Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜




第695夜

出来したもの - My Old NX (4)




 一時、屋根にキャリアをつけていたことがある。当然、乗せるのは自転車である。
 クーペなので屋根はなだらかに後ろへ下がっている。つまり、水平面が短いので、キャリアの固定には難がある。補強するために、前後のキャリアにさらにパーツを渡すようになっていた。つまり、上から見ると鋼材が四角形に並ぶことになる。
   
 上の写真で言うと、白い線がキャリアで、灰色の線が補強するためのパーツ。
 これが冬に困る。雪を載せるカゴの役割を果たすのである。下ろすのに一苦労なので、タイヤをスタッドレスに交換するのと同じタイミングで外すようにした。
 すると今度は、年に二回の作業が発生することになる。どうなるかというと屋根に傷がつくのである。結局、三年くらいで使うのをやめた。大体、リアはガバっと開くし、シートを倒せば二台の自転車が余裕で載るのだ。キャリアは必要ないのである。ちと浮かれてたのかもしれん。

「傷」自体の俚諺形は見当たらないが、Wikipedia では「かさぶた」について触れられている。
 そこにも書いてあるが、九州の一部で使われる「」は不思議だ。語源がわからないが、ネットでは調べようのない形である。ひらがな一字ではノイズ除去のしようがない。
「傷だらけ」を「傷まるけ」と言うのは、愛知・岐阜の一部である。
「傷が痛む」ことを「傷がはしる」というのは山陽のあたり。関係ないが、「傷がはしる」をググると小説が多くヒットする。これは痛いんではなくて、「傷がついている」「傷跡がある」。
 絆創膏について、商品名を元にした俚諺形があることについてはも触れた。

 一番困ったのはオーディオである。
 まず CD プレイヤーがいかれた。入っていかないし、入った奴が出てこない。
 尤も俺の場合、メインはカセットテープで、CD を聞くのは、CD を買ったあと家に帰るのが待ちきれない、という時くらいなので、いつ故障したのか判然としない。気づいたらそうなっていた。
 次が液晶。これはラジオの周波数表示と時計を兼ねているのだが、セグメントが欠けるようになったので、‘1’に見えても 0/3/4/7/8/9 のどれだかわからないため、まったく用を成さない。ラジオはともかく時計には困った。前に紹介したが、妙な時計をいくつか持っていて、運転中にチラっと見たのでは読み取れない、というものもあるので、車内に時計がないのは非常に不便だった。
 用品店や百円ショップに行けば安いデジタル時計はあるが、ボタン電池はあんまり使いたくないので買わなかった。

 ねぇだろうな、と思いながら「時計」周辺を調べてみたら、大半が伊藤秀志の「大きな古時計」関連だった。
 美人時計は一般ニュースになるほど話題だが、方言時計というのもあるらしい。
 時計が実際よりも早い時刻を示すこと (「進む」っていう言い回しも不思議だよなぁ、と思ったのでこんな遠回りな言い方をしている) を、「時計が急いでいる」という言い方をするらしい。
 最初は、庄内ということで見つけて、山形出身のアナウンサーが書いた文章でも触れられているのだが、佐賀という記事も一件だけあった。
 すっかり忘れていたが、「はこぶ」という言い方がある、というのもに書いてた。
 時計を腕に巻きつけるパーツを「バンド」と言うか「ベルト」と言うか、というのは世代差かな。

 最後に故障したのがカセット。どうやらキャプスタン辺りがおかしいらしく、テープによってはちゃんと送られないようになった。リバース面の再生はまともな音にならない (が、液晶がおかしいため、往復どっちを再生しているのかわからないので正確なところは不明)。
 どうしたかと言うと、ウォークマンを導入した。
 今でも用品店や電気店に行くとカセットテープ状のパーツが売られている。その端からミニプラグの線が出ていて、カセット以外のオーディオ製品の音が聞けるようになっているのである。おそらく、MD プレイヤーのためのものだと思うが、携帯電話にも使える。FM のトランスミッターは考えなかった。バッテリー上がりが恐いので、シガーライターは使いたくなかったのである。
 現在、カセットプレイヤーを電気店で見かけることはない。ラジカセの類や、メモ用・お稽古事用のモノラル機は辛うじてあるが、「ステレオでオートリバースの小型機」は俺の知る限り、一機種だけである。

 次は、買い替えを考えはじめた頃の話。




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