家に戻って日が暮れた、

三姉妹は部屋で待っててくれって言ってるけど、

何をやってるんだろう?夕食の準備って、寿司食べて終わりだと思うけど・・・

 

也幸「・・・・・(とことこ)」

ソヨカゼ「にゃ〜〜〜〜」

 

あ、ソヨカゼを抱いた也幸くんが来た。

 

僕「どうしたの?」

也幸「・・・・(じわっ)」

ソヨカゼ「ふにゃ・・・」

 

わ、涙をこぼしはじめた!

それを舐め取るソヨカゼ・・・どうしたんだ!?

 

雪沙「なりゆきぃ〜〜〜」

 

忙しそうに入ってきた。

 

雪沙「おにぃちゃ〜ん、なりゆき、も〜かえすねぇ〜」

僕「え?でも、みんなで夕食は?」

雪沙「なりゆきとそよかぜはぁ〜、もうたべさせたよぉ〜」

 

そうなんだ・・・あ、お別れを言いに来たのか。

 

僕「也幸くん、元気でね、ってまた明日にでも会えるよ」

也幸「ーーーーー!!」

僕「あ・・・ソヨカゼとは会えないか・・・ごめんね」

 

そっと僕にソヨカゼを渡す也幸くん・・・

 

僕「じゃ・・・・楽しかったよ・・ありがとう」

也幸「・・・・・・・」

僕「・・・・?・・どうしたの?」

也幸「・・・・・・・・・・・・・」

僕「泣いちゃうの?ほら、笑ってお別れしようってソヨカゼも言ってるよ」

 

両手を握る也幸くん、そして・・・

 

也幸「あ、り、が、と、う!!」

僕「わっ!どういたしまして!!」

 

たたたたたーーーーー・・・

 

ソヨカゼ「にゃーーーーーーご!!」

 

ああっ!僕の腕からソヨカゼが逃げて、追いかけた!

 

ソヨカゼ「うにゃぁ〜〜〜!ふにゃぁ〜〜〜〜!!」

也幸「!!!!!」

 

玄関で也幸くんに何度も何度も擦り寄るソヨカゼ、

ぼろぼろと男泣きの也幸くん・・・そっか、ソヨカゼにもわかるんだ、

これがおそらく、最後のお別れになっちゃうって・・・僕まで泣いちゃいそうだよ!

 

雪沙「なりゆきぃ〜、め〜わくだからぁ〜・・・」

僕「・・・しばらくは、そっとしておこう」

雪沙「・・・おにぃちゃんがそ〜ゆ〜ならぁ〜」

 

まさか持ってっちゃう事は無いだろうし、

踏ん切りがついたタイミングで、別れてもらおう。

 

・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

雪巳「おにーちゃん、もーいいよーーー」

 

廊下から声が聞こえた、

行こう・・・玄関ではソヨカゼが寝てる、

あれ?泣いてる?猫も泣くんだ、鳴くんじゃなく、泣くんだ・・・

 

僕「どこかな・・・あ、矢印が貼ってある!」

 

順路か、どれどれ・・・・・ついた、ここは、キャバレー部屋だ。

 

僕「入口、って貼ってある・・・入っていいの?」

雪沙「も〜いい〜よぉ〜〜」

僕「じゃあ・・・お邪魔しま〜〜〜す」

 

パチパチパチパチパチ!

 

僕「え?うわっ!!」

 

バサバサバサバサバサ!!!

 

僕「うっぷ!何だこの紙くず・・・違う、紙ふぶきか」

雪巳「お兄ちゃん今までありがとーーー」

雪菜「ありがとう・・・本当に・・・ありがとう・・・です」

雪沙「おにぃちゃんだいすきぃ〜〜、ありがとぉ〜、だいすきぃ〜〜〜」

僕「みんな・・・わぁ、いっぱい飾り付けてあるね」

 

星に切った紙が貼ってあったり、

紙で作った輪っかを繋げる飾りがあったり、

奥には「お兄ちゃんありがとう」って字の張り紙が・・・

 

雪巳「こっちすわってー」

雪菜「これ・・・覚えてるです・・・か」

僕「あ!ネズミーシーのホテルのワイン、赤と白!」

雪沙「どっちのむぅ〜〜〜?」

僕「そうだなぁ・・・ごめん、今夜はやめとく、飾っておこう」

 

さすがに酔うには時間が早すぎるよ。

 

雪巳「じゃあジュースはーい」

僕「ん・・おいしい、ありがとう」

雪菜「お寿司も・・・食べて・・・です」

僕「はい、あーん・・・おいしいね」

雪沙「ゆきさのつくったからあげぇ〜、あ〜〜〜ん」

 

・・・どれも美味しいけど・・・涙が出てきちゃう。

 

雪沙「ど〜したの〜?あじへんだったぁ〜?」

僕「ううん・・・うれしくて・・・うれしくて・・・」

雪菜「・・・喜んでもらえて・・嬉しい・・・です」

僕「正直、僕はみんなに、その、お金や立場をいいことに、物をあげてばっかりいて、でも・・・」

雪巳「お兄ちゃん、泣いちゃ駄目ー」

僕「こういう心のこもったプレゼントを貰うと、本当、お金で買えない大事なものを・・・教えてもらってる・・よ・・・」

 

そうだ、僕が金持ちだからとか、

親から貰ったマンションのオーナーだからとかじゃない、

本当に僕は三姉妹を好きで、そして、三姉妹も、僕の事を・・・・・好きなんだ。

 

僕「・・・みんなも食べようよ、最後なんだから、楽しく、ね?」

雪巳「うんー、このカラオケ歌ってもいいー?」

雪菜「ちょっと・・・踊ってみたいかも・・・・・です」

雪沙「いままでにとったおしゃしん、いっぱいもってきたのぉ〜」

僕「いいね、旅行の思い出なんかも、話そうよ!」

 

・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・楽しい時間はあっという間に過ぎて行き・・・

 

雪巳「お寿司なくなっちゃったー」

雪菜「そろそろ片付ける時間・・・です」

僕「いいよ、後始末はちゃんと僕がやるからさ」

雪沙「さいごまでぇ〜、ちゃんとおしごとするぅ〜〜」

僕「・・・・・ありがとう、じゃあ、任せたよ」

 

・・・・・部屋に戻った、

時計はもうすぐ午後9時半、

そうだ、今日までの、最後のお給料を・・・

これは決してお金で釣ったり、やましい気持ちなんかじゃない!

三姉妹がこれから生きていくための、大事な、重要な資金にして・・・欲しい。

 

僕「多めに下ろしておいて良かった・・・」

 

・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

みんな荷物をまとめたみたいだ、

結局、フリマで買ったポンジャンとかビニールプールとか、

福引の巨大ぬいぐるみとかは、置き場が無いって事で僕のになっちゃった。

 

僕「最後に・・・全ての感謝の気持ち、変な意味はまったくないから、受け取って」

雪巳「こんなにー・・・いいのー?」

雪菜「多すぎると思う・・・・・です」

雪沙「これでぇ、パパのおくすりだいがかえるぅ〜」

僕「え?そんなに悪いの!?」

 

ハッ、と口を塞ぐ雪沙ちゃん。

 

僕「じゅあ・・・玄関まで送るけど・・・そこで・・・言わせてもらうよ」

 

そう、最後の最後の最後に、

僕が三姉妹の中で一番、愛している子を告白する・・・

そして、ふたりっきりで、本当に本当の、最後の一夜を過ごすんだ・・・

 

僕「・・・ソヨカゼ、お前まだ寝てるのか」

ソヨカゼ「ふにゃ・・・」

僕「まあいっか・・・じゃあみんな、並んで・・・」

 

玄関に並ぶ三姉妹。

ちょっと天然だけど明るく積極的な雪巳ちゃん、

おとなしいけど凄く気が利く利口な雪菜ちゃん、

元気いっぱい、いつでも一生懸命な雪沙ちゃん。

僕が心の底から愛する、たった1人の少女、それは・・・・・

 

天然巨乳の雪巳ちゃんだ。

眼鏡っ子の雪菜ちゃんだ。

ロリロリな雪沙ちゃんだ。

やっぱり誰も選べないよ。

と見せかけて全員好きだ。

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