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癌患者へのモルヒネの使用法

1991年3月15日号 No.83

 

 癌患者を痛みから解放するため、WHOは癌疼痛救済計画を策定し、1986年から世界的な活動を開始しています。

 日本でも厚生省は、癌疼痛治療の主役を果たすモルヒネの使用の便宜を図るため麻薬取締法を改正し、同時にモルヒネの使用法、調剤、医療期間での管理マニュアルも作成されました。

 関連項目 モルヒネの使用法(癌疼痛)もご覧下さい。

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<モルヒネ使用の基本原則>

1 できる限り経口とする。

 経口与薬は、患者自身で実施でき、在宅療養を可能とする。また、血中濃度の不必要な上昇を避けることができる。

2 モルヒネ使用の可否は、痛みの強さで決め、予後の長短では決めない。

3 ペンタジン(ソセゴン)、レペタン、スタドール等の麻薬代用薬と併用するとモルヒネの効果が減弱する。

4 MSコンチン錠(徐放性硫酸モルヒネ錠)は依存等の副作用も少なく、1日2回でも有効である。

5 副作用対策

* 鎮痛に必要な量で、ほぼ全例で便秘が発生する。
〜下剤(プルゼニド、ラキソベロン等)、補助手段(浣腸、カマグの併用、食事管理等)

* 与薬初期に半数で嘔気
〜制吐剤(ナウゼリン等)、嘔吐時は注射とする。

<鎮痛効果が得られない時の理由>

1 与薬量が少なすぎる。〜副作用や依存症を恐れ、増量をためらっている場合が多い。

2 副作用対策が十分に行われていない。〜嘔気や便秘の防止策が奏効していないと、
患者は与薬継続を受け入れなくなる。

3 患者の心理面への配慮。〜患者の心に未解決な問題が残っていると効果は上がりにくい。

4 モルヒネに反応しない痛みもある。〜例えば、ヘルペス後神経痛にはモルヒネは奏効せず、三環系抗うつ剤の方が効く。

 癌疼痛が適切に管理されないのは、この痛みの特徴を正しく理解していないことが最大の原因です。

 手術後の痛みなどの急性痛は安静時痛であればほぼ40時間程度で自然に消失していくのに対し、癌疼痛は一般に徐々に増強してきて、長時間続き、患者の精神状態に大きく影響を与えています。したがってこの疼痛に対して短時間しか効果の続かない鎮痛薬で対処することは誤りであることは明白であり、これまで全く反省されずに行われてきたという経過があります。

「参考文献」正しい治療と薬の情報 1991.2   関連項目 モルヒネの使用法(癌疼痛)もご覧下さい。


<<医学・薬学用語辞典>>

二類疾病

 2001年13年10月31日の参院本会議で、65歳以上のインフルエンザ予防接種費用が一部公費負担される改正予防接種法が可決、成立しました。

 現行法の対照疾病は、集団予防目的に比重を置いて予防接種を行うもので7つのの対照疾病があります
(風疹、麻疹、百日咳、ポリオ、ジフテリア、日本脳炎、破傷風)

 これに対し、個人を目的に比重を置いた疾病として、高齢者を対象としたインフルエンザが対象疾患に追加されます。従来の対象疾患(集団予防)を「一類疾病」、インフルエンザ(個人対照)を「二類疾病」と分類されます。

* 一類疾病:集団予防を目的に比重を置いた疾病。すなわち、直接的な集団予防(流行阻止)を計る必要がある疾病又は致死率が高いことによる重大な社会的損失の防止を図る必要がある疾病

* 二類疾病:個人予防目的に比重を置いた疾病。すなわち、個人の発病。重症化防止及びその積み重ねとしての間接的な集団予防を図る必要がある疾病



インスリノーマ
Insulinoma
膵島細胞腫

インスリノーマは膵臓、β細胞由来の腫瘍で、腫瘍から自律神経過剰に分泌されたインスリンにより低血糖症状が亜こり、痙攣や昏睡などの中枢神経症状が生じます。また、血糖低下によりカテコールアミンが放出されますので発汗、皮膚蒼白、動悸などの自律神経症状がみられます。

症状には一般に空腹時にみられますので、これを防ぐにために過食となり肥満になる場合もあります。

治療は腫瘍の外科的切除が原則ですが、完全に切除出来ない場合、インスリン分泌抑制のため抗ホルモンdiazoxideやソマトスタチン誘導体酢酸オクトレオチドの薬物療法が行われます。

悪性腫瘍の場合は、streptozotocinや5Fuが用いられます。

 α細胞由来の腫瘍から過剰のグルカゴンが分泌されるグルカゴノーマglucagonoma、C細胞由来と考えられる膵島細胞腫から過剰のガストリンが分泌され、胃酸分泌が亢進し、多発性の上部消化管潰瘍を発生するZollinger‐Ellison症候群、D細胞由来の腫瘍から過剰のソマトスタチンが分泌されるソマトスタチノーマsomatostatinomaの他に、 vasoactive intestinal peptideや下痢誘発物質を分泌し、大量水様下痢などを主徴とするVerner‐Morrison症候群を示す膵島細胞腫も知られています。

 また、膵島細胞腫は下垂体腺腫と副甲状腺腫瘍に合併する多発性内分泌腺腫症multiple endocrine adenomatosisのI型(Wermer症候群)としてもみられます。


放射線ホルミシス

     出典:治療 2005.3 増刊号  神奈川県 北村歯科 北村秀紀

多量では有害な放射線も少量なら生体にとってむしろ有益な効果が有る。

ホルミシスとはギリシャ語に由来して「刺激する」「促進する」という意味

生体にとって有益な効果
〜生物の成長や発育の促進、繁殖力の向上、疾病や死亡率の低下、寿命の延長など

<経緯>
1982年トーマス・D・ラッキー教授が論文を発表、当時は反響無し。
1985年日本の電力中央研究所でこの論文を発見したことがきっかけで、カリフォルニア大学討論会が開催
1989年より電力中央研究所の呼びかけにより日本の14大学が参加して研究開始

1)SOD、GPx、細胞膜透過の飛躍的向上による細胞の老化防止、活性酸素病の予防と治療
2)糖尿病、高血圧、リウマチ、神経痛、アルツハイマー、パーキンソン病などの中高年疾患の予防と治療
3)免疫システムの機能高進による感染症・癌の抑制・転移防止・再発抑制
4)DNAの修復促進、細胞アポトーシスによる癌の抑制
5)低線量被曝やラドンによる中枢神経系での重要ホルモンや疼痛の緩和

 この中でも特に注目される効果はSOD、GPxの飛躍的増加による活性酸素除去効果です。現在では疾病の90%以上は活性酸素が大きな原因といわれていますが、マウスの実験では20cGYの照射により50%ものSOD、GPxの飛躍的増加が確認されています。これが人でも起こるなら各種疾患に対して、予防治療効果は十分に期待できるものと思われます。

 鳥取県の三朝温泉、青森県の玉川温泉には微量放射線が含まれ、過酸化脂質・コレステロール値低下による抗酸化作用、免疫促進、ACTH増加、aANP増加による血管拡張作用、疼痛の緩解、気管支喘息患者の免疫抑制、ヒスタミン減少、抗炎症効果が確認されています。

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