無駄口薬理学薬学用語辞典やさしい薬理学毒舌薬理学

 

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Meigs症候様症状

卵巣過剰刺激症候群:ゴナトロピン、ヒュメゴン

 卵胞刺激ホルモン製剤の投与に引き続き、本剤(ゴナトロピン,ヒュメゴン)を用いた場合、(併用した場合)、卵巣腫大、腫大卵巣の破裂、下腹部痛、下腹部緊迫感、腹水、胸水を伴ういわゆるMeigs症候様症状等があらわれます。このような場合には血液濃縮、血液凝固能の亢進等を併発することがあるので直ちに中止し、循環血液量の改善につとめるなど適切な処置を行いないます。

メーグス症候群
Meigs' syndrome

 アメリカの外科医Joe Vincent Meigsは、は腹水と胸水を伴った卵巣線維腫患者で、卵巣腫瘍を摘出したところ、術後自然に腹水と胸水が急速に消失したことを認め、卵巣線維腫に伴う特異な症候群として報告しました。その後、線維腫だけでなく、莢膜細胞腫(卵胞膜細胞腫)、ブレンネル腫瘍、卵巣甲状腺腫などの良性卵巣充実性腫瘍でも同様の現象がみられることが判明し、現在は、良性卵巣腫瘍に胸腹水を伴う同様の症候をMeigs症候群またはデモン・メーグス症候群(De´mons‐Meigs syndrome)と呼んでいます。

 貯留する胸膜水は淡黄色の漏出液で、患者は腹部膨満感や呼吸障害を訴えますが、疼痛はまれです。腫瘍が小さいと、胸腹水の原因が本症候群によるものであることを見逃がすことがあります。

 本症候群の成因はいまだ明らかでありませんが、間欠的な捻転などによる腫瘍の静脈やリンパの循環障害のため腫瘍表面から腹腔へ体液が漏出、貯留し、さらに横隔膜に存在する間隙孔を通して胸膜腔に及んだものと考えられています。子宮筋腫など卵巣以外の骨盤内腫瘍や悪性の卵巣腫瘍でも類似した症状を呈することがあり、この場合、仮性メーグス症候群pseudo‐Meigs syndromeと呼ばれることがあります。

  Meige's syndrome(メージュ症候群)は別の疾患です。


red neck(red man)症候群

顔、頚、躯幹の紅斑性充血、そう痒等

バンコマイシン注の副作用

レッドマン症候群はヒスタミン遊離作用に起因することから、時間をかけて(60分以上)点滴することで回避できる。


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線状IgA水疱症 

バンコマイシン注の副作用


 臨床的・病理組織学的に、疱疹状皮膚炎に類似した所見を示しつつ、IgAの沈着が顆粒状ではなく、線状に表皮基底膜部に認められるもので、近年、疱疹状皮膚炎から分離され、独立疾患とみなされる傾向にある。

病因:IgAの沈着が関与しているものと思われるが詳細は不明である。

症状:疱疹状皮膚炎と同じく、紅斑と緊満性の水疱が全身に多発し、そう痒が強い。

蛍光抗体法による所見:表皮基底膜部にIgAの線状沈着がみられる。C3もしばしば同部に沈着する。

血清中には、ときに抗基底膜部IgA抗体が認められる。

治療:DDS(ジアミノジフェニルスルフォン)は疱疹状皮膚炎ほどには著効を示さないことも多く、その際にはステロイド剤の内服の併用も行われる。

 


クリーゼ

筋無力症状の重篤な悪化,呼吸困難,嚥下障害

クリーゼ:クライシスともいい、症状が急激に増悪し、危険な状態になること。

<ウブレチド錠の副作用>

ウブレチド:アセチルコリンエステラーゼを阻害し、シナプス間隙のアセチルコリンの蓄積を起こすことにより、間接的にアセチルコリンの作用を増強、持続させ、コリン作用すなわち副交感神経でムスカリン作用を、また、骨格筋の神経接合部でニコチン様作用を示します。

コリン作動性クリーゼ:コリンエステラーゼ阻害剤の過量与薬によってコリン作用が亢進して起こるクリーゼ。

1.コリン作動性クリーゼ:腹痛、下痢、発汗、唾液分泌過多、縮瞳、線維攣縮等の症状が認められ場合又は塩化エドロホニウムを投与したとき、症状が増悪ないし不変の場合は、直ちに中止し、硫酸アトロピン0.5〜1mgを静注します。さらに、必要に応じ人工呼吸又は気管支切開等を行い気道を確保します。

2.筋無力性クリーゼ:呼吸困難、唾液排出困難、チアノーゼ、全身の脱力等の症状が認められた場合又は塩化エドロホニウムを与薬したとき、症状の改善がみられた場合は、ウブレチドの量を増加します。

ワゴスチグミン注にも記載あり。


グレー症候群

Gray syndrome

灰色症候群
腹部膨満感に始まる嘔吐、下痢、皮膚蒼白、虚脱、呼吸停止等)

クロラムフェニコールの副作用


 向精神薬の副作用

ジスキネジア〜向精神薬の副作用

痙攣性斜頸、顔面及び頸部のれん縮、後弓反張、眼球回転発作等
遅発性ジスキネジアは、向精神薬の長期投与後に、顔面表情筋、口周辺部、顎、舌や四肢体幹に出現する異常運動は舞踏病様、アトテーゼ様運動を呈する。向精神薬による治療中に5〜20%程度に認められ、向精神薬の投与中止後にも持続、悪化し、しばしば非可逆性の転機をとることや生命予後にも悪影響を及ぼす可能性のあることから、現在も向精神薬による治療上の最も大きな問題点の1つとなっている。

アカシジア:静座不能〜向精神薬の副作用

筋硬直による筋疼痛から座ったままじっとしていることが出来ず、単調なロンド形式(ABACABAのように反復主題部(A)と挿入部(B・C)の交替からなる。古典派ではソナタ・交響曲などの終楽章に、ロマン派はピアノ小曲に好んで用いられた。)で室内を大股で歩き回るようになること。

「着座不能」、「着席不能」などの訳語もあります。パーキンソン症候群に伴う恒常的運動亢進の状態です。

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 アカシジアとは激越を生じさせ、落ち着きなく、執拗に歩き回り。持続的に立ったり座ったり、焦燥感、易刺激性、不安などの不快な精神症状を示すます。精神症状の悪化と誤診されやすい。非定型型抗精神病薬でも出現します。抗精神病薬を減量し、抗コリン剤を用います。(出典 医薬ジャーナル 2002.3)

タシキネジア

tasikinesia

運動(特に歩行)の著しく亢進した状態。歩行衝動が極めて強く、静歩できなくなって絶え間なく歩き回る。

強力な抗精神病薬によえい錐体外路症状を呈している患者に見られるもので、アカシジア(上記)とともに出現することが多い。


アステリクシス〜向精神薬の副作用

羽ばたき振戦:asterixis

これは上肢を伸ばしたまま水平に挙上させ,そのまま保持するよう命じると,振戦が著明となり,腕がはげしく上下し,ちょうど鳥が羽ばたいているように見える状態をいう.下肢では,仰臥位で,下肢を持ち上げ,足を背屈した位置にすると同様の振戦が起こる.このような羽ばたき振戦をasterixisともいう。

カタレプシー

Catalepsy induced action

受動的に与えられた無理な姿勢をそのまま続け、自分の意志で元に戻そうとせず、正常では耐えられないような窮屈な姿勢を長時間維持し続ける状態。

抗精神薬病薬はカタレプシーを惹起するので、抗ドパミン作用の指標となります。


ヘノッホ・シェンライン紫斑病

=シェーンラインヘノッホ紫斑病、アレルギー性紫斑病

 血小板減少を伴わない血管性紫斑病の中のアレルギー性紫斑病に属します。

 本症は多臓器を障害する全身性疾患で、毛細血管や小動脈壁にIgA,C3の顆粒状沈着が認められます。血小板、凝固系には異常が見られないのも特徴

 主として下肢に発現し、重症例では臀部、上肢、躯幹、顔面、消化管粘膜にも認められます。侵される部位は皮膚、関節、消化管、腎。

 症例の2/3には、腹痛、血便、嘔吐といった消化器症状や膝関節、足関節の腫脹と疼痛の関節症状がみられます。

 腎症状は全体の20〜60%にみられ、紫斑出現後1ヶ月以内にみられることが多い。腎症状は、血尿、蛋白尿が特徴的。

ペニシリン、ストレプトマイシン、INH、サルファ剤の副作用

主な臨床症状

1.皮膚症状は赤色小丘疹、点状出血、紫斑が下腿や臀部に出現することが多い。
2.関節症状は四肢大関節の腫脹、疼痛、可動域の制限
3.腹部症状は疝痛性の腹痛で、約半数に出現する。消化管出血を伴い便潜血陽性となる。
4.腎症状は紫斑病性腎炎と呼ばれ25〜50%に合併するといわれている。

1.原因療法

 原因が確認されることはほとんどないが、溶連菌の先行感染が疑われる症例は溶連菌感染症に準ずる治療(ペニシリンの経口)を行います。

2.対症療法

a,皮膚症状:特に治療法はない。血管強化薬の内服などが用いられるが、有効性については明かではない。

b,関節症状:局所の安静を保ち。湿布を行うが、痛みが強い場合にはアスピリン30mg/kg/日を用いる。効果が見られない場合にはステロイドの投与を行う。

c,腹部症状のコントロール

 腹痛は反復性の疝痛で頑固に続くことが多く、軽度の腹痛の場合は鎮静薬(アタラックスP)などを用いるが経口では効果が無いことが多い。
 
 中等度以上の腹痛が持続する場合は原則として入院と、絶食させて輸液を行う、鎮静薬の静注でも改善しない場合はステロイドの静注(プレドニン1〜2mg/kg/日、分3)を行う。通常投与開始後24時間以内に改善が認められるが、効果が認められない場合は第13因子製剤(12〜20ml/kg/日、3日間)を行う。

 ステロイドの効果発現までの激しい腹痛にはペンタジンの静注(0.5〜1mg/kg)を行なう。

腎症状について

 血尿のみ、あるいは軽度の蛋白尿のみの例はペルサンチン3〜6mg/kg/日、分3経口とし、急性糸球体腎炎に準じた対症的治療、および安静とし軽快を待つ。

 一部の急速進行例やネフローゼ症候群合併例、慢性化例ではプレドニン経口、パルス療法、抗凝固療法、血漿交換療法などが行われる。


横紋筋融解症

Rhabdomyolysis(ラブドミオリーシス)

 筋肉痛、脱力感、CPK上昇、血中および尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う

 横紋筋融解症が発現したら中止、水分を負荷しながら利尿に努め、安静を保つ 必要に応じて血液透析等


 横紋筋融解症は横紋筋が傷害され、筋細胞が崩壊することによって、ミオグロビン(Mb)や、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)等の筋細胞成分が流出し、筋症状、腎障害などを引き起こす代謝性疾患。

 Mbは骨格筋に多く含まれ、筋組織の崩壊が起こると血中に流出し、腎・肝での処理能力を超えると尿中に排泄され、着色尿(赤褐色〜暗褐色)を呈します。このような尿が肉眼的に認められる場合はMb尿と呼ばれていたが、近年では大量の筋融解(崩壊・壊死)が認められることから、横紋筋融解症と称される。

<原因>

 横紋筋融解症は一つの病態だが、これを惹起する原因は薬剤性を含み多岐にわたる。

1.外傷性

1)労作性(過剰な運動、てんかん発作)、 2)挫傷、熱慯、凍傷

2.非外傷性

1)遺伝性(広義の代謝性):McArdle病等の解糖系酵素欠損、脂質代謝異常 2)感染症(ウイルス、細菌) 3)代謝性(糖尿病、高Na血症、低Na血症、低K血症) 4)薬物・毒物(薬物、アルコール、毒物;昆虫毒、蛇毒) 5)他の筋疾患に合併(筋ジストロフィー症、多発性筋炎) 6)高体温(熱射病、悪性症候群) 7)原因不明

<薬剤性横紋筋融解症の発症機序>

 詳細な点は不明で、原因によって何種類かの機序があると考えられる。 具体的には、筋細胞に対する酸素と栄養素の供給不足、過剰のエネルギー利用、代謝性毒物の産生、カリウムの喪失、筋に対する直接毒性作用等によると考えられる。

 小柴胡湯による横紋筋融解症は、甘草に含まれるグリチルリチンによるカリウムの喪失が原因と推測される。報告された各症例で血清カリウム値の低下が認められている。

<治療>

 治療が必要になるのは、血清CPK値10,000IU/L以上だが、CPK値は入院時に正常〜軽度上昇でも筋崩壊後24時間にピークがある為、時間を追って検査することが必要。横紋筋融解症の治療では、障害された筋そのものに対する有効な治療はない。従って、横紋筋融解症を起こしている基礎疾患の治療が重要。

 小柴胡湯による報告では、血清カリウム値の低下が認められており、このような電解質異常が認められた場合には、カリウムを補給する等、その補正を行う。 重症の横紋筋融解症で問題になるのは腎機能障害ですが、早期に尿量を十分に得る治療をすれば腎不全は防がれ、予後は良好。血中の尿素窒素やクレアチニンが上昇し続ける場合や尿中Mb値が低下しない場合は透析を行う。

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患者さんにこんな症状は認められませんか?
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横紋筋融解症発現時には以下のような自覚症状が多く認められます。
 ・全身倦怠感
 ・全身、局所(下肢等)の筋肉痛
 ・脱力感
 ・暗褐色尿(ミオグロビン尿の可能性)

臨床検査値の異常としてはCPK、GOT、LDH、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等が認
められます。

これらの症状が見られた場合には、すぐに投与を中止して下さい。
患者さんには、上記のような自覚症状が見られた場合、すぐにベザフィブラートの服
用を中止し、担当医師に連絡するよう説明し、徹底させて下さい。
また、投与中に腎機能の低下が認められた患者さんについては、
 ○投与を中止する(投与禁忌対象となった場合)
 ○投与量を減ずる、投与間隔を延長する等十分注意して投与を行う
  (慎重投与対象となった場合)
など、腎機能の状態に応じて投与方法を変更して下さい。
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○横紋筋融解症が発現したら(処置法)
 ・本剤及び被疑薬の投与を中止して下さい。
 ・水分を負荷しながら利尿に努め、安静を保って下さい。
 ・必要に応じて血液透析等の治療を施行して下さい。


過敏性血管炎

メガロシンの副作用

 薬剤や、異種蛋白、微生物などに対する過敏反応により引き起こされ、白血球の崩壊による核破片の出現を特徴とし、しばしば血管壁のフィブリノイド壊死を伴う小血管の血管炎である。

 血管壁ならびにその周囲に浸潤する細胞は好中球が主で、ときに好酸球、単球も認められる。主として皮膚に発現し、腎、肝、脳、肺などの内臓に生ずることがある。

 症状 皮膚症状が必発で、触知できる紫斑が特徴 皮疹の大きさは、張りの穴程度から、数cm程度のものがある。 紫斑、点状出血、水疱、蕁麻疹、多形性紅斑、結節、網状皮斑等がみられ、掻痒感や疼痛、灼熱感を伴うこともある。 全身症状としては、発熱、全身倦怠感、易疲労感、体重減少、肝臓障害、消化管障害(腹痛、下血)、関節痛、腎障害、筋肉痛、多発性単神経炎、肺病変がある。

検査所見

@赤沈の亢進 A好酸球増多 B貧血 C血尿、蛋白尿 D高窒素血症、ときに腎機能の著明な低下 EASO(ストレプトリジンに対する抗体)の高値 F肝機能検査異常(GOT,GPTの上昇)GANCA(抗好中球細胞質抗体)の高値

発現までの期間

一般的に投与後1〜2週間に発症することが多いといわれている。メガロシン投与後に発現した2例では1週かにないに発症している。

機序 明らかではないが、薬剤がハプテンとなり抗体を産生、ついで免疫複合体が形成されて血管壁に沈着し、補体やその他の組織障害性メディエーターが動員されて血管炎がおこるとの説が有力である。

治療法

@過敏症の原因(薬剤、化学物質等)を明らかにし、取り除く A全身症状の激しい症例に対し、副腎皮質ステロイド


眼類天疱瘡

チモプトール点眼、サンピロ点眼、ピバレフリン点眼の副作用

眼類天疱瘡は角膜の混濁を伴う進行性痕瘢性疾患であり、ときに角膜パンヌス等による高度の視力障害に至るといわれている。特異的な治療法は確立されておらず、人工涙液点眼、持続閉眼、ステロイド療法、免疫抑制療法等が試みられるが、一般に予後不良である。

原因としては、薬剤以外に自己免疫(結膜の基底膜に対する自己免疫性反応)、遺伝等の可能性が考えられているが明らかではない。

まれではあるが本剤使用中に本症が疑われる場合には、中止するとともに適切な処置を行う必要がある。

症状:結膜充血、角膜上皮障害、乾性角結膜炎、結膜萎縮、睫毛内反、眼瞼眼球癒着等


天疱瘡

全身に 大小の水疱が次々に新生して糜爛し、ついで痂皮形成と色素沈着を起こし、これらが混在して慢性に経過する疾患。糜爛面の灼熱感、疼痛掻痒などを訴える。


激越

感情が高ぶって、言葉や行動が非常に激しいこと。また、そのさま。

抗うつ剤の副作用


血管神経性浮腫

インスリン治療初期に浮腫(とくに眼瞼に目立つ)がみられることがある。
これはインスリンにより血糖を急激にコントロールすると高値であったグルカゴンも低下し、その利尿作用を減ずるためと考えられている。眼の屈折異常も水分貯留により水晶体が膨化するためと考えられている。


血小板減少症

一般に血小板数が10万/μL以下に減少した状態をいいます。

 臨床所見としては、血小板数が3万以下では紫斑や歯肉出血等の皮下、結膜出血が出現し、1万以下になると頭蓋内出血、消化管出血等の重症出血を合併するとされています。

 出血症状は強度の血小板減少例においてのみ出現するため、軽度、中等度の減少では認められないことが多く、血小板数の算定により初めて診断可能となるため、早期発見のためには血液検査の実施が重要です。

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無顆粒球症

 前駆症状として、発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状があらわれる場合もあります。

 高度の無顆粒減少をいいます。薬剤性の場合、特異的な症状はなく、主なものは、併発する感染症の症状とアレルギー性反応による症状。

 一般に、感染部位は口腔内、咽頭、上気道が多く、粘膜の発赤、腫脹、アフタ形成、発熱等の症状を呈します。またアレルギー反応としての頭痛、悪寒、皮疹、肝機能障害、黄疸等の症状を呈する場合もあります。

 治療の原則は、原因薬剤の中止と感染対策。無菌環境の保持、喀痰、尿の細菌培養、血液培養を行い、抗生物質の開始。他にG-CSFも用いられます。


骨髄異形成症候群(MDS)

MDS:myelodysplastic syndrome

造血細胞の異形成像を特徴とする慢性進行性の造血障害、血球減少を伴う。約30%は白血病に移行する。

抗癌剤の副作用


盗汗

night sweat

睡眠中汗をかくこと。不快感、疲労感衰弱感がある。ねあせのこと。


剥脱性皮膚炎

紅皮症

粃糠様〜葉状鱗屑を伴う全身のびまん性潮紅。

紅斑が12〜48時間以内に全身に拡大し、数日のうちに多量の粃糠様〜葉状鱗屑を付着し、発熱、悪寒、全身倦怠感を伴う。

治療:副腎皮質ホルモン剤の外用、抗ヒスタミン剤の内服、重症例では副腎皮質ホルモン剤の内服など。

現在、使用上の注意に剥脱性皮膚炎の記載のある抗菌剤には、ミノサイクリン、リンコマイシン、クリンダマイシン、グレセオフルビンがある。

塩酸バンコマイシン注にも記載があった。(海外で)

全身あるいは殆ど全身に及ぶ慢性の潮紅と多量の鱗層がみられる状態。一種の症候名。以前は原因不明の原発性と原因の明らかな続発性に分けていたが、現在では、すべてなんらかの皮膚疾患に続発したものとみなされている。接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎など皮膚炎群に続発するものが最多で、薬疹、尋常性乾癬を原疾患とするものがこれに次ぐ。Sezary症候群などの白血病に伴うこともある。脱毛、爪甲の変形、リンパ節腫脹、体温調節異常に基づく発熱、悪寒戦慄を伴うことがある。

紅皮症(剥脱性皮膚炎)

全身のびまん性発赤と落屑を主徴とする疾患

続発性に発症し、湿疹・皮膚炎、薬疹、乾癬、悪性腫瘍、水疱症、感染症などが先行します。

全身あるいは殆ど全身に及ぶ慢性の潮紅と多量の鱗層がみられる状態。

以前は原因不明の原発性と原因の明らかな続発性に分けていましたが、現在では、すべてなんらかの皮膚疾患に続発したものとみなされています。

 接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎など皮膚炎群に続発するものが最多で、薬疹、尋常性乾癬を原疾患とするものもあります。

Sezary症候群などの白血病に伴うこともあります。

脱毛、爪甲の変形、リンパ節腫脹、体温調節異常に基づく発熱、悪寒戦慄を伴うことがあります。


イレウス

麻痺性イレウス

 イレウスとは腸管内容の通過不良の総称。その中で機能的イレウスの一つに分類されている麻痺性イレウスは、急性腹膜炎や開腹術、薬物などにより誘発されます。

 薬物による作用機序として、塩酸イミプラミンなどの抗コリン作用を有する薬剤が腸管の運動を抑制することがあげられています。

 主な臨床症状は、嘔吐、腹部膨満感、腹痛、ガス糞便の排出停止等

<治療>

 まず薬剤を中止し、絶食と補液、胃ゾンデ、イレウス管の挿入、高圧浣腸等適切な処置を施行します。

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スピリーバによるイレウスの発症

2010年5月15日号 No.521

 スピリーバ(COPD治療剤)は吸入剤のため血中への移行は極めて少ないが、抗コリン作用を持つため、消化管の運動が低下する可能性が考えられます。

 麻痺性イレウスに十分注意し、経過を観察する必要があります。さらに、糖尿病患者、腸管運動が低下しやすい病気の患者、麻痺性イレウスを起こしやすい薬剤を併用している患者、高齢者には特に注意が必要です。


 イレウスとは、さまざまな原因により腸内の運行が途絶され、上部消化管から肛門方向へ腸管内容物が運ばれて行かない事により、生じる病態です。臨床的には腹痛、嘔吐、ガスおよび大便の排出停止、腹部膨満などの腹部症状と、重篤な脱水などの全身症状が現れてきて急激に経過します。したがって、ただちに胃、腸管内容物の吸引減圧が必要で、種類によっては早期に外科手術によって原因を除去する必要があります。
 

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 イレウスは大別すると、器質的な原因で閉塞されて起こる機械的イレウスと器質的に原因が認められず、腸管を支配している平滑筋運動神経の障害に基づく、腸管の運動障害に伴う機能的イレウスに分けられます。

 機械的イレウスは、さらに腸管内腔のみが閉塞されている単純性イレウスと、腸管内腔の閉塞に加えて、閉塞部位を中心に血行障害を伴う複雑性イレウスに分けられます。

 機械的イレウスは、更に腸管運動麻痺による麻痺性イレウスと腸管の一部が持続的に痙攣することによる痙攣性イレウスに分けられます。

 機能的・麻痺性イレウスは腸管内容の輸送停滞であり、まず、腹部膨満感感、ゲップ、ガス(鼓腸)などの症状が現れ、便秘となり、次第に腸管蠕動に同調する間欠的腹痛を訴えるようになる。ただし、癌性疼痛の緩和療法に用いる徐放性モルヒネ鎮痛剤などを使用している場合では、便秘、腹部膨満感は強くても腹痛は顕著とならない場合があるので、常に便通状態のコントロールに注意が必要です。

*薬剤起因性(副作用:スピリーバ)イレウスの大多数は、機能的イレウスです。薬剤の効果が現れると共に、副次的に腸管運動が減弱し、便秘傾向になります。止瀉剤、鎮痛・鎮静・鎮痙剤、鎮痛・鎮咳・去痰剤、抗うつ剤、抗精神病剤、降圧剤、抗不整脈剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、痙性麻痺弛緩剤などでは、薬効発現とは無関係に長期使用中に突然発症し、不可逆的になってしまうことがあります。

*麻痺性イレウスは徐々に症状が出現するため、発症の時期を明確に判定することが困難です。また発症時期は薬剤の使用開始後すぐにみられる場合と、一定期間使用を続けた後に発症する場合とがあります。抗コリン作用を持つ薬剤では、吸入剤でもイレウスが起こる可能性があるので注意が必要です。

 これらを念頭に置き、イレウスを起こしやす薬剤を使用している患者には、常に便通状態に注意し、腹部膨満、嘔気、便秘、腹痛等の症状が続く場合には主治医に連絡し、患者には医療機関を受診するように助言します。

   {参考文献}日薬医薬品情報 Vol13. No.4(2010.4)  日本薬剤師会

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 イレウスによる便秘対策

*便秘予防対策

 日常頻用する精神安定剤、抗うつ剤、鎮痙・鎮痛剤、癌性疼痛緩和剤などの使用にあたっては、あらかじめ患者の日頃の便通状態を十分にチェックし適宜下剤を併用し、水分・食物繊維を十分に摂取させ、患者の便通に対する意識を喚起しておきます。

*便秘対策

 すでに便秘状態にある場合には、下剤を使用する前に、特に高齢者では、摘便や浣腸により排便させ、その後に、腸管蠕動促進剤と腸管水分増量剤(酸化マグネシウムなど)を服用(高マグネシウム血症に注意)させ、急性期には経静脈的に水分補給を行います。

*治療

 すでに便秘を超え、小腸内ガス像、閉塞箇所に腸の内容物が溜まった状態(鏡面像:ニボー像)がみられるイレウス状態では、絶飲食とし、必要に応じ経鼻胃管あるいはイレウス管を挿入し胃液・腸液の吸引を行いながら、十分な経静脈体液補給と共に、抗菌剤を用い、炎症反応に備えます。単なる便秘と侮ると重大な事故につながることもあります。忍耐強い肛門からの摘便・排出促進が必要です。

 一旦、便通が回復すれば短期間で通常生活に復帰できます。しかし、イレウスの症状が改善するには通常7〜10日はかかります。その間の経口摂取は制限し、低カロリー輸液の点滴だけとなるので、抗癌剤治療、消化管手術後患者や精神病療養者で栄養管理が必要な患者に対しては、積極的な栄養管理チーム(NST)の関与が望ましい。
 

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赤芽球癆
セキガキュウロウ
pure red cell aplasia

純赤芽球癆=貧血

重大な副作用として赤芽球癆の記載のあるもの。(当院採用分のみ記載)

アレビアチン注,テグレトール,デパケン・R錠,パナルジン錠,バレリン,ヒダントール錠
ラシックス,リドーラ

 赤血球系細胞だけの産生低下を特徴とする貧血

 白血球、血小板は正常。骨髄中の赤芽球系造血が激減。急性型はウィルス感染や薬剤によって引き起こされ、溶血性貧血の経過中に出現します。急性型の多くは一過性で自然に回復します。

 先天性の例をBlackfan‐Diamond症候群(ブラックファン・ダイアモンド貧血)と呼びます。
急性に起こる例はウイルス感染が関与し、慢性の例は胸腺腫を合併する例や自己抗体が証明される例がありますので自己免疫疾患と考えられています。

 骨髄では赤芽球だけをほとんど認めません。先天性の例では副腎皮質ステロイドで治療し,後天性の例は胸腺腫の摘出,副腎皮質ステロイド,シクロホスファミド,タンパク同化ホルモン,抗リンパ球グロブリン,シクロスポリンAなどで治療します。


メトヘモグロビン血症

 メトヘモグロビンはヘモグロビンの2価の鉄が酸化されて3価の鉄に変化したもので、酸素と結合できず、酸素の運搬ができません。

 メトヘモグロビン血症はヘモグロビンのかなりの部分がメトヘモグロビンになる疾患で、チアノーゼを主徴とします。

 メトヘモグロビン血症は遺伝性のこともありますが、硝酸塩(ニトロール等)などのような薬の副作用で出現することもあります。

 治療として、アスコルビン酸やメチレンブルーを注射します。


黒水熱
コクスイネツ
black water fever
胆汁熱bile fever

塩酸キニーネの副作用

発熱、血尿、黄疸等を血管内溶血


 熱帯熱マラリア流行地に発生する、急激な血管内溶血を呈する発熱性疾患で、キニーネにより誘発されることが多い。熱帯熱マラリアの最も危険な合併症。

 発作時には悪寒戦慄とともに発熱し、貧血、黄疸、ヘモグロビン尿症を示します。

 腎では腎尿細管の変性と尿細管のヘモグロビンによる塞栓があり、急性腎不全のため死亡する例もあります。

 治療としては、キニーネ以外の抗マラリア薬使用による予防と、発作時には輸血、透析療法で対処します。


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