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ACE阻害剤がインスリン感受性を高める機序

1.アンジオテンシンUの産生低下により交感神経活性が低下
2.局所ブラジキニン濃度が増大し、インスリン類似作用を呈する
3.末梢血管拡張作用により、糖代謝の主な標的器官である骨格筋とインスリンが接触する面積が増大する。
の3つの可能性があげられているが、詳細な機序については不明


Audit

監査 報告書

薬局 1999.7

POSにより実施された薬学的ケアが適切であったかどうか監査・評価すること。


POS
Problem Oriented System:問題志向システム

1968年、アメリカの医師L.L.Weedにより提唱された問題解決技法の一つ

POSの考え方の基本は問題解決過程

1.情報収集、2.問題明確化、3.問題を解決するための計画立案、4.計画を実施

POMR:Problem Oriented Medical Record〜診療記録:問題志向型診療記録、問題点を中心としたカルテ記録法

SOAP
S:subjective、O:object、A:analysis/assesment、P:plan

情報の収集(S・O)→情報の分析、問題リスト作成→初期計画の立案→実施

    S:subjective〜患者が直接提供する副作用症状など薬に関する訴え相談事項

  O:object〜薬剤師としての客観的観察、使用薬剤、服用時間、服用量、血中濃度測定値、主要検査値、既往歴、血圧、脈拍など

  A:analysis/assesment、〜薬剤師としての評価、回答、訴えや相談事項と薬剤の関連、与薬方法の適否、患者への指導など

  P:plan〜薬物療法への情報提供、医師・看護師への問題点のフィードバック、患者指導計画、副作用予知、血中濃度測定計画など

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  C&P薬歴

〜〜〜〜結果重視の薬歴〜〜〜〜

 <C&P薬歴の構成>

*患者からの情報(DATA)

・患者からの情報はひとまとめにして簡略化する。

  S:主観的情報とO:客観的情報は特に区別しない

*薬学管理による患者ケア

C:Check:薬学管理の確認

 ・薬剤師が確認したことを記載する。例えば、特に副作用が発現していなくても、薬剤師が副作用の発現状況を確認したという結果を必ず記載する。また相互作用のある他院からの薬、OTC、健康食品がないことを確認した結果を記載する。

P:Practice:薬学管理の実践

 ・薬剤師が患者に実施したことを記載する。薬剤師が提案したこと、患者に提供した情報などを記載する。

 ・薬剤服用歴管理指導料の算定用件である服薬指導の実施内容は必ず記載する。

 

<解説>

 薬歴は記録形式よりもその内容が重要であり、「薬学管理による患者ケア」の記録として、最低限必要なものはCとP(上記)です。まずはこれを強く意識してこの項目を必ず薬歴の中に残します。

  Cは、患者に安全かつ効果的な薬物治療を提供するため、薬剤師が何を確認したかなどについて具体的に記載します。単に確認したという文言ではなく、どの薬による何の副作用について確認したかといった具体的な内容を記載することが重要です。

 Pには、薬剤師が患者に行ったことを具体的に記載します。薬剤服用歴管理指導料の算定要件となった服薬指導内容については必ず記載しておかなければなりません。

 患者からの情報(DATA)は、とりあえずSやOの概念を捨て去り、患者から得られた情報をひとまとめに箇条書きで簡略化して記載します。

 プロブレムリストは別途、見出しとして別枠に記載されているのが理想ですが、結果重視のC&P薬歴では、プロブレムを実際に記載していなくても薬剤が関わった結果が示されていることでその目的は十分に達している事になります。

<SOAP薬歴の問題点(保険薬局における)>

 ・記録(プロブレムリスト・初期計画・経過記録など)に時間がかかる。

・なかなか患者の薬学的問題点があげられない。

・「O:客観的情報」が少ない。

・収集した情報を「S:主観的情報」と「O:客観的情報」のどちらに記載するか迷う。

・薬剤師としての「A:評価」が書けない。

・服薬指導など薬剤師が実施したことは「P:計画」に書くのか?

・病院で使用している記録形式と同じようがよいかどうか?

    記録からは薬剤師が関わったことのメリットが伝わらない。 

PEACS:phamacist's evaluation and analysis check system

1)患者の自覚症状を確認
2)患者の客観的データを確認
3)患者のリスク因子の有無を確認
4)他の薬剤の影響や薬物相互作用の有無を確認
5)OTC薬・健康食品などの服用状況を確認
6)副作用の発症状況を確認
7)コンプライアンスの状況を確認
8)薬物治療に関する理解度を確認
9)生活習慣を確認


〔参考文献〕大阪府薬雑誌 2009.3  41回日薬学術大会より 


CTR
cardiothoracic ratio


心胸郭比=心臓の肥大(腫れ)の指標

 正常値は50%以下。(35〜50%)
例えば、血圧が高ければ、心臓は血液を全身に送るために、 普段より、負荷がかかるため、と心臓は、大きくなります。

 CTRは胸部X線写真で心臓の陰影を見て計算します。50%以上は心臓が大きいと判定されます。(心臓の肥大は、病気が原因でない場合もありますので、心電図や超音波など詳しい検査が行われます。)


EBV
Epstein-Barrウイルス

 EBVはバーキットリンパ腫から同定ヒト癌ウイルスです。
現在、EBVが関与していると考えられる悪性腫瘍は多種類に及んでいます。

 バーキットリンパ腫、膿胸関連リンパ腫、ホジキン病などのリンパ腫、及び上咽頭癌、胃癌との関連性も指摘されるようになりました。

 現在では、リンパ腫上皮腫様の組織像をとる胃癌(リンパ上皮腫類似胃癌)のほとんどと、通常型胃癌の10%弱がEBV関連胃癌と考えられており、EBV関連腫瘍としては最も高頻度の腫瘍ということができます。

関連項目 キス病、伝染性単核球症、EBウイルスについての最近の知見


EF

ejection fraction

 駆出率のこと。 左心室内の血液が心臓の拍動で何パーセント、 大動脈から送り出されるか。 正常は60%以上。


RCT
無作為化比較試験
randomized controlled trial

無作為標本               クリック →   こちらにも記事があります。
random sample

 推計学では,研究対象である個体の全体の集まりを母集団、実際に調査できる個体の集まりを標本といいます。

 母集団は通常きわめて大きく、そのすべてを調査することはできません。そこで標本を調査して母集団の特性を推測することになります。正しい推測ができるためには,標本は母集団の代表(縮図)となっていなければならなりません。

 このためには,集団のどの構成員も等しい確率で選ばれるようにして標本を抽出します。これを無作為抽出法random samplingといい、選ばれた標本が無作為標本です。

 無作為抽出法には単純無作為抽出法simple random samplingと無作為等間隔抽出法random systematic samplingとがあります。前者はすべての母集団構成員に一連番号を付け、乱数表や乱数サイコロを利用して選ぶ方法で、最近は乱数発生機能付き電卓を利用することもあります。選ぶ標本数が多い場合には、はじめの1つの標本を無作為に選び,その後は一定の間隔で標本を抽出する方法(後者)もとられます。

 最近、EBMの根拠となっているのがこのランダムサンプリングです。この方法の最も大きい意味は、思いこみ、勘違いなどの人間が必ず持っている
バイアスを排除することです。

 例えばビンゴゲームでは、ランダムに数字を出す装置を使います。筆者は以前、旅行に行ったとき、バスの車内で行ったのですが、カードだけ持っていき、その装置を使わずにビンゴゲームをやったことがあります。

 1から100までの数字を適当に頭で考えて発表するのですが、どうしても癖がでます。大きい数を言ったから次は小さい数にしようとか、奇数が続いたから偶数にしようとか作為もはいります。

 そういう人の頭で考えたことがすべて
バイアスとなり、統計的には信用できないものになるのです。

治験を行う場合でも、年齢、地域、性別、太った人、やせた人などを一切考慮せず、あくまでも機械的に患者さんのサンプリングを行うことが、重要でそれが科学的根拠とされています。

   クリック →   こちらにも記事があります。


 2002年4月15日号 No.335

アルゴリズム

algorithm

 本来は数学の問題を解くための演算式を意味し、治療のための選択式あるいはフローチャートのことです。

     {参考文献}薬局 1998.12等

 アルゴリズムとは、問題を解決する手順の流れを系統的に図式化したもので、各段階で選択すべき各項目の選択理由についての解説と根拠が提示されています。それらの中から適切な選択肢を選びながら臨床で実践していく手法です。

 従来の治療薬剤の選択法は、医師の個人的な治療経験に基づくものでしたが、薬物選択アルゴリズムの導入によって薬物選択の判断がより科学的で客観的に進められることになります。

 近年、精神科治療での合理的な薬物療法のガイドラインの作成が欧米を中心として国際的に進められています。すでにIPAPという研究グループはアルゴリズムを完成しています。わが国でも日本の現状を踏まえた独自の標準的薬物療法ガイドラインの作成が行われています。

 具体的には、ある精神状態で選択すべき薬物はどれか、その薬物が無効な場合には次にどの薬物が適切か、副作用の対処法はどれか、維持療法にはどの薬物をどの期間使用すべきかなどを順次進めていきます。

<合理的薬物選択アルゴリズム>

 精神疾患はケースによる個別性が強く、その治療を画一的に行うことはできないことは言うまでもなく、アルゴリズムが治療を決定するものではありません。とはいえ、アルゴリズムは薬物療法についての膨大な情報を整理、統合した資料として薬物療法の指針に大きく貢献するものと考えられます。

 精神神経系かでアルゴリズムが必要となる背景には、精神科薬物療法が抱える多くの問題があり、それらの解決の糸口を提示することを目指しています。例えば、治療標的である症状群に対する薬物の選択や副作用の対処法、単剤と多剤の有用性、真の難治例への薬物選択法、回復後の維持療法のあり方などがあげられます。

 そしてこれらの問題解決のために医学的判断の根拠と妥当性の評価を明確に示すことで、不適切な薬物療法を是正し、治療的にも医療経済的にも薬物療法の効果をあげることを目的としています。

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<うつ病治療>

うつ病治療アルゴリズム

1991年米国を中心に国際精神薬理アルゴリズム計画(IPAP)が始まりました。

 米国では軽症うつ病はプラセボ効果が認められることが多いので、支持的精神療法やベンゾジアゼピン系の抗不安剤を用い、それで効果が認められない場合は大うつ病中等症として治療を継続し、副作用の少ないSSRIの投与から開始するとされています。

 欧州では軽症と中等症の区別はされておらず、SSRCまたはTCA(三環系抗うつ剤)から開始します。日本でも軽症、中等症の区別はなく、TCAか非TCAまたはスルピリドから開始します。


トランスポゾン
転座遺伝子

 転移性(移動性)遺伝子、DNA上を転移し標的部位の塩基対を両端に重複させて遺伝子の表現型を変えます。

 トランスポゾンは挿入配列(IS)と呼ばれる特殊な塩基配列で挟まれた構造で、染色体、プラスミドやファージのDNA上を頻繁に転位し、獲得した耐性遺伝子をほかの菌に伝播させます。

 また、インテグロンと呼ばれる構造もインテグラーゼの働きで複数の抗菌耐性遺伝子を集積させ、トランスポゾンと同様にDNA上を転位し、これらの遺伝子を拡散させます。

インテグロン:薬剤耐性遺伝子のカセットを取り込み発現させます。


心不全とカテコラミン剤

カテコールアミン(カテコラミン)
catecholamine

 カテコール核をもつ生理活性アミンのことでド〕パミン、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アドレナリン(エピネフリン)の総称。

 ドパミン受容体にはD1, D2,ノルアドレナリンとアドレナリン受容体は共通でαとβ,それぞれにさらにα1,α2,β1,β2のサブタイプがあります。ノルアドレナリンはα作用が強くアドレナリンはβ作用が強い。薬物としてドパミンは血圧を上昇させるが腎動脈は収縮させないのでショックに対し特徴的な効果があり、ノルアドレナリンは低血圧やショックに、アドレナリンは気管支喘息や局麻薬と併用して用いられます。

*ドパミン

 ドパミンは内因性カテコラミンの一つであるノルアドレナリンの前駆物質です。生体内で速やかに代謝されてしまうため、持続静注法で血中濃度を維持しながら使用されます。β1刺激による陽性変力作用、陽性変時作用、α1刺激による末梢血管収縮作用に加えて、ドパミン受容体を介する作用を持っている強力で使いやすい強心剤で、血圧低下例や腎不全合併例では特に有効な人工カテコラミン剤です。

 心収縮力や拡張能の改善、低用量での利尿作用により、心不全治療に有効ですが、高用量になるにつれて心拍数や末梢血管抵抗の増大が現れ、心筋酸素消費量の増加が大きくなり、肺動脈楔入圧は上昇します。このため、硝酸剤など血管拡張剤との併用使用が行われます。特に、末梢血管抵抗を減少させ、前負荷の軽減も加わるため虚血心で汎用されます。

*ドブタミン

 ドブタミンは合成カテコラミンで、ドパミンよりさらに強い強心作用を発揮します。主としてβ1受容体刺激作用を持つ他、β2受容体、α1受容体に対する刺激作用をも有し、末梢血管に対するβ2受容体作用としてはβ2受容体刺激作用による末梢血管拡張作用とα1受容体刺激による血管収縮作用とが打ち消しあい、心拍出量の増大とのバランスにより、血圧に対する影響が少ないと言われています。

 ドパミンと異なり、ドパミン受容体を介した腎血管拡張作用を認めず、また、内因性ノルアドレナリン遊離作用をも持ちません。比較的高用量でも肺動脈楔入圧の上昇は見られず、心拍数や血圧の増加も少ないため、ドパミンに比べ、虚血心にも使用しやすい側面を持ちます。やはり高用量では、心拍数の増加や不整脈の増加が出現し、心筋酸素消費量も増大します。

 ドパミンの腎血管拡張作用を残しつつ、さらに心拍出量の増加を期待する場合には、ドブタミンとの併用使用が行われます。高用量のドパミンによる血管収縮作用を避けつつ、より強力な陽性変力作用を得ることが出来ます。

 β1受容体刺激剤の欠点として、心筋酸素消費量の増大や不整脈の増加に加えて、長時間の使用による耐性の出現が挙げられます。

 耐性は使用開始後、比較的早期から現れ、投与72時間にはすでに認められます。このメカニズムとしては、ダウンレギュレーション、および受容体自体の機能の欠落(uncoupling)で説明されています。


グローバリゼーション

global
医療での客観性・普遍性

グローバルスタンダード:世界標準、世界に通用する基準

こちらの記事もご覧下さい。シリーズグローバリゼーション


ジストニア

捻転症

 主に頸部筋、躯幹筋に捻転が起きる現象で急激に発症します。筋肉痛を伴うことが多い。

 大脳基底核に作用する副作用で、抗パーキンソン剤が著効します。


トレハロース

 トレハロースというのは、グルコースが2つ結合した非還元性二糖類です。甘さは砂糖の半分、カロリーは砂糖と同等です。安定性が高く、保存性にも優れている、虫歯にもなりにくいという事ですでに多くの食品の甘味料、医薬品の保存安定剤にも使われているそうです。

trehalose:D−グルコースからなる非還元性二糖。

 2個のグルコシド結合の立体配置から、αα、αβ、ββ、の3種が考えられます。 αα型はカビ、キノコ、酵母、昆虫の血リンパ中などに含まれ、貯蔵物として役立ちますが、αβ、ββは天然には見出されていません。

 特性: 1 甘味度は砂糖の45% 砂糖異常に上品な甘味。 2 非着色性 加熱しても色が褐色に変化しないので加熱処理や高温保存をともなう食品に適しています。 3 耐熱、耐酸 着色や分解がないので食品加工に利用出来ます。 4 起晶性 シュガーコーティング、シュガートッピング、ボンボンなどに利用しやすい。 5 難吸湿性。 6 澱粉老化防止 餅、スポンジ、めん類、コロッケなどの利用、この効果は低温下、冷凍下でより顕著に現れます。 7 タンパク質変性防止 冷凍、冷蔵あるいは乾燥時のタンパク質の変性防止に優れており冷凍食品の利用など。 8 保湿性 製品をいつまでも新鮮なみずみずしい状態に保つ利用の例。

 練り餡 砂糖の30%弱をトレハロースに換えるだけで、低甘味、色焼けもない(離水しない)餡なったとのデーターがあります。どら焼きの生地は砂糖の30%をトレハロースに置き換えての比較では、表皮の肌理が細かくきれいな焼き上がりになるのと、固くなりにくい。即席めんなどのめん類、小麦粉などに対して2〜4%添加して劣化がかなり防げます。


強迫性障害
OCD:obsessive‐compulsive syndrome


 強迫観念が生じてしまい、もう必要が無いと分かっていても、不安が襲ってきて何度も確認や手洗いを繰り返し(強迫行為)、次の行動に移れずに耐えがたい苦痛を感じたり、日常生活に障害を起こしてしまう状態。

 思春期・青年期に多く発症しますが、男性では学業不振や進学、過労。女性では異性関係、結婚、妊娠、出産、育児の悩みなど、人生の天気を契機として発症しやすい。


SAD:social anxiety disorder
社会不安障害

 社会不安障害(SAD)とは、「よく知らない人たちの前で何かをするとき、恥ずかしい思いをするのではないか、良い評価を得られず破滅的な結果になるのではないか」と過剰に心配し、社交的、社会的な場面、状況、交流、行為に対する恐怖や苦痛が非常に強く、回避することなどにより、実生活に差し障りのある状態のことです。

 分類しては、人前で話すのが苦手なプレゼン恐怖症や会食だけが恐怖の会食恐怖症のように恐怖の対象が限定されている症例と、ほとんどすべての社交、社会的状況が恐怖の対象である“全般性”に分けるのが主流です。

 プレゼン恐怖症、会食恐怖症と全般性では、実生活への大きさが全く異なり、多くの薬物療法や認知行動療法の有効性研究はこの“全般性”を対象としています。

<SDAの治療>

 SADの患者はどんな治療に対しても強い拒否感を持っていることも稀ではありません。
単なるプレゼン恐怖症では本来は認知行動療法が最も適応となります。
非常にこだわりが強く。真面目で内省的な症例は森田療法が適応となります。

 過去に引きこもりしたような症例は、どうしても薬物療法によりある程度症状を軽減化してから、認知行動療法などを組み合わせるステップアップドケアが必要になってきます。

        出典:Medicament news 2005.7.25(ライフ・サイエンスKK)


抗リン脂質抗体症候群
APS:anti-phospholipid syndrome

 抗リン脂質抗体症候群(APS)は、動静脈血栓症、血小板減少、習慣性流産の3症状と、血中に抗カルジオリピン抗体(aCL)とループスアンチコアグラント(LA)と呼ばれる抗リン脂質抗体を認める疾患です。

 全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患に併発することが多いのですが、自己免疫疾患のない原発性のAPSもあります。

 最近、再発する血栓症や習慣性流産の原因疾患の一つとして、重要と考えられるようになりました。(下記参照:不育症)

 動脈系は、脳硬塞や一過性脳虚血発作等が多く、静脈系は、下肢深部静脈血栓症と肺梗塞が多い。

 血小板の減少は比較的軽度で、出血傾向は少ない。習慣性流産(子宮内胎児死亡)は、胎盤内の血栓が原因と考えられています。

 APSには、予後の悪い劇症型もあります。

 血栓の機序は明確ではありませんが、血中のβ2-GPIの抗血栓作用を阻害します。さらに、抗凝固因子のLAも凝固を促進させるように働くためと考えられています。

 APSの予防、治療には、抗血小板薬、抗凝固薬、ステロイド薬等が使用されます。

  出典:JJSHP 1999.10

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不育症


 妊娠は成立するが流産や早産を繰り返し生児が得られない場合を言います。

 広義の不妊症に分類されることもあります。習慣流産と同義語とも考えられます。

 原因としては、胎児期の染色体異常が最も多く多くなっています。
母体側因子としては、子宮の形態異常、内分泌異常、感染症、自己免疫生疾患などがあります。

 不育症で最近注目されているのが自己免疫由来の病態である抗リン脂質抗体症候群(APS)です。この抗体はリン脂質そのものではなくリン脂質に反応する血中蛋白質(コファクター)に結合して血小板凝集抑制作用を減弱させることにより、血小板凝集や血栓形成が増大し、胎盤の微小血管内に血栓が生じ、流産に至るとされています。

 治療法としては、抗リン脂質抗体の産生抑制と血栓形成抑制の2つの大別され、前者では、プレドニゾロンが使用されます。血栓形成抑制では、アスピリンにヘパリンを併用する方法が行われています。

 アスピリン 81〜100mg/日
 ヘパリン  5000〜10,000IU/日

 基礎体温が高温期に入った時点でアスピリン81mg/日を開始し妊娠が成立した時点で入院管理とし、ヘパリンNa5,000IU/日を持続点滴開始し、同時に自己注射が出きるよう教育指導するなどが報告されています。(ヘパリン適正使用のための服薬情報の例 p110)

 抗凝固剤のワーファリン胎盤を通過し催奇形性があるため使用できません。
ヘパリンは胎盤を通過したいために選択されますが、ヘパリンの副作用として、出血傾向、血小板減少、骨粗鬆症などにも十分な注意が必要です。

       出典:薬局 2005.9

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リン脂質症
PLD:phospholipidosis

 本症は、細胞質内リン脂質との複合体あるいはリン脂質の代謝阻害で、細胞質内にリン脂質が蓄積し、ライソゾーム中に多層板構造物(lamellar bodies)が観察されることが特徴です。

 本症は、体内のあらゆる臓器や組織に発生する可能性があり、陽イオン性両親媒性構造を持つ多くの薬剤(Cationic Amphiphilic Drugs)によって引き起こされます。

 本症の生体機能に対する影響は、またよく分かっていませんが、一般的には限定されたものです。本症を引き起こす薬剤を動物に用い、退行性の変化や所見(組織障害の変化)が観察されるのは、長期間にわたって投与したときです。

 現在市販されているいくつかの薬(マクロライド系抗生物質、抗精神薬など)では、動物で本症の所見が発現し、臨床の場でも本症を引き起こす場合があるとされています。

 臨床症状としては、高脂血症、血栓症、網膜障害等が起こる場合があります。

 出典:日薬医薬品情報 Vol.7 No.7(2004.7)

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