ト       


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性格と病気

 

天気がよいと盲腸になる?

 

口を開けて寝るのは危険です!! 

 

幸福感は健康に好影響  
身長と脳卒中死亡率  
乳酸は疲労の原因物質というのは間違い!  
日本語は英語だった。(確証バイアス)  

胃・十二指腸潰瘍になりやすい患者

 

飲酒と血圧 / 酒は心血管疾患には百薬の長?

 

どの酒が体に良いのでしょうか? / 体に良い脂質は?

 

スポーツは果たして身体に良いか /運動と癌予防

 

ニコチン依存と禁煙指導 / 喫煙は病気である。 

 

ニコチン依存症は麻薬より怖い?  

ゴルフプレイ中の急性心筋梗塞

 

働き盛りの突然死 / 子供の突然死(肥大型心筋症)の予防

 

熱(発熱)は生体の防御反応

 

唐辛子で肺炎予防 / ゴホンといえばPPI(咳の原因は食道炎?)

 

風邪の種類と症状 /パンデミックウイルス(新型インフルエンザ)

 

海洋深層水によるアトピーの治療

 

ズーノーシス(動物由来感染症) / 寄生虫症の現状

 

白癬症とスポーツ

 

鍋焼きうどんとお粥 風邪をひいたときはどっち  
グルココルチコイドで恐怖感も和らぐ!  

患者一人一人の物語に基づいた医学“NBM”とは

 

67歳以上の高血圧患者でCa拮抗剤による消化管出血

 

無理な血圧効果療法は脳梗塞リスクを高める。

 

O157が急増した理由 / 溶血性尿毒症症候群とは(HUS)

 

ピロリ菌と慢性頭痛 / ピロリ菌感染と関連が指摘されている疾患

 

カルシウム拮抗剤によるパーキンソン病

 

ギャンブルとパーキンソン病の関係  

インターフェロン療法の落とし穴

 

BCG瘢痕と喘息の関係

 

コレステロール値の高い人ほど長生き

 

ダイエットで長生き?

 

減塩は好ましくない!?  

出生時体重と成人後の高血圧

 

摂食促進物質グレリン / レプチンと肥満

 

肉や糖分を摂らないと「うつ病」になる!

 

若者のうつ病(ディスチミア親和型うつ病)  
  軽症うつ病の治療戦略/ 現代型うつ病(最近のうつ病の傾向)

倹約遺伝子

 

動脈硬化危険因子としての感染症

 

インスリンとレプチンによる食欲抑制作用

 

老化を抑制し寿命を延長するホルモン発見  
長生きをするための秘訣  
アトピーはなぜ治らなかったのか  
亜鉛と免疫  / 亜鉛と認知症
熱中症(新しい重症度分類)

カレーの薬効

 

緑茶の効用 / 茶寿(薬よりよりもお茶がよい)

 

鮭とトマトで健康増進

 

ニンニクの癌に対する作用

 

ビタミンCの取り過ぎに注意

 

テレビを見ると寿命が縮まる?!!  

プロポリス / 代替医療

 

ほうれん草を食べると貧血になる

 

健康食品による薬物性肝障害
鉄分を含むサプリメントは要注意(C型 肝炎では悪化)  

健康長寿志向の罠(健康食品の問題点)

 

コーヒーで肝癌予防

 

ストレスは寿命を延ばす?

 

炭焼きビーフで薬効がダウン
友人がいれば、血圧は下がる。   
睡眠と血糖値の関係 / 昼寝(午睡)が心臓死の予防には効果的 
降圧剤に頭痛予防効果  

ビールの放射線保護作用

 

タバコでストレスが消えるのはうそ / リセット禁煙

 

タバコと胃潰瘍 / 禁煙:嗜好から病気へ

 

タバコの煙が病気を起こすメカニズム

朝食欠食者のライフスタイル

 

原子力発電所災害とヨウ素剤

 

STRESSによるストレスの解消法  
古代人の残してくれた遺伝子が現代病の原因だった。  
尿酸値が人類で高いわけ(失楽園との関係)  
温泉の効果   

ロハス:LOHAS

 

PSA検診は疑問

傷に消毒剤は間違い!

ピロリ菌感染と関連が指摘されている疾患 水にまつわる科学・非(ニセ)科学

虫歯の治療としてのリプレイスメントセラピー

男性更年期障害

歯周病が全身疾患に及ぼす影響 薬効の男女差

212 ・トピックス     

 ゴルフプレイ中の急性心筋梗塞
〜急性心筋梗塞の危険因子3〜         (脱水が発症の引き金か)


 ゴルフプレイ中の心筋梗塞発症例では、濃厚な喫煙歴や肥満がみられる場合が多く、脱水所見もみられることが明らかにされました。また従来からよく言われるパッティング中の発症はむしろ少なく、歩行中の発症が目立ったといいます。

 1988年1月から95年5月までに、著者の病院に収容された急性心筋梗塞703例のうち11例(1.6%)がゴルフプレイ中の発症でした。その11例は全員男性で平均年齢53歳、30歳代も2例ありました。そのうち10例が1日20本以上の喫煙者で、8例が肥満、高脂質血症(T-Cho 230mg/dl以上またはHDL-Cho 40mg以下) が5例,高血圧症4例、糖尿病2例でした。また、7例に脱水所見が認められましたが、夏場に集中しておらず、季節的な傾向はみられませんでした。さらに、起床が早い、前日の夜更かしなどで睡眠不足が9例ありました。

 プレイ中の歩行時に発症したものが7例あったのに対し、パッティング中は1例のみでした。さらに、梗塞前狭心症のない初回発作7例のうち、6例が発症直前に飲酒しており、3例が朝食時に飲酒し、アウト2〜4ホ−ル目で発症、残り3例は昼食時に飲酒し、インの2〜4ホ−ル目で発症していました。

 脱水所見ありとされた例は、冠動脈所見と併せて考察すると、やはり血栓の関与がプレイ中の心筋梗塞発症の大きな因子として考えられ、予防としてプレイ中の水分管理の重要性を著者は指摘しています。一般にゴルフプレイ中には1時間に約 500mlの水分が喪失するといわれ、水分補給をせずにワンラウンドプレイをすると体重が約2kg減少します。途中で水分補給のできる場所はハ−フで1カ所程度のため、水筒などを持参して少しずつ水分を補給することが重要です。
 
 アルコールは利尿作用があるため、むしろマイナスと言えます。水分補給には塩分を少量含んだものが望ましく、スポーツ飲料が手軽ですが、塩分が少し濃いという説もありますので、やや薄めにした方がよいと思われます。

 ゴルフはレジャーかスポーツかという議論は、とかく意見の分かれるところですが、少数とはいえ現実にプレイ中の急性心筋梗塞発症例があることから、ゴルフをスポーツとしてとらえ、より科学的な管理を心がけるべきだとされています。
           
 従来パッティング中に発作が多いと言われてきましたが、これは過去にアイゼンハワ−大統領が心筋梗塞発作を起こし、主治医からパッティングはしないように指示されたことから、パッティングは危険というイメ−ジが定着したことが発端であるとされています。

          出典:Medical Tribune
   順天同大学伊豆長岡病院循環器科 冨原均                     


188 ・トピックス     

風邪の種類と症状

ライノウイルス
 鼻がおかされる、普通感冒といわれるタイプ
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど。熱などの全身症状は少ない。年中流行、子供から大人までかかる。

HRV:ヒトライノウイルス(ピコウイルス科)*HRVは風邪症候群の主要な原因ウイルスの1つです。風邪症候群の50%以上がこのウイルスに起因するといわれ一年を通じて流行が見られます。

 一般にHRVは鼻かぜの原因ウイルスとして知られ、発熱、鼻炎、咳、咽頭痛などの比較的軽度な上気道炎症状を主体としますが、乳幼児や免疫不全者が感染すると重症の肺炎を引き起こすこともあります。また、急性の喘息悪化要因の1つでもあります。

 HRVは100以上もの血清型が存在するために繰り返し何度でも感染するやっかいなウイルスです。

 現在、このウイルスに対する化学療法剤が開発中でいくつか開発中で中でも丸石製薬のMRL2471が有望視されています。(出典:治療 2002.11)


ヘルパンギーナ
 咽頭が主。咽頭の奥に小さな発赤を伴った水泡ができる、のどの痛みを訴える。1週間で治る。

              詳細はこちらをご覧下さい。

手足口病〜エンテロウイルス
 上記ヘルパンギーナの仲間で、のどだけでなく名前のように手足口に小さな赤い水泡を含んだ発疹が多数できる。熱はときにある。約1週間で治る。
夏に流行する。子供が多いが大人もかかる。3種類あるので3回かかることもある。

                 詳細はこちらをご覧下さい。

プール熱(咽頭結膜炎)〜アデノウイルス
 咽頭と目の結膜がおかされる。プールを介して流行。喉が赤く腫れ痛む。首のリンパ節も腫れる。結膜は充血して痛む。熱は4〜5日続く。約1〜2週間で治る。夏流行する。胃腸症状のあるときもある。

インフルエンザ〜子供がよくかかり、鼻かぜがなかなか治らないときはC型。A、Bは風邪の王様

溶連菌(溶血性連鎖球菌)
 典型的な場合、喉が赤く腫れ、扁桃に膿がつき、苺のような舌になり、体に細かい発疹がでる。喉が痛み、高い熱が4〜5日続き症状は重い。1〜2週間で治る。冬、子供に多い。抗生物質が有効。

クループ〜パラインフルエンザ
 ジフテリアのときにみられる犬の遠吠えのような咳をする。ひどいと呼吸困難、チアノーゼを呈する。子供がかかる。

RSウイルス
 気管から肺までの下気道が主におかされ、気管支炎、肺炎を起こす。咳がひどいと呼吸困難、チアノーゼを呈する。乳幼児に多い。春、夏にかけて流行する。

マイコプラズマとクラミジア
 インフルエンザにまぎれて発病すると診断がつかない。マクロライド、テトラサイクリンがよく効く。大人も子供もかかる。

 {参考文献}日本薬剤師会雑誌 11 1995


95.11.1 187 ・トピックス  

海洋深層水によるアトピー性皮膚炎の治療

 アトピー性皮膚炎の治療としてはステロイド外用剤、ダニをはじめとする原因抗原除去法、抗アレルギー剤、スキンケアーなどの有効な方法があります。しかしこれらをもってしても治療の困難な症例が存在し、各方面で新たな治療法が模索されています。数年前から、国立小児病院などで海水浴が有効であることが報告されており、これにヒントを得て深層水治療が生まれました。
 
 海水は水深200mを境に表層水と深層水に2分され、両者は性質も違っています。表層水は太陽光線が届き、多くの生物が存在し、リン酸塩、硝酸塩などの栄養物質は消費されるために少なくなっています。これに比して深層水は、生物は少なく、栄養物質は豊富で性状は安定しています。
 
 高知県室戸市にある室戸中央病院の臨床研究では、1)深層水を患部に5分間塗布する。2)石鹸を使用して洗い流す。3)軟膏塗布を1日1〜2回行う。1〜2ヵ月ごとに診察し、自作の臨床スコア表に従って、痒み、睡眠障害、紅斑、そうは痕、出血、苔せん化を評価。同時に、末梢血好酸球数、血清IgEを測定
 ステロイドを併用しなかった患者で交感神経判定を行ったところ、有効67.7%、不変25.6%、悪化7.7%:患者総数78名(軽症〜重症 1〜62歳:平均14.4歳ステロイド以外の治療薬は継続、コントロールはなし)

 6ヵ月以上治療を継続した症例では、最初の1〜2ヵ月に大きく改善し、その後もゆるやかに改善していく傾向がみられ、症状がほとんどなくなり、治療を中止した症例が9例となっています。
 末梢血好酸球は、治療前8%以上あった20名のうち、18名(90%)で低下が見られました。血清IgEの変化はなく、また黄色ブドウ球菌の除去効果がありました。
 
 アトピー性皮膚炎が、抗原などの影響で、自然に増悪、軽快を繰り返す疾患であることを考えると、深層水外用は、一定の効果があると判断されます。作用メカニズムなど今後の研究の成果が待たれています。やっぱり、自然の力は偉大ですねえ!

         {参考文献}治療9 1995


95、10、15 186 ・トピックス  

   カルシウムパラドックス

 腎臓結石は”カルシウムパラドックスの石”といわれています。カルシウムパラドックスとは、もともとは、心筋の潅流などを研究している学者から出た言葉です。
     
 あらゆる組織にはカルシウムが必要で、カルシウムが欠乏すると具合が悪い。ところが、カルシウムが欠乏し、そこへカルシウムを余分に注入すると、逆に悪化してしまう。細胞に必要なはずのカルシウムが、かえって悪さをするのです。

 これは、骨という大きな貯蔵場所があることを失念しているからです。

 加齢とともに、カルシウムは骨から、大動脈脳、肋軟骨などに移動します。理屈から言うと骨粗少症の強い人ほど、動脈硬化が多いということになります。(カルシウム移動説)

 動脈だけをみてカルシウムが溜まっているとカルシウムのとりすぎではないかと思ってしまいますが、動脈にカルシウムが溜まっているのは、カルシウムの摂取が足りないからです。

 カルシウムが足りなくなり、少しでも骨から流出すると、それが洪水のようにあふれ出て、動脈などに入ります。カルシウム不足から骨のカルシウムが暴れだす。骨からカルシウムが流出し、腎臓結石ができる。これが”カルシウムパラドックスです。

 カルシウム拮抗剤という名前は誤解を招きやすい。要するにカルシウム関門(チャンネル)のブロッカーであるという文章を以前書きました。

 カルシウムに拮抗すると考えるから、ややこしくなります。カルシウムも血圧を下げます。カルシウム拮抗剤の骨への影響についても、基本的には、カルシウムと同じ方向です。カルシウムは最高のCa拮抗剤なのです。

 健康で過ごすにはたくさんのカルシウムをとることです。カルシウムは陸上に住む生物すべてにとって、もともと足らないのです。皆さんもっとカルシウムをとりましょう。

{参考文献}医薬ジャーナル 9 1995

<追記>

・ カルシウムをとりすぎて、腎臓結石になるのではない。

・特発性高カルシウム尿症という遺伝的な疾患で、腸のコントロールが全く出来ない人。このような患者さんでは、カルシウムをとればとるほど吸収してしまう。

・一般的には、カルシウムのとりかたが少ない人ほど、石がたくさんできる。〜カルシウム パラドックスの石


185

トピックス 「ほうれん草を食べると貧血になる!?」

  ポパイを例に出すまでもなく「ほうれん草」は貧血のときによいと思われています。しかしほうれん草が貧血によくないとする説があります。

 その理由は、ほうれん草に含まれている蓚酸です。蓚酸は鉄の腸管吸収を阻害し、鉄−トランスフェリンとその受容体に関与し鉄のヘモグロビンへの利用を妨げたとの報告があるからです。又、骨ミネラルのカルシウムやマグネシウムにも影響を与えるとされています。

 蓚酸は、この他にも尿路結石への影響がよく問題にされています。蓚酸を含む食品とカルシウム源となる食品とを別々に食べるとそれぞれの成分は腸で吸収され、尿路で蓚酸カルシウムが作られやすくなります。

 しかし、大抵の場合同時に食べるため、蓚酸カルシウムは腸で消化される段階でできるために、吸収されずに排泄されます。

 ほうれん草の中の蓚酸は茹(ゆ)でることによって50〜80%に減少します。大部分の人は茹でたほうれん草を食べていらっしゃるようですから心配はいりません。

 最近では、食品と薬の相互作用のことが随分取り沙汰されるようになりました。ほうれん草は、100g中0.26mgのビタミンKを含むため抗凝血作用を阻害し、ワ−ファリンの作用が減弱されます。又、海外では、大量のほうれん草とPhenelzine(日本未発売)で激しい頭痛や血圧上昇が報告されています。   
 
 しかし、やはり「ほうれん草」はミネラルやビタミンが豊富にふくまれている優れた緑黄色野菜のひとつです。食べ方さえ間違えなければ、すばらしい食品にはちがいありません。

 大切なのは偏食をせず、バランスよく栄養をとることです。ただ残念なことに貧血の食事療法というのは、あまり大きな意味はないということです。                               
                

{参考文献}大阪府薬雑誌 5 1995


67歳以上の高血圧患者でCa拮抗剤による消化管出血
海外トピックス

1997年9月1日号 229

 Ca拮抗剤が高血圧症や冠動脈性心疾患に対し最もよく処方される薬剤の一つです。しかし、心血管系への作用に加え、血小板凝集を阻害し血液凝固にも影響を及ぼします。

 冠動脈性心疾患にはこの作用は有益ですが、この抗血小板作用により出血を助長する可能性があります。消化管出血の発現頻度は年齢とともに増加し、致死率は、かなり高くなっています。

 抗凝固剤や副腎皮質ホルモン剤、NSAIDsなどの薬剤により消化管出血の危険率が上昇することが知られていますが、Ca拮抗剤の危険率に関するデータは今までありませんでした。

 1985〜1992年に68歳以上の高血圧患者1636例[平均75.3歳(68〜94歳)、女性64.4%]を対象に米国で調査を行ったところ、結果は下記の通りでした。

〈消化管出血の相対危険率〉
   ACE阻害剤   772例/年  1.23%
   Ca拮抗剤    1510例   1.86%

Pahor M, et al(Catholic Univ ,Rome,ital)

 今回の調査では、すでに消化管出血を引き起こしやすいことが知られている、アスピリンやNSAIDsよりも高く、ワーファリンやステロイド剤とほぼ同様でした。また、ワソラン、ヘルベッサ
ー、アダラートでは危険率に有意差はありませんでした。
 
 重症例(輸血を必要とした消化管出血または死亡例)に限定した場合でも結果に変わりはありませんでした。

 高齢者ではCa拮抗剤により消化管出血の危険率が上昇し、したがって他に消化管出血の危険因子を持つ高齢者にCa拮抗剤を処方する際には注意が必要です。
   

〜一口メモ-・Ca拮抗剤の主な相互作用〜

他の血圧降下剤、β遮断剤:相互に作用増強
ジゴキシンの血中濃度を上昇
タガメット:Ca拮抗剤の作用増強 
リファンピシン:Ca拮抗剤の作用減弱(有効血中濃度が得られないことがある。)  
グレープフルーツジュース:血中濃度の上昇
アセナリン:血中濃度上昇


トピックス   

胃・十二指腸潰瘍になりやすい患者

1997年8月15日号 228 雑学薬理学  


 血液型と性格は全く関係はありませんが、血液型と病気が関連するとの記事を見つけましたので紹介します。(治療 10 1996)

 O型では十二指腸潰瘍に罹患することが対照の3倍多いと以前から言われています。ところが胃潰瘍ではこのようなことはありません。ちなみに胃癌はA型に多いとされています。
       
 唾液、胃液中にA・B型抗体が分泌されない非分泌型に十二指腸潰瘍が約1.5倍多いことが知られています。胃潰瘍ではこの傾向ははっきりしません。

 これらの理由としてBorenらは糖鎖抗原を解析して、胃粘膜細胞表面のLewisb型物質(Leb抗体)が存在しないとヘリコバクタピロ(HP)が定着できず、もし存在してもA型物質があると定着できないことを明らかにしました。Lewisb型物質はO型で強くA型やAB型で弱いことが知られています。

 同じくHPとの関連が提唱されている胃癌がA型に多いこととは矛盾しますが、これからの成果が注目されます。なお、日本人では70%がLeb(+)分泌型です。

 血液型以外の消化性潰瘍になりやすい因子

 HPで潰瘍を引き起こすのは保菌者のわずか2〜3%であり、胃癌にいたっては0.4〜0.5%にすぎないとも言われています。その要因として、1.菌種による毒性の差異、2.宿主の免疫反応や遺伝的要因などがあげられています。

 喫煙者では潰瘍の罹患率が対照の2〜3倍多いとされています。喫煙は潰瘍の治癒を遅らせ再発を促すリスクファクターとしても広く承認されています。しかしニコチンが潰瘍を起こす薬理学的根拠は未確認です。

 飲酒と消化性潰瘍との関係は無しとするものが多く、又、コーヒーと消化性潰瘍との関連はほぼ否定されています。

 結局、胃・十二指腸潰瘍になりやすい患者とはO型の喫煙者が十二指腸潰瘍にやや罹りやすいと言う程度のことしか言えません。

 WHOではHPが発癌要因としていますが、日本でのHPの陽性率は40才以上では75%前後、胃癌の発生は年間3%前後でしかありません。



治療 10  1996

 


213       

O157感染症が急増した理由
                                 
 早いもので今年ももう終りです。今年のビッグニュースと言えばやはりO157でしょう。なぜ今年、この菌が大流行したかは未だに不明です。

4つの代表的な説(日本薬剤師会雑誌 1996.11)

1.日本のO157の増加は、外国からこの菌が持ち込まれ、汚染したため。
 この汚 染は近年起こったものと考えられる。2.日本でのO157感染症は元々日本にあった。これまでのO157の感度の良い 検出法が確立していなかったため、見過ごされていたにすぎない。最近のO157感染症の多発は見かけ上のことに過ぎない。3.日本でのO157感染症は昔からあったもの。かつて大流行を起こしていた疫痢の病原体の一つがこれではないか?報告される症状が似ている。もしそうだとす ると、O157感染は、太平洋戦争前のほうが深刻だった。4.最近は子供の基礎体力が落ちている。このため 今まであまり問題とならなかったO157感染症がクローズアップされたのではないか。 つまり(1)以外は、元々日本にO157はあったという説が大半です。 O157感染症は米国やヨーロッパなどで数多く報告されていますが、逆に、細菌の増殖に有利な熱帯や亜熱帯の発展途上国からの報告はほとんどありません。しかし、これらの国でO157がほとんどないとも思えません。水牛などからベロ毒素を作る大腸菌が検出されたという報告もあります。

 もしO157が元々日本にあったものなら、なぜ今年大流行したのでしょうか?(4)の説によると今年になって子供の基礎体力が落ちたことになります。

 抗生物質の投与に関して議論があるのは、抗生物質により死滅するO157がベロ毒素を放出するためですが、理論的には、感染初期にはO157の数は少ないので、感受性菌であれば、抗生物質は有効と思われます。平成8年(本年)に流行したO157はいずれも効果のある感受性菌でした。

 なぜ今年、大流行したかの謎を突き止めない限り、来年も同じことを繰り返すことになります。しかも来年のO157は各種の抗生物質に耐性を持っている可能性もあるのです。


202  ・緊急トピックス・・
157:H7による溶血性尿毒症症候群(HUS)

E.coli O157:H7は、出血性大腸炎に溶血性尿毒症症候群(HUS)が続発することが、報告されており、血栓性血小板減少性紫斑病の原因となりえることが明かにされています。
 
【臨床症状】
 初発症状は水様便で、多くの場合疝痛様の強い腹痛を伴います。下痢はその頻度が増加し、数日中に血液のみのような大量の血便がみられることもあります。
 悪心、嘔吐は比較的軽度で、認められない症例もあります。また38.5℃を超える発熱を認める症例は極めてまれで、無熱の場合も多いとの報告があります。しかし、HUSや神経症状が合併し重症化した症例に発熱を認めることもあり。発熱は重症化への指標の1つと考えるとの見解もあります。

【検査所見】
 HUSなどを合併する以前では、血液検査でとくに異常は認めません。しかし、白血球数の増加、低補体値は重症化の指標として重要な可能性が示唆されています。内視鏡検査では結腸に浮腫、発赤、出血が認められます。

【治療と予後】
 出血性大腸炎も治療として特別なものはなく、脱水の程度により補液を必要とするくらいで多くは1〜2週間で軽快します。経過と予後はHUSや神経症状などの重症合併症の有無で決まります。

 HUSには血漿交換、抗凝固療法、γグロブリンの使用などが行われていますが、その有効性は確定していません。痙攣、意識障害などの神経症状に関しては、対症的に急性脳症の治療に準ずればよいものと思われます。

 HUSの症状が明かになる以前に、急速に神経症状が進展する場合には生命の危険が考えられます。

 本症では、抗生物質の有効性は明かにされていません。なお赤痢では不適当な抗生物質の使用がHUS進展の危険因子とされています。(左ページ参照)

 本稿は、1990年の埼玉県での集団食中毒のときのデータを元に記載しています。

小児科 vol.33 No.9臨時増刊号1992



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ORS〜出血性大腸炎の治療法

 O-157の治療では、抗生物質の投与よりもむしろ脱水補正の為の補液が重要です。

 脱水が軽度の場合は、経口輸液も可能で、WHOではORSという処方を推奨しています。日本では市販されていないため、ソリタ顆粒やスポーツ飲料で代用

ORS:oral rehydration salts

食塩3.5g、重曹2.5g、無水ブドウ糖20g(白糖40g)、add水1L

老人や小児など容易に脱水症状を来すような場合には、5%ブドウ糖液や乳酸加リンゲル液などの電解質を点滴静注

ORT
oral rehydration therapy

医療行為としての経口補液療法は、主に発展途上国でのこれらに対する輸液療法を背景に誕生し、感染性腸炎を主たる対象疾患として発展した治療法です。

これは感染性腸疾患では、多くの場合腸上皮細胞でのNa+/ブドウ糖共輸送機構は障害されないためNa+とブドウ糖の混合液が吸収されうることを理論的根拠とした補液療法です。

ORTが始まったのは比較的新しく、静脈内輸液療法よりも後のことです。

本療法の適応ととなるのは、消化管を水分経路として使用できかつ脱水症を呈する疾患です。主な適応症は小児下痢でしたが、高齢者での有効性も認識され始めています。

本療法は静脈内輸液療法よりも生理的な方法です。ただし、無理強い(ほしがらないのに与える)は禁物です。

      出典:治療 2003.2 等

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鍋焼きうどんとお粥 風邪をひいたときはどっち

 風邪を引いて下痢・嘔吐、発熱による発汗があるときに、“鍋焼きうどん:塩分5.2g”と“おかゆ(白粥):塩分0.01g”のどちらが良いでしょう。

<答え>
3日間風邪で下痢と嘔吐を日に2回、熱38度で発汗もありました。このときの1日当たりの水分と塩分の喪失量は

水分喪失量  500ml(発熱)+400ml(嘔吐2回)+400ml(下痢2回)=1500ml

塩分喪失量  1.2g(軽度発汗)+1.6g(嘔吐2回)+2.4g(下痢2回)=5.2g  となります。

通常の状態よりも水分1.5Lと塩分5.2gを余計に失ったことになります。

ですからこの場合、水分と電解質が同時に摂取できる鍋焼きうどん(塩分5.2g)の方が適しています。
これがORT(上記)の考えです。

 出典:大阪府薬雑誌 2006.8
 


 

184 ・トピックス 

「Ca拮抗剤によるパーキンソン病」

 Ca拮抗剤によってパーキンソン病が誘発される、または悪化させるという症例報告がなされています。

 これらの薬物によるパーキンソン病発現強度の予測には、薬物脳内移行性、ドパミンレセプターの遮断作用、その他の中枢作用の強度などを考慮した解析法が考えられています。

 中枢神経系での神経伝達はカルシウムに依存している部分があり、Ca拮抗剤は細胞内へのカルシウム流入を阻害することによって、脳内の錐体外路領域内のドパミン作動性活性に何らかの影響を及ぼしていると考えられています。

 Ca拮抗剤は、カルシウムチャンネル遮断特性ばかりでなく、固有なドパミン作動性アンタゴニスト活性を呈していることも示唆されています。

  
{参考文献}薬事 8 1995 


カルスロットの添付文書改訂

1、一般的注意

(2)一過性の意識障害(過度の血圧低下による)

5、副作用
(1)重大な副作用
 1)過度の血圧低下:一過性の意識障害
 2)心室性期外収縮、上室性期外収縮

(2)その他の副作用
 1)肝臓:ビリルビンの上昇
 4)過敏症:光線過敏症
 7)精神神経系:パーキンソン様症状の増悪又は顕性化
 8)消化器:口内炎

9、適用上の注意
  グレープフルーツジュースとの同時服用による本剤の血中濃度上昇 


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