残りの0.1%の遺伝子が髪の色や肌の色を決めていることなどが分かってきました。

 今後は、そのデータを生命科学に役立てていくことになります。この分野の研究がポストゲノム研究です。

 このポストゲノム研究が進めば、様々な病気に対する効果的な治療法、医薬品が開発され、癌などの難病を克服できるようになるでしょう。

 老化のメカニズムや病気の発症のメカニズムが解明されれば、病気の予防や老化を遅らせることも可能になります。悪くなった臓器を本人の組織から再生する「再生医療」可能性が出てきます。


コホート研究

Cohort study:危険因子、病因や予後に関する研究で、疾病の発生要因を明らかにすることを目的として、危険因子の曝露を受けている集団と、そうでない集団を対照にして行う分析疫学。

 疾患群においてある薬剤の影響、事象の発現について抽出した2群の背景を同一化して比較する方法。

こうした集団(群)それぞれのことをコホートと呼びます。

1  (古代ローマの)歩兵隊 《legion を 10 に分けたその 1 隊で 300 人か 600 人》 [しばしば複数形で] 軍隊.
2 《米》 仲間,相棒.
3 【生】 (分類上の)亜綱[亜科]の下位階級.
4 【統計】 (同時出生集団などの)群,コーホート.
ラテン語「囲い地,一団」の意

 コホート研究は、はじめに観察する要因で集団を規定し、その集団を時間の経過とともに追跡し、結果の差を探す研究です。通常は医薬品服薬者と非服薬者との差を分析します。

 RCTを除くと、臨床実体通りにデータを収集して仮説を証明しようとする観察的研究の中では最も説得力のある手法で、症例集積検討やケースコントロール研究で得られた結果の確認に用いられます。

 研究開始から未来に向かって結果を把握する前向きの研究と、医療記録や質問票で過去の要因を再生させる後ろ向きの研究があります。 

 <コホート研究の利点>

a,1つの要因で多くの結果を研究できる。b,要因で集団を明確に分けられる。c,発生率が算出できる。d.希な要因の時に有用である。

 <欠点>

 a.脱落があり結果の確認が難しい。b.費用が高額となる。c,長期の観察が必要。

<ケースコントロール研究との違い>

 ケースコントロール研究とは、はじめに結果(ケースとコントロール)を定めて過去に向かって後ろ向きに要因を調査します。要因の集団が同定されていない点がコホート研究と異なります。また評価指標としては、オッズ比(相対発生度)が用いられます。

 因果関係は一般に、時間経過を伴う縦断研究でないと検証できません。すなわち、RCTとコホート研究(追跡調査)とケースコントロール研究(症例対照調査)がその代表例です。

RCT 薬剤使用群と薬剤未使用群をランダムに割り付けてそれぞれの事象発生率を比較
    科学的。短所〜時間がかかる。希な事象ではよくない、倫理的にしばしば問題

・コホート 薬剤使用者と薬剤未使用者に問いかけてそれぞれに事象発生と事象未発生を調査
     介入がいらない。短所〜時間がかかる、希な事象ではよくない。

・ケースコントロール研究ではすでに発生した症例でケースとコントロールを選び、薬剤使用と薬剤未使用で問いかけ(後ろ向き)〜時間がかからない、希な事象で好ましい。短所〜バイアスが入りやすい(コントロールの選択、過去の情報の収集で)

〜〜2003年8月1日号 No.365〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

前向き研究
Prospective study

 Prospective:未来、将来

 時間的に前向きに、疾患の発現等を一定期間追跡、研究すること。

 これから新たな介入を行い、将来どのようなアウトカムが生ずるかを調査すること。

 前向き研究は、遡及的研究に比べると研究結果の信憑性が高いと考えられますが、症例数が少ない場合は、分析した集団(コホート)がどの程度一般を代表しているのか、長期に用いられる薬剤では真に期待されるアウトカム(例えば、高血圧とか脳卒中の関係や骨粗鬆症と骨折の関係など)のデータが得られることが困難な場合もあります。

遡及的研究(そきゅうてき)
retrospective study
後ろ向き研究

 研究計画を立案する時点では、すでに事象が発生してしまっている患者・集団についての介入とアウトカムとの関係を調査するもの。

 前向き研究と同様、疫学研究では、介入だけでなく集団間の調査も行われます。遡及的研究では、アウトカム側から介入との関係を調査する場合と、過去の介入がその後どのようなアウトカムをもたらしたかを調査するものとがあります。

Piggy-back study
Piggy-backとは「おんぶ」のこと

 日本では、薬剤経済学研究の為だけの臨床試験が実施されることは稀で、臨床的なアウトカム評価を主眼として、それに経済学的パラメーターを副次的観察項目として加えたデザインが一般的です。こうした研究のことをいいます。

 薬剤経済学研究でも予め研究目的を明示した上で、対象集団、介入方法と対照群、経済的なパラメーターと関連する臨床的観察項目とそれらの観察頻度が明記された計画書に基づいて実施されます。

断面研究
Cross-section study

 断面研究とは、ある調査時点での状態を把握することが主な目的です。
薬剤を使用している患者と使用していない患者との間である時点でスナップショットとして捉え、どのように違っているかなどの研究に用います。検査値と症状との関係やQOLとの関係など様々な研究が行われます。

 断面研究では、Xという事象とYという事象に統計学的に関連が認められたからといって、お互いの因果関係を表しているのでは無いことに注意が必要です。

 例えば、毎年国が実施している、高血圧と喫煙の関係では、高血圧では喫煙率が低く、正常血圧群では喫煙率が高いという結果が得られていますが、これによって「タバコは血圧を下げる」という結論を導き出してはいけません。高血圧群では、血圧が高いために禁煙したものが多く含まれているはずだからです。  

  出典:薬事 2003.4等

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Dose intensty(DI)

 用量強度

 単位期間当たりの投与量(mg/m2/week)で薬の効果を比較するための基準値

 抗癌剤などでよく用いられる用語→大量化学療法

 用量の増量(dose esclation)、治療間隔を狭める(dose density)、連続使用の3つの方法があります。

 Dose intenstyが高いほど強い効果が得られるとの理論から、化学療法は高用量で行うことを目的に組み立てられてきましたが、この理論による治療は少なくとも固形癌に対しては成功していません。

 コロニー刺激因子のサポートによるdose intenstyを高める方法も報告され、議論を呼びました。最近は、腫瘍の縮小率の追求よりもQOLの向上を目的とする治療法も提唱されています。

     {参考文献} 薬事 2003.6 等

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PROBE試験

 高血圧の臨床試験で初めて提唱された試験デザイン(Prospective,Randomized,Open,Blinded-Endopoint design)に従って実施される臨床試験。

 試験デザインは、前向き、無作為化、オープン(非盲検)でエンドポイントの評価は、被験者がいずれの群に割り付けられたかを知らない第三者が行うことで盲検化されます。

 オープン試験は評価にバイアスがかかる可能性のあることが欠点で、この欠点を解消する方法として提案されました。

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EBM研究のタイプ

その研究あるいは論文が以下のどのタイプに相当するかをチェック

1.無作為臨床試験 Randomized clinical trial (RCT):治療法に関しての研究の場合。
2.コホート研究 Cohort study:危険因子、病因や予後に関する研究の場合。
3.ケースコントロール研究 Case-control study:危険因子や病因に関する研究。
4.横断的研究 Cross-sectional study:診断法に関する研究。調査研究Surveyとも呼ばれる。
5.メタ分析(メタ解析:メタアナリシス Meta-analysis):同じテーマの複数の論文のデータを定量的に結合して解析する研究。
6.ケースシリーズ研究:特にまれな疾患などについて数例から数十例の症例の特徴をまとめて報告したもの。
7.症例報告:特にまれな疾患について病歴、経過、検査結果、特徴などを報告したもの。
8.総説 Review Article:多くの論文をまとめて解説したもの。
9.ガイドラインあるいは指針 Guideline:NIH、WHO、学会などで診断・治療などに関して共通の方針を打ち出したもの。



 Sensitivity(感度):疾患のある集団での該当する検査が陽性である割合(確率)

 Specificity(特異度):疾患がない集団で該当する検査が陰性である割合(確率)

 尤度比(ゆうどひ;Likelihood raio):“尤”は“もっともらしい”ということで、もっともらしさの度合い。つまりその疾患らしさの度合い

*オッズ

 Odds(オッズ):起こる確率(P)を起こらない確率(1-P)で割った一種の確率のあらわし方。確率100%は無限大、0%は0で50%は1です。とくに賭け事の好きな人には非常に親しみやすい言葉ですね。

 例えば、今夜巨人は4:1の割合で勝つだろうという会話を耳にすることがあります。
これは巨人が勝つ可能性が4、負ける可能性が1という意味で、オッズ4で巨人が勝つと言います。巨人が勝つ確率に変換すれば4/5=80%の確率で勝つだろうということになります。

 つまりオッズはある集団である出来事が起こる確率(ある集団の中における疾患がある人の割合)と起こらない確率(ある集団の中における疾患がない人の割合)の比です。

 オッズ=ある出来事が起こる確率/(1-ある出来事が起こる確率)

 例:巨人が勝つオッズ=巨人が勝つ確率/(1-巨人勝つ確率)=0.8/(1-0.8)=4
 そこで巨人が勝つオッズは4になります。

     出典:治療 2002.10

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ウェット研究とドライ研究

 医薬品市販後の調査・研究はウェット研究とドライ研究に二分できます。

 ウェット研究とは、いわゆる試験管などを使う実験を伴う研究で、ドライ研究とは調査・解析など机上で行われる研究です。

 

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