宝塚は歌劇、植木の町です。この住宅は、廻りを植木屋さんに囲まれた、緑の中に立っています。敷地を調査にいったときが秋で、近くの樹木が黄色く色づいていたのがとても印象的で、そのときの色が、外壁のからし色につながっています。この外壁は、柱ともに垂直ではなく、わずかに内に傾いてたっています。より植物的に、大地と建物をつなぎたかったからですが、この傾斜が現れている内部空間は、その傾斜によって深い懐を感じさせてくれています。玄関扉のノブが壁に当らないようにと入れた壁穴の奥には、宝塚の市花でもあるすみれの花をあしらったタイルを貼ってあります。ささやかなこだわりですが、これに象徴されるようにクラフト的な肌合いによって、懐かしさすら感じられる家になったと思っています。
木造在来工法 地上3階建
外部仕上 屋根:ガルバリウム鋼鈑
外壁:モルタル下地 弾性リシン吹付