医学事典   無駄口薬理学  やさしい薬理学   毒舌薬理学 もご覧下さい。
     
    *項目をクリックしていただくと内容がご覧になれます。
    *「戻る」の設定をしていませんので、ブラウザの"← →"で操作して下さい。
    *項目ページ内の<戻る><目次へ>をクリックすると迷子になることがあります。

<<癌・抗悪性腫瘍剤連用語集>>

<がん、癌、ガン>

 医学用語では、「がん」と「癌」は使い分けられています。
上皮細胞が悪性化(がん化)したものを「癌」と漢字で書きます。
胃癌、大腸癌、食道癌、膀胱癌、子宮癌などがそれです。

一方、上皮細胞以外の組織(筋肉、骨、血液細胞、リンパ球など)が悪性化(がん化)したものは肉腫、リンパ腫、白血病などと呼ばれています。

がんはすべての悪性腫用をさし、癌、肉腫、白血球、リンパ腫がふくまれます。
「がん」と「ガン」は同じ意味です。
(なお、このホームページでは特に使い分けはしておらず、すべて漢字で癌と表記しています。)


  用語辞典に戻る

備考

2hit 1998.2.1
a AHCC
AHH活性 肺癌についてと同内容
b β-D-グルカン製剤の感受性 2000.9.15
BCM:Biochemical modulation
biochemical modulation 1992.7.15
BRCA1
BRM s63.7.1
c Carbon nanohorn:CNH
c−Cblの機能と発癌
COX2 1998,3.15
d DCワクチン療法
DLF 癌化学療法の現状と副作用と同内容
DLTとMTD
e Ehrlich腹水癌
EPR効果
ex vivo遺伝子治療法
g GIST
h Hand-foot syndrome
HDCT
HE染色
Her2ヒト化抗体
  Hh(ヘッジホッグ経路)  2010.10 
HPVワクチン 2007.3
Low-dose FP療法
m MAB(CAB)療法:前立腺がんの内分泌治療 2005.9
MAH:malignancy associated hypercalcemia
MAHA
Mdm2
MMP:マトリックス分解酵素 2000.615
n Neoadjuvant chemothrapy
NK細胞
NKT細胞療法
p P53遺伝子 肺癌についてと同内容
PBSCT 1998.5.1
PDT:photodynamic therapy
PSA:prostate specific antigen / PSA検診は疑問
PTH-rP(骨吸収促進因子)
r RANKL
s Sarcoma 180
Smad
SNL:センチネンタルリンパ節
t TGF−β  
TNM分類
TTP:time to progression
Tumor dormancyからみた化学療法(p53遺伝子) 追加記事
Tumor Lysis Syndorome
u UPS:ユビキチン・プロテアソームシステム
v VHL病(von Hippel-Linday:VHL)
アロマターゼ
悪性中皮腫
インスリノーマ
運動と癌予防
温熱療法
カヘキシア
カーボンナノホーン
癌化学療法の効果
癌化学療法の現状と副作用 1994.8.15
癌治療での漢方薬
  癌疼痛にアセトアミノフェン  
癌の休眠療法
癌の兵糧責め
癌抑制遺伝子 1998.2.1
癌疼痛:モルヒネの使用法 /モルヒネについて 1991.3.15
癌疼痛:モルヒネの効きにくい場合 1996.5.15
がん(癌)幹細胞仮説(癌幹細胞ニッチ)
癌免疫療法(スピルリナとBCG菌体成分を用いた)
がん(癌)免疫再建療法 2008.5
癌ワクチン療法 2007.4
緩和医療での面談スキル / 緩和ケア概論
喫煙と肺癌 肺癌についてと同内容
クライオセラピー
ゲルソン療法
経口から注射への切り替え(モルヒネ)
血管外漏出時の処置(抗悪性腫瘍剤) s63.11.15
血管新生阻害剤(癌治療)
コーヒーで肝癌予防
コラーゲンゲルドロップ法(癌の感受性テスト)
抗悪性腫瘍剤静注時の血管外漏出に対する処置 s63.11.15
抗悪性腫瘍剤の取り扱い上の注意 1991.5.15
高カルシウム血症と悪性腫瘍
抗癌剤の時間薬理学 1998.31.
抗癌剤(内服)の適正使用 1995.3.15
抗腫瘍性プロスタグランジン
酵素の量で抗癌剤の効果予測
口内炎の予防:癌治療での
骨転移(癌)のメカニズム
サイコオンコロジー /サイコオンコロジー(プライマリケアでの) 1996.1.15
サリドマイドが抗癌剤として復活 1999.1015
自己末梢血幹細胞移植 PBSCTと同内容
自殺遺伝子療法
支持的精神療法 2002.1.15
術前化学療法
腫瘍縮小効果(CR、PR、MR、PD)
腫瘍マーカー
腫瘍融解症候群
所属リンパ節
  浸潤・転移(癌) 2010.12
スキルス
スピルリナ
セデーション(緩和ケアにおける)
センチネンタルリンパ節
性格と癌1 1998.4.1
性格の癌2 1998.4.15
生命予後因子としての日内リズム
前立腺癌の内分泌治療 2005.9
耐性(抗癌剤の) 1989.4.15
脱毛の対策(ドキソルビシン等)
デザイナーズフーズ
テロメア 1998.5.15
テロメラーゼ 1996.11.1
手足症候群
低用量化学療法(抗癌剤の) 1999.6.1
田七ニンジン
ナイーブT細胞 2008.5
ニッチ(隙間)
ニンニクの癌に対する作用
日本人のための癌予防 2010.4.1
バイオケミカル・モジュレーション
ハイパーサーミア 2007.9
パクリタキセル注(タキソール)による筋肉痛、関節痛にL-グルタミン
ハーブで癌治療
肺癌についての最近の知見 1994.12.1
白金製剤〜シスプラチン:CDDP 追加記事
白質脳症 s63.8.15
ヒドロ(水腎症)
ビスホスホネートとMAH
ビスホスフォネート療法(乳癌の骨転移)
微小管 1998.2.15
皮膚症状から分かる悪性腫瘍 2001.5.1
フォン・ヒッペル・リンドウ病
ブリンクマンインデックス
  分子標的薬と従来型抗癌剤の違い 2010.12
へ  ヘッジホッグ経路   
ムコスタ含嗽液:癌治療での口内炎の予防 
メトロニダゾールによる臭気管理
モノクローナル抗体 1991.3.15
モルヒネの使用法(癌疼痛)
モルヒネの吸入療法
薬剤抵抗性の克服(P糖蛋白質に対するシクロスポリンの作用)
薬物による発癌性
吉田肉腫
緑茶カテキンの発癌抑制作用 2002.7.1
レジメン
レトロネクチン 2008.5
レンチナンの効く人、効かない人 β-D-グルカン製剤の感受性

   

 <用語辞典に戻る


日本人のための癌予防

日本人のための癌予防

2010年4月1日号 No.518

 日本人の多くが「たばこ」、「環境たばこ煙」、「アルコール」などに暴露されている状態があり、日本人を対象とした疫学調査においてもリスクとなることが示されています。

 一方、ダイオキシン、アフラトキシン、飲料水中のヒ素のような要因は、日常的に曝露するレベルでは、発癌性リスクはそれほど高まるとは、考えられていません。


* 喫煙〜タバコは吸わない。他人のタバコの煙を可能な限り避ける。

 禁煙は、最も確実な癌予防法です。非喫煙者に対する喫煙者の癌全体のリスクは、15〜20倍程度で、喫煙者がタバコをやめれば、癌になる確率を2/3〜1/2の減らすことが出来ます。  禁煙は癌だけでなく循環器や呼吸器疾患、糖尿病など多くの病気の予防につながります。

 日本から喫煙者が1人もいなくなれば、日本人の癌の約20%以上(男性では30〜40%、女性では3〜5%程度)は予防可能であるという推計もあります。

 授動喫煙について、ある研究では非喫煙女性で女性の肺癌の80%以上を占める肺腺癌のリスクが夫の喫煙者である場合に、非喫煙者である場合と比べて、約2倍高いことが示され、非喫煙女性の肺癌の約30%が授動喫煙によるものと推計されています。

 他人のタバコの煙を吸わないようにすることにより、肺癌予防にとどまらず、心筋梗塞や肺炎などの予防にも役立ちます。

* 飲酒〜飲むなら節度ある飲酒をする。1日あたりアルコール量に換算して20g(ビール中瓶1本)程度まで。


 ある研究では、日本人男性で、1日2合以上の飲酒で40%、3合以上で60%程度リスクが上がることが示されています。

* 食事〜偏らずバランスよく。

・ 塩蔵食品、食塩の摂取は最小限に具体的には、食塩として1日10g未満、とくに塩分濃度が10%程度の高塩分食品は、週に1回以内。・野菜や果物不足にならない。野菜や果物は毎日食べて、少なくとも1日400gは摂る。
・熱い飲食物、加工肉、動物系の肉の摂取は控えめに。

* 身体活動〜日常生活を活動的に過ごす。ほとんど座っている人なら、毎日合計60分程度の歩行など活発な身体活動に加えて、週に1回程度は活発な運動(60分程度の早歩きや35分程度の速歩など)を加える。

* 肥満・やせ〜成人期での体重を適正な範囲で維持する(太り過ぎない、やせすぎない)。

 中高年男性ではBMI27を越さない、21を下まわらない。中高年女性では、25を越さない。19を下回らない。

* 感染〜肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合は、その治療をする。癌を引き起こすウイルスの感染を予防する。

 現状では、癌を予防することが確実、あるいは可能性が高いと評価された食品や成分は存在しません。むしろ通常の食事からは摂取できないレベルの高用量のβカロチンやビタミンEのサプリメント(栄養補助剤)は、癌や健康障害のリスクを上げることが分かっています。

 また紫外線に関連する白人に多い、皮膚癌をおそれ極端に日光を避けていると、体内でビタミンDが作られにくくなり、大腸癌のリスクが高くなるとの仮説もあります。

 癌予防は、他の病気予防を見据えながら、偏らずバランスの良い生活を楽しむのが秘訣といえます。

       {参考文献}治療 2009.10


                                               がん、癌、ガン はこちらです。

メインページへ


腫瘍マーカーの読み方

腫瘍マーカーの定義
:癌細胞が作る物質、または癌の存在に反応して他の細胞が作る物質で、それを組織、体液、排泄物中に検出することにより、癌の存在、程度、進展度、性質などを知る目安(目印)です。

 現在、繁用されている腫瘍マーカーは単独では、十分な効果は期待されません。複数の腫瘍マーカーを組み合わせて利用されているのが現状です。

<理想的な腫瘍マーカー>

癌のみで上昇(臨床的感度が高い)
非癌・良性疾患でも低値(臨床的特異度が高い)
腫瘍の大きさと腫瘍マーカーと相関する。
健常者では低値
原発と転移が見分けられる。

<腫瘍マーカーの活用ポイント>

 癌患者に対して治癒切除がなされた場合を考えると、術後腫瘍マーカーの産生源がなくなるため、現在、血中に存在する腫瘍マーカーは一定の比率(半減期)で消失し最終的にカットオフ値以下まで減少すると予測できます。

 癌の存在がある場合は、癌の残存がある場合は、残った癌細胞により腫瘍マーカーが産生されるため、非治癒切除症例の腫瘍マーカーの推移は再上昇します。

 また、癌の悪性度の指標としてその癌の発育速度があります。しかし一般的に癌の発育を直接的に把握するのは困難ですが、この発育速度と腫瘍マーカー値は良く相関するといわれています。そのため、癌の発育に伴い増加する腫瘍マーカーの一定の増加を癌発育の指標とすることが出来ます。

 癌の大きさが2倍になるまでの時間を“ダブリングタイム”といい、腫瘍マーカー値も相関して2倍に増加します。

<各腫瘍マーカーの特徴と臨床的有用性>

1.悪性腫瘍全般
CEA(癌胎児性抗原)
:消化器癌、膵癌、肺癌などの様々な臓器由来のガンに幅広く出現。

BFP(塩基性フェトプロテイン)
:腸、脳組織から見出された塩基性胎児性蛋白。消化器癌、肺癌、前立腺癌、睾丸腫瘍
卵巣癌、子宮癌などで高い陽性率を示します。

TPA(組織ポリペプチド抗原)
:各種悪性腫瘍から精製された蛋白。消化器癌、肺癌、婦人科系癌で様症状性率が高い。

IAP(免疫抑制酸性蛋白)
肝細胞やマクロファージで産生。消化器癌、肺癌、卵巣癌、癌患者の全身状態をよく反映しているので、悪性疾患の治療観察や再発の指標となります。

2.肝癌
AFP(α-フェトプロテイン)
:主に胎児の癌細胞やヨークサック(卵黄嚢)でされる糖蛋白質です。成人健常者では極めて微量にしか存在しません。主に肝細胞癌で高値。
肝細胞癌性癌にはAFPは糖鎖の違いにより亜分画のALP-3が存在します。

PIVKA−II(protein induced by viramin K absence or antagonisit II)
:肝臓で生合成されるビタミンK依存性凝固因子(プロトロンビン)の前駆体蛋白質。
肝細胞癌で高い陽性

3.膵癌、胆嚢・胆管癌
CA19-9(carbohydrate antigen 19-9)
:大腸癌培養株SW1116を免疫抗原として作成されたMoAb NS19-9により認識されるI型等鎖に属する抗原です。膵癌、胆嚢・胆管癌、胃癌、大腸癌の進行型で高い陽性率を示します。

CA50
:結腸癌由来培養細胞を免疫原として作製されたMoAbC-50を認識。CA19-9とよく相関します。膵癌、胆嚢・胆管癌、胃癌、大腸癌の進行型で高い陽性率を示します。

SPan-I(スパンI):膵癌や胆嚢・胆管癌で高い陽性率を示します。

エステラーゼ1
:主として膵に存在する蛋白分解酵素の1つ。膵癌で腫瘤による膵管閉塞に基づく随伴性膵炎を反映して高値を示します。膵癌の早期診断の補助に有用です。

DUPAN-2(デュパン2):膵癌や胆嚢・胆管癌で高値を示します。

4.肺癌

CYFRA(シフラ):非肺小細胞癌(肺扁平上皮癌)で高い陽性率
SCC:肺や子宮頚部など扁平上皮癌で  〃
NSE(神経特異エノラーゼ):肺小細胞癌や神経芽細胞腫で 〃

5.胃癌・大腸癌

CA72-4:卵巣癌、胃癌、大腸癌で  〃
STN(シリアルTn抗原):卵巣癌、胃癌、大腸癌 〃
CA19−9:膵癌、胆嚢・胆管癌、胃癌、大腸癌の進行形で  〃

6.膀胱癌

尿中BFP(塩基性フェトプロテイン)
:血清では消化器癌や腎癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮癌などの腫瘍マーカーとして用いられています。膀胱癌、腎盂尿管癌などの尿路上皮癌で高い陽性率

7.前立腺癌

PSA(前立腺特異抗原:prostate specific antigen)
:前立腺上皮細胞で特異的に産生される糖蛋白質、最近、ACTと結合した結合型(PSA-ACT)と遊離型(PSA-F)として存在していることが明らかにされています。
前立腺癌では前立腺肥大症に比べて総PSA(PSA-T)中のPSA-Fの占める割合が低いことが報告されています。また、PSA−TとPSA-Fの比は前立腺癌と前立腺肥大の鑑別診断に有用です。γSm(セミノ蛋白)はPSA-Fと同一物質です。

PAP(前立腺酸性フォスファターゼ)は、前立腺上皮で生成され、前立腺に最も多く含まれている糖蛋白質です。前立腺癌で高値を示します。

8.乳癌
CA15-3:再発乳癌や転移性乳癌で高い陽性率
BCA225:    〃    、術後の臨床効果を良く反映する。

9.卵巣癌
CA125卵巣癌、特に漿液性のう胞腺癌で高い陽性率を示し、臨床経過を良く反映する。
卵巣癌の他、肺癌、膵癌でも陽性

10.腺癌
SLX(シリアルLex-i抗原):肺腺癌、膵癌、卵巣癌を始めとする各種腺癌患者血清中に高頻度に増加
 

        出典:大阪府薬雑誌 2005.11 p42



ヘッジホッグ経路
Hh経路

 胎生期の形態形成に係わる重要な因子で、胚発育時には活動していますが、大部分の成人組織では活動を休止します。

 しかし、ある種の癌ではヘッジホッグ経路が不適切に活性化し、癌の発生や増殖に関与します。中でも基底細胞癌や髄芽癌では、ヘッジホッグ経路の異常が関係していると報告されています。

 ヘッジホッグ経路は、癌研究においてもっとも画期的で将来性のある標的の1つであると言われており、多くの企業でヘッジホッグ阻害剤の開発が行われています。

 ヘッジホッグとはハリネズミのこと。
Hh機能が失われた胚が無数の小さな突起物で覆われ、その形がハリネズミに似ていたことから名づけられました。

                    出典:医薬ジャーナル 2010.10 等

医学語辞典

無駄口薬理学  やさしい薬理学   毒舌薬理学 もご覧下さい。