メインページへ

1995年11月1日号 187

ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)

==院内感染に要注意==

   もともと肺炎球菌は、肺炎、中耳炎を引き起こす強毒のグラム陽性球菌でしたが、最近は、ペニシリンGの耐性株が世界的に増加してきており、問題となっています。

 PRSPの耐性機序は、
MRSAと同じくペニシリン結合蛋白PBPsの変化で、特にPBP2Bの親和性の低下が耐性の原因とされています。肺炎球菌は本来院外発症の肺炎等の重要な起炎菌でしたが、PRSPの院内発症例の報告も多く、院内感染症の1つとしても注意する必要があります。

 PRSPは従来も肺炎球菌(PSSP)と同様、肺炎、髄膜炎、中耳炎を発症します。PRSPについては劇症例も報告されていますが、PSSPとそれほど臨床病像・病原性は変わりません。またMRSAのように無症候性キャリアも存在します。

 {参考文献}医薬ジャーナル No.10 1995 MRSAとPRSPの共通点

’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’
[MIC]    ≦0.06μg/ml  感受性
ペニシリンG  0.12〜1.0μg/ml 低感受性
       ≧2μg/ml    耐性

[耐性機序]

 肺炎球菌はもともとβラクタマーゼを産生せず、これによる耐性の出現はありません。PRSPの耐性機序はペニシリン結合蛋白の変化です。
 
 黄色ブドウ球菌のペニシリン結合蛋白には、PBP1、2、3、4の4種類があり、MRSAはPBP2に代わるPBP2’の出現が耐性の原因でした。肺炎球菌のペニシリン結合蛋白にはPBP1B、2A、2B、3があり、PRSPはそのうちPBP2Bの低下が耐性の原因とされています。 PRSPはすべてのβラクタム剤に交差耐性を示すので、βラクタム剤一般に耐性傾向を示します。しかし、第3世代セフェムやカルバペネムに高感受性であり、MRSAのように治療に難渋することは現段階では、ありません。

 ただマクロライド耐性、セフェム耐性など、多剤耐性化が進行中であり、MRSAと同様、最後はバンコマイシンに頼らざるをえない状況が来るかもしれません。アミノグリコシド、ニューキノロンは一般に肺炎球菌に無効であり、PRSPにも効果は期待できません。

 MRSAは、MSSA(通常のブドウ球菌)に比して院内から検出されることが多く、重要な院内感染症菌の1つであることは、よく知られています。PRSPも似たような状況にあります。

 米国CDCのガイドラインによると、MRSAでは、接触感染対策が勧告され、PRSP感染症に対しては飛沫感染対策が勧告されています。

 
1.院内感染症を引き起こす
2.抗生物質の乱用が背景にある
3.感受性菌と耐性菌とで臨床病像・病原性は変わらない。
4.無症候性キャリアが存在する
5.ペニシリン耐性からはじまり、セフェム耐性など高 度多剤耐性化傾向がある
6.グラム陽性球菌
7.耐性機序が同じ、ペニシリン結合蛋白の変化

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<追加記事>

PRSPの耐性メカニズム

 形質転換(transformation)

 口腔内連鎖球菌等のDNAを肺炎球菌が取り込み、都合の良い部分だけを利用して自己DNAとの相同組み換えを起こす耐性獲得です。

 このような耐性菌に従来効果があった抗菌薬を使用しても除菌することは出来ません。

 また感受性の肺炎球菌だけが除菌され、耐性を獲得した肺炎球菌だけが残ることになります。

 
抗生物質によって死滅した口腔連鎖球菌等のDNAを肺炎球菌が細胞内に取り込む。
       ↓
 形質転換によるキメラ遺伝子の生成
       ↓
 相同性の高いDNAと組み換え:耐性ブロックの挿入
       ↓
 PBP遺伝子との組み換え
       ↓
 モザイク状に繋ぎ合わさったキメラ遺伝子となり、PBPの変化や莢膜産生能をもたらす。

                 出典:薬事 2003.5

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<<マクロライドの耐性機構>>

 ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)による耐性機構は、βラクタマーゼではなくpbp2x、もっとも強烈なのは、pbp1α、2x、2bの変異によるもので、マクロライド薬耐性は、マクロライドのメチル化(ermAM遺伝子)と排出ポンプ機構(mefE遺伝子)によるものです。

文献:遠藤廣子「PRSP感染症(中耳炎。髄膜炎を中心に)化学療法の領域16(9)1463-1471(2000)


メインページへ

市中肺炎の原因菌と耐性化

2001年12月15日号 328

 市中肺炎の原因菌の多くは本来弱毒菌で、宿主状態や菌種によっては重症化の可能性があるものの、つい最近までは耐性菌が関与することは少なく、特に最も重要と考えられている肺炎球菌は、ほとんど全ての抗菌薬に良好な感受性を示していました。

 しかし、日本国内では1990年代に入って、多剤耐性化が進み、特にペニシリン系、セフェム系、マクロライド系などの肺炎球菌耐性化率は世界でもトップクラスとなってしまっています。

 細菌性市中肺炎の原因菌としては、肺炎球菌に次いで多いとされるインフルエンザ菌の新しい耐性菌、βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性(BLNAR)株の領域も非常に高くなっています。

 更に、昨今市中肺炎での重要性が再認識されているものに、非定型肺炎の各種病原菌があります。マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなどで、その頻度が従来の認識よりかなり高いのではないかということが、診断方法の進歩によって明らかになりつつあります。

 欧米のガイドラインでは、マクロライド系やテトラサイクリン系が外来治療の第一選択薬として推奨されていますが、わが国では、マクロライド耐性率は70%前後、テトラサイクリンでも60%と極めて高くなっており、細菌性肺炎も含めての市中肺炎で、もはや第一選択薬とはならないのが現状です。

 この秋に公表された「抗菌薬使用の手引き」の中では、市中肺炎を細菌性と非定型型肺炎に区別して第一選択薬を選ぶように設定されています。

[非定型肺炎]

・マイコプラズマ〜若年者(60歳未満)、肝機能異常、集団発症

・オウム病〜鳥類との接触、劇症経過、中枢神経症状、比較的徐脈

・レジオネラ〜旅行(温泉)歴、中枢神経症状、比較的徐脈

・肺炎クラミジア〜集団発症


 <<患者状態群別第一選択薬>>

T群:60歳未満、基礎疾患無し、外来

 経口:クラリスロマイシン、ミノマイシン
 注射:ミノマイシン

U群:60歳以上、感染症の経過に影響すると思われる基礎疾患無し、外来

 経口:フロモックス等
 注射:アンピシリン、ロセフィン等

V群:年齢を問わず、感染症の経過に影響すると思われる基礎疾患有り、少なくとも初期経過観察のため短期間の入院が望まれる患者。

W群:年齢を問わず、入院が必要とするが重篤でない患者。

 注射:ハロスポア、ユナシン等

X群:年齢を問わず、集中治療室管理もしくは人工呼吸器装置を必要とする重篤な患者

*エンピリックセラピー

 カルベニン、ファーストシン、チエナム、メロペン、ダラシンS等

出典:呼吸器感染症(1)市中肺炎、抗菌薬使用の手引き、
   日本感染症学会、日本化学療法学会編 {参考文献}医薬ジャーナル2001.11


 *エンピリックセラピー

 empiric:経験、検討。藪医者の意味もあり。

 病原菌の種類、耐性を十分に意識して抗菌薬を選択する必要がありますが、現実の臨床の場では、それらが明らかな上で治療を開始することはほとんど不可能で、いわゆる経験的に薬剤を選択するエンピリック・セラピーとなります。

   empiric therapy 〜微生物を推定することが前提  

    ↓

* definite therapy〜微生物を同定することが前提

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
メインページへ

De-escalationとは

2012年2月1日号 No.560

 病歴から耐性菌関与の可能性を推定し、耐性菌関与が疑われる院内肺炎では、カルバペネム系のモノセラピーやグリコペプチド系との併用療法など、広域スペクトラムを持つ抗菌薬を積極的に用い、並行して行われる原因菌検査の結果を待って、より狭域の抗菌薬に照準を絞って変更する戦略 (2005年、米国胸部学会、米国感染症学会)

  {参考文献}メディカル・トリビューン 2009.2.5 、 薬事2012.1            
   
’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’
 抗菌薬選択の前に、既往歴について十分問診を行い、過去の抗菌薬によるアレルギー歴を必ず確認し、一般的には、感染臓器に起因する微生物を想定したら、培養結果が出るまでは各種感染症のガイドラインやアンチバイオグラムなどを参考に、また提出した検体のグラム染色の結果が陽性菌なのか陰性菌なのかなどの情報から、経験的治療(empiric therapy)を開始します。

レジオネラ、結核菌などグラム染色で染まらない微生物もありますが、グラム染色は15分程度で行うことができ抗菌薬の選択に有用であるため必要があれば微生物検査室に至急依頼し確認します。培養結果がでればそれにあった抗菌薬に変更または中止するDe-escalationを行います。

※ De-escalation(streamliningともいいます)

 2つの段階からなり、先ず第一段階として予後を改善するためにinitial appropriate therapy(IAT:起因菌に活性のある抗菌薬を使用)を行うために、適切な抗菌薬治療が遅れないよう初回から広域抗菌薬の選択や、必要に応じて抗菌薬併用療法を行います。

 第2段階(これが本来のDe-escalation)として培養結果や臨床経過などから数日後には狭域抗菌薬に変更し、培養陰性など抗菌薬が不要と判断された症例では中止を行います。

 あくまでも、sepsisや人工呼吸器関連肺炎などの重症感染症が対象で、通常第一段階と第二段階をあわせてDe-escalationと呼んでいますが、概念を理解するためにはIATとDe-escalationを別々にとらえることが勧められています。

 米国感染症学会(IDSA)のガイドラインより

<Step1>

 抗菌薬治療を開始する前に培養検体を採取します。これは即時的というよりも、今後の棄てStep2でのDe-escalationのために必要です。  抗菌薬が使用された後では、菌が検出されないこともあります。ただし、検体採取に時間をとって抗菌薬治療の開始が遅れてはなりません。

 IATは、severe sepisis,sepitic ahockにおいて予後を改善することが報告されており、また各細菌や真菌でそれぞれの予後を良好にすることが証明されています。

 ガイドラインにも「経験的抗菌薬治療には、予想される病原体すべて(細菌、真菌)に対して活性があり、感染源と思われる部位に十分に移行性のある抗菌薬を1種類または複数使用する」と述べられています。

<Step2>

 De-escalationを行う必須条件は、初期治療で良好な臨床反応を示した患者を対象とすることであり、変更時期は3日目で、それまでの臨床経過を参考に3日目朝に得られる培養結果から、起因菌の感受性に応じて抗菌薬を変更します。

 具体的には広域を狭域に、併用を単剤とし、治療期間は8日間に短縮化します。人工呼吸器関連肺炎で、抗菌薬使用期間を8日と15日で比較したところ治療効果や予後に差がなく、感染再燃時の多剤耐性菌分利率が8日と低率であったことから、IATが行われ経過が良好であり免疫能低下患者でなければ、画像や炎症所見が完全に改善していなくても抗菌薬は中止可能とされています。


特定薬剤管理指導加算(この記事は薬剤師向けのものです。)

*算定間違いの多い例 Q&A

Q1:特定薬剤管理指導加算の対象となる「免疫抑制剤」に副腎皮質ステロイドは 含まれますか?

A:薬効分類245「副腎皮質ホルモン剤」に属する副腎皮質ステロイドの内服薬、注射薬および外用薬は含まれます。
  副腎皮質ステロイドの外用剤のうち、その他の薬効分類(131「眼科用剤」、132「耳鼻科用剤」225「気管支拡張剤」、264「鎮痛、鎮痒感、収斂消炎剤」等)に属するものについては含まれません。

Q2.特定薬剤管理指導加算の対象となる 「血液凝固阻止剤」にアスピリンは含まれますか?

A:血液凝固阻止目的で長期服用するアスピリンは含まれますが、解熱・鎮痛を目的とする場合は含まれません。

Q3.特定薬剤管理指導加算の対象となる「血液凝固阻止剤」にはどのような医薬品が含まれますか?

A:ワーファリン、パナルジン、プレタール等ですが、エパデール、アンプラーグ、ドルナー、プロレナール等は含まれません。

Q4.特定薬剤管理指導加算の対象となる「精神神経用剤」にはどのような医薬品が含まれますか?

A:薬効分類117「精神神経用剤」に属する医薬 品のみが対象となります。薬効分類112「催眠鎮静剤剤、抗不安剤」、薬効分類116「抗パーキンソン剤」は含まれません。

Q5.複数の適応を持つ医薬品で特定薬剤管理指導加算の対象範囲とされている適応以外の目的で使用されている場合でも、算定可能ですか?

A:対象範囲以外の目的で使用されている場合には算定は認められません。

 {参考文献}大阪府薬雑誌 2011.12 


メインページへ

NHCAPとは

〜〜医療・介護関連肺炎:Nursing and Healthcare-Asosiated Pneumonia〜〜

2011年11月1日号 No.555

 肺炎は、現代においても罹患率、死亡率が高い重要な疾患です。これまでの肺炎は、原因菌や重症度の違いから市中肺炎(CAP)、院内肺炎(HAP)の2つに大別され、日本呼吸器学会からはそれぞれの肺炎診療ガイドラインも作成されていました。

 しかし近年の超高齢社会や医療技術の進歩に伴い、この2つの型には単純に当てはめにくい肺炎群が存在することが明らかになってきました。
 医療ケアや看護を必要とする患者に発症する肺炎がそれで、これらの肺炎を日本呼吸器学会では、医療・介護関連肺炎(NHCAP)と呼ぶこととし、新たに診療ガイドラインが作成されました。

 高齢者で誤嚥性肺炎により入退院繰り返す奨励や、介護施設の入所者、通院で血液透析を受けている患者などは、これまで市中肺炎(CAP)として扱われてきましたが、これらの肺炎患者は市中であっても重症化しやすく、耐性菌のリスクも高くなっています。

 また、療養病床で発症した肺炎はこれまで院内肺炎(HAP)として扱われてきましたが、急性病床やICUでのHAPと比較すると、それ程 重症度は高くありません。このように、純粋なCAP,HAPとは異なる肺炎群が、医療ケアや介護を受けている患者を中心に数多く存在していることが、明らかになってきました。

 肺炎治療に際しては、(1)原因菌、(2)重症度の2点が重要ですが、さらに(3)宿主の状態によりフォーカスした第3の肺炎群をCAP,HAPと区別することで、より適切な治療を行うことができると考えられています。

 さらにCAP、HAPはより患者層が均一化することで、これまで以上に質の高いガイドラインを示すことができると思われます。

 NHCAPは結果としてこれまでのCAP、HAPから「高齢者の肺炎、予後不良の肺炎」を中心としてすくい上げる形となっています。このような肺炎患者に対しては、診療に際して倫理的な面も考慮しなければなりません。

 例えば、重症のNHCAP症例のすべてに対して機械的に強力な治療を選択することは、むしろ患者を苦しめてしまう可能性がありえます。

 従って、治療方針の決定においては、患者個々の病態、、背景、家族関係等を最もよく知る主治医が、本人、家族の意向を考慮しながら判断することをNHCAPガイドラインでは推奨しておりこれまでのCAP,HAPのガイドラインにはなかった配慮がなされています。

 NHCAPでの原因菌は、CAP同様に肺炎球菌が最多です。耐性菌のリスクが少ない群では、MSSA,G(-)腸内細菌の頻度が高いことがCAPとの違いです。

 耐性菌のリスクを持つ群では、リスクのない群で分離される菌群に加えて緑膿菌、ESBL、産生腸内細菌、アシネトバクター類、MRSAなどの耐性菌が分離されやすい傾向にあることに留意します。

 NHCAPには様々の多様性があり、分離菌の分布や耐性菌の頻度には地域や施設によって異なります。そのため自施設のアンチバイオグラム(注:下記)などのデータを参考にして抗菌薬を選択していくことが望ましいと思われます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(注)・CAP:Community-Acquired Pneumonia
   ・HAP:Hospital-Acquired Pneumonia
   ・アンチバイオグラム  種々の最近の抗菌薬に対する感受性を一覧表に したもの。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
* NHCAPの定義〜高齢者の感染症

1.長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している
2.90日以上に病院を退院した
3.介護を要する高齢者、身障者
4.通院で継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制等による治療)を受けている


    NHCAPの治療区分と抗菌薬選択 

<NHCAPの治療区分と抗菌薬選択>

A群〜人工呼吸器管理やICU等での集中管理を必要としない患者で入院の必要もない。

                                       (当院採用薬のみを記載)
AMPC/VA or マクロライド(CAM or AZM) クラバモックス+マクロライド(クラリスロマイシンorジスロマック)
or GRNX,MFLX or LVFX クラビット
or CTRX+マクロライド(CAM or AZM) セフロリアキソン注+マクロライド(クラリスロマイシンorジスロマック)

B群〜人工呼吸器管理やICU等での集中管理を必要としない患者で入院が必要だが耐性菌のリスク因子がない。

CTRX or SBT/ABPC セフロリアキソン注 or スルペラゾン注(アンスルマイラン、ワイスタール)
or PAPM/BP カルベニン注 

C群〜人工呼吸器管理やICU等での集中管理を必要としない患者で入院が必要だが耐性菌のリスク因子がある。

TAZ/CS or IPM/CS MEPM or DRPM メロペンorフィニバックス
or CFPM or CPR + CLDM セフピロム+クリンダマイシン注(ケイテン、ブロアクト)
pr CPFX or PZFX + SBT/BPC ± MRSAリスク(+) VCM,TEIC or LZD  *バンコマイシン、タゴシッドorザイボックス

D群〜人工呼吸器管理とICU等での集中管理を必要とする。

TAZ/PIPC
or IPM/CS,MEPM or DRPM メロペンorフィニバックス
or CFPM or CPR + MTZ or CLDM セフピロム+クリンダマイシン注
+ CPFX or PZFX or AZN
± MRSAリスク(+) VCM,TEIC or LZD ; *バンコマイシン、タゴシッドorザイボックス


   {参考文献} 医薬ジャーナル 2011.10


プラセボのメカニズム

 プラセボはオズの魔法使いなのか(3)

{参考文献}薬事 2001.7

 作用のないプラセボがインプットされたとき、アウトプットとしてプラセボ反応という事象が見られます。そこには何らかのメカニズムが存在し、いくつかの説明的モデルが提示されています。さらに、そこには反応の大きさなどに影響する様々な介在因子がありますが、どれかの説明的モデルを強く示唆しているわけではありません。

 なお、介在因子としては、1,患者の因子、2.医療者の因子、3.医師−患者関係や施設的な環境、手順など幅広い因子が考えられています。

1,患者の因子:薬物治療経験、期待、疾病、性格特性、心理状態など
2,医師の因子:説明・教示、期待、態度、経験など
3,医療環境に因子:医師−患者関係、薬剤の色、施設環境や手順など

説明的モデル
(1)条件付け:プラセボ反応を条件付けされた反応あるいは性質として捕らえるもので、習得に主眼があります。パブロフの犬

(2)予期(期待)および不安の軽減:治療に対する予期あるいは期待に着目し、プラセボ反応はその変化に基づく心理的・生理的影響から生じてくるというもの。
 予期は時別の状況や場面での無意識の予想。予期症状が悪いときには良くなるよう期待する心理が元来あり、多分こうなるであろうと言う予期あるいは期待をたいていの人は持っています。プラセボはこれを増強ないし修飾する可能性があります。

 不安の軽減は、まず不安への予期というものがあり、プラセボはデメリットを最小化します。つまり、不安を軽減する結果として心理的・生理的影響が生じてくるというものです。プラセボを「気休め」というように呼ぶ人も居ますが、気が静まることは重要なことで、その積極性を見つめ直してみる必要はあります。

(3)暗示:プラセボ反応は暗示による心理的・生理的影響に類するものであろうという考えは最も流布されている考えです。しかし暗示のメカニズムの実像は必ずしも明確ではありません。

(4)オピオイド:プラセボにより内因性オピオイドペプチド(エンドルフィン)が放出され、この結果、疼痛が減弱するのではないかというもの。ただし、プラセボ反応での神経ペプチドの情報伝達機構や機能的関連の詳細は分かっていません。    (続く)

               {参考文献} 薬事 2001.7

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ノセボ反応
nocebo

自らが病気にかかることを予測することが実際に病気を引き起こすことや、症状を誘発する暗示により、実際に症状が誘発されることが良く知られており、これらの現象はプラセボ反応に反して、ノセボ反応と呼ばれています。


<<医学用語辞典>

アロマターゼ

エストロゲン合成酵素


 乳癌の増殖に関わるエストロゲンの生成経路は閉経状態によって異なり、閉経前では卵巣由来のエストロゲンが、閉経後では副腎由来のアンドロゲンがアロマターゼによってエストロゲンに変換される経路が主体となります。

 このアロマターゼは、生殖系のみならず、脂肪組織や筋肉、肝臓などに広く分布すると同時に、乳癌組織にも存在し、乳癌細胞へのエストロゲンの供給に重要な役割を果たしていると考えられています。

 閉経後女性では、卵巣機能の低下により、末梢組織等でアロマターゼの発現が亢進した状態にあり、閉経後乳癌の治療では、アロマターゼを阻害することが重要になります。

  出典:アストラゼネカ資料


インプラント

 重症の聴覚障害者の聴力を改善するための器具
シリコンとチタンで出来ており、従来は頭蓋骨を切開して埋め込んでいましたが、近年、耳の付け根の後ろを3pほど切手埋め込む新しい外科手術の方法が開発されました。
 それにより、感染症が大幅に減るほか、大きな傷跡が及ぼす心理的な影響もなくなりました。

  出典:日本経済新聞 2001年10月26日

メインページへ