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老化と異常蛋白質

ダイエットで長生き?

2000年3発15日号 No.287

   

 食事制限(カロリー制限)をすると抗老化作用・寿命延長効果があることが分かりました。
 
 異常蛋白の蓄積と蛋白質分解半減期におよぼすカロリー制限の影響を調べた結果、老齢期での2ヵ月間の食事制限で、異常蛋白質の蓄積と蛋白質半減期を若齢レベルに近づくとの報告があります。(動物実験)

{参考文献}ファルマシア 1999.9

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 蛋白質合成活性も加齢により低下しますが、カロリー制限で抑えられるので、カロリー制限は、加齢で低下する蛋白質代謝回転を活性化することによって抗老化作用を発揮している可能性があります。

 カロリー制限ほど顕著ではありませんが、疫学調査によると、ヒトでも適度な運動は、癌・心臓疾患などの老化関連疾患のよる死亡率を低下させます。運動の抗老化作用機構も明らかではありませんが、穏やかな運動を長時間続けさせたラットでは、プロテアソーム(注1)の活性上昇がみられるので、異常蛋白質の除去能力が高まり老化の遅延に役だっているのではないかと思われます。

 すなわち運動によって酸化傷害がわずかに増えることが引金になって抗酸化系の一要素といえるプロテアソームの活性が誘導されたと考えられます。長期にわたる穏やかな刺激がプロテアソームの他に、抗酸化酵素やシャペロン機能(注2 下記)を持つストレス蛋白質などの異常蛋白質蓄積防御蛋白質を誘導合成して老化を遅らせる可能性が注目されています。

 蛋白質に限らず物質の絶えざる代謝回転(合成と分解)は、生命の最も重要な特性の1つです。
つまり分解も重要なのです。分解速度が低下すれば異常蛋白質が蓄積しやすくなります。老齢マウス由来細胞での蛋白質の分解半減期は、若齢に比べて50%以上長くなっています。酸化修飾蛋白質の分解半減期も老齢細胞で延長しており、老齢動物の細胞では、蛋白質の分解効率が低下していることが明らかです。

(注1)プロテアソーム

 プロテアソームは細胞質に存在するATP依存性プロテアーゼ複合体のことです。

 
プロテアーゼはペプチド結合を加水分解する酵素の総称です。

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 導入蛋白質の分解は、リソソーム酵素阻害剤では影響されず、プロテアソーム阻害剤で抑えます。さらにプロテアソームが持つ3種類のペプチダーゼ活性は、いずれも加齢で低下しています。

 免疫学的に見たプロテアソーム蛋白質量には有意な加齢変化はないので、プロテアソーム自体が異常化していると推測できます。プロテアソームは種々の細胞機能に関わっていますので、この知見は、老化機構を探る上で重要と考えられます。

 インスリン分解酵素として知られているプロテアーゼが酸化蛋白質を優先的に分解するとともに、βアミロイドと特異的に結合しこれを効率良く分解することが明らかにされています。

 βアミロイドの蓄積は、
アルツハイマー病発症と強い因果関係を持つとされており、前駆体蛋白質からの産生に関る酵素の発見及びその阻害剤の開発に多くの研究者が取り組んでいます。βアミロイドは、異常蛋白質の一種ですが、その蓄積に分解が関っている可能性が示唆されています。


(注2)シャペロン:chaperone

 生体防御機能の中でも特に重要なものは、ストレス下で引き起こされる細胞内の蛋白質の変性あるいは誤った折りたたみ構造の発生を抑え、正しい蛋白質の構造維持を促すという機構です。

 特にこのような機能を持つ分子は分子シャペロンと呼ばれ、ストレス蛋白質の多くがこれに含まれます。

 分子シャペロンは再生と分解の配分を決定しており、過度の障害によって再生不良になった蛋白質に、CHIPのような品質管理リガーゼを積極的に動員してユビキチン化分解に誘導する役割を担っていると考えられています。

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銅シャペロン

 シャペロンのもともとの意味は、社交界にデビューする婦女子が華やかな貴婦人に成長するための介添え役のことです。

 生化学では熱ショック蛋白質(HSP)に代表される蛋白質の高次構造形式(フォールディング:折りたたみ)過程を制御する蛋白質因子を示す語として使われています。

 銅シャペロンとは、細胞膜を通して取り込まれた銅が、利用される細胞内小器官や蛋白質にたどり着くまでの輸送体となっている蛋白質のことを意味しています。

 銅は簡単に1価と2価の状態を遷移し、この活性酸素種を産生させますが、シャペロンは銅1価の状態のまま結合することによって、目的の細胞内小器官や蛋白質にたどり着くまで毒性から細胞を防御しています。これは良家の子女(銅)が成長(輸送)過程で、非行に走る(毒性を発現する)ことのない様に、お目付け役(シャペロン)が必要であることに見立てられます。

 銅シャペロンは、細胞膜上に存在している銅の輸送体であるCtr1から直接各シャペロンが銅を受け取り、ミトコンドリアやゴルジ体などの細胞内小器官やSOD1といった細胞質蛋白質に特異的に銅を輸送しています。

 出典:治療 2006.7(千葉大学大学院薬学研究院環境科学講座衛生科学研究所 小椋康光助教授、鈴木和夫教授)
  
           関連項目:
ユビキチン・プロテアソームシステム(UPS)


1号、2号、3号液
輸液を勉強する(2)


{参考文献}薬事 1999.5

 一般に成人(男子)は呼気、発汗、尿などを通して1日に2000mL程度の水を喪失していて、この量が生命を維持するために補充が必要な水分量と考えられます。

 維持輸液(3号液)はこの水分量と水分喪失に伴い排泄される電解質量を補充することを目的としており、その基準量は2000mLです。また、電解質組成は、生食を基準としたときの1/3〜1/4等張液が維持輸液の基本となっています。(自由水は1Lあたり750mL)

 具体的にはNa、K、Clイオンを4〜5%のブドウ糖液に加え1/4等張液としたものです。1/4量の生食と
3/4量のブドウ糖液(=水分:注下記)とも考えることができます。このことは、1/4量の生食が細胞外液を補充し、残りの3/4量の水分を細胞内に補給していると考えられます。

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(注)5%ブドウ糖液

 輸液の晶質浸透圧は電解質による浸透圧を示しており、糖質による浸透圧はここでは考える必要はありません。なぜなら、糖質は速やかに代謝され短期間しか浸透圧物質として作用しないからです。したがって5%ブドウ糖液は全部自由水と考えられるので、単独では希釈性アシドーシスを生じたり、体液が希釈しすぎることがあります。

 1号(開始液)はNa欠乏性脱水症、水欠乏性脱水症および両者が欠乏した混合性脱水症のいずれの場合にも安全に水、Naを与えられる輸液剤です。

 基本的にはKイオンを含まず、Naイオンは細胞外液類似液と維持輸液の中間で1/2等張液が基本となっています。

 
自由水を1Lあたり500mL含み、晶質浸透圧を補うためのNaも含んでいます。したがって病態が把握できない脱水症に対する初期輸液として安全に使用できることから開始液と呼ばれています。一方、本剤の組成は継続して使用するにはNa量が多いので、栄養補助目的で長期使用はできません。

 2号液(脱水補給液)は、自由水を多く持たせるためにNaを維持輸液から開始液程度に設定し、Kを比較的多く含むのが特徴です。下痢などの脱水時にはKが排泄され低K血症を併発していることが多く、これらを補充する目的で使用されます。臨床で他の製剤と使い分けできるかという疑問もあります。

 つまり2号はいらないのでは?という意見もありますが
基本的には小児の脱水症に用いられており、乳酸Naを含む製剤は、乳酸イオンがアルカリ化剤として働くため、代謝性アシドーシス時に用いられることもあります。(4号液は次号で


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アンチエイジングのための生活習慣

 〜〜長生きをするための秘訣〜〜 関連記事 老化と異常蛋白質

2007年9月1日号 No.459

 アンチエイジングのための食習慣の基本はカロリー制限です。有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチを取り入れるなど、日常生活の中で重力を意識し、上手に利用することで、老化現象を防ぐことが出来ます。

 何よりも、長生きをするためには、前向きで明るい気持ちを強く持ち続けることが大切です。

<カロリー制限(Caloric Restriction:CR)>

 低インスリン、低体温、高DHEA−S(アンドロゲンの一種)を示す人はそうでない人に比べ生存率が高いことが、臨床試験で示されています。

 長寿者を対象としたいくつかの疫学調査からも、アンチエイジングのためにはカロリーを控え目にした食生活が最も重要とされています。

 昔から言われている「腹八分目」を心掛けた食生活を定着させることが、肝要です。総エネルギー量だけでなく、“PFCバランス”(P:蛋白、F:脂質、C:炭水化物)と呼ばれるエネルギー比率についても注意を払う必要があります。

 適正バランスの目安は、P:50〜55%、F:20〜25%、C:20〜25%ですが、体脂肪の減少を目指す場合は、バランスを大きく崩さない範囲内で炭水化物比率を少な目にすることが効果的とされています。

 脂質については、飽和脂肪酸(肉や乳製品)は脂質全体の約1/3に留め、不飽和脂肪酸(オリーブオイル、シソ油、エゴマ油、亜麻仁油、青魚の油など)を積極的に取り入れることが大事です。

 また、現代人は慢性的な脱水状態に陥っていると考えられており、なるべく多くの水分を摂ることが望まれています。食事時以外にも1日2L程度の水分(体重60Kgの場合)を別個に摂るのが理想とされています。

<運動習慣>
 有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチはそれぞれ、30分以上が目安です。筋力トレーニングにより成長ホルモン分泌が増え、ホルモンの効果で体脂肪が使われやすい形に分解されてから、有酸素運動により燃焼されるという流れを考えて、筋力トレーニングの後に有酸素運動を行うほうが良いとされています。

 立ったり、座ったり、歩いたりといった運動を重力を利用した運動と意識することでも効果が期待できます。

 運動により、筋力や骨密度、視力、腸の蠕動運動、睡眠深度などが改善し、免疫機能の強化にも繋がります。

<その他>

・禁煙は必須

・アルコール(酒類)は1回20gまで(缶ビール1本+α) 関連記事→どの酒が良いのでしょう

・良質の睡眠 メラトニン分泌調整のために毎朝に十分の光を浴びて起床し、夜は無理に寝ようとせず自然に任す。

・前向きで明るく、いくつになっても夢を持ち続けること。

{参考文献}クリニカルプラクティス 2007.7

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<医学トピックス> 関連記事 
オメガ:ω3系必須脂肪酸脂肪酸についての知識 

 

  体に良い脂質は?

◎ オリーブオイル: コレステロール低下作用や抗酸化作用があり、熱に強いことから、調理の主力油として用いることが推奨されています。

×パーム油: 植物性ですが、肉の脂と同じ不飽和脂肪酸を多く含んでおり、バランスが悪い。スナック菓子やカップ麺に使用されている。

×マーガリン: 変質しにくいように人工的操作を加えてトランス型脂肪酸にしてあるため、動脈硬化を促進する。

◎ブドウのアントシアニン、ニンジンのβカロチン: ターメリック(クルクミン)などの野菜や果物、香辛料の色素や香気成分は、植物化学物質(ファイトケミカル)と呼ばれ、強い抗酸化作用を持っています。

◎ 赤ワインなどの成分であるブドウの果皮に含まれるresveratrolという植物化学物質は哺乳動物の脱アセチル化酵素で、resveratrolを加えた酵母では、カロリー制限なしで寿命の延長がみられています。(ヒトでのデータはなし)

◎ 味噌、醤油、納豆、ヨーグルトなどの醗酵食品は、醗酵過程で抗酸化力が数倍から数十倍に強化され、微生物が持つ酵素自体も有益な効果をもらたす。

 カロリー制限(Caloric Restriction:CR)を考えた食生活を毎日続けることが理想ですが、食べ過ぎた、飲み過ぎたと思ったら翌日は控えめにするという風に1週間単位で調整するといった気楽な気持ちでいる方がが長続きします。

{参考文献}クリニカルプラクティス 2007.7 森田 祐二 札幌アンチエイジングラボラトリー所長


『最新用語辞典』

    
アドヒアランス

 Adherence:指示順守度〜患者がいったん了承した治療法をほとんど監視なしで継続する度合いのこと。

 これまでのコンプライアンスという医療者側の指示に患者が従うという服薬管理という考え方から一歩進んで、患者が服薬意義を理解し主体的に治療方針を選択し、医療関係者はそれを維持していくための手助け-援助していくという意味が込められています。特にHIV関係で良く言われます。

 従来、医療者は「医療者の指示に患者がどの程度従うか」というコンプライアンス概念のもと患者を評価して来ました。従って、その評価は医療者側に偏り、問題があるのは患者側であることが強調されていました。

 しかし、実際の医療現場ではコンプライアンス概念で乗り越えられない治療成功への壁が存在し、そこで、患者自身の治療への積極的な参加(執着心:adherence)が治療成功の鍵であるとの考え、つまり「患者は治療に従順であるべき」という患者像から脱するアドヒアランス概念が生まれました。

 このアドヒアランスを規定するものは治療内容、患者側因子、医療者側因子、患者-医療者の相互関係という点でコンプライアンスとは大きく異なります。

 服薬アドヒアランスを良好に維持するためには、その治療法は患者にとって実行可能か、服薬を妨げる因子があるとすればそれは何か、それを解決するためには何が必要かなどを医療者が患者と共に考え、相談の上決定して行く必要があります。


        出典:JJSHP 1999.12等

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アドヒアランス

2008年4月15日号 No.472

 近年、「コンプライアンス」ではなく、「アドヒアランス」という考え方が主流になりつつあります。薬物療法など、ある治療方法の効果が判明している場合、医療者が治療法を説明、指導し、患者がそれを遵守、実行するのが従来の考え方でしたが、一歩進んで、患者が服薬意義を理解し、主体的に自分の意思で薬を飲むというのがアドヒランスです。

<アドヒアランス形成>

(1)情報交換:医療者(インフォームドコンセト)と患者教育
(2)治療に期待する合意点を見出す。
(3)積極的な役割を患者を担う(患者が治療法を選択:インフォームドチョイス)
(4)肯定的な感情、共感、励まし、パートナーとしての治療同盟形成

 その治療法が患者にとって実行可能かを具体的に吟味し、服薬を妨げる因子があるとすればそれは何か、それを解決するためには何が必要化などを医療者が患者とともに考え、相談の上決定していく必要があります。 そのために医療者側は患者側の判断材料として、薬物療法によるメリットとデメリット(副作用等)、治療の見通しを前もって情報提供し、同意を得る必要があります(インフォームドコンセント)。
 

<アドヒアランス不良を招く諸要因>

1.治療内容(薬剤や処方など)による要因

・薬の形状、味、臭いなど
・服薬量、服薬回数が多い
・多剤併用
・効果発現が遅い
・副作用が強い

2.患者側の要因

(1)心理的要因
 疾病の否認、不快な服薬体験、医療不信  服薬放棄(依存への不安など)、宗教上の理由、独自の健康法や人生観
(2)非心理的要因
 多忙、不規則な生活状況、自動車の運転が必須、経済的な負担
(3)疾病や薬物療法への理解不十分
 病識や病感の欠如、情報収集の不足、偏り、理解力や知的機能の問題
(4)精神症状による要因  薬に対する妄想(統合失調症など)、治療に 対する意欲や関心の低下〜うつ病、統合失調症

3.医療者側の要因

 ・服薬の必要性、薬物の効果や副作用、治療の見通し予測など明快に説明しない(インフォームドコンセント不足)
 ・アドヒアランスの把握不足
 ・患者の感情面、生活の質に無関心

4.患者-治療者の治療関係
 ・ほかの要因が統合的に治療関係に反映されることが多いが、ときとして相性(あいしょう)の問題もある。

5.周辺の要因(環境)
 ・患者の周囲に家族などのサポートがない(薬物療法に否定的、懐疑的)
 ・ソーシャルサポートの不安 ・医療機関が不便なところにある。


※ インフォームドコンセント

 ある医事裁判では「いかに説明したか」を主張しても、患者が「理解していなかった」と裁判官が判定し、医療側が有罪判決を受けた事例があります。

{参考文献}薬事 2008.3

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アドヒアランスとコンプライアンス

コンプライアンス〜直訳:(要求、命令などに)従うこと、追従、へつらい
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 「決められたとおりに患者が正しく指示通り服薬すること。」


アドヒアランス〜直訳:密着、粘着、固執、固守、愛着、支持
             ↓
「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を実施、継続すること」

 ノンコンプライアンスの問題点が患者側にあるように誤解しがちですが、患者を非難したところで治療転帰は好転しません、他方、患者側から医療側が絶対的権利的存在に勘違いされると「医療者判断はどんな場合でも100%正しくなくては困る」と責任の擦りあいが生じる可能性があります。

※薬を飲むことは私が自分で決めたこと。
 アドヒアランスの場合では、医療側の服薬管理ではなく、患者が服薬意義を理解し、主体的に治療方針を選択する「患者の積極的な役割を重視」します。

 医療者は患者により良い医療を提供するために情報を提供し、治療を維持していくための手助けと援助をしていくという上下関係の無い「パートナーシップ」に転換されるわけです。
 

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コンコーダンス
コンプライアンスからコンコーダンスへ
Concordance

 コンコーダンスとは、患者が医療者とのパートナーシップに基づき、両者間で情報を共有し、対等な立場で治療方法を決定していくプロセスのことです。

 その前提として、
1)患者がパートナーとして参加する上で十分な知識を持つ
2)処方の際のコンサルテーションに患者がパートナーとして参加する。
3)患者の薬の使用を支援する。
    ことが挙げられています。     
                    出典:アルフレッサニュース No.185 2009.2-2

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ドクターズ・ノンコンプライアンス
 
  医師が副作用を心配しすぎて、用量を減らしてしまい効果が出なくなってしまうこと。

   (例) 
自殺を恐れるあまり抗うつ剤を少量投与してしまい、効果無しのケース



2003.3 No.356

肉や糖分を摂らないと「うつ病」になる。

  出典:治療 2000.1  浜松医科大学第二生理学教室 教授 高田明和


 現在精神の安定に作用する神経伝達物質はセロトニンが主であるとされ、うつ病の治療にはSSRIのように脳内のセロトニンを増やす薬が用いられます。このセロトニンはトリプトファンから脳内で合成されますが、トリプトファンは必須アミノ酸で、体内では作れず肉食で補わなければなりません。

 実際うつ病の患者の食事から肉を抜くとうつの症状がひどくなることも知られています。更に問題なのは、トリプトファンが脳内に入るときにインスリンが必要だということです。

 インスリンはブドウ糖を摂取すると分泌されます。したがって糖または甘いものを食べないとトリプトファンは脳内に移行せず、精神の安定性が保てません。すると食べ物として肉や甘いものを摂らなければ「うつ状態」を改善できないことになります。

 現在のように不安と心配がみなぎる社会情勢では、ちょっとしたストレスに耐えられない人が多く、自殺が増えています。脳がたくましくないからです。

 肉や脂肪、糖などの摂取は肥満の元で、糖尿病の原因になるから、なるべく控えるようにと医師や栄養学者は指導します。しかし、生活習慣病に成らないのが人生の目的ではありません。生活習慣病にならないようにと、栄養価の少ない食事をして元気を失い、ちょっとした苦しみにも耐えられず自殺していたのでは、何にもなりません。今のように厳しい社会情勢では、厳しさに耐えられる脳を作るような食事をしなくてはなりません。

 精神を安定させるセロトニンも、喜びを感じさせるドーパミンも必須アミノ酸から作られます。
果物、野菜、食物繊維、ビタミンなどをいかに多くとっても、脳の健全性は保てないのです。

* 「食べ物の西欧化と過食」は本当か

 この25年で脂質の摂取は5%増加しているに過ぎません。さらに米を食べなくなったことからも分かるように炭水化物の摂取は甘いものを含め、著しく減っています。

 肥満者の人口における率は男女ともに減少しています。日本人は食べ過ぎていて、脂肪や蛋白質を摂りすぎているというデータは実はありません。むしろ栄養不足が危惧されています。(厚生省 国民栄養調査、国民栄養の現状;平成8年版)

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