HS病院薬剤部発行
薬剤ニュース |
1995年 9月1日号 NO.183 |
ヘリコバクタピロリと消化器疾患
〜 最近の知見 〜
ヘリコバクタピロリ(以下H・P)は他の細菌が棲むことのできない胃の粘膜上皮細胞に付着・増殖して胃疾患をおこします。現在、H・P感染と胃粘膜病変の発生との関連は、明確な事実として認識されつつあります。 H・Pの感染経路については、現在完全には解明されていません。しかしH・Pの経口摂取により胃炎が生じることは明らかになっています。 [H・Pの持つ特殊酵素] ウレア−ゼ:胃酸を中和(耐酸性) ホスホリパ−ゼ:胃ムチンの疎水性を低下させてムチン層へ侵入する。 ムチナ−ゼ:胃ムチンを分解。粘液の粘度を低下させて感染巣を拡大すると同時に分解物質を栄養素として利用。 |
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胃前庭部粘膜に定着したH・Pは、長期間そこに定住し胃粘膜に慢性的な障害を与えます。加齢に伴う胃底腺固有細胞の減少と粘液細胞の増加や胃底腺そのものの減少により、H・Pは胃体部へと感染巣を拡大します。また、胃酸分泌抑制剤の与薬により前庭部から体部へ感染巣が移行することも知られています。 [空胞化毒素] マウス感染実験により、毒素産生株が特異的に胃粘膜上皮細胞の空胞と壊死を伴うヒトの潰瘍と類似の病変を惹起すること、および精製毒素を経口服用すると感染防御が成立することが示されました。これらの結果からこの毒素がH・Pの病原因子であることが証明されました。 [抗白血球作用] H・Pは菌体の表皮にSOD(ス-パ-オキシドジムスタ-ゼ)を持ち、速やかにO2−を分解します。これによって白血球の産生するス−パ−オキシド陰イオン(O2−) を無効にしてしまいます。 {参考文献}Pharma Medica 1995 6 |
H・Pの感染率は衛生環境、特に上下水道の普及度に影響されていることから、水を介した経口感染が最も考えられています。また発展途上国では幼児が高い感染率を示しており、糞便よりH・Pが検出されています。社会的に貧困な群では、生後すぐにH・Pに感染しそのまま高い感染率が持続します。 米国の白人の間では年収によるH・Pの感染率に差が認められ、裕福な層の感染率は低くなっています。 日本でのH・P感染率は欧米先進国と発展途上国の双方の特徴を示しています。若年者では、H・Pの陽性率が低い欧米型を示しますが、40歳代から急激に陽性率が上昇し、75%となります。 H・Pの感染が胃粘膜に生じても、それに対する個々の反応は様々です。消化性潰瘍や胃癌の前癌状態である腸上皮化生を発症する例はむしろ少数派に属し、大半は無症候者のままで一生を終えることになります。 慢性胃炎とH・Pの関係についてはさらに検討すべき点が多く残っています。 |
関連項目:ヘリコバクタピロリ ヘリコバクターピロリ除菌療法の問題点 ヘリコバクタピロリと肝性脳症
ヘリコバクタピロリ(H.P)感染診断の検査法
◎侵襲的方法(点診断)
・間接法
*迅速ウレアーゼ試験(RUT)
採取した組織を特殊な反応液に添加し、H.Pが産生したアンモニアによる反応液の色の変化を見る方法。
〜迅速、簡便で精度が高い。除菌前の診断では感度良好だが、治療後の感度には限界がある。
ヘリコチェック、ピロリテックテストキット等
・直接法
*鏡検法
採取した組織を染色し、顕微鏡で直接菌体を確認する方法
〜同時に組織診断(炎症、腸上皮化生、萎縮の程度の評価や疾患の組織診断)が可能
他のらせん菌との鑑別が困難な場合がある。
*培養法
採取した組織を培地で分離培養し、H・P存在の有無を確認する方法
特異性に優れ、菌株の保存ができ、抗菌薬の感受性試験検査が可能
判定までに時間が必要。
◎非侵襲的方法
・間接法
*抗体測定
H.P感染により産生された抗体を測定する方法
血清:ピロリセットドライ、へりこGなど
尿中:ウリネリザ H.抗体、ラピランH.ピロリ抗体
血清、全血、尿、唾液を用いて測定可能
除菌成功後も一定期間陽性が持続するので、除菌判定の場合は除菌終了後6ヶ月以上経過した後に実施
*尿素呼気試験(UBT)
13Cで標識した尿素を服用し、その前後の呼気を分析して呼気中の13CO2の量を比較する方法。
(ユービット)
〜完全に非侵襲的、簡便で感度、特異度とも高く、除菌判定の信頼性は高い。
PPI服用中および服用中止直後に擬陽性になることがある。
2003年6月1日号 No.361
H・ピロリ除菌療法後の問題点
1988年ヘリコバクタピロリ(以下H・ピロリ)除菌が十二指腸潰瘍の再発を抑制するとの報告以来、消化性潰瘍患者に対してH・ピロリの除菌が試みられるようになりました。H・ピロリ感染と再発予防のメタアナリシスによると、H・ピロリ陽性での再発率は十二指腸潰瘍の場合56〜67%で、陰性の場合の3〜20%と明らかな差が認められています。
除菌後の問題点については、デメリットよりもメリットがはるかに上回るためあまり問題となりませんが、下記のようなものが報告されています。
<除菌治療後の逆流性食道炎>
H・ピロリ感染は逆流性食道炎(GERD)の防御因子である可能性が指摘されています。
わが国では、健常人のH・ピロリ罹患率が高いために、逆流性食道炎でのH・ピロリ感染率の低さが欧米と比較して際だっています。
また、除菌群での逆流性食道炎の発生は13%で、対照の非除菌群では0.3%という報告もあります。
一般に除菌後に発生した逆流性食道炎の程度は軽く、自覚症状を伴い酸分泌抑制剤が必要となった症例は少数です。その後の追試試験では必ずしも除菌成功群に逆流性食道炎の発症が多いとの結果は得られていません。
H・ピロリ除菌後の逆流性食道炎の発症の原因については、全体胃炎では酸分泌能の亢進、酸分泌抑制作用の持つサイトカインなどの炎症物質の消失、胃酸の緩衝作用としてアンモニアの消失、QOL改善に伴う体重増加などが推測されています。
しかし、除菌後の胃・食道逆流症を評価する上で、新たに出現したものか、偶然に合併していたものが明瞭になったものなのか判断は難しいと思われます。
臨床的には除菌後の経過観察には、胃・食道逆流症状に注意することが大切で、内視鏡的に軽度の逆流性食道炎の所見を認めても症状がなければ治療の必要はないと考えて良いでしょう。
<除菌治療後の胃・十二指腸びらん>
除菌前には観察されなかった胃・十二指腸びらんが、除菌治療後の内視鏡検査で認められたとの報告がありますが、その病態や成因についてはまだよく分かっていません。
1997年に行われた除菌後に新たに発生した胃・十二指腸びらんの全国調査によると、除菌成功例(1277例)では胃びらん19例(1.5%)、十二指腸びらん45例(3.5%)が観察され、除菌失敗例では胃びらん5例(1.4%)、十二指腸びらん3例(0.9%)が観察されています。 出現例の基礎疾患として十二指腸潰瘍例で若年者に多い傾向が見られました。発生部位は球部、球後部ともにみられその、約80%は多発性の病変でした。有症状率は16%と低く、酸分泌抑制剤による治療が必要になることはほとんどありませんでした。
十二指腸びらんの発生頻度は除菌レジメによって差は認められませんでした。
十二指腸びらんは、除菌治療後約1ヶ月目に84%が観察され、6ヶ月目には消失している例がほとんどで、除菌後早期に一過性に起こる現象で、除菌後の一時的な酸分泌の亢進が関連している可能性が推測されています。
除菌後に新たに発生する十二指腸びらんが臨床的に問題となることは非常に少ないのですが、しかし、除菌判定時の内視鏡検査で観察されることが多いので、このびらんを潰瘍の再発と判断しないことが重要です。
通常の潰瘍再発時の内視鏡像とは異なり、多くは無症状の患者に浅い粘膜欠損として潰瘍瘢痕部と離れた部位に多発性に認められます。
除菌後に新たに発生する胃びらんは、発症時期や経過に一定の傾向は認められず、除菌治療だけではなく様々な病院が関与している可能性が考えられています。
{参考文献} 日本薬剤師会雑誌 2003.5
医学・薬学用語解説(ヒ) ヒペルエルギー/ヒポエルギーはこちらです。
H・ピロリ菌感染と関連が指摘されている疾患
2007年5月15日号 No.452
H.pylori(以下ピロリ菌)感染と上部消化管疾患との関連はかなり解明されてきました。
その一方で、近年消化管以外の多くの疾患との関連が話題になっています。
有効性が報告されている主な疾患について紹介しますが、いずれも適応外ですのでご注意ください。
{参考文献}薬事 2007.2〜4
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* 鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血にピロリ菌除菌療法が有効と最初に報告されたのは1993年です。
ピロリ菌陽性者で陰性者よりも有意に血清フェリチンが低く、ピロリ菌が鉄代謝に影響を及ぼすことが示唆されています。
ピロリ菌による鉄欠乏性貧血の発症機序は、鉄がピロリ菌にとってもその成長に不可欠な栄養素であり、ピロリ菌がヒトラクトフェリン結合蛋白を筋外膜表面に発現し、これを介してヒトの胃粘膜表面に分布するラクトフェリンから鉄を取り込むと考えられています。
また、ピロリ菌感染によって胃内のアスコルビン酸の減少が起こり、そのために鉄の吸収が障害されている可能性も示唆されています。
* 関節リウマチ
上部腹部痛、嘔気、嘔吐や上腹部の胸焼けなどの消化不良の症状がある関節リウマチ患者の中、
ピロリ菌感染患者で除菌療法が成功した症例では、ピロリ菌陽性患者とピロリ菌陰性患者で比較して赤血球沈降速度、CRP,フィブリノーゲン、朝のこわばり時間、疼痛、疼痛関節数、腫脹関節数、HAQ(身体機能評価スケール)が除菌前より除菌療法4ヵ月後有意に改善する結果が得られています。
*慢性蕁麻疹
ピロリ菌はインビトロで肥満細胞や白血球からのヒスタミン遊離を調節すること、また、ピロリ菌感染に対する免疫反応により遊離されるIL−1、TNF,IFNーγ、LTC4、PAFなどの炎症メディエーターが皮膚疾患の発病に役割を演じている可能性、ピロリ菌に対する特異的IgEの発現の可能性などが示唆されています。
* 肝性脳症
ピロリ菌の持つウレアーゼ活性は、通常のウレアーゼ陽性腸内細菌に比べ数倍から1,000倍近く高いと報告されています。ピロリ菌によるアンモニア産生は、非常に多く重要なアンモニア源になりうると考えられています。したがって、従来の腸でのアンモニア発生を抑制するような治療で肝性昏睡をコントロールしきれない場合は、胃を中心とした上部消化管からのピロリ菌を介するアンモニア発生を考慮し、除菌療法も有効な治療法と考えられています。
* 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
ピロリ菌抗体が血小板膜に存在する抗原に対して交叉耐性を起こし、血小板表面に結合する可能性、あるいはピロリ菌による局所での慢性炎症により、非特異的に免疫が活性化された結果、抗血小板抗体が産生される可能性が推察されています。
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*胃潰瘍、十二指腸潰瘍の他、ピロリ除菌治療が薦められる疾患
〜胃MALT(mucusa-associated lymphoid tissue)、リンパ腫、
*ピロリ除菌治療が望ましい疾患
〜早期胃ガンに対する内視鏡的粘膜切除後胃、慢性萎縮性胃炎、胃過形成性ポリープ
*ピロリ菌除菌治療の意義が検討されている疾患
〜NUD,胃食道逆流症(GERD)
*消化管以外の疾患
〜特発性血小板性紫斑病(ITP)、鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹、レイノー現象、虚血性心疾患、片頭痛、ギランバレー症候群等
*ピロリ菌感染との関連が報告されている疾患
〜心血管系疾患;動脈硬化、脳血管疾患、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、
〜膠原病、自己免疫疾患;シェーグレン症候群、自己免疫性甲状腺炎
〜皮膚疾患;酒さ、乾癬、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、
〜神経疾患;パーキンソン病
〜内分泌・代謝疾患;糖尿病、末端肥大症、小児発育遅延、遅発月経
〜その他;乳幼児突然死症候群、子宮内胎児発育遅延、気管支拡張症、骨粗鬆症
出典:薬事 2007.2
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H・ピロリ菌と慢性頭痛
本年度(2005年)のノーベル賞の生理学・医学賞をオーストラリアの西オーストラリア大のバリー・J・マーシャル教授(54)と同国のJ・ロビン・ウォーレン医師(68)に授与すると発表しました。授賞理由は「ヘリコバクター・ピロリ菌の発見と胃炎、胃・十二指腸潰瘍における役割の解明」です。 両氏は、1982年、ストレスや生活習慣が原因と考えられていた胃炎や胃・十二指腸潰瘍は、ピロリ菌の感染が引き金になることを明らかにしました。
この発見は、ピロリ菌を除去する除菌治療につながり、難治性の消化性潰瘍治癒に道を開きました。 病理医であるウォーレン氏は、胃・十二指腸潰瘍患者から採取した病変部の約50%に、らせん形の小さな細菌が存在することを発見。この細菌がいる近くの粘膜には必ず炎症があることも突き止めました。
H・ピロリ菌は微好気性グラム陰性螺旋状短桿菌です。
強力なウレアーゼ活性を持っているため、尿素からアンモニアを産生し、胃酸を中和し胃内での持続感染します。
持続感染は主に胃炎や消化性潰瘍、胃癌など消化管疾患の重要な原因とされていますが、最近、虚血性心疾患、レイノー現象、動脈硬化のような血管障害、蕁麻疹、脱毛症などの皮膚疾患、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患などの消化管疾患以外との関連が指摘されています。また欧米では、H・ピロリ感染が頭痛に関与する可能性も示唆されています。
H・ピロリ菌が頭痛を発症させるメカニズムはまだ明らかではありませんが、H・ピロリ感染に対する炎症反応により種々のサイトカインなど血管攣縮を惹起する物質が放出されることが頭痛と関連があるのではないかとみられています。
国内の調査でも、H・ピロリ感染が慢性一次性頭痛の有意な発症危険因子となる可能性が示唆されています。
{参考文献}治療 2002.4 等
心身症としての消化性潰瘍
2002年12月1日号 No.350
ヘリコバクタ・ピロリ(以下Hp)感染の診断と除菌治療が保険適応となり、消化性潰瘍治療は新たな時代に入ったと言えます。現在、潰瘍治療は、Hp、NSAIDs、ストレスの3つに対する対策が主となっています。
潰瘍は脳で作られるとさえ言われており、消化性潰瘍と中枢との関連は性格、ストレスなどについて多くの検討が成されています。性格との関連では失感情症が多く見られています。失感情症の人は、空想や描く夢が貧弱で、葛藤を言葉で表現できず、仕事中毒に陥りやすくなっています。
ストレスがHpの増殖を促進するとの報告もあり、インターロイキン1β、HGFの産生増強が関与しているとの報告もあります。
腹痛をもたらす侵害刺激の感受部は大脳皮質で、内臓知覚の過敏状態と関連しています。Hpの抗体価と内臓知覚過敏との関連が推定され、Hpによる消化管粘膜の刺激が内臓知覚異常を惹起することが考えられています。
消化性潰瘍はストレスとなるライフイベントに関連して発症、再燃します。45歳を境とし、45歳以下ではライフイベントが多く、45歳以上では失感情症傾向が強くなっています。
ライフイベントの主なものは仕事の多忙、食事の変化、睡眠の変化などです。潰瘍、特に十二指腸潰瘍の発症は夜間の酸分泌動態と関連があり、夜間の疼痛によって不眠が生じる可能性があり、不安傾向のある人が不眠を訴えます。
除菌療法のQOLに及ぼす効果は、1年後の潰瘍再発率の低下と健康管理に関する満足度、異性関係や心理的ストレスの改善があり、その後3年間の追跡でもQOLが維持されているとの報告もあります。
除菌療法成功例では日常生活、仕事、精神状態感情、飲食、睡眠の全てで著明な改善がみられましたが、失敗例では、そのような改善はありませんでした。しかも、除菌により飲食に関するQOLが改善したため、高血圧、高脂血症、高尿酸血症などの生活習慣病の発生が高まる傾向が見られています。
初期治療としては、Hp除菌が推奨されますが、心療内科治療としては、中枢性抗潰瘍薬(抗不安剤案等)を用います。除菌直後にHpが陰性化してもびらんなどが持続することがあるので、1〜2ヶ月程度H2ブロッカーを用いる場合もあります。
<消化性潰瘍に保険適用のある向精神薬>(当院採用分のみ記載)
ベンゾジアゼピン系
・ソラナックス錠、メイラックス錠〜心身症(胃・十二指腸潰瘍)での不安・緊張、抑うつ、睡眠障害
・エリスパン錠 〜心身症(胃・十二指腸潰瘍)での身体症候群並びに不安・緊張、抑うつ、易疲労性、睡眠障害
チエノジアゼピン系
・デパス錠〜心身症(消化器疾患)での不安・緊張、抑うつ
アザピロン系
・セディール錠〜:心身症(胃・十二指腸潰瘍)での身体症候群並びに抑うつ、不安・焦燥、睡眠障害
抗うつ剤:胃・十二指腸潰瘍
・ドグマチール、アビリット錠
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抗不安剤のベンゾジアゼピン系は、タガメット(採用中止)やオメプラールと併用すると、血中濃度が上昇するので注意が必要です。
ストレスは消化性潰瘍に対して30〜65%関与していると思われています。
消化性潰瘍自体は1疾患ではなく、1徴候であるとされるようになりました。
心理社会的因子、行動変容的要因、感染などが相互に関連しあって発症するものと考えられています。
{参考文献} 医薬ジャーナル 2002.11
医学・薬学用語解説(タ) 2002年12月1日号 No.350
ダンピング症候群:dumping syndromeはこちらです。
嚥下(えんか)
嚥下とは、食塊を口腔から胃に送り込む一連の運搬作業を指し、口腔期、咽頭期、食道期に分けられています。
中でも咽頭期は、非常に複雑な反射性の運動を行います。
嚥下障害は、静的障害、動的障害、知覚異常に分類され、それぞれ種々の疾患によって起こります。
嚥下障害患者には、まず嚥下運動をよく把握するとともに、原疾患を検索しなければなりません。
治療は、原疾患の治療を優先し、その上で残された嚥下障害に応じた治療を行います。
嚥下補助ゼリー
嚥下補助剤
嚥下困難な患者さん用に薬をゼリーのようなもので固めて飲みやすくするもの
脳梗塞後遺症などで麻痺のある患者さんとか、高齢者などにもいいらしいです。特にカプセルなんかが咽にくっ付かなくて喜ばれます。
*龍角散が出している”嚥下補助ゼリー
ゼリー状のオブラート・ローカロリー・ノンシュガー・楽に薬が飲めます。
*三和化学の「トロメリン」という嚥下補助剤
分類は、清涼飲料水(ゼリー飲料)。
甘味料・クエン酸が入っていて、味はポカリスエットの親戚みたいで、おいしいです。
ただ、液体部分が、けっこう入っていて、ゼリーばかりがうまく、トローリとでてきて、薬に絡まる・・・というものではありません。
*その他
とろみ水:キッセイ :嚥下機能に障害のある人用の付水分補給飲料
少量(54g)の飲みきりサイズで、4種類の味を楽しみ、しかもそれぞれから、不足しがちな鉄、カルシウム、亜鉛、食物繊維を1種類ずつ補給することができる。
とろみをつける食品
スルーソフトS:キッセイ
ゼリー食の素:ジャネフ
トロミアップ
ムースアップ
Thick&Easy
エンガード