薬剤師の病棟での活動
1989年2月1日号 No.37
| 病院薬剤師は職務として、薬剤部内での調剤業務だけではなく、患者に対する服薬指導や、医師等の医療従事者へのDI(医薬品情報)の提供等、幅広く病院で医薬品に関するあらゆる活動を、従来より行なっていました。 当薬剤部では、昭和62年より薬剤ニュース(本誌)を発行するなど、新たな活動を模索していましたが、昭和63年4月に診療報酬の改定が行なわれ、薬剤師による入院患者への服薬指導、注射管理を中心とした診療報酬が認められることになりました。 |
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その具体的業務(算定条件)として
1)入院中の患者ごとに、医師の同意を得て、月に1回以上、指導記録に基づき、直接服薬指導を行なう。
2)患者ごとに、指導記録を作成し、服薬に際し必要な薬学的管理を行ない、与薬の都度、必要事項を記入する。
3)注射薬についても原則として、その都度処方箋による管理を行なう。
とされています。
指導記録に記入すべき項目
患者氏名、生年月日、性別
入院・退院年月日
与薬歴、副作用歴、アレルギー歴
薬学的管理の内容(他科との重複、配合菌見等)
患者への指導・相談事項
与薬・指導等の実施日、記録作成日、その他
(注:上記は1989年時点でのものです。)
当薬剤部では、1989年1月より病棟活動を開始しました。(当初100点業務と言っていました。)
LEARNのアプローチ
出典:治療 2001.4
医療民族学的方法論の一つ
異なった分化背景を持つ医師と患者の間で行なう共同作業(患者教育)に非常に適したモデル。頭文字をとった5つのステップを踏まえることにより、押しつけを避け、より効果的に患者教育を行なうことが可能となります。
L:listen(聴く)〜相手を良く知る
E:explain(説明)〜分かりやすい言葉で
A:acknowledge(相違の明確化)〜同じ土俵に立ったか確認する
R:recommend(推奨)〜患者にあったプランを進める
N:negotiate(交渉)〜喧嘩せずに患者を如何に支援できるか考える
こちらにも関連記事があります。
身長と体重から計算される肥満指数の1つ。
体重(kg)/身長(m)の2乗であらわされ、別名Quetelet指数と呼ばれる。
体脂肪との相関がたの肥満症に比し高く、最も優れた指標とされている。
男24以上、女23以上を体重過剰としているが、日本人では27以上をもって肥満のcut off pointとすることが提唱されている。
2000年追記
日本肥満学会(会長、井上修二・共立女子大教授)は10月15日、これまでよりも「肥満」の判定基準を厳しくすることを決めた。
基準は、「体重(キログラム)」を「身長(メートル)の2乗」で割った「BMI指数」で算定しており、22が最も健康な状態とされる。従来はこの数値の2割増に当たる26.4以上を「肥満」の目安としてきたが、今学会で、この境界線を25に引き下げた。
井上会長は「新しい基準で見ると30代以上の5人に1人は『肥満』と判定され、生活スタイルの改善が急がれる。半面、20代女性のやせている傾向は著しく、適正な体重を維持する重要性など正しい医学的知識を行き渡らせる広報活動が必要だ」と話している。
見直しの理由は、30歳以上の15万人を対象に調べたところ、BMI指数が22の人と比べて25の人は高血圧や高中性脂肪血症を発症する危険率が2倍になることが分かったため。ただし、25以上の人が医療の対象となる「肥満症」であるかどうかは、糖尿病や脂肪肝などの健康障害や、内臓脂肪面積、ウエストのサイズを考慮して判断するという。
内蔵肥満
余剰のエネルギーは中性脂肪として脂肪組織に蓄えられ、これが過剰に蓄積された状態が肥満です。
脂肪の分布には性差があることが知られていて、女性では腰臀部、上腿の皮下、男性では胸部、上腕、そして特に腹部の副腔壁内に蓄積します。前者を皮下脂肪型肥満、後者を内臓脂肪型肥満と呼んでいます。
内臓肥満(内臓脂肪型肥満)は、耐糖能異常、高脂血症(高中性脂肪血症、低HDL血症、small
dense LDLの増加)、高血圧などと密接に関係し、しばしばこれらの危険因子が重複した状態(多危険因子症候群)として存在します。
発症のメカニズムとして、脂肪細胞から分泌される生理活性物質(総称してアディポサイトカインと呼ぶ)の1つであるTNFαと、内臓脂肪の分解によって生じる遊離脂肪酸(FFA)が、インスリン受容体の作用を阻害してインスリン抵抗性を惹起することが明らかになっています。
また、線溶系の重要な抑制因子のPAI−1(plasminogen
activator inhibitor-1)の分泌亢進は直接血栓形成につながる危険があります。
* 日本肥満学会では、ウエスト(臍周囲径)が男性で85p、女性で90p以上の場合要注意としています。
出典:循環Plus 2002.9
NAFLD:非アルコール性脂肪性肝疾患
non-alcoholic fatty liver disease
2007年6月1日号 No.453
NAFLDは「明らかな飲酒歴がない(アルコール摂取量:20g/日以下)にもかかわらず、肝組織所見はアルコール性肝障害に類似した主に大滴性の脂肪沈着を特徴とする肝障害」と定義されています。
単純性脂肪肝と進行性のNASH(下記)を含む疾患概念です。
NAFLDの病因で最も重要なものは肥満で、病態の上流にあるものは内臓脂肪蓄積によるインスリン抵抗性です。
末梢脂肪組織での中性脂肪の分解が亢進し、脂肪酸、糖質などの合成基質の流入が増加し、肝で脂肪酸の合成が亢進することが1次性NAFLDの主な発生機序です。
検診受診者の4人に1人が異常値を示す肝機能検査は、最も異常頻度の高い検診項目で、その大半は、アルコール性肝疾患(AFL)とNAFLDです。NAFLDの80%はメタボリックシンドローム、あるいはその予備軍に分類されます。
今まで、NAFLDの病態は、進行しないという誤った概念が普及しており、疾患の重要性が見落とされていました。
NAFLDの約90%は病的意義のほとんどない単純脂肪肝ですが、それ以外の症例は肝硬変・肝細胞癌へと進行していくNASH(右欄参照)であることが近年明らかになり、その重要性が認識されるようになりました。
NAFLDがメタボリックシンドロームの肝臓での表現型であるという認識が重要です。
{参考文献}治療 2007.4
NASH
non-alcoholic steato-hepatitis
非アルコール性脂肪肝炎
脂肪肝炎では、中滴ないし大滴性の脂肪滴を含有する肝細胞が小葉中心性に多数集蔟(しゅうぞく)し、しばしば風船様肝細胞やマロリー体も観察されます。
蔟(そく、ぞく、まぶし)蚕が繭をつくるとき、糸をかけやすいようにした仕掛け。わら・竹・紙などで作る。
中心静脈周囲では、pericellularfibrosisと呼ばれる1つ1つの肝細胞を取り囲むような特徴的な繊維化が進展します。このような組織学的変化を来たす主な原因は古くから指摘されているように過剰なアルコール摂取です。しかし、たとえば糖尿病やウイルソン病のように、アルコール摂取と関連のない疾患でも、しばしば酷似した組織学的変化が肝臓に観察されます。
近年このようなアルコール性肝炎に酷似する病態にようやくNASH(非アルコール性脂肪肝炎)と病名がつけられ、高血圧や糖尿病、高脂血症とならぶ新しい生活習慣病としてにわかに注目されています。
肥満人口の増加に伴い、日本でもここ数年の内に成人の1%がNASHに罹患すると推定されています。
確診には肝生検が必要なこともあり、実際に発見されたNASHは1,000症例程度にとどまり、症例の99%は見過ごされています。
NASHから潜在性肝硬変への移行を阻止するには、NASHの早期発見が不可欠です。脂肪肝とインスリン抵抗性は洋の東西を問わずNASHに普遍的な所見であるとともに、生活習慣病の合併を示唆する重要な所見です。
肥満に伴うNASH症例の増加が危惧される今日、脂肪肝とインスリン抵抗性に着目した日常診療により、NASHを含めた生活習慣病の予防に努めることは時代の要請であると考えられます。
出典:治療 2004.9
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<医学トピックス> どの酒が体に良いのでしょうか?
NAFLDの際の問診で重要なのは飲酒の有無、飲酒量と期間です。何歳から何(アルコールの種類)をどのくらい(1回量と1日量)、毎日か否かどのくらいの期間を飲酒しているかを聴取します。
アルコール肝障害かどうかは、1日日本酒換算3合(アルコール75g)、5年以上毎日が目安となります。
NAFLDでの飲酒量はエタノール換算1日20〜30g以下(1日日本酒で1合、ビール大瓶1本、ウイスキーダブル1杯以内の飲酒量であればNAFLDとされます。
現在断酒していても常習飲酒や大量飲酒の既往があれば、アルコール性肝線維症、アルコール性肝硬変を否定できません。
どの酒が一番体に良いでしょうと良く質問されるのですが、酒はアルコール換算して計算するので、どれもみな同じです。
アルコールの種類 エタノール(g)
ビール
大瓶 :633ml 5% 32g
中ジョッキ:500ml 5% 25g
缶ビール :350ml 5% 17.5g
焼酎
水割り :60ml 25% 15g
缶チューハイ:300ml 6% 18g
ウイスキー
ダブル :60ml 43% 26g
ボトル :720ml 43% 310g
日本酒:1合(180ml) 14% 25g
ワイン
グラス :120ml 14% 17g
ボトル :750ml 14% 105g
脱共役蛋白質
UCP:Uncoupling protein
脱共役蛋白質とは、ミトコンドリア内膜に存在する膜蛋白質で、呼吸により生じる内膜のプロトン濃度勾配に対してATPを合成することなく解消し、熱を発生させる物質と考えられています。
最初UCPは、冬眠動物の脂肪組織(褐色細胞)中に見つかり、その後の研究から脂肪を燃料として効率的に熱産生を行い、冬眠中の熱を一定に保つための重要な役割を果たしている蛋白質であることが解明されました。
一般的に体内の細胞は、酸素を取り込んで脂肪や炭水化物を分解し、エネルギー源であるATPを作ります。この時多量のATPを産生するのがミトコンドリアにある「電子伝達系」という反応系であるとされています。UCPは、この電子伝達系の働きを変え、脂肪や炭水化物の持つエネルギーを熱として放出します。
近年の動物実験等から、このUCPを刺激して活発にさせることでエネルギーが消費され、余分な脂肪を取り除くことができ、さらには社会問題となっている肥満症をも治療することが可能ではないかとして期待・注目されています。
出典:日本病院薬剤師会雑誌 2004.5