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1996年10月15日 209

口呼吸癖と難病との関連

口を開けて寝るのは危険です。

   重症菌無力症、間質性肺炎、喘息、痒疹、関節リウマチ、白血病、再生不良性貧血、悪性リンパ腫、サルコイドーシス、SLE、糖尿病、動脈炎などは、今日原因不明とされています。

 これらの免疫性疾患ではほとんどすべての症例で患者さんは鼻呼吸ができず口で呼吸をしています。口呼吸による喉の白血球造血器の不顕性の感染症が免疫病の窓口となっていることが示唆されています

{参考文献}東京大学医学部口腔外科学教室 講師 西原克成
       治療 1996 No.8

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 ワルダイエル輪は、口蓋、舌、鼻咽腔、耳管の各扁桃リンパ組織が互いにリング状に連結した白血球造血器であり、原始脊椎動物の鰓腸(エラ呼吸粘膜と平滑筋から成る腸管)に付属する胸腺に相当することを発見し、「すべての病的現象はここから始まる」と述べています。

 喉元にあるワルダイエル扁桃リンパ輪の慢性感染症は昔から、見落とされてきました。睡眠中の口呼吸は免疫系を直撃し、口呼吸のままでは、療養中も疾患の原因を温存させるため、免疫治療は効果があがらないのです。

 これらの難病は野生の哺乳動物では皆無であり人類特有の構造欠陥に起因すると考えらます。人類の他の哺乳動物との相違点は、口呼吸が可能なことです。つまり口呼吸は、言葉の獲得により、鼻腔と連続していた気道喉頭部が短縮したためです。

 口呼吸では、鼻咽腔の扁桃部が廃用性にやられ一方、食物に対応する口蓋扁桃が乾燥し、ワルダイエル輪の白血球造血巣に微生物が棲みつきます。風邪で喉についで関節が痛むのは、哺乳動物のみに関節頭に白血球二次造血巣が存在し、扁桃部の白血球感染が血行性に関節頭の二次リンパ造血巣に及ぶためです。

 現代医学の盲点は、生体力学の医学への導入と近縁臓器間の深い関連性(キュビエ)を忘れたところにあります。

 脊椎動物では、元来内臓の仕事として腸管栄養系に付属する脾臓造血巣(細胞呼吸のジェネレーター)が、陸棲で重力の影響により骨髄腔に移動しています。したがって、口呼吸で喉の白血球造血巣の感染を許した上に、骨格に過度の力学負荷がかかれば、白血球を介して感染が骨端部造血巣に及び、免疫病を誘発します。

 脊椎動物の原型は半索類ですが、この類の鰓腸呼吸部に脳下垂体、胸腺、甲状腺、腎臓、副腎、造血系、生殖系の原器のすべてが存在します。これが進化し口肛の二極に分極したのが脊椎動物です。

 喉の白血球造血巣の感染が、太古に相同であった臓器全域に白血球を介して波及します。これがワルダイエル輪の感染を窓口として、造血系から中枢神経系、生殖系にまで及ぶあらゆる臓器に、免疫疾患が発症する理由です。

 口呼吸習癖の治療:ノーズクリップと口唇テープの使用により鼻呼吸に変える。ワルダイエル輪の活性化のためガム療法(咀嚼訓練)、口腔とその周辺の習癖の矯正、食事の指導等

 若年者は特に鼻呼吸を守り、スポーツの後は十分な骨休めを必須とします。

 高齢者では、睡眠時に口呼吸のために、口の細菌が肺に入り肺炎を起こすことがあります。鼻呼吸にすれば肺炎は激減します。

 日本人には口呼吸習癖が多い理由は、乳幼児の育て方にあります。1歳頃におしゃぶりを取り上げれば必ず口呼吸習癖がつきます。哺乳類特有の鼻腔と喉頭の連続性が、ヒトでは1歳で失われます。この時おしゃぶりを与えると鼻呼吸が確立され、同時に咀嚼筋、表情筋群を左右等しく蠕動運動(咀嚼筋は鰓腸呼吸平滑筋に由来する)させるので片側噛みも防止されます。
 欧米では4歳頃までおしゃぶりを使わせているから鼻と顎と歯列が正しく発達します。


 

口呼吸は万病の元

 

口呼吸は万病の元  
進化論の誤り  
免疫学の誤り  
骨休めのススメ  
アレルギーは反乱か?  
自己免疫疾患とは何か?  
骨とエネルギー  
口呼吸病の治療  
口呼吸病(最終回)  

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<医学トピックス> 2006年11月15日号 No.441

原子力発電災害とヨウ素剤


 原子力施設で災害が発生した場合、放射性ヨウ素をはじめキセノン、クリプトンなどの種々の放射性物質が大気中に放出される危険性があります。

 特に放射性ヨウ素は、人が吸入し身体に取り込まれると、甲状腺に選択的に集積し蓄積するため、甲状腺癌などを誘発する可能性があります。(内部被爆)

 この放射性ヨウ素による内部被爆に対し、ヨウ化カリウムなどの安定ヨウ素剤を事前に服用し甲状腺にヨウ素を飽和させることによって、放射性ヨウ素の甲状腺への取り込みを防ぐことができるとされています。

<服用量>
 ヨウ化カリウム丸(50mg)を13〜39歳は2丸、7〜12歳は1丸
12歳以下ではヨウ化カリウムシロップ(16.3mg/ml、50%単シロップ)作り、新生児は1ml、
1ヶ月〜2歳は2ml、3〜6歳は3ml

*40歳以上では甲状腺癌の発生リスクの増加が認められなかったという報告があります。

*甲状腺癌発生リスクは若年層に高く、特に新生児や乳幼児、小児は甲状腺濾胞細胞の分裂が活発なため、放射線によるDNA損傷の影響が大きいことが知られています。

 服用回数は原則として1回。効果は少なくとも1日持続するので、服用後に安全な場所に避難すること。

     某国の核攻撃に備えて、常備しておくべきでしょうか?

<禁忌>
 ヨウ素過敏症・造影剤過敏症の既往、低補体性血管炎・ジューリング疱疹状皮膚炎の既往(治療中)〜ヨウ素過敏症の恐れがあるため服用しないこと。

出典:日本薬剤師会雑誌 2004.12


<医薬トピックス> 2006.12.1 No.442

ビールの放射線保護作用

グリシンベダイン
放射線防護剤剤


 放射線障害を抑制する放射線防護剤剤としては、
1.被曝前に使用することで効果を発揮するもの:IL1、リポ多糖などの免疫抑制剤
2.被曝後の障害を抑える目的で使用する薬剤:造血細胞増殖因子など造血作用を目的としたもの。
3.放射線によって生じたラジカルを消去する薬剤:アミノフォスチン〜頭部腫瘍の放射治療時の有害事象である口腔乾燥を改善

 その他:ビタミンE、スクワレン、ニンニク抽出物などの食品成分にも放射線保護効果が報告されています。

 アルコールがラジカル消去剤として働き、放射線によるDNA損傷を減少することも報告されています。また、ビールの摂取がアルコール単独よりも高い放射線保護効果を示すことが示されています。

 ビール中には、アルキル化剤によるDNA損傷を防ぐ効果が認められているグリシンベダインが存在します。グリシンベダイン単独でも放射線による染色体異常の抑制が観察されています。

 ビールの飲用による放射線からの保護はグリシンベダインとアルコール等の他の成分との相加的な効果である可能性もあり、さらなる研究が待たれています。

 グリシンベダインは食品添加物リストにも収載されていて、安全性の高い物質です。

     某国の核攻撃に備えて、ビールの量を増やすべきでしょうか?

       
  出典:ファルマシア 2006.3

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