*番号をクリックすると内容がご覧になれます。
<<薬学用語辞典はこちら>>
オータコイド
1993年3月1日号 NO.125 (やさしい薬理学)
オータコイドとはギリシャ語のautos(自分が作る)とakos(薬のようなもの)の連結語です。
ヒスタミン、プロスタグランジン、アンジオテンシンなどがその代表とされています。
一時期局所ホルモンと呼ばれていたこともあり、障害やアレルギー反応が起こるとその局所で作用を表します。
では、ホルモンや化学伝達物質とはどう違うのでしょう?
*ホルモン〜特定物質を産生する特定の細胞が集まった器官から内分泌という形式で放出されるその特定物
*化学伝達物質〜神経終末から産生・放出されシナプス後膜あるいは前膜の受容体に作用して膜のイオン透過性や電位変化等を与える物質。(アドレナリン、アセチルコリンなど)
*オータコイド〜ホルモン、化学伝達物質以外の科学的制御物質。生理活性物質(ケミカル・メディエーター)と呼ばれることもあります。 局所ホルモンとも呼ばれ、ホルモンと神経伝達物質の中間的な性質を持ちます。プロスタグランジンをはじめとするアラキドン酸代謝物(エイコサノイド)、ヒスタミンやセロトニンなどのアミン類、ブラジキニンなどのペプチド類があります。
ちなみにオータコイドには、ヒスタミンやセロトニンのようにそのものの形で貯蔵されているものと、ブラジキニン、アンジオテンシンU、プロスタグランジンのように、刺激に応答して生合成されるものとの2つのタイプがあります。後者の方は、刺激を受けてから生合成されるまでにタイムラグが存在します。つまり、オータコイドには速時型と遅発型があるということになります。
オータコイドは、薬物開発の宝庫とも言われ、最近この種の研究が活発になってきています。また、その反対に解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン剤の安易な使用によるオータコイドの抑制が病状を悪化させることも指摘されています。(例:アスピリン喘息の誘発等)
食前・食後・食間
1992年11月15日号 No.119 (やさしい薬理学シリーズ)
そろそろ忘年会のシーズンです。お酒を飲む機会が、増えてきますね。悪酔いしないコツは、あらかじめ軽く何かを食べておくことです。空きっ腹で一気飲みなんかするととんでもないことになってしまいます。
薬もお酒と同じと考えると、食前とか食後の意味がよく分かります。つまり食前に薬を飲むと良く効きますが、副作用も強く現れる可能性があります。食後30分というのは、そのくらい時が一番副作用が出にくいと考えられています。ちなみに食後30分というのはおおよそ食後30分以内に服用するということで、食事を終えてからキッチリ30後に薬を飲むということではありません。(そう思っている人も多いようですが、血中濃度の上昇を比べてみても食後すぐと食後30分ではほとんど差がありません。)
食後すぐの方が飲み忘れが少ないので、たいていの薬はこの指示で問題ありません。ところで食間ですが、これは食事の影響を出来るだけ受けないように配慮した用法です。食間とは食後2時間のことですが、これもキッチリ2時間計る必要はありません。)
食前のお薬は漢方薬など副作用のすくない薬、食欲増進剤などです。食前と食後を間違うと怖いのが、糖尿病の薬で血糖値のコントロールが狂うと昏睡状態になるかもしれません。
食間の薬は、抗コリン剤など胃や腸の運動を抑える作用を持つものなどがありますが、最近では、薬物間の相互作用を防ぐために食後と食間に振り分けている場合もあります。
食後、食前、食間と指示されているのには、それぞれ意味がありますので、用法・用量は必ず守って下さい。
関連記事:食事と薬効もご覧下さい。
手術用手袋等ゴム製医療用品によるアナフィラキシー反応
1992年4月1日号(医療用具安全情報 副作用情報 No.113)
米国で、手術用手袋等の天然ゴム製品に接触してアナフィラキシー反応を発現した症例が報告されています。
天然ゴム製品によって接触性皮膚炎が起こることは良く知られており、それはゴム加工時に添加される加硫促進剤などの化学物質によることが分かっています。これは一種の遅延型アレルギー反応です。今回問題となっている症状はIgE抗体が関与する即時型アレルギー反応と考えられています。
現在のところ、我が国では同様の症例の報告はありませんが、天然ゴムアレルギーと疑われる症例を系毛印した場合には、報告をお願いします。
関連項目 ラテックスアレルギー
1990年9月15日号 NO.72 (Q&A)
Q:ポリタンクの滅菌または消毒方法は?
A:消毒剤や蒸留水などを数日使用するために、ポリ容器(5〜10L9を使用していますが、細菌汚染の可能性があります。
・当薬剤部では、返却されたポリ容器を水で良く洗浄し、熱湯(80℃以上)を容器いっぱいに入れ少なくとも30分くらい放置して消毒しています。
・完全に滅菌するにはエチレンオキサイドガスやホルマリンを使用することが望ましいと思えます。
・消毒用アルコール等で良くすすいだ後、乾燥する方法も効果があります。
アルコール性肝炎とC型肝炎ウイルス
1990年6月15日号 No.67
1989年の12月にC型肝炎ウイルスの抗体検出用試薬が認可され、それに伴って注目される報告がなされています。
日本酒換算で1日3合以上を10年以上飲むいわゆるヘビー・ドリンカーの症例で、組織学的に検索が可能であったアルコール飲用者のHCV抗体の測定を行ったところ、慢性肝炎9例昼例(66.7%)、肝硬変32例中14例(43.8%)、さらに肝癌18例中で15例(83.3%)のHCV抗体陽性が見られました。
アルコールが肝硬変の促進因子であることは間違いないと思われますが、このような結果から、従来論議されてきたアルコール性肝硬変、肝癌の成因に関しても、HCV抗体陽性という面から、再検討されようとしています。
{参考文献}MODERN MEDICINE 1990.5
MRSAの消毒方法
1990年6月1日号 No.66 Q&A
Q:病棟でMRSAが検出されたのですが、手荒いなどどんな消毒剤を使えばよいのですか?
A:MRSAは臨床上からも院内感染菌としても大きな問題になっています。
MRSAに対する消毒剤の効果を検討した報告はまだそれほど多くありませんが(1990年当時)、消毒剤に関してはMSSA(従来のブドウ球菌;メチシリン感受性)と比較して特に抵抗性が高いとする報告はなく、通常の消毒処理を正しく実施することでMRSAの消毒も十分に対応できると考えられています。
現在、当院でも繁用されている消毒剤の塩化ベンザルコニウム、イソジンは低濃度でも有効です。
院内感染防止のための手洗いとして、海外でもヒビスクラブが有効であるとして励行されています。
(MRSAは、抗生物質に対する耐性を持っている菌であり、消毒剤の殺菌作用に対する抵抗性を持っているとは限りません。MRSAとMSSAとで比較試験をしたところ、消毒剤に対しては同等に効果があったという文献もあります。ただし上記は、筆者の見解でMRSAには、ステリハイドなどの強力な消毒剤を使用すべきだという意見もあり、現在そちらが主流になっています。)
2002年追記 上記の筆者の見解は、完全に誤りでした。(が、歴史的な意義を考えこの欄は削除しません。)
MRSAや消毒薬に対する耐性菌が続々報告されています。
消毒薬耐性菌の方を是非ご覧下さい。
妊婦に人は気を付けて! レバーの食べ過ぎは危険です。
1990年2月1日号 No.59 (一口メモ)
妊婦や若い女性は貧血対策として、鉄分を含んだ食事としてレバーを食べることを勧めるのが常識のようになっていますが、レバーの中にはビタミンAも多く含まれています。
ビタミンというといかにも安全そうに思えますが、実はビタミンは代表的な催奇形成物質なのです。
今までに、妊娠3〜5週に毎日25,000〜40,000単位のビタミンAを摂取していた妊婦から、泌尿・生殖系の奇形児が生まれたという報告もあります。
レバー一切れ(約20g)には10,000単位のビタミンAが含まれ、少し食べるだけで、十分に必要量は補えます。
食べ過ぎは危険ですので十分に注意が必要です。
ジスルフィラム様作用とは
1998年6月15日号 No.45
アンタビュース様作用、アセトアルデヒデ症候群ともいう。
アルコールは肝臓でアルコールデヒドロゲナーゼという酵素によりアセトアルデヒドに代謝されます.これはさらにアルデヒドデヒドロゲナーゼにより酢酸になり,最終的には炭酸ガスと水に分解さます.ジスルフィラムはこの過程のアルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害することにより,吸収されたアルコールをアセトアルデヒドの段階で止め,蓄積させます.アセトアルデヒドは心悸亢進,呼吸困難,頭痛を惹起します。
ジスルフィラム、アンタビューズは嫌酒薬:この薬を予め飲んでおくと、酒を飲むと気分が悪くなり、酒が嫌いなる。
一部のセフェム系抗生物質で、この作用を持つものがある。相互作用で、重篤な二日酔いの様な症状があらわれます。
ジスルフィラム様作用のある抗生物質:スルペラゾン、ヤマテタン、サンセファール、シオマリン、ベストコール、トミポラン等
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
出典:月刊薬時 1998.3 臨時増刊号
ジスルフィラム(別名:アンタビュース)は、継続的な飲酒を不可能とさせる抗酒療法として、慢性アルコール中毒患者の治療に用いられる薬剤です。この薬を服用中は、アルコールを飲用すると、顔面紅潮、悪心、嘔吐、めまい、頻脈、動悸,
血圧低下などの症状が発現する場合もあります。これらの症状は、ジスルフィラムがエタノールの代謝過程で、アルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害し、アセトアルデヒドの代謝が阻害され、血中のアセトルデヒド濃度が上昇することにより生じます。
セフェム系抗生物質がジスルフィラム様作用を生じさせる機序については多くの検討が行なわれています。
セフェム系抗生物質はその基本構造として、β−ラクタム環に6員環が隣接した母体を有し、その3位または7位の側鎖を修飾することにより、抗菌スペクトルの拡大、抗菌力の増大、吸収率の改善、副作用の軽減などが図られてきました。
とくに3位の側鎖のN−メチルテトラゾールチオメチル基(以下、MMT基)は、グラム陰性桿菌に対する抗菌スペクトルの拡大、抗菌力の増大を図るために、セフメタゾール、セフォペラゾン、セフメノキシム、ラタモキセフなどの多くの注射用セフェム系抗生物質に導入されてきました。しかし、その後の臨床研究などにより、特定の側鎖を有するセフェム系が、その側鎖に由来する特異的な副作用を発現させることが判明してきました。特に3位の側鎖にMTT基によるジスルフィラム様作用が、その代表的な事例です。
(このMMT基は、出血傾向にも関連しているといわれています。
<3位に側鎖にMTT基を有するセフェム系抗生物質>
CMD:ケフドール
CMX:ベストコール
CPZ:セフォビット、セフォペラゾン
CPM:サンセファール、セパトレン
SBR/CPZ:スルペラゾン
CMZ:セフォテタン
CTT:ヤマテタン
CBPZ:トミポラン、ケイペラゾン
CMNX:メイセリン
ラタモキセフ:シオマリン
医薬品副作用被害救済基金
昭和62年7月1日号 No.2
医薬品副作用救済基金とは、サリドマイド、スモンなどの教訓を基に昭和54年に創設された制度です。
すなわち医薬品が適正な目的のために適正に使用されたにもかかわらず発生した副作用による疾病・障害及び死亡に関して、医療費・医療手当・障害年金・障害児養育年金・遺族年金・遺族一時金・葬祭料の救済給付をおこなっているもで、本年6月6日よりそれぞれ一律に引き上げることになりました。
図 略
この制度についての資料は、薬剤部に置いてありますので、必要なとき取りに来て下さい。
詳細はこちらをご覧下さい。
1989年8月15日号
1.即時性の副作用〜ABO不適合によるもの。IgM抗体による血管内溶血
電話の聞き違い、依頼書の書き間違いなどによることもありので注意!!
2.遅発性副作用〜交差試験では検出されず、輸血された血液の中の抗原により感査されて抗体が産生され、輸血された血液と産生された抗体との反応により輸血後1週間以後に直接クームス試験陽性、溶血、黄疸、貧血などの症状が現れてくる。
3.非溶血性副作用〜頻回受血者、経産婦等では輸血や妊娠によりリンパ球抗体が産生されることが多く、抗体が産生されるとその後の輸血では発熱、悪寒戦慄、ショックなどの副作用が起こる場合もある。リンパ球抗体(LCT)の検査を行う方法もある。
4.GVHD〜移植片対宿主病;graft versus host disease
輸血血液中に含まれるリンパ球が患者の組織を異物として認識して攻撃する反応。
湯として皮膚(発疹、剥離)、腸管上皮(下痢)、胆管上皮(肝機能障害、黄疸)、骨髄(汎血球減少症)を攻撃し、その致死率は90%以上と報告されている。
従来、GVHDは輸血後紅皮症候群として知られていたが、その機序が分かったのは最近(1980年後半)の事で、血液センターの使用上の注意に記載されたのは今年(1989年)になってからである。
関連記事はこちら。
1989年8月1日号(薬剤Q&A)
Q:MRSAとは、また有効な薬剤は?
A:MRSAとは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の事で、最近、寝たきり老人や、免疫不全状態にある患者あるいは、院内感染菌として問題になってきています。
第3世代のセフェム系抗生物質が使用されるようになってから急速に目立つようになってきました。
MRSAの耐性遺伝子は、βラクタム剤(ペニシリン、セフェム)に触れることによってその耐性を発揮します。そのためセフェム系抗生物質が使用されると、その中で選択的に生き残り増殖します。
院内感染としては、患者の褥瘡からMRSAが見いだされる事が多く、
褥瘡→咽頭→下気道そして感染という、感染パターンが考えられます。
*MRSA感染症の対策
予防対策〜病棟内での手洗い、医療用運搬代の清掃、褥瘡の発生予防、イソジンによるうがいが効果的
有効な薬剤〜略
消毒薬〜略(上記に記載)
この記事がMRSAについての初めての記事です。くわしくはこちらへ
つまり1989年までは、MRSAは医療関係者でも知らなかったということです。
1989年6月1日号
生体内でのカルシウムの役割は骨や歯の形成が良く知られていますが、細胞内では微量のカルシウムが重要な働きをしています。現在までに、数多くの生理活性物質がもたらす細胞の刺激応答現象にカルシウムが中心的な役割を果たしていることが明らかになってきています。
様々な生理活性物質が、細胞での機能を果たすためには、細胞膜と細胞内のカルシウム結合蛋白質の存在が不可欠であり、そのような細胞内カルシウムと結合(受容)蛋白質には、トロポニンC、カルモジュリン、パルブアルブミンなど多くの種類があります。
これらの中でカルモジュリンは真核細胞に普遍的に存在しており、カルシウム依存性の細胞機能として理解されていたほとんどが、カルモジュリンを介して調節されていることが明らかになりました。
例えば、血管平滑筋の収縮反応や血小板の機能発現などもその一つです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カルシニューリン
出典:日本病院薬剤師会雑誌 2001.10 等
カルシニューリンは、最初、ウシの脳から生成されたCa++/カルモジュリン(CaM)依存性のセリン/スレオニン脱リン酸化酵素で、活性期をもつ分子量61kDaのカルシニューリンA(CnA)と制御サブユニットである分子量19kDaのカルシニューリンB(CnB)から成るヘテロ二重体蛋白です。
この酵素は、免疫制御剤であるシクロスポリンやタクロリムスの標的分子で、それらの薬剤により活性が阻害されます。この活性阻害機序は細胞内結合蛋白であるそれぞれに特異的なイムノフィリンと結合し、この免疫抑制剤−イムノフィリン複合体がCnBを介して結合し、カルシニューリンの触媒部分の立体障害を生じることに起因します。
現在、カルシニューリンとイムノフィリンはそれぞれの活性を通じて、細胞死を始めとした細胞内機能を制御する新たな情報伝達系として重要な役割を果たしていることが明らかになってきています。
カルシニューリンは脱リン酸化酵素の1つで、リンパ球の活性化に必須の役割を果たしています。その阻害薬であるシクロスポリンAやFK506は、拒絶抑制に使われています。最近では能や心臓での役割も注目されています。
=====================
統合失調症(旧称:精神分裂病)とカルシニューリン(CN)
思春期・青年期に好発し、幻覚、妄想、思考の障害、自発性の低下、感情の平板化などを主要な症状とする統合失調症は、人口の約1%が罹患する精神疾患です。他の多くの精神疾患と同様、統合失調症は複数の遺伝要因と環境要因が複雑に相互作用して発症に至ると考えられます。
個々の遺伝子の発症リスクへの関与は小さいと考えられ、連鎖解析や関連解析からは再現性のある知見は未だに得られていないのが現状です。
最近、遺伝子改変動物の行動解析と遺伝子の関連解析から、カルシニューリンと統合失調症の関連を示唆する興味深い報告がなされました。
中枢神経系でNMDA(N-methyl-D-aspartic acid)受容体とドパミン受容体を介したシグナル系は、統合失調症での機能異常が指摘されていますが、カルシニューリンはこれらのシグナル伝達の下流で重要な役割を担っています。
マサチューセッツ工科大学のグループは、カルシニューリンの調節サブユニットCNBを前脳特異的に欠損するマウス(CNミュータントマウス)を作り、そのワーキングメモリーが障害されることが報告されました。また、一連の行動解析が行われ、CNミュータントマウスでの自発運動の亢進、他のマウスとの社会的関わりの減少、prepulse
inhibition(突然の刺激に対する驚愕反応が、その直前に与えられる弱い刺激による抑制される現象)とlatent
inhibition(経験から必要ないと判断される外部刺激を無意識にシャットアウトする現象)の低下、NMDA受容体の競合的阻害薬MK-801に対する自発運動の増加反応の亢進が見出されました。
これらの異常は統合失調症患者に見られる特徴と一致していることから、CNの関わるシグナル系の異常が統合失調症の重要な寄与因子である可能性が示唆されました。
出典:ファルマシア 2004.3
1989年2月1日号
「いびきの予防薬」
病院に入院したとき、自分のいびきを気にする人、人のいびきが気になる人などが見受けられます。
食塩0.9%、グリセリン30%の水溶液がいびきに効きます。
いびきは鼻の粘膜が乾いて、鼻で息が出来なくなったとき、口で吸い込んだ空気が喉の近辺の粘膜をふるわせて起こるといわれています。
寝る前に1〜2滴を鼻に刺しておけば乾燥を防ぐことで5時間ほど効果があります。一度試してみては?
(その後、当院ではシュナール液として製剤化、シュナールとはドイツ語のSchnarchen:いびき)
1993年8月15日号 No.135 Q&A
Q:薬剤性髄膜炎と非薬剤性無菌髄膜の見分け方について
A:薬剤性無菌性髄膜炎の報告はボルタレン等のNSAIDsをはじめとして、テグレトール、抗菌剤(ペニシリン等)、グロブリン製剤等でみられています。
本症の患者背景として、多くの症例で全身性エリテマトーデス(SLE)、混合性結合組織病(MCTD)、関節リウマチ、シェーグレン症候群等、いわゆる結合組織病は患者の原疾患として認められ、発症機序との関与が疑われています。
薬剤性無菌性髄膜炎 | 非薬剤性の無菌性髄膜炎
*急激な発症、発症までの期間が比較的短い | *前駆症状が数日続き、発症までの期間が長い。
*再与薬により類似症状が即座に発現 | *紅斑拡大などSLE症状悪化が認められる。
*アレルギー症状(顔面腫脹、結膜炎等)を伴う |
*与薬中止により速やかに快復 | *回復までに数週間を要する。
*髄液所見で多核球優位の細胞増加を呈する | *髄膜所見で単核球増加が認められる。
anaphylaxis
1902年、イソギンチャクの触手に含まれる毒素に対する抗血清を作る目的で毒素を犬に注射したところ、2回目に注射後に犬は嘔吐、出血性下痢、呼吸困難、意識消失を来して死亡
この現象をana=against,phylaxis=protectionと呼んだところからきています。
出典 1993年8月1日号 NO.134 <副作用情報N0.121解説>
アナフィラキシーは、1902年イソギンチャクの毒素の極少量をイヌに注射する実験の中で発見された現象です。
毒素に対する免疫(フィラキシー)を予想した実験で、予想に反する(アナ)反応を見た驚きがアナフィラキシーという病名に込められています。その後、本毒とは無縁のウマ、ウシの血清や卵白などの異種蛋白、更には低分子化合物製剤ですらアナフィラキシーを起こしうる事が判明してきています。
薬物とそれに特異的に反応するIgE抗体によって、血圧下降を始めとする末梢循環障害、ショックの他に、呼吸困難、蕁麻疹、紅潮、血管浮腫などの一連の症状(アナフィラキシー様症状)を呈する者を薬物によるアナフィラキシー反応といいます。
ある大学病院の臨床カンファランスでの若い受け持ち医(YD)と指導医(SD)との会話
YD:「昨日、○○さんが薬物の使用直後にアナフィラキシーショックを起こしました。蕁麻疹、紅潮などが突然出てきたのです。」
SD:「血圧は? 末梢循環不全の徴候は?」
YD:「血圧は正常で、バイタルサインに問題はなく、型どおりの処置ですぐに快復しました。」
SD:「それはアナフィラキシーショックとは言わないよ。」
YD:「そうですね。でも私にはショックでした。」
By 遠嶽 秀丸
< 無駄口薬理学に戻る > < やさしい薬理学自律神経編 >