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1998年10月15日号 255

医薬品副作用被害救済制度について

  「医薬品副作用被害救済制度」は、病院・診療所で投薬された医薬品や薬局などで購入した医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による疾病、障害等の健康被害を受けた方の救済を図るため、医療費、医療手当て、障害年金、遺族年金等の給付を行い、健康被害者の迅速な救済を図ることを目的とした公的な制度です。

 平成9年度は全国で290件が給付対象となりました。

こちらにも関連情報があります。副作用被害救済制度(1993年)

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 この制度の運営は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法に基づき、設立されました。この他にも、スモン患者に対する救済給付及び血液製剤に混入したHIVにより健康被害を受けた方に対する救済給付等(受託給付事業、健康管理支援事業、調査研究事業)をそれぞれ受託事業として実施しています。

 医薬品の副作用による疾病については、必ずしも入院治療が行われる場合に限定されるものではなく、諸事情からやむを得ず自宅療養を行っている場合でも、救済の対象になります。なお、入院している場合でも、医薬品の副作用による疾病だけをみると、入院治療を必要とする程度であると認められないときは、救済の対象にはなりません。

 救済給付の請求は、健康被害を受けた本人(死亡した場合はその遺族のうち最優先順位の人)が請求書に診断書などの必要な書類を添えて機構に直接行うことになっています。

 医薬品の副作用による健康被害者の救済には、発現した症状及び経過とその原因とみられる医薬品の因果関係等の証明が必要です。そのため、医師の診断書、投薬証明書を機構に提出していただくことが必要になりますので、担当医師が診断書を作成することが必要です。副作用の治療を行った病院が2ヶ所以上の場合は、それぞれの病院の担当医師が診断書を作成することになっています。

 診断書は、救済給付の種類及び発生した副作用の症状により様式が異なっており、それぞれ種類、症状に応じたものが必要となります。請求書、診断書のどの用紙も機構に備えてあり、健康被害を受けた本人や家族からの申し出に応じて無料で配送することになっています。
(連絡先につきましては、当薬剤部にお問い合わせください。)

救済給付の対象とならない場合は、次の通りです。

1.法定予防接種を受けたことによるものである場合(別の公的救済制度があります。任意に予防接種を受けたことによる健康被害は対象になります。)

2.医薬品の製造業者や販売業者などに損害賠償の責任が明らかな場合

3.救命のためにやむを得ず通常の使用量を超えて医薬品を使用したことによる健康被害で、その発生が予め認識されていた等の場合

4.癌その他の特殊疾病に使用される医薬品で厚生大臣の指定するもの(対象除外医薬品)等による場合
(例)抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、血液製剤(血漿分画製剤を除く)など〜詳細は薬剤部にお問い合わせください。

5.医薬品の副作用のうち軽度な健康被害や医薬品の不適正な使用によるものである場合

<給付の内容・給付額>

医療手当〜障害年金(月額)   34,130円〜36,130円

障害年金(年額)  2級〜2,197,200円、  1級〜2,746,800円

障害児養育年金(年額)  2級〜687600円、  1級〜859200円

遺族年金(2,401,200円)、遺族一時金(7,203,600円)、葬祭料 (175,000円)

※ こちらにも関連情報があります。副作用被害救済制度(1993年)


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生物由来製品感染等救済制度

2004年9月15日号 No.391

 平成16年4月から創設されたこの制度は、生物由来製品を介した感染等による健康被害の迅速な救済を図るため、生物由来製品の製造業者などが納付する拠出金によって医療費、医療手当などの救済給付を行うものです。

 救済の対象となるのは、平成16年4月1日以降に使用された生物由来製品を介した感染等による健康被害です。

 救済に対象となる生物由来製品、感染等の程度などに関して次のような要件が定められています。

1)生物由来製品が「適正」に使用されたことを前提

 本来の使用目的とは異なる「不適正目的」や使用上の注意事項に反する「不適正使用」の場合には、対象外となります。

2)生物由来製品を介した感染等に着目

 「生物由来製品を介した感染等」とは、生物由来製品が適正に使用された場合においても、その生物由来製品の原料または材料に混入し、または付着した感染症の病原体に当該製品の使用の対象者が感染することをいいます。

 なお、当該生物由来製品の使用対象者でなくても、感染被害を受けた方(一次感染者)の配偶者や子が、一次感染者を介して同じ感染症の被害を受けた場合は対象となります。

3)「重い」感染等被害を対象

 健康被害の中でも、「入院治療を必要とする程度の疾病」、「日常生活が著しく制限される程度の障害」および「死亡」の場合を対象としており、軽微な健康被害は対象外となります。

4)「受忍」が適当でない感染等被害を対象

 重い感染等の被害があっても、救命のためやむを得ず通常の使用量を超えて生物由来製品を使用したことによる被害で、その発生があらかじめ認識されていたなど、本来の治療のため受忍することが適当であると考えられる感染等被害は対象外となります。

5)民事責任の追及が困難な場合を前提

 生物由来製品を介した感染等による健康被害の原因となった生物由来製品について、賠償の責任を有する者がいることが明らかな場合は対象外となります。

 例えば、変質した医薬品や異物が混入した医薬品などのいわゆる不良医薬品による副作用被害は対象外となります。そのほか、救済の対象とならない場合として、法定予防接種を受けたことによる健康被害や請求期限が経過した場合などがあります。

<給付の種類>

医療手当33,900〜35,900円
障害年金(月額:181,900〜227,400円)
障害育児年金(月額:56,900〜71,100円)
その他:医療費、遺族年金、遺族一時金、葬祭料

{参考文献}薬事 2004.9

 生物由来製品感染症だけでなく健康被害救済制度に関する問い合わせは

健康被害救済制度窓口

電話:03-3506-9411  受付時間:月〜金(AM9時〜PM5時30分)


医学・薬学用語解説(M) MNMS:myonephropathic metabolic syndrome 血行再建術後症候群

              はこちらです。


1998年10月15日号 255

口呼吸は万病の元 (1)

 口で呼吸する事が、難病を引き起こす可能性があるという記事は薬剤ニュースNo.209(1996年10月15日号)で紹介しました。これは東京大学医学部口腔外科 講師 西原克成先生が述べられておられる事で、最近テレビや雑誌などのマスコミでも取り上げられて評判になっています。そこで、この薬剤ニュースでもこのテーマを更に追求し検証してみることにしました。

 風邪がこじれるとしばしば免疫病や白血病やエリテマトーデス、腎炎やネフローゼなどを発症することが知られています。常に口で呼吸している人ではこれらの疾病が非常に起こりやすくなります。哺乳動物は基本体制として、肺呼吸までに至る気道は鼻腔のみを使う構造となっています。

 人類も哺乳動物ですが、他の哺乳類と本質的に異なるシステムの違いがあります。それが口で呼吸できることなのです。これは400万年前頃から、言葉を習得してコミュニケーションに使うようになったための力学応用によって生じたものです。西原先生はこれは「構造的欠陥である。」とおっしゃっています。

 犬がよく口から舌を出してハーハーしていますが、彼らには汗腺がないためで舌をラジエーターとしているだけで、呼吸は鼻でしています。

 口で呼吸しているだけで慢性の風邪に近い状況が人体内に起こります。それで「口呼吸は万病のもと」になり、万病とはとりもなおさず種々様々な免疫病のことを指します。

 免疫系とは細胞レベルの消化・呼吸・代謝のことであり、この系の障害が免疫病です。また骨髄造血の発生は、進化の過程で陸に上がった時、重力への対応で起こった軟骨の骨化にともなう腸管造血系から骨髄造血系への移動なのです。この上陸で組織免疫系も重力対応によって発生しました。

 免疫システムが「自己と非自己を区別するために存在する」といった安易な目的論で生命現象を理解すれば、免疫病の原因はすべて迷宮入りとなり、有効な治療や予防ができなくなってしまいます。

 脊椎動物は連綿と続く生命の情報系の中で、外的要因(環境因子)・内的要因(行動様式)の変化に準じて力学対応して形やシステムを変化させてきました。これをヒトの価値観に基づいて進化と呼んでいたに過ぎません。したがって外的にも内的にも変化がわずかであれば形もシステムも何億年経ても変わらないことになります。我々はいまだに、哺乳類になる以前のなごりをも引き継いでいる部分があるのです。(以下次号)


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生物由来製品感染等被害救済制度・医薬品副作用被害救済制度

2008年1月15日号 No.490

 近年、健康被害救済制度における請求件数は増加していますが、周知がなお不十分であるとの指摘があり、また、2008年4月よりインターフェロン製剤(慢性B型肝炎・慢性C型肝炎等に用いる場合)による副作用被害が本制度の対象とされたことを踏まえ、この制度を改めて紹介します。
 

    {参考文献}厚生労働省 医薬品・医療機器等安全性情報 No.251


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(1)救済給付の請求方法

 給付の請求は、副作用や感染によって健康被害を受けた本人やその遺族当、給付を受けようとする方(以下「請求者」)が直接、独立法人医薬品医療機器総合機構(以下「機構」)に対して行う必要があります。

(2)給付の種類
 給付の種類は、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金、葬祭料の7種類です。

(3)必要な書類
 ・医師の診断書 ・投薬証明書 ・受診証明書 などで、救済給付を受けるためには、発症した症状、経過と、それが医薬品などを使用したことによるものだという因果関係を照明しなければ、なりません。そのため請求する際には、副作用や感染による健康被害の治療を行った医師の診断書や投薬証明書、あるいは薬局等で医薬品を購入した場合は、販売証明書の提出が必要となりますので、請求者は、それらの諸留意の作成を医師等に依頼し、請求者が記入した請求書とともに、機構に提出します。

 なお、請求書、診断書などの所定の用紙は機構のホームページからダウンロードできます。
独立法人医薬品医療機器総合機構 0120-149-931           http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai.html

<給付の対象とならない場合>
1.法定予防接種→予防接種健康被害救済制度あり。任意に受けた場合は対象となります。
2.製造販売業者など、他に損害賠償の責任を有するもが明らかな場合。
3.救命のためやむを得ず通常の使用量を超えて使用したことによる健康被害で、その発生があらかじめ認識されていた等の場合。
4.不適正な目的や方法などにより使用したことによるものである場合。
5.対象穂外医薬品による健康被害

<対処除外医薬品>
a.癌その他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であって、厚生労働大臣の指定するもの。(抗癌剤、免疫抑制剤)
b.人体に直接使用されないものや、薬理作用のないもの等副作用被害発現の可能性が考えられない医薬品。(殺虫剤、滅菌消毒剤、体外診断  薬など)

* インターフェロンα製剤(注射剤で慢性B型肝炎、慢性C型肝炎の進行による代償性肝硬変に用いられるもの)
* インターフェロンβ製剤(注射剤で慢性B型肝炎、慢性C型肝炎の進行による代償性肝硬変に用いられるもの)
* ペグインターフェロンα製剤
* リバンビン製剤

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請求期限:医療費の支給対象となる費用の支払いが行われた時から2年以内。(ただし、平成20年5月1日以降に行われた医療については5年以内)この記事は2008.12月に記載
給付請求者:副作用などにより治療を受けた本人

<救済給付がなされなかったケース>
・因果関係無し〜疾病、障害等が医薬品による副作用とは考えがたいと判定されたもの。

・入院を要する程度または障害の等級に該当しない
 〜医薬品との疾病との因果関係は認められるが、その疾病につき、入院を必要とする程度の医療行われなかったか、障害の状態が軽症の場合。通常、外来医療のみ行われた場合は、給付の対象とはならない。

・不適正目的または不適正使用
〜基本的には副作用による健康被害の原因となった医薬品について厚生労働大臣が承認した効能効果以外の目的で使用した場合や添付文書の使用上の注意に従わず使用された場合など。

・使用上の中止に「特に開始2ヶ月間は、特に副作用の発現に十分留意し、原則として2週に1回、血球算定、肝機能検査を行い、、、、」との記載にあるにもかかわらず、正当な理由がなく検査を実施していなかった場合。

・薬局で一般用医薬品である総合感冒薬や解熱鎮痛剤を購入し、他の医薬品を飲んではいけないと添付文書に記載があるにもかかわらず、同時に他の医薬品を服用した場合。

・以前、医師から処方され、使用されずに残った医薬品(いわゆる残薬)を、医師の指示を受けず自己判断により服用して副作用が発現した場合も不適切な使用と考えられ、通常、給付の対象にはなりません。

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 医薬品はその使用に当たって万全の注意を払ってもなお副作用の発生を防止できない場合があることから、民事責任とは切り離し、迅速かつ簡便な救済給付を行うものです。決してその被害救済が、適切でない医療行為によるものであると認めることになるものではありません。あくまでも健康被害者の迅速な救済を目的とするものですの医師等の医療従事者の方々のご理解・ご協力がお願いします。
 

 

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