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アスピリンジレンマ

1989年1月15日号 No.36

   アスピリンは、抗血栓薬としても使用されていますが、シクロオキシゲナーゼの作用を阻害することにより、血小板でのトロンボキサンA2の生成を阻害し、血栓の発現を抑制する方向に作用します。

 しかし、血管壁のシクロオキシゲナーゼの阻害により、抗血栓的に作用するプロスタサイクリンの産生も阻害され、これにより血栓の発現をかえって促進してしまいます。

 つまり、アスピリンの服用は、血栓症の予防に関しては、両刃の剣となる可能性もあるということで、これがいわゆるアスピリンジレンマです。


<アスピリンジレンマの解決策>

アスピリンの少量使用

 血小板のシクロオキシゲナーゼはアスピリンに対して敏感で、しかもその阻害は不可逆的
であるのに、血管壁のシクロオキシゲナーゼはアスピリンに対して比較的鈍感で、その
阻害も早期に回復することから、アスピリンを少量与薬して血小板のアラキドン酸代謝
経路のみを阻害しようとするものです。

<追加記事>

 アスピリンは血小板のCOX(シクロオキシゲナーゼ)を抑えると同時に血管壁のCOXも抑えます。しかし、血小板のCOXのほうが血管細胞のCOXよりもアセチル化されやすく、逆に考えれば、非常に薄い濃度のアスピリンを使うと選択的に血小板のほうだけ抑えられます。  

 アスピリンを1日30mgを毎日飲み続けるとTXA2の産生がほとんどゼロになってしまいます。PGI2の産生は全く影響がありません。

 アスピリンの抗血栓作用は、主としてアラキドン酸に働くシクロオキシゲナーゼを抑制し、強力な血小板凝集物質であり、血管収縮物質であるTXT2(トロンボキサン)の産生を阻害することに基づくと考えられています。しかし、血管内皮細胞でアラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(COX)によって血小板活性化抑制物質であり、血管拡張作用を持つPGI2に代謝されるため、一方でアスピリンは抗血小板作用を発揮するPGI2の産生を抑制することになります。

 ところが、アスピリンにより血小板のCOXは非可逆的に阻害されますが、血管壁のCOXは短時間(24時間)以内に再生されること、アスピリンに対するCOXの感受性は血管壁よりも血小板の方が強いので、はるかに低用量(30〜300mg程度)によって、PGI2の抑制は比較的軽度ですが、TXA2の抑制は十分に行えることが判明しています。

<追加記事>

出典:Catelka Lawson F.et al:Arthritis Rheum,43(a),S298(2000)

 18例の健常者にアスピリン81mgとイブプロフェン400mg、アセトアミノフェン1000mgあるいはロフェコキシブ25mg併用したところ、イブプロフェンの前投与はアスピリンに不可逆的抗血小板作用に拮抗を示し、一方、アセトアミノフェンとロフェコキシブは拮抗しませんでした。

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アスピリンレジスタンス 

  出典:医薬ジャーナル 2002.6

 アスピリンレジスタンスと呼ばれる新しい病態生理が注目されています。
患者によってはアスピリンの抗血小板作用が機能せず、心筋梗塞や心臓血管死、脳卒中などのリスクが増大します。

 安定冠疾患(stable coronary disease)患者の5〜10%にアスピリン抵抗性が観察され、特に高齢者や女性、また非喫煙者にその傾向が見られるとの報告もあります。

 アスピリンレジスタンスのハイリスク患者には、効果的なトロンボキサン阻害薬の追加が必要とされていますが、こうした場合の有効な薬剤としては現在、米国では硫酸クロピドグレルが挙げられています。


 2001年8月1日号 NO.319に掲載

シリーズ:アスピリン(2)

 アスピリンは、一般的な意味では安全性が最も確立されたNSAIDsであると言えます。有効性や安全性のうたい文句の高い、新しい薬剤が良い結果をもたらすとは限らない一方、古くから有る薬剤が必ずしも安全性が高いという保証もないことは注意すべきです。そして、意外なことに、その薬理作用は、未だにその全容が分かっていないようなのです。

 アスピリンの添付文書には
(1)鎮痛作用
 中枢神経の抑制及び痛みの発生部である末梢部位における鎮痛効果によるが,詳細な作用機序は不明である。内臓痛に対しては効果が薄く体表面の痛みによく作用する。
(2)解熱作用
 間脳視床下部の温熱中枢に働き,末梢血管の流血量を増加させて熱放散を大にすることに基づいている。
(3)抗炎症作用
 炎症の過程で蛋白分解酵素Fibrinolysinを抑制することによるものであろうと考えられている。
(4)その他の作用
 利胆作用として肝臓に働いて胆汁の分泌を促進し,抗痛風作用として尿酸の尿中排泄を増大,尿細管における尿酸再吸収を抑制する。           と記載されています。

 アスピリンの薬理作用は、プロスタグランジンの生合成抑制と理解して間違いないものと思います。
 アスピリンはアラキドン酸カスケードに働き、プロスタグランジンやトロンボキサンの合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)の活性を阻害します。炎症に重要な役割を果たすプロスタグランジンの生成を抑えることから、解熱消炎鎮痛薬として広く使われていたのですが、つい最近になって血小板凝集抑制作用の適応が認可されました。

 これもアラキドン酸カスケードに関連したもので、血小板凝集作用を持つトロンボキサンA2の合成阻害作用によって、血栓ができるのを予防します。

 ところで、アスピリンはその優れた薬理作用の一方で、副作用として胃腸管出血を引き起こすことが知られています。最近、この副作用を克服しうるものとしてスーパーアスピリンなる言葉が、登場してきました。そして、スーパーアスピリンには2種類あり、1つがCOX−2阻害剤、そしてもう1つがGpUb/Va阻害剤です。さらに、NO放出性非ステロイド性消炎鎮痛薬(NO−NSAIDs)という一群の薬物が注目されています。


アスピリンパラドックス

出典:臨床と薬物治療 2001.5


 アスピリンは3000mg以上の大量を服用すると腎からの尿酸の排泄を促進しますが、2000mg以下では単では尿酸排泄を低下させるほか、最近の研究では、抗凝固療法に用いられる100mg程度の少量でも尿酸排泄を抑制することが示唆されています。


スーパーアスピリン1:COX2阻害剤〜慢性関節リウマチ治療剤      こちらの記事も参照してください。
スーパーアスピリン2:抗血小板薬〜GpUb/Va

2001年8月15日号 No.320

  2つのスーパーアスピリ

 シリーズ:アスピリン(3)

(1)GpUb/Va阻害剤

 血小板の凝集が起こる最終経路では、接着分子フィブリノーゲンが血小板同士を結び付けます。このときフィブリノーゲンが結合する、血小板膜に存在する受容体の一つがGpUb/Vaです。

 アテローム血栓症は破綻した粥腫斑への血小板の粘着、それに続く血小板凝集と放出反応が起こり、更に血小板を主成分とする血栓が形成され、動脈内腔を閉塞させることによって虚血状態を発症する病態です。脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症の原因とされています。アスピリンはアテローム血栓症の予防のために臨床で使用されてきましたが、やはりPG産生抑制による問題をかかえています。

 GpUb/Va阻害剤は、シクロオキシゲナーゼの働きによるPG産生に影響を与えないことや、あらゆるアゴニストによる血小板凝集の最終経路を阻害することから究極の抗血小板薬であると考えられて、一部で「スーパーアスピリンと呼ばれています」

 1995年、GpUb/Va阻害作用を有するマウス、ヒトキメラモノクロナール抗体が、肺リスク患者でのPTCA(経皮経管的冠動脈形成術)施行後の合併症防止を適応症として、また1998年5月には非ペプチド性のこのクラスの治療薬としてはじめて、不安定狭心症、非Q波心筋梗塞に対する血液凝固の適応で、FDAに承認されました。

(2)COX−2阻害剤 

 NSAIDsの長期使用による副作用の胃痛に悩まされていた患者は、COX−2阻害剤に変更したら、胃の痛みは起こることなく「すべてが全く変わったよう。」と語ったそうです。どんな作用をするかと言うことではなくて、どんな作用をしないかという理由からCOX−2阻害剤を「super aspirin:極上のアスピリン」と喧伝する人たちも現れました。

 COX−2阻害剤のことを、勝った(スーパー)アスピリンと呼ぶのはある意味では正確ではないかもしれません。というのは、今まで使用してきたアスピリン製剤以上に強力な作用を有するわけではないからです。(COX−2阻害剤の鎮痛作用については特に強力ではなく、アスピリンとほぼ同程度であるというデータが発表されています。)しかし、鎮痛作用が同等であっても安全性に優れているという点で間違い無くCOX−2阻害剤は勝っています。

 ふたつのスーパーアスピリンに混乱してしまいそうですが、共通して、それぞれの目的で臨床応用されるときにアスピリンと同等の薬理作用を示しながらも、アスピリンによるような副作用やアスピリンジレンマが現れにくい、いわば「理想的治療薬」を意味する表現に思えます。COX−2阻害剤に対しては期待も大きく、次々と臨床報告がなされています。
                               次号に続く。

          {参考文献}府薬雑誌 1999.3       こちらの記事も参照してください。

〜〜〜〜〜〜〜2005.5追加記事〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

COX2阻害剤 ベクストラ 市場撤退


1.長期使用で、心血管系への安全性に関する十分なデータが示されていないだけでなく、冠動脈バイパス手術を受けた患者への短期間投与トライアで、心血管系イベントの副作用リスクが高まるという結果が得られており、長期に使用する場合にも同様のリスクが高まると推測されます。

2.長期、短期に関わらず、本剤により、死亡例を含む重篤で生命にか関わるような予期できない皮膚反応が、サルファ剤アレルギーの有無に関係無く生じたという複数の報告がある。

3.他のNSAIDsと比較して本剤の利点が見出されない。


NO放出性アスピリン

2001年9月1日号 No.321に掲載  関連項目:NOの発見

シリーズ:アスピリン(4)


 アスピリンはその優れた薬理作用の一方で、副作用として胃腸管出血を引き起こすことが知られています。最近、この副作用を克服しうるものとしてNO放出性非ステロイド性消炎鎮痛薬(NO−NSAIDs)という一群の薬物が注目されています。

 この薬物は、従来のNSAIDsの有する解熱鎮痛、消炎作用を保持しつつも、胃腸に対する障害性が極めて少ないという性質を持ちます。

 その中のNCX-4016は、マクロファージからのTNF-α産生上昇を引き金とする胃粘膜細胞のアポトーシスシグナルを、遮断することによって(*)、胃粘膜保護作用を発揮することが分かっています。さらにNCX-4016は、プロスタグランジンの生合成阻害とは別に、マクロファージからのIL-1βの放出を抑制することが見いだされています。

 IL-1βは主に活性化T細胞、マクロファージより産生されるモノカインで、炎症反応に伴う急性期蛋白質の産生を誘導し、免疫反応での様々な役割を果たしています。

* capase ファミリーの酵素活性を阻害することによる。

◎ NOはかつて、炎症反応、細胞障害に関わる物質として知られてきましたが、低濃度で抗炎症作用、高濃度では、細胞障害作用を持つ事が分かっています。(NOの発見 参照)

{参考文献}:ファルマシア 2001.5


プロスタノイド

 プロスタノイドは、シクロオキシゲナーゼ(COX)経路により産生されるプロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)の総称です。

プロスタグランジン(PG)


PG E〜エタノールで抽出されるタイプ(EはエタノールのE)
   F〜リン酸緩衝液で   〃   (Fはスウェーデン語でリン酸をfosfatと記載するため)

 現在PGにはその化学構造中にある5員環(あるいは6員環)の化学構造の違いからAからJ迄命名されていますが、最初に見つかったのはEとFです。

 PGE1やPGE2の様に番号が振られていますが、この番号はその化合物の二重結合の数を表しています。

 プロスタノイドとはPG類縁体のことで、トロンボキサンA2(TXA2)、プロスタサイクリン(PGI2)、ロイコトリエン(LT)類などがあります。

<プロスタノイドと薬剤>

COX阻害剤:アスピリンを代表とするNSAIDsは抗炎症・解熱・鎮痛剤として繁用されています。
またアスピリンはTXA2合成阻害に基づく血栓症治療にも用いられています。

TXA2合成阻害剤:オザグレル(ドメナン錠など)は気管支喘息や脳血栓症などに用いられています。

LT合成阻害剤:アラキドン酸から5-HPETEの生合成をつかさどる5リポキシゲナーゼの阻害薬。気管支喘息の治療に用いられます。

    出典:薬局 1999.5等
 


COX
シクロオキシゲナーゼ

   出典:薬局 3 1994  

 膜リン脂質からアラキドン酸が出てきますと、あとは細胞の種類によってそれぞれ特定の酵素系が用意されており、さまざまなアラキドン酸代謝物へと変換されます。これらのアラキドン酸代謝物は細胞の外へ出て、その近くで作用を発揮したのち壊されます。 

 どういう種類のPGがつくられるかは、各細胞種によってきちんと決まっています。

 アラキドン酸の代謝物100近くあります。その一つ一つはアラキドン酸の構造がほんの少しづつ変化してできています。それぞれが全部異なった作用、しかも強力な作用を持っているのが特徴です。

 カスケ−ドを大きく分けると、1.シクロオキシゲナ−ゼ(COX)という酸素添加酵素によって、一連のPGやトロンボキサン(TX)が生成される代謝系、2.リポキシゲナ−ゼという酸素添加酵素によってロイコトリエン(LT)やリポキシン、その他HPETEやHETEといった色々な過酸化脂質が生成される代謝系の2つの経路に分けられます。

 アラキドン酸が膜から切り出されてPGへ変換されるわけですが、アラキドン酸にCOXが働くと、酸素2分子が導入されます。 

 NSAIDはこのCOXを不活性化して、生体内における全PG産生を阻害することによって薬効を発揮します。 

 子宮と卵巣でE型PG、F型PGが大量に作られて、子宮を収縮して、それが痛みとなって現われます。ですから生理痛などではNSAIDを飲むと良く効きます。 


COX−1:いろんな組織や細胞に始めから構成的に存在しているcostitutive-type            
COX−2:普段は発現されていないが、炎症が起こるとその発現が誘導されているinducible-type

 炎症巣でCOX−2を誘導して炎症性のPGを産生する細胞:モノサイト、血管内皮細胞、滑膜線維芽細胞など

 もし炎症巣だけに存在するCOX−2の活性だけを抑制し、COX−1の活性には全く影響を及ぼさない薬物が見つかれば、副作用のない理想的な抗炎症薬になるはずです。


<プロスタグランジン:PGと発熱>

 PGは正常な体温の調節には関与していません。
炎症に伴う発熱は熱産生の亢進状態でも熱放散の抑制状態でもありません。

 グラム陰性菌のエンドトキシンやインタ−ロイキン−1などの内因性発熱物質の作用によって体温調節中枢でPGが産生され、セットポイントが上昇した状態であるとされています。

* PGが発熱に関与する根拠〜PGEがどの動物実験でも発熱を起こします。

1.PGを前部視床下部へ微量注入すると発熱が起こる。

2.発熱時に視床下部でPGEが増加し、その消長は体温変化と平行する。

3.アスピリンなどの解熱薬はPG生合成を阻害する。


・PGそれ自身には血管透過性亢進作用や発痛作用はほとんどありません。ブラジキニンやヒスタミンなど他のメディエ−タの作用を増強しているにすぎません。発熱に関しても内因性発熱物質の作用を増強しているのかもしれません。このような常に脇役を演じていることが炎症におけるPGの役割の特徴です。

* ブラジキニンによる疼痛は、NSAIDによって抑制されます。

 PGそれ自身は発痛作用をほとんど持ちません。しかしブラジキニンの発痛作用を著しく増強します。ブラジキニニンはホスホリパ−ゼA2 の活性化を介してアラキドン酸を遊離し、PGの生成を起こすと考えられます。生成されたPGが痛覚受容体を感作し、ブラジキニン発痛作用を増強します。

 ブラジキニンが最も強い発痛物質であることが知られています。またブラジキニンによる疼痛はPGH合成酵素阻害薬であるアスピリンやインドメタシンによって抑制されます。一方、PGそれ自身は発痛作用はほとんど持っていません。

 ブラジキニンの発痛を増強する強さ  PGI2>PGH2>PGE2=TXA2

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ブラジキニン

  出典:ファルマシア 2002.5

 ブラジキニンは、前駆体蛋白質のキニノーゲンをカリクレインが限定分解することで生じる生理活性物質で、9個のアミノ酸からなるペプチドです。

 良く知られているブラジキニンの作用に「痛み」に関わるものがあります。これには直接作用として知覚神経終末への痛みの刺激、そして間接作用として痛覚感受性の亢進が知られています。これは炎症を起こして腫れあがっている部位に触ったとき普段よりも痛みを強く感じる状態です。この現象は、古くから関心を持たれてきていましたが、分子レベルでの解明には至っていませんでした。

 カプサイシンの受容体の1つであるVR1;vanilloid reseptor subtype1は、非選択的に陽イオンを透過するチャンネルで、カプサイシンだけでなく、熱刺激によって活性化されます。

 このVR1が痛みの主役で、ブラジキニンはまさにその主役を引き立てる重要な脇役であることが最近分かってきました。

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D型PG

 中枢神経、特に視床下部や脳下垂体などで多量に作られています。
 D型PGに特異的な受容体も発見されています。


 <PGD2が睡眠を誘発する。>

 普通の睡眠薬は、徐波睡眠をあげることはできますが、逆説睡眠をあげることはできません。PGD2は、この両方の睡眠をともにあげることができ、これは自然の睡眠とそっくりなパタ−ンです。


*TXA2とPGI2

 TXA2(トロンボキサンA2):血管を収縮して血小板を凝固つまり血栓をつくり血流を止める作用が極めて強い。

 半減期30秒。TXA2は血管が破れて止血する必要が生じた場合には、きわめて重要な役割を果たします。

 PGI2(プロスタサイクリン):血小板を安定化させて、血管を弛緩します。

 血管系ではTXA2とPGI2が陰と陽のバランス

            PGI2:血小板凝集阻止
          /      血管平滑筋弛緩
 アラキドン酸−−−       半減期5分
          \ 
            TXA2:血小板凝集
                 血管平滑筋収縮
                 半減期30秒

<ロイコトリエン>

 白血球が刺激を受けると、細胞膜からアラキドン酸が遊離され、酵素によってロイコトリエン(LT)ができてきます。 


 LTC4,D4,E4    喘息を引き起こす物質かつては SRS(slow reacting substance of anaphylaxis)と呼ばれていました。


   気管支収縮、血管透過性亢進

 LTB4〜白血球を強く遊走させる力

白血球走化性因子

 炎症〔性〕反応には白血球の局所への浸潤が必要で、白血球を炎症局所へ導く因子を白血球走化性因子と総称します。白血球走化性因子としては,従来より補体成分のC5a,ロイコトリエンB4(LTB4),血小板活性化因子platelet‐activating factor(PAF),formyl‐Met‐Leu‐Pheなどが知られています。近年,さらにIL‐8などのポリペプチド性の白血球走化性因子が数多く報告され、chemotactic cytokine(chemokine)と総称されるようになりました。

 LT〜心筋梗塞のメディエ−ター

    5−リポキシゲナ−ゼ阻害剤−>喘息、アレルギ−炎症の治療剤

 疼痛は皮膚が粘膜の組織下にある痛覚受容器が化学物質・熱や圧などによって刺激を受けて生じます。

関連記事: COX−2 / COX2と癌治療

 

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