飛 鳥



江戸時代の町並みが今も昔の面影を残している(橿原市今井町)

ウオーキング・旅に戻る

トップページに戻る

総目次に戻る

目 次

1. まえおき
2. 橿原市今井町(第1日)

3. 明日香(第2日)
4. 明日香2(前項の一部と第二回目の明日香です)
5. 明日香3(岡寺と談合神社です)
6. 桜井〜山の辺の道(第3日)
7.
山の辺の道2(第3日 第二回目の旅行です)
8. あとがき

1. まえおき
 2001年11月14日〜16日にV Age Clubの「新書を読む会」の有志7名で飛鳥に2泊3日の旅をしました。奈良には数回行ったことがあるのですが、飛鳥は初めて行きました。中央公論新書の「飛鳥−水の都」を1冊読んだだけで、殆ど予備知識も無しだったのですが、行った後で再読すると、地理が頭に入ったせいか、とても良く理解できるようになりました。またこれを機会にいろいろと勉強も始めました。
 さらに2005年10月16日〜18日に、今度はNMCの「歴史に学ぶ会」の有志6名で飛鳥に2泊3日の旅をしました。日程で変わったのは、初日の午後も飛鳥に当てたことだけです。ただ二回目の訪問なのと、後で触れるように私なりに4年間で勉強をしたので、より深く理解できたと思っています。

2. 橿原市今井町(第1日)今井町の地図
 江戸時代の町並み今も  重厚な風格 保存に苦労(右は今井町の地図)

 「町並みの法隆寺」。奈良県橿原市今井町は、こんな異名を持つ。濠(ほり)を巡らせた環濠(かんごう)都市で、十六世紀半ばごろから発展した。江戸時代には商業都市として栄え、当時のたたずまいが面で残り、国指定の重要文化財の町家が八軒もある。大阪のベッドタウンに奇跡のように残った町を訪ねた。
                                   ☆ ☆ ☆
 近鉄・八木西口駅で降り、飛鳥川にかかる橋を渡ると、矢印付きで「今井町」と書かれた素っ気ない看板が現れる。それを頼りに車が多い殺風景な通りを二、三分歩き、右に折れると今井町だ。
 東西6百b、南北310b、17f余りの町に立つ約7百軒の建物のうち、7割が伝統様式を残し、国から「重要伝統的建造物群保存地区」の指定を受けている。町の入り口に目印がないので、突然、江戸時代の町に紛れ込んだような不思議な気分になる。
 まず町の西側にある高木家住宅に入った。奥さんの高木恭代さん(58)が案内してくれた。「約2百年前の江戸後期の町家で、八つの重文の中では一番新しい。書院造りが特徴です」。切り妻造本瓦ぶきの2階建て。2列6間取りと呼ぶ間取りが独特で、違い棚や格子の細工は精巧だ。「自治体の補助はあっても維持管理が大変」と嘆く高木さんだが、「町が残した財産を多くの人に見てほしい」と話す。
 ゆっくり町を歩いた。8軒の重文は2、3百円で見学可能、無料、事前連絡が必要、時期を限って公開など様々。だが城郭のような家、屋根の一方が切り妻、片方が入り母屋という珍しい家など、意匠を凝らした外観を眺めて回るだけでも価値がある。県や市指定の建物も 計10軒。普通の民家の連なりにも重厚な風格がある。
 今井まちなみ交流センター「華甍(はないらか)」では、町の歴史を模型や映像などで多角的に展示してあり、入館無料。ガイドマップも分かりやすく作られているので、これを片手に散策するといい。
 今井は武装宗教都市「寺内町」でもある。今井町町並み保存会の藤根治会長(70)によると、今井は江戸時代、堺と並ぶ自治商業都市で、「大和の金は今井に七分」と言われた。自治意識が強く「町掟(おきて)」という規則で町を守った。「昔の町並みが面で残るのは全国でもここだけ」と藤根さん。保存会は様々なPRをしてきたが、活動を強化し知名度を全国区にしたいという。

目次へ戻る

 民家の修復などの適否を論議する、今井町町並み保存住民審議会の八木幾太郎会長(75)は「学者ら外からの評価で今井は名を上げた。町民はもっと自覚を持って町を良くすべきだ」と言う。保存には町民から反対の声も出た。説得に奔走した功労者で、行政とのパイプ役の声だ。
 市も2年前に町並保存整備事務所を町内に移転。住民が家を改築する際、外観を景観とマッチさせ構造部分や梁(はり)を保存するよう指導し、相談に乗っている。これまでに約160軒をよみがえらせた。吉本光男所長(52)は「家並みを残しっつ住環境を良くずるのが課題」と知恵を絞る。将来は世界遺産に登録したいと夢を広げている。
 三人に共通するのは「今井を元気に」との思いだ。再び町を歩き出すと、確かに活気がなく、空き家も多い。店が少なく旅館はない。高齢化が進み、人口も減っている。
                                     ☆ ☆ ☆
 土産物店の一つ「民芸品かない」をのぞいて驚いた。土鈴や絵はがきなどのほか、ひな人形やひな道具、陶器など民家の蔵から出た多彩な「お宝」が並び、栄華を誇った商業都市の実力がしのばれる。商売気はあまりない。今井は観光地でなく人々が暮らす町なのだ。居並ぶ歴史建造物の多くが土産物店という観光地になれば、今井は情緒を失う。かといって、にぎわいを呼び込めないと町は朽ちていく。
 通称、今井長屋で喫茶店「まとや」を営む的場和子さん(59)は明るいおばちゃんだ。長屋を買い取り、建て直してテナントを募集、雑貨、小物の2店が昨年入居し、今年2月には神奈川県の藍(あい)染めの作家がギャラリーを開く。「にぎわいと情緒の両立はきっとできる。やるしかない」。的場さんは元気に言い切った。    (義)

  ☆ 旅支度  史跡・古刹見所多い

 橿原市のある大和地方は6世紀初めから約2百年間、日本の都だった。政権が安定して国家形態が整い始めた時代で、大和朝廷の中心は橿原にあった。
 大和三山に囲まれ、平城遷都まで都だった藤原宮跡、神武天皇の宮跡保存のため明治時代に建立された橿原神宮、約6百基の古墳が連なる新沢千塚古墳群など、見所が多い。周辺に足を延ばせば、多彩な古墳群や史跡、古刹(こさつ)が目白押し。ドラマチックな古代史の世界と万葉の香りを満喫できる。
 橿原市観光協会(電話0744-28-0201)などが様々なハイキングコースを提案している。橿原市の中心、近鉄・大和八木駅までは難波駅から近鉄大阪原県線で45分(いずれも特急)。
[出典 日経新聞夕刊 2002.1.9]

目次へ戻る

ウオーキング・旅に戻る

トップページに戻る

総目次に戻る

[Last Updated 11/30/2014]