Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜




第277夜

Style in Akita




 このファッション音痴が急に何を言い出しやがる、と思われる方もあるかと思うが、“Style”というのはかの STARDUST☆REVUE (というバンド…やっぱ説明しなきゃだめか) がこの 1 月に発表したアルバムの名前。
 そのアルバムを引っ提げてのツアー、秋田公演が昨日あった。

 こういうときって必ず「引っ提げて」だな。他に表現ないのかしらん。
 で、「引っ提げる」って他の使い方する?

 最初に聞いた印象は「地味なアルバム…」であった。
 実は前の (と言っても一昨年) “Moodey Blues”もそういう印象だったのだが、これはその名が“Blues”だし、大して気にならなかった。が、今回は違う。なんせオリジナル アルバムは 2 年ぶり。なのに“ROCK”な曲がない。ノれない。
 何回も聞いている内に、先頭の「夢に〜小さな奇跡〜」がそうだ、ということがわかり、同時にこの曲はかなり気に入ったのだが。
 そういうわけで、ちょっとつまずきはしたが、なんとかスタレビ (STARDUST REVUE の略称) の世界に入り込んでのライブ参戦となった。
 席は、列の番号は一桁なんだが、一番端。幸い、スピーカーの真ん前ということはなかったが、パーカッションが見えない。
 妙なもんで、囲まれていない、というのは妙に冷めた感覚になる。
 隣はグループのようだが、口が動かない。つまり、唄ってない。
 で、よくあるが、全員が同じアクションをするって奴にノれないらしい。ノらないのは一向に構わないが、手拍子までやめてしまう。どうやら別にファンというのではないようだ。
 俺は、全員が同じことをする、ということに対して嫌悪感があるので、相手が好きなバンドであってもやらない。むしろ、向こうは音で来るんだから、こっちも音で答えるべきだと思って手拍子を続け、唄うのである。

 リーダーにしてボーカルにしてギターの根本 要氏の父親は秋田出身なんだそうだ。なので、根本先生、妙に秋田のことに詳しい。これまでのステージでも「広小路の*1」とか言って笑いを取っていた。
 今回は、スタレビのメンバーは実は全員が秋田出身であった、というネタで挑んできた。
 パーカッションの林“VOH”紀勝氏は秋田北高出身だそうだ。*2
 サポート メンバーのキーボード、添田 啓二氏は阿仁町出身で祖父はマタギ。名前は金田一 萬吉で、彼が 38 歳のときに作った菓子が「金萬」。なので、CM で「38 個食べました」と言うのだそうだ。*3
 ベースの柿沼 清史氏は、根本氏と同じ秋田工業出身。故郷は男鹿だそうだ。祖父がナマハゲだとか。
 ここで根本氏が林氏を指して、「うちにもハゲがいますけどね」と言う。
 柿沼氏、「そいだば おがでね」。
 これが滑る。

 なぜかというと、まず間が悪い。大半の人には聞こえていない。
 もう一つ、アクセントが違う。
「男鹿」は「」である。
 それに対して、「あんまりだ」の「おが」は「」。
 柿沼氏は、「男鹿」のアクセントで「そいだば おがでね」と言ってしまったのだ。
 付け加えるなら、「男鹿」の「」は鼻濁音、「おが」の「」は濁音である。*6

 ドラムの寺田正美は角館出身。車で 1 時間半かけて秋田市まで来るのだそうだ*4。で、駅前の駐車場に車をおき、まずはステーション デパートをうろつく。
根本「あそこは今は、トピコと言うんじゃないか」
寺田「昔の話だから」
根本「あ、そうか。昔の話ね」
寺田「次に、パレドゥに行って」
根本「あそこは FORUS だろう」
 というわけで、地味な、しかしネイティブにはたまらない応酬が続く。
 サポートメンバーでギターの岡崎昌幸氏は、大曲出身。花火をネタにしたボケをかますが、これは今イチ。「パレドゥ」が出た後では辛い。
 どうやら、各地で同じようなコンセプトの話をしてる模様。誰が書くんだろうなぁ、この台本。

 スタレビはこれまで、秋田県民会館でコンサートをやってきた。
 前回のツアーは 1 年以上もあるもので、秋田公演はその初期だったため、秋田に来るのはほぼ 2 年ぶりとなる。今回は秋田市文化会館
 前に新聞で読んだのだが、秋田県民会館は予約受付が半年前なんだそうである。ということは、スタレビのように 1 年というスパンでツアーを組むアーティストにとっては使いにくい会場だ、ということになる。ここ数年、様々なコンサートが秋田市文化会館にシフトしているのはそのせい、という話がある。
 更に、湯沢文化会館というのがあって、詳しいことは知らないが、これはアーティストの心をくすぐる構造になっているらしく、メジャーどころがそこでステージをやって秋田市に来ない、ということがある。井上 陽水がそうだった。
 秋田市にもう一つホールを作ろうという声があり、実際に動いているのだが、俺は、ホールそのものは飽和していると思う。使いやすいかどうか、という問題はあるが。だとすれば、解決策は「新しいのを作る」ではない、と思うのだがどうか。

 俺が昨今の音楽にノれないでいるせいもあると思うのだが、秋田に帰ってきてからは、コンサートってスタレビのにしか行かない。行きたかったが、陽水はチケットが取れなかった。
 でも情報誌なんか見てると*5、秋田は避けられてるかもしれない、という気はする。山形市は仙台から車で 1 時間だから、宿を移動しなくていい。来やすい。
 北東北 3 県で 2 ステージとかいう話になったら、秋田は落ちる可能性、高いよなぁ。
 そんな中、来月は布施 明
 俺ってやっぱり、歌が巧い人が好きだ。




*1
 秋田駅前のメイン ストリート。「中心街区の空洞化」という問題があって「一応」つきだが。(
)

*2
 秋田北高校は女子高。
「セーラー服でな」とか言っていたが、北高はブレザー。 (
)

*3
金萬」というお菓子がある。昔やっていた CM で、街頭インタビュー形式のがあって、あまりおいしくてそれだけ食べた、と言っている女性がいた。ただし、正確には「28 個」。
 個人のページだが、おきらく KINMAN 王国というのがある。 ()

*4
 妙に正確な数値である。 (
)

*5
 隣県のライブ情報も載っている。一番多いのは、当然、仙台市のスケジュール。 (
)

*6
 
ONE&ONLYという、私設ファンサイトの方からメールをもらった。
 ここでも、「おが」のイントネーションについての指摘がある。(020623 加筆) ()





2003 “Heaven”についてはこちら
2005 “AQUA”についてはこちら
2006 “HOT MENU”についてはこちら
2008 “31”についてはこちら
2009 “ALWAYS”についてはこちら




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