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1997年11月15日号 234

気圧と疾患

 天気が良いと盲腸になる。!!?

   晴れた日には虫垂炎が多いことがきっかけになって、リンパ球にはアセチルコリン受容体が存在することが証明され、自律神経の支配を受けていることが判明しました。

  「天気が良くなってゴルフに行こうとすると、アッペの手術が入って行けなくなる。」というある医師の素朴な疑問から、こういう報告がありましたので紹介します。

 白血球も他の細胞と同様に自律神経レセプターを膜上に持つために、体調の変化が自律神経を介して白血球に直接影響を与えます。具体的に言うと顆粒球がアドレナリン受容体を持ち、リンパ球がアセチルコリン受容体を持っているために、交感神経緊張状態で顆粒球が増加し、逆に副交感神経優位の体調でリンパ球が増加します。

 低気圧(酸素分圧の減少)になった時、我々の身体は代謝を抑制して対応します。呼吸数や脈拍を増やして対応するのではなく、ゆったりして時が過ぎるのを待つという反応(副交感神経優位)が起こります。

 逆に、高気圧(酸素分圧の上昇)が来ると生物は巣から出て「えさ取り行動」を開始する体調(交感神経優位)になります。

 {参考文献}治療 1997.10 安保徹;新潟大学医学部教授

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・高気圧→交感神経優位→顆粒球増多:壊疽性 (化膿性)疾患の頻度上昇

・低気圧→副交感神経優位→リンパ球増多:カタール性(漿液性)疾患の頻度上昇

 顆粒球は細菌の貪食を行いますが、その際放出される酵素や活性酸素は細菌処理と同時に組織破壊を引き起こす力を持っています。このため、交感神経緊張状態で顆粒球増多の背景があると、組織障害が引き起こされます。

 顆粒球の増減はいつも全身反応として現れるので、あらゆる組織が標的になる可能性を持っています。そして、その引き金を引くのは常在菌でも十分です。

 顆粒球は交感神経支配を受けているので高気圧の他、過労や精神的ストレスでも顆粒球増多がもたらされ、組織障害が引き起こされます。

 交感神経刺激があると骨髄での産生刺激となり全身反応として顆粒球が増えます。また成熟顆粒球の寿命は2日と短いので、増加した顆粒球は活性酸素を放出しながらアポトーシスで死滅し、その間に容赦なく組織を破壊します。そして寿命が2日ゆえに50%は毎日新しいものと置き換わっています。それだけ骨髄の顆粒球産生には大きな能力が与えられています。

 カタール性虫垂炎では、粘膜に一般的な風邪の原因となるアデノウイルスが検出されます。つまり、風邪で扁桃腺をはらしているような時は、お腹の扁桃ともいえる虫垂も炎症を起こしています.

 風邪を引くとウイルスによるカタール性の炎症がまず起き、鼻水が出ます。分泌現象は副交感神経支配であり、リンパ球の反応は分泌(漿液性)をもたらします。この副交感神経刺激症状が徐脈をもたらし、身体のだるさを作ります。

 虫垂もカタール性炎症を起こしています。風邪が治ると副交感神経優位から交感神経優位の状態に移ります。(自律神経のリバウンド反応) 元気が出て、分泌が抑制され顆粒球の反応に移り、黄色い鼻汁は硬い鼻汁になってきます。その時に、高気圧や無理をするなどの刺激が上乗せされると、壊疽性虫垂炎となる可能性が出てきます。


<リンパ球過剰反応>

 カタール性炎症として、漿液性の炎症が起こる。この反応はプロスタグランジン産生を伴い、発熱を引き起こす事も多い。一方まわりに特別な抗原が存在すると特定のリンパ球クローンが活性化され、本格的アレルギー反応となる。リンパ球は副交感神経支配を受けているので、低気圧の他、排気ガスの吸入、肥満、運動不足、ゆったりの体調でリンパ球増多がもたらされ、カタール性炎症やアレルギー反応が増幅される。

<虫垂の正体>

 カタール性虫垂炎からは主にリンパ球(R1)が同定され、 壊疽性虫垂炎からはリンパ球と 共に多数の顆粒球が同定されます。

 虫垂はT,B細胞から成りますがNK細胞がありません。
 全ての分布パターンが扁桃に似ていて、虫垂はお腹の扁桃といえます。

 虫垂の中腔は常在菌がいる場所なので、その産生物質が顆粒球を活性化している可能性があります。


膀胱炎様症状

副作用を考える(5)

 抗アレルギー剤による膀胱炎症状は、一般の膀胱炎と比較して膀胱刺激症状が強く、通常の抗菌剤には反応せず、服薬を続けた場合は難治性です。

 薬剤性膀胱炎の原因薬剤のうち、リザベンの添付文書では、これを重大な副作用として記載しています。服薬中止により症状改善が得られる場合が多いが、重篤例では不可逆的変化を来たした症例も報告されていますので、初期症状に気づいたら服薬を中止して、受診するよう指導することが必要です。

 また、重大な副作用としての記載はありませんが漢方製剤(柴朴湯、柴苓湯、小柴胡湯など)でも類似の膀胱炎様症状が出現した事が報告されています

<患者さんに伝えるべき症状>

「尿の回数が増える、尿が赤味を帯びる、尿がにごる、排尿時に痛みがある、尿が出きらない感じがする、下腹部が痛む」

<症状>

 頻尿、排尿時痛、残尿感等の強い膀胱刺激症状が主体で、無菌性の膿尿や肉眼的血尿、尿閉や排尿困難、下腹部痛を伴う事が多く、また、蛋白尿、末梢血での好酸球増多、黄疸や肝機能障害、前立腺肥大等がみられることが報告されています。

 服用開始後、膀胱炎様症状発現までの時期は、短い症例で1週間、長い症例では2年近くにも及ぶものがありますが、1〜2ヶ月の間に発症した例が多くなっています。40歳以上で、原疾患に喘息がある患者に多く発現していたという指摘があります。

<転帰>

 中止すると、ほとんどの症例は1ヶ月以内に回復しています。一方不可逆的変化をたどり間質性膀胱炎となった例も報告されています。与薬期間と薬剤中止後の治癒までの期間との間に相関関係はみられません。

<機序>

 原薬やその代謝物に対する特異的なアレルギー反応とする説と、膀胱への非特異的反応とする説がありますが、不明な点が多く、現時点では一定の見解が得られていません。

<治療法>

 症状が認められた場合は、中止する事により改善、回復が得られる事が多いので、早期発見、早期中止が肝要です。薬剤を用いた治療としては副腎皮質ステロイドが主で、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤も用いられます。

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出典:JJSHP 1999.1

 リザベン(トラニラスト)を含めた抗アレルギー剤による膀胱炎症状の発症機序が薬剤性アレルギーによるものか、あるいは代謝物による膀胱粘膜への直接作用なのかは現在のところ明らかにされていなません。しかしトラニラストでの今までの研究で、発症機序として1)薬物性アレルギー反応説、2)代謝物毒性説 3)アレルギー交代現象説が考えられています。

1)薬物性アレルギー反応説は、患者背景、病理組織などから分析した結果、発現頻度が低い(0.1%)こと、好酸球の組織への浸潤所見が認められること、末梢血中の好酸球分画が増加傾向にあること、服用中止により回復すること、偶然の再服用により症状発現が短縮していること、リンパ球幼若化反応で陽性例が認められることなどの事から推察されています。

 さらにまた、好酸球の遊走活性について検討した結果、トラニラストの代謝物で遊走活性:chemotaxis、運動活性:chemokinesisが認められ、何らかのアレルギー体質、局所好酸球増多の潜在力が存在する場合、直接原因が無く“きっかけ”として作用し、その上何らかの刺激が膀胱に加わって本症が発現するとも考えられています。

2)代謝物毒性説は、この説が当てはまる代表的薬剤としてシクロフォスファミドがあげられます。このシクロフォスファミドは、その未変化体には膀胱に対して障害を起こしませんが、肝臓での代謝物(アクロレイン)が尿中に排泄されることで膀胱粘膜の発赤、潰瘍形成、粘膜下組織への炎症細胞の浸潤などが引き起こされ血尿や膀胱刺激症状が起こるとされています。このことについてはトラニラストでも代謝産物が長時間膀胱内に貯留することにより膀胱炎症状が引き起こされると考えられています。

3)アレルギー交代現象説、一方の緊張が亢進すると他方が相対的に低下し症状が発現、消失する交代現象が、気管支喘息と湿疹・鼻症状の間によく見られるように膀胱炎症状もその1つではないかと考える説です。

<チェック項目>

尿の回数、残尿感、排尿痛、血尿、下腹部の痛み、尿の濁り
血液検査(白血球数、好酸球%)


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