青ミカンでアレルギー対策



朝日新聞   2004年3月27日 記事 

ミカンを健康食品として商品化するビジネスが、湯浅町で始まる。近畿大東洋医学研究所長の久保道徳教授(62)が、未成熟の温州ミカン(青ミカン)=写真上=に抗アレルギー作用があることを学術的に裏付け、ベンチャー企業「ア・ファーマ近大」を1月に設立、花粉症やアトピー性皮膚炎の人に適した栄養補助食品(サプリメント)=写真下=として今夏から売り出す。

湯浅で商品化
研究者が会社設立

開発のきっかけは15年前にさかのぼる。当時の仮谷志良知事が近大の世耕政隆総長(いずれも故人)に「ミカンの価値を高める研究をして欲しい」と依頼。民間企業などと協力して抗アレルギー作用の有無を調べた。
  その結果、実際に作用が確認されたものの、当時は原因物質が分からず、商品化されなかった。
  ところが昨年、世耕総長のおいで近大の理事を務めていた世耕弘成参院議員の発案で、久保教授らが研究内容を検証したところ、ビタミンPの一種の「ヘスペリジン」が原因物質と判明した。
  久保教授らは近大の湯浅農場(湯浅町湯浅)で昨年7月に収穫した青ミカンを丸ごと粉末にしたものを錠剤に加工した。
  アトピー性皮膚炎の患者に希望者を募り、約50人に飲んでもらったところ、約3ヶ月で症状が軽くなり、花粉症患者やぜん息患者でも症状の改善が確認されたという。マイナス40度で急速冷凍し、遠赤外線で乾燥する製法によって、青ミカンの香りや緑色を残すことに成功した。
  今年は湯浅農場の周辺の40軒のミカン農家と提携。県内の食品加工会社とも提携し、本格生産に乗り出す。夏には「ブルーヘスペロンキンダイ」の商品名で店頭にお目見えする予定だ。値段は200錠(約3週間分)で4千円前後の見込みという。
  近大などが出資して設立された「ア・ファーマ近大」は今月、県が将来性のある企業を支援するために設けた「企業ソムリエ委員会」の認定企業に選ばれた。社長に就任した久保教授は「開発費用がかかることから医薬品化は見送ったが、植物由来で副作用のない商品として普及させたい」と意欲を見せている。
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