2002 年の“
Style”から続いている、
STARDUST☆REVUE のコンサートにかこつけた文章。例によってネタばらしもありうるので、これからこの“31”ツアーに参加する方はご注意いただきたい。
この人たちはあちこちで地元ネタで笑いを取っている。
今回のツアーは一曲目が (ネタばれ注意) 「大渋滞」で、それに絡めてだと思うのだが、サポートメンバーの添田啓二氏による交通情報から始まる。
これが、茨島
(ばらじま) 交差点と並ぶ混雑の名所、「明田
(みょうでん) 地下道」から始まる。会場はすっかり定着した
県児童会館なのだが、スタレビのライブで混雑が予想された山王
(さんのう) 十字路は、何事もなく流れている (つまり、人が殺到したりしていない)、というアナウンス。なんで難読地名が並んでるんだろう。
もう一つの地元ネタは、寸劇 (このバンド、時々、寸劇をやる!) で持ってくるレジ袋。
さいとうだった。中身が何だったかは忘れた。秋田名物だったとは思うのだが。
ローカルな話題おしまい。
寸劇はやるけど方言バンドじゃないから。
今回のタイトル“31”は去年の秋に出たアルバムのタイトルでもあるのだが、これは通算 31 枚目のアルバムであることによる。リーダーの根本氏によれば、一アーチストで 31 枚というのは非常に珍しいケースらしい。唯一なのかどうかはわからなかったが。
というわけで、数字から攻めてみたい。
まずは、すっかり有名になった山形の「
1 かっこ」「
2 かっこ」、あるいは「
1 まる」「
2 まる」。それぞれ、“(1)”“(2)”と丸付き数字である。やめましょう、というお達しが教育委員会辺りから出た、という話を聞いたが、その後、どうなったのだろう。
前にも書いた「
いっかつき (一ヶ月)」だが、一向にネットでの用例が増えない。そんなに聞きなれない秋田弁じゃないと思うんだがなぁ。
これまた大分、
前に脚注でチラッと触れた、「
よったり (四人)」の方はもうちょっと例が多い。辞書に載ってることもあるらしいから、必ずしも俚諺形とはいえないのかもしれないが、少なくとも古い表現だとは言えるだろう。
その割に、「みたり」「みったり」は聞いたことがない。これも辞書には載ってるようなんだが…。
『
言語』で、「新しい語学のすすめ――マルチリンガルで広がる世界」という特集をやっている。全部で 16 言語を扱っているのだが、武村景子氏がスワヒリ語によせて面白いことを書いていた。
ドイツ語やフランス語など、名詞に「性」がある言語は少なくない。この文法性 (「ジェンダー」と読んで“sexuality”と区別されていたが、最近、女性と男性の話をするときも「ジェンダー」という言葉を使うようになってしまった) と生物性とは必ずしも一致しないし (
Wikipedia によれば、ドイツ語の“Maedchen (少女)”は中性) 、無生物になるとどうやって判別すればいいのかわからない。したがって日本人は苦労するわけだが、それって、日本語の助数詞 (ものを数えるときにつく言葉) と同じじゃん、と述べている (スワヒリ語は 16 種類だそうである) 。羊羹も箪笥も「棹」だなんて聞かないとわからないし、鉛筆も柔道の決め技も「本」だなんて、聞いたからって納得できるかというとそんなこともない。巧い対比だと思う。
*1
方言と助数詞については、
広島大学の論文が充実しているようである。ググると一杯出てくる。
スタレビは“31”に先立って「愛の歌」というシングルを出している。
これは、5 月に行われた「25 年に一度の大感謝祭」というライブ (デビュー 25 周年の、6 時間に及ぶステージ) で録った観客の声をメンバーのスタジオ録音にかぶせたもので、当然、今回のツアーでもメインのポジションにいるのだが、アンコールのときには、途中で拍手に代わって場内大斉唱となった。すげぇ迫力だった。根本要がまるでビビったかのように喜んでいたのが印象に残っている。
会場が狭いから響いたのかもしれないけどさ…。