■ ゼンハイザー Sennheiser HD650

[周波数特性グラフ]


■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境
Fig. Sennheiser HD650 Frequency Response

[仕様]

形式   オーバーヘッド(アラウンドイヤー)型 開放・ダイナミック型
周波数帯域10Hz~39,500Hz
インピーダンス300Ω
音圧レベル103dB/mW
ケーブル・プラグ3.0m 両出し, 6.3mmステレオ標準プラグ(ストレート)+3.5mm変換ケーブル
備考 2004年頃発売
メーカーサイトAmazon.co.jp

[レビュー]

誰もが認めるリファレンス機の代表格,ゼンハイザー HD650。 私はこの2世代前?のHD580を2台も持っていて, 今でも現役でメイン機として全く不満なく活用しているので,HD650を手に入れるかどうか長い間迷っていました。 少し低域が強くなっているという評判も躊躇させる要因でした。 しかし,やはりこの機種は聴きたいという思いが強く,とうとう入手した次第です。

音質ですが,低域が強くなっているという評判は確かにその通りでしたが,その増加量はわずかでしたので, HD580からの音質の変化は最小限であり,聴感上はほぼ同等という印象です。 周波数特性からもわかる通り,聴感的にもフラットであり,まさにリファレンス機としてふさわしい性能を有していると言えるでしょう。 軽いドンシャリ傾向ではありますが,全く強調されたものではありません。 むしろ,beyerdynamic T90 Jubileeと比べると, 中域の充実感がずっとあります。

周波数特性を見ると,高域の特性の暴れが驚くほど見事に抑えられていることがわかります。 全帯域にわたって上品で刺激的にならない音作りとなっています。 個人的にはもう少し10kHz前後の音圧が高い方が好みなのですが,リファレンスとしてはこれで良いと思います。 少し大きめの音量で聴くと気持ちよく聴ける特性です。

装着感ですが,少し固めのベロアのイヤーパッドは感触も良く快適です。 側圧ややや強めなので長時間は少ししんどいかもしれませんが,大型のイヤーパッドで圧力が分散されるため意外に疲れません。 ヘッドバンドのスライダーはちょっと固めで合わせにくいのですが, 一度決めてしまえば動かすことはほとんどないため実用上はあまり問題ではありません。 ケーブルも柔軟性があり癖も付きにくく,取り回しも良好です。

ということで,改めてこのモデルの完成度の高さを思い知りました。 値段分の価値は十分にありますね。 さすがです。 よくクラシックやジャズには向くけど,ロックやポップスには向かない,というような評を見ますが, 要は単にその人の音の好みを言っているだけであって, 私としてはジャンルに関係なく素晴らしい音を聴かせてくれるモデルだと思っています。

(記2015/04/05)