twitter を始めた。
アカウントは
@shuno4Dialect.
これまでにここで書いたり調べたりしたことをベースに、秋田弁の単語やフレーズを細切れにたれ流している。まずは五十音を一周しようかと思っている。
今のところ、辞典から書き写す、というようなことはしていない。あらためて裏を取る、ということはしているが。
始めた理由は…なんとなく。まぁ、ここのホームページへの誘導も頭にはあったが、全然効果なし。無精こいて、フォロワーを増やす活動をしてないからそういうことになる。
それと前後して、秋田弁が話題になっていた。震源地は「月曜から夜更かし」らしい。そう、前に「
日本一不細工な方言」とかいう企画をやってたあの番組。
やったのは、「ね」らしい。
秋田弁は「
け/
く」や「
どさ/
ゆさ」など短い単語(あるいは会話)が話題になることが多いが、今回のは逆で「『ね』だけで成り立つ表現」だったようだ。まどろっこしいので、他の人の記事から再構成したものを挙げる。
というわけ。
大受けだったようで、まぁ、確かにそうだろう。
番組中で言及されたかどうか不明だが、「寝なきゃいけない」の「
ねねばね」は「
ば」が脱落して「
ねねね」になることがある。こばやしたけし氏が「はじめての秋田弁」で
四年前に触れている。
つまり、字面としては「寝ないじゃん」と同じことになる。ただし、「寝ないじゃん」の場合、最後の「
ね」が下降調になる。逆に、「寝なきゃいけない」の方では最後の「
ね」が上昇気味になる場合がある。まるっきり文脈だけで判断しなければならないわけではない。
であれば、「寝なきゃいけないのに寝ないじゃん」が「
ねねねのにねねね」となって、まるで
子供のお菓子のようなことになる。こっちの方がインパクトないかしらん。
秋田にはネット局の
ABS があってそこが放送しているから、少なくとも秋田ネイティブのスタッフが取材にかかわってるはずだが、そういう意見は出なかったのだろうか。
もっと言えば、「
寝らいね」という形もある。こちらは「寝れない」ではなく「寝られない」の系列だろうか。いわゆる「ら抜き言葉」のパターンだが、「
寝れね」は昔からある形である。いわゆる「言葉の乱れ」とはちと違う。
強調するときは、「
らい」が強くなる。「
寝れね」も「れ」が強くなるが、本当に強調したいときは「
寝っらいね」という方が感情を乗せやすいような気がする。
まぁ、こちらの形は「連続する『ね』」の流れでは弱いが。
イントネーションの問題は「ないじゃん」の「
ねね」にも言えて、こちらの場合、最初の「
ね」が高い。「寝ない」も「
ねね」なのだが、こちらは逆で、後ろの「
ね」が高い。
ほかにそういうパターンがないかと思ったが、やはりここまできれいなのは見つからなかった。辛うじて「
ささ」くらい。
これは「指す」の未然形である。いや「刺す」でもいいんだが。
未然形には複数あるが、「
意向形」とも言われる方。否定の「〜ない」につながる形式を途中でぶった切ったものではなく、これから「指そう」という方。
さらに細かく言えば、「私が」である。「私たちが指そう」ではなく、「私が指そう/私が指しますよ」という意味。
ちょっとこなれない感じがあるのだが、「
俺やら (俺がやるよ)」はよく耳にする。「指す」をそういう風に活用させればこうなるのは間違いない。
と、ここまで書いて気づいたのだが、秋田弁には「私たちがやろう」に相当する形がない。
複数形がないと言っているのではない。「
俺方 (おらがだ) やら*1」はある。誰かに対して、「ほかの人ではなく、私たちが一緒にやりましょう」という提案を「やる」の未然形を使って表現できないのだ。
言うとすれば、「
俺方でやらねすか」という形、つまり「やりませんか」だから、連用形である。「やろう」ではない。
もちろん、「
俺方でやろ」とは言えるし、実際、言っている人もいる。が、これが「秋田弁の特徴を持った表現だ」とはちょっと断言できない。「やろ」の部分には共通語のにおいがある。
あるいは、こういう人間関係を表現できないのかもしれない。一番近いのは「
やるべ」だろうか。
我ながら面白いことに気づいたな。うん。
twitter のフォロワーの件は、もうちょっとしたら本格的に活動する予定。って、「明日からやる気出す」みたいなこと言ってるな。
*1
細かいことを言えば、「俺方でやら」と「で」が入った方がおさまりがいい。(↑)
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