Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第959夜

SHOUT in Miyazaki


 また秋田に帰っていた。
 今回は仕事。もうちょっと早く言ってくれれば、こないだ無理して帰らなくてよかったのに。尤も、仕事で呼ばれる場合、交通費は会社持ちだから、15 時間かけて新幹線、なんてアホなことはできなかったわけだが。
 計画のスパンが違うんだよな。
 個人で移動する場合、交通費は極力抑えたい。したがって、早割を期待して何か月も前からチケットを取る。こないだの場合、飛行機については正月から押さえてるわけ。JR の方は、早割なんて制度はないから*1そうもいかないんだが、それでも一か月前。
 だが、仕事の場合、「じゃ、来週ね」ってのはよくあること。会社だって経費は節減したいだろうが、調整の対象はたくさんあるから、二か月前から計画が立てられる、なんてことはそうそうない。「早くしたい」としても「早く」の基準が違う。それにしても勿体ない事であった。

 宮崎に戻ってきたら、アパートに荷物を放り投げるようにしてすぐ外出。何があるかというと、STARDUST☆REVUE のライブ。
 危なかった。もし秋田出張 (ぇ) が一週遅れてたら、チケット捨てることになるところだった。
 会場の宮崎市民文化ホールというのがまた微妙な場所にある。に、「薫る坂」*2っていう興味をそそられる地名がある、と書いたが、まさにその辺りで、市立図書館なんかと一緒に並んでいる。
 雨だったので自転車では行けず、バスで行こうと時刻表を調べてみた。開場が 16:30 なので、16:11 着ので行ったのだが、なんとこれが最終。
 反対方向、街中に戻る便もその数十分後が最終。
 これはこれは。
 ド田舎ではない。宮崎駅の隣、南宮崎駅のすぐ近くにある、宮交シティというバス運行の拠点からバス停で八つである。公共施設があるだけで周りは野っ原、というのでもない。ぎっしり詰まった住宅街なのだ。
 そこまで車社会なのか? と思ったが、改めて調べてみたら、宮崎駅からのバスは結構な頻度で、22 時まで走ってることがわかった。
 これは、秋田市で言うなら、御所野方面から山王へのバスみたいな感じか。片や大住宅地、片や官庁街だが、基本的には北都銀行前で降りて交通公社前まで歩いて乗り換え、というあれと一緒――って、秋田市に住んでない人にはなんのことかわからんか。*3
 宮崎は秋田より公共交通が発達してて便利、と思っていたのでちょっと驚いた、という話。

 そうそう、今回のテーマはスタレビのライブだった。
 お得意のご当地ネタは二度。
 一つは、“SHOUT”というアルバムに収録されている「熊谷の風」という曲に絡めて、埼玉県熊谷市*4の紹介。
 八木橋というデパートが新館を建てたとき、旧館の地下をライブハウスにしたそうだ。その八木橋というのは、おしゃれ最先端というより地味な方で、「ボンベルタではなく山形屋」という例え。まぁ、これも宮崎を知らない人にはさっぱりわからんか。俺も、おしゃれなところで買い物しないので、この比喩が適切かどうかは知らない。

 ちなみに、山形屋 (やまたや) は鹿児島が本拠地である。今は‘Y’をモチーフにしたおしゃれなマークだが、元は上半分が「山」であるマークを使っていて、これが「岩」にしか見えない。東北衆にとっては非常にややこしい店である。
   

 もう一つは、ご当地向けのオリジナルソング。添田啓二のピアノをバックに根本要が即興で歌うのだが、その中で「『てげ』と『てげてげ』は音はそっくりなのに意味が全然違う」というのがあった。館内大爆笑。やっと方言の話になった。
 一応、解説しておくと、最初の「てげ」は副詞で、強調の意味を持つ。「てげうめー」と言ったら、「とても美味しい」という意味。
 後者の「てげてげ」は、「いい加減。大雑把」。宮崎県民の悪いとこと言われる。こんな看板もある。
   
 標準語で対応する標語を見つけるとすると「だろう運転」に近いか。
てげ」も「てげてげ」も「大概」が変化したものらしい。

 アンコールも含め 3 時間 45 分のステージ。これ、スタレビでは通常営業である。場合によっちゃ 4 時間やるんだから。
 根本要が“Thank You, MIYAZAKI!”というようなことを何度も言っていたが、それに対して秋田衆である俺が声援を返している、というのもなかなか不思議な感覚。
 秋田公演は 5/24. さすがに行かん。金銭的な問題もあるが、日曜の夜だから月曜に休みとらなきゃならない。
 上記二点がどうなるかは興味あるけどな。特に、八木橋の辺りを何と言うかが興味深い。秋田の地元資本大型店で、そういう差異があるとこってないからねぇ。




2002 “Style”についてはこちら
2003 “Heaven”についてはこちら
2005 “AQUA”についてはこちら
2006 “HOT MENU”についてはこちら
2008 “31”についてはこちら
2009 “ALWAYS”についてはこちら
2011 「太陽のめぐみ」についてはこちら

*1
 なくはないが、会員登録しなきゃならない。次に新幹線に乗るのはいつになるかわからないから見送った。(
)

*2
 どうやらデベロッパーが開発したニュータウンらしい。(
)

*3
 細かいことを言うと、直通は直通であるのだが、秋田駅を経由するために回り道をする。
   
 バスは緑のルートを走るので、バスが頻繁に走っている通勤時間帯なら、赤いバス停間を降りて歩いた方が早い。(
)

*4
 根本要 (Vo/Gt) と柿沼清史 (Vo/B) の出身地。こんな
記事がある。()





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