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Get the Answers運動

昭和63年7月15日号 No.26


薬物治療への患者の参加

 

Get the Answers運動とは、1983年より米国FDAの後押しで非営利団体であるNational council Patient Information and Education(患者への情報提供と教育に関する全国協議会:NCPIE
が推進している運動で、米国内ではテレビを利用するなど幅広く、かつ積極的に行なわれています。

 その趣旨は、患者が自分たちのために処方された医薬品に関する基本的な疑問を医療専門家に質問するようにしむけていこうとするもので、医師・薬剤師およびその他の医療専門家が患者が必要とする医薬品情報を提供するのを助けることを目的としています。

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<NCPIEの活動指針より抜粋>

 薬物療法が安全かつ効率的になされるためには、患者が医薬品の正しい使用法、危険性及び注意事項を理解しているかどうかにかかっています。こうした理解を得るには患者と医療専門家との間に良好なコミュニケーションが鍵となります。

 NCPIEが打ち出した5つの質問事項(下記)について、患者が答えを求めることは患者と医療専門家の対話を刺激し、患者が薬を正しく使用するための必要な情報が与えられ、更に患者に薬の使用についての指示が与えられる必要があることを医療専門家に認識させうると期待できます。

 わが国でも「薬が分かる本」が出版され良く売れていることなど年々患者の意識も変わりつつあり、日刊誌にもとりあげられる(s63年7月9日)様な情勢になり、厚生省でも近く患者指向の服薬指導の通達を出す方針であるとされています。

当薬剤部でも患者への服薬指導についてより一層積極的に行っていきます。

Get the Answers

NCPIEの5つの質問→次の質問をしてみましょう。

・医薬品の名称、そして予期される作用は?
・どのように、いつ、どれだけ長く飲むのですか?
・その薬の使用中に避けるべき食物、飲み物、他の薬剤、そして作業
・副作用はないのか?副作用が生じた場合どうしたらよいのか?
・その薬の説明書はありますか?

(上記の質問は米国でのものです。)


<<用語辞典>>

MPO-ANCA関連腎炎

出典:日本内科学会雑誌 2001 No.8

 MPO-ANCA関連腎炎は、細菌新しく提唱された概念で、血清中に好中球の細胞質内α顆粒内の酵素であるミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する自己抗体(MPO-ANCA)を認め、腎臓の毛細血管の壊死性血管炎により急速進行性糸球体腎炎(RPGN)を効率に呈し、同時に肺出血・間質性肺炎を多く認めます。あるいは血尿、慢性腎炎、慢性腎不全症候群を示します。

 高齢者で先行感染症状、貧血、全身倦怠感などの前駆症状後に急速進行性糸球体腎炎(RPGN)を呈した場合に、第一に念頭に置くべき疾患です。

 早期診断、至適免疫抑制療法が有効で、感染症対策に注意を要します。

ステロイド、シクロフホススファミド、イムラン等


<医学辞典>

飛蚊症
ひぶんしょう

出典:治療 2002.3

 硝子体内の混濁が網膜に投影されたときに自覚する黒い陰(蚊が飛んでいるように見える)

 硝子体はコラーゲン、ヒアルロン酸、水分などから成り立っているゲル状組織で、硝子体内の混濁はある程度可動性があり、眼球運動に伴って動きます。

 飛蚊症には、硝子体融解だけの飛蚊症と後部硝子体剥離に起因する飛蚊症があります。

 硝子体融解だけのものは、硝子体ゲル内の液化した部分とコラーゲン繊維が濃縮した部分が生じるもので、通常病的なものでなく生理的飛蚊症と呼ばれています。

 後部硝子体剥離は、加齢に伴う硝子体の液化変性により、硝子体ゲルが網膜から分離(後部硝子体剥離)することで、液化硝子体の後方移動とともに前方の硝子体ゲルが虚脱状態となります。このような場合には、通常、飛蚊症や光視症を自覚することが多いとされています。中高年の網膜剥離にはこのような後部硝子体剥離に起因して発症するものが多く、このようなタイプの飛蚊症は病的な変化が生じていることがあるので注意が必要です。

 後部硝子体剥離により網膜裂孔を生じた場合には、硝子体混濁だけでなく、裂孔を介して硝子体腔内に遊出してきた網膜色素上皮細胞や、裂孔周囲の網膜血管が破綻したために生じる裂孔原性硝子体出血が飛蚊症の原因になることもあります。網膜裂孔だけの場合には網膜レーザー光凝固や冷凍凝固などの予防手術を行い、網膜剥離を発症した場合には観血的網膜復位術を行います。

 眼内に炎症を生じるぶどう膜炎などのような疾患では、硝子体腔内に炎症細胞が増加したり、炎症に起因した硝子体混濁が発生するために飛蚊症を自覚することがあります。

 眼内炎症の原因としては、細菌、真菌、ウイルス、寄生虫などの感染症も含まれます。

 治療は原因治療やステロイドなどです。混濁による視力障害が強い場合には硝子体手術などが必要になります。

 硝子体出血は糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などに起因することが多く、この場合はもう片眼の眼底状態に注意を払う必要があります。

 1992年調査では、85%は生理的飛蚊症で、病的飛蚊症では網膜裂孔7.5%、硝子体出血2.5%、糖尿病網膜症0.5%、ぶどう膜炎0.5%、網膜剥離0.5%でした。

 急に自覚した飛蚊症であっても治療を要するものは10%前後ですが、治療の遅れにより予後不良となる場合もありますので、なるべく早期に眼科医を受診することが大切です。


AMD
age-related macular degeneration

加齢黄斑変性


症状:視界がゆがむ、暗く見える、欠けて見える。

網膜の中心にある“黄斑”に異常が生じる疾患で2つのタイプに大別できます。

1.黄斑が萎縮する萎縮型AMD〜進行が遅くゆっくりと視力が低下
2.脈絡膜に新生血管ができ、網膜に浮腫や出血を引き起こす滲出型AMD
    〜視力が急激に低下し失明する可能性。日本人に多い。

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PDT
photodynamic therapy
光線力学療法

ポルフィリン骨格などを持つ光増感剤が、特定波長のレーザー光を受けると、基底状態に戻るときのエネルギーにより、組織中の酸素分子から活性酸素を生成します。これにより細胞を傷害する方法がPDTで、活性酸素による細胞毒性をうまく利用した治療法です。

PDTは、光照射された部位だけが光増感剤が働くため、基本的にはその部位への副作用は現れません。しかし市販されているPDT製剤では、光増感剤の癌集積量極めて少ないため、光増感剤の腫瘍集積性を高める目的で、DDS製剤化が行われてきました。

さらにDDS技術を利用し、腫瘍新生血管への標的化を行うことにより、癌治療効果が増強することも明らかになっています。

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ビスダイン
光線力学的療法
PDT:photo-dynamic therapy


 加齢黄斑病変(AMD)は、加齢に伴い生じる黄斑の異常で萎縮型と滲出型に大別されます。
前者は網膜色素上皮と脈絡膜毛細血管の萎縮病巣が形成されるもので、比較的視力予後は良好です。

 後者は脈絡膜新生血管(CNV)が生じ、急速に視力低下を来します。特に中心窩下にCNVが存在する場合は、視力予後が悪くなります。

 近年、中心窩下CNVに対し、網膜への侵襲がより少ない治療法として光線化学療法(PDT:photo-dynamic therapy)が注目されています。

 PDTは、光感受性物質の光化学反応を応用した治療法で、これまで癌の治療に用いられてきましたが、選択的に血管を閉塞させることができることから、CNVの治療にも用いられるように成りました。

 ビスダイン(ベルテポルフィリン)は、眼科で臨床使用できる初めてのPDT用製剤でその有用性が期待されています。

 出典:医薬ジャーナル 2006.3

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