・・・・・ぴんぽーーーん

 

僕「・・・・?」

 

インターフォンが鳴ってる、

誰だ?美鈴ねえさんなら勝手に上がってくるだろう、

ていうか美鈴ねえさんはあれから帰ったのだろうか?

 

ぴんぽんぴんぽーーーん

 

僕「・・・・・・・・・」

 

さらに鳴らされ、暗闇にはいつくばっていた僕の胸を騒がせる。

也幸くんか?だったら三姉妹のうち誰かが開けてくれるはずなんだけど・・・

ひょっとして、今の僕みたいに三姉妹も気が沈んで動けないのかも知れない。

 

ぴんぽんぴんぽんぴんぽーーーーん

 

僕「しょうがない・・・・・行くか」

 

こういう時の来訪者は、

きっとろくでもない奴だろう。

雪香か管理人か、また警察官とかだったらさすがにキレそうだ。

 

ぴんぽーん・・ぴんぽーん・・・ぴんぽーーーん・・・

 

ふらふらと廊下に出ると、

玄関へ丁度、雪菜ちゃんがたどり着いた所だ、

僕には気づいてない・・・来たのが誰かだけ覗いて部屋に戻ろう。

 

雪菜「・・・・・どうしたの・・・こんな時間に・・・」

 

モニターと小声で話しこんでる。

 

雪菜「わかった・・・行く・・・から・・・」

 

玄関から外へと出ていった、

誰だろう?と思ってモニターまで行ってみると・・・

 

僕「これは・・・・・雅幸くんだ」

 

見てると雪菜ちゃんが19階まで降りてきた、

雅幸くんが雪菜ちゃんに抱きつく、モニターごしに声が聞こえてくる。

 

雪菜「どうしたの・・・」

雅幸「お姉ちゃん・・・むかえに・・きたよ・・・」

雪菜「だめ・・・帰れない・・・いいこだから・・・ね」

雅幸「だって・・・もうあのお兄ちゃん・・いないんでしょ・・だから・・・」

雪菜「・・・いるよ・・誰がそんなこと言ったの・・・もう・・・」

 

見上げる雅幸くん。

 

雅幸「うそ・・・けいさつに・・・連れていかれたの・・・見たもん・・・」

雪菜「でも、もう戻ってきてるから・・・」

雅幸「うそいわないで・・・あのお兄ちゃんがいなくなったから・・・お姉ちゃんが帰ってくるん・・・だ・・・」

雪菜「ううん、お兄ちゃんは・・・何も悪いことしてないって・・・証明されたから・・・」

雅幸「そんなことないよ!お姉ちゃんたちを、雪菜お姉ちゃんをさらった、悪いやつだもん!!」

 

うわ、ひどいこと言うなぁ。

 

雪菜「お兄ちゃんを・・・悪く言わないで・・・」

雅幸「わ・・るい・・・やつだもん!だから僕・・・学校で、アンケートにちゃんと書いたもん・・・」

雪菜「何を・・・書いたの・・・」

雅幸「・・・僕のお姉ちゃんが・・・さらわれて、かんきんされてるって」

雪菜「うそ・・・・・!?」

 

それが、警察の来た原因か!?

 

雅幸「それに近所で、ちっちゃい女の子の、下着が盗まれてるのも、きっとあいつだもん!」

雪菜「きっとあいつだからって・・・下着の・・・その犯人だって・・・かいた・・の?」

雅幸「あいつにきまってるから・・・・・そう・・・・・書いたよ・・・」

雪菜「・・・書いたのそれだけじゃ・・・・・ないでしょ」

雅幸「うん・・・いっぱい書いたよ・・・覚えてないけど・・・きっとあの悪いお兄ちゃんはこんなことしてるって」

 

さては、膨らました妄想をそのまま本当に見た事として書いたな!?

・・・とはいえ全部妄想とは言い切れ・・・いや、僕は断じてそんな事はしてない!してないぞー!!

 

雪菜「おまわりさんにも・・・言った・・・の?」

雅幸「・・・かんりにんさんにも・・・言った・・・よ」

雪菜「管理人さん・・・何て言ってたの・・・」

雅幸「とくめーで、けーさつに電話するって・・・」

雪菜「・・・雪絵と雪音に・・・命令したのも・・・・・雅幸?」

 

命令・・・僕の前で、いれて〜〜〜ってパンツ履かずにスカートあげたやつか!!

 

雅幸「だって、誰もちゃんと、雪菜お姉ちゃんを助けてくれないんだもん!」

雪菜「・・・・・」

雅幸「お姉ちゃんは、だまされてるのに!らちかんきんされてるのに!きっとひどいことされ・・・」

 

パシーーーーーン!!!

☆ぱしーーーん!☆

 

僕「ぶ、ぶった!!!」

 

凍りつく空気・・・

頬が紅くなりキョトンとする雅幸くん、

涙をつつーーーっと、ひと筋流す雪菜ちゃん・・・

 

雅幸「・・・・ぇ???」

雪菜「いいかげんに・・・して」

雅幸「・・・なんで?・・・どうし・・た・・・の?」

 

何をされたのか信じられない、理解できない感じだ。

 

雪菜「それは雅幸が思ってるだけで・・・本当のことじゃあ、ないの!」

雅幸「だって・・・だって・・・・・だって・・・・・」

雪菜「雅幸は・・・私たちに帰ってきてもらって・・・楽したい・・甘えたいだけでしょ・・・」

 

ようやく頬の痛みを理解できたのか、

両目から涙が溢れる雅幸君、そして雪菜ちゃんの顔、恐い・・・

 

雅幸「・・・・・うわああああぁぁぁぁん!!!」

 

エレベーターへ走る!

が、すでに1階に降りちゃってるもんだから、

下り階段へと向かって・・・泣きながら逃げていっちゃった。

 

雪菜「泣きたいのは・・・私なのに・・・ひっく・・・ひっく・・・」

 

あーあ・・・でも謎がかなり解けた、

今回の僕が逮捕されそうになった主犯格は小5の雅幸君だったのか、

姉がいつまでたっても、ちゃんと帰ってこない事への逆恨み・・・子供でも嫉妬は恐い。

 

僕「・・・あ、雪菜ちゃんが戻ってくる」

 

気まずい・・・まだ僕が慰めてあげる気力は無い、

部屋に戻って布団をかぶって、寝てましたって感じになろう。

 

たたたたた・・・

 

ソヨカゼ「ふにゃー」

僕「しーーーっ!・・・こら、部屋まで入ってこない!」

ソヨカゼ「ぶにゃ!!」

 

鍵をしめて、と・・・

雨音を子守唄に、本当に眠っちゃおう。

 

・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・雪菜ちゃん、ごめんね。

 

コン、コン

 

ドアをノックされた・・・

まさか、戻ってきた雪菜ちゃんがそのまま僕の所へ!?

 

雪巳「お兄ちゃーん・・・」

 

なんだ、違った、雪巳ちゃんか。

 

雪巳「ねえお兄ちゃーん・・・晩御飯、ここ置いておくねー」

 

ドアの前の廊下に置かれたみたいだ。

 

雪巳「かわりにソヨカゼ持って行くねー」

ソヨカゼ「ふにゃぁ〜〜〜」

雪巳「おやすみー・・・お兄ちゃーん・・・」

 

そうか、ドアの前でソヨカゼが寝てたのか、

その横に夕飯置いたままで行ったらつまみ食いされちゃうもんな。

 

・・・・・ぐきゅううぅぅぅ〜〜〜

 

僕「お腹が鳴っちゃった・・・」

 

寝る前に夕食だけさっさと終わらせよう。

 

 

 

・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

 

夕食を終えてこっそり廊下へ出る、

お風呂はパスするとしてもトイレと歯磨きはしたい・・・

でも誰にも会いたくないから、トイレを終わらせたら歯磨きセットだけ持って部屋に逃げようかな。

 

僕「・・・僕の家なのに、僕が逃げること無いのに」

 

軒下を貸して母屋を取られる、じゃないけど、

夏休みの間、ほんっとうに三姉妹には気を使ったよなー・・・

養子に貰っちゃったら、これがいつまで続くんだろう・・・ずっとなんだろうな・・・

 

僕「・・・・・・僕が居辛いなら、養子に貰わなければいいんだ」

 

すごく簡単で単純な答え・・・

そんなにあっけなく、やっぱり養子は無しって事ができるんだろうか?

三姉妹も、そのご両親も、相談所も、美鈴ねえさんだって、僕が養子に貰うと信じて疑わないだろうに。

 

僕「でも・・・でも・・・・・・」

 

ここで全部、ひっくり返して白紙にしちゃうのも・・・・・僕の、自由だ。

 

 

 

トイレと歯磨きを誰にも会わずに済ませ部屋に向かうと、

自室のドアが少し開いてる・・・おかしい、確かに閉じたはずなのに。

 

僕「誰か・・・・・いるの?」

 

入るとそこには・・・・・

雪巳ちゃん!?

雪菜ちゃん!?

雪沙ちゃん!?

美鈴ねえさん!?

お、お前はっ!?

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