「長崎ぶらぶら節」

    目 次

1. はじめに
2. スタッフとキャスト
3. あらすじ
4. 新劇の霊力
5. 感 想

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1. はじめに
 先月(2008年3月)、池袋にある東京芸術劇場中ホールへ文学座の公演「長崎ぶらぶら節」を見に行きました。なかにし礼さんの作品です。
 主演は平淑恵と渡辺徹で友人の息子高橋広司君が判人さん、飴売りなどの役で出ています。演出は鵜山仁さんです。

2. スタッフとキャスト

 2.1 スタッフ
  作・脚本 なかにし礼
  演出   鵜山 仁
 2.2 キャスト
  愛八      平 淑恵
  古賀十二郎  渡辺徹
  判人ほか   高橋広司

3. あらすじ
 長崎郊外にある網場の貧しい家で生まれ育ったサダは、十歳で丸山遊里に奉公に出され、十七の歳から「愛八」の名を戴いて芸者となった。苦労しながら芸事に励み、歌舞の冴えと十八番の「土俵入り」で、愛八(平 淑恵)はやがて丸山でも有数の売れっ子になってゆくのだが、木戸御免を授かるほどの太っ腹な角力好きで、また義侠心が強く苦労している人には身銭を惜しまず援助したため、蓄えも持たないまま歳月が過ぎていった。そんなある日、相撲見物に出掛けた愛八は町芸者と些細なことから口論になり、これがきっかけで古賀十二郎(渡辺 徹)に出会う。やがて町芸者を伴って遊郭・花月に現れた古賀は最後の散財で身上をつぶすが、町学者として長崎の研究に意欲を持つ古賀の純粋な情熱に愛八は惹かれてゆく。
「な、愛八、おうち、おいと一緒に、長崎の古か歌ば探してあるかんね。」
 初老を迎え生きる目的を見失いかけていた愛八に、古賀の誘いは一筋の光明であった。共に夢を追う決意をした二人は歌を探して長崎を彷徨し、やがて埋もれていた「長崎ぶらぶら節」を探し当てる……。
(出典 文学座のホームページ)

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4. 新劇の霊力 なかにし礼
 平淑恵さんの強い要望に応えて、文学座のために、自作『赤い月』を脚色したのは2005年のことだった。それは『戯曲赤い月』(演出=鵜山仁)として、東京ほか各地で上演(2005年9月〜10月[四国・近畿]、2006年5月〜7月[九州・石川県])され、かなりの成功をおさめたと聞いている。私自身もなんどか観て十分に納得した。あれは私にとって実に貴重な新劇体験であった。新劇? それはなんぞや? と訊かれそうなご時世だが、私たち世代にとっては新劇という言葉にある種の霊力があったのである。その霊力を信じて、私は『戯曲赤い月』を書いたのだが、その信頼に文学座は見事に応えてくれた。

 日頃の鍛錬をここ一発の本番にかける意欲。限られた空間の中で最大限の効果あらしめんとする工夫。人間にはこんなにも美しい可能性があったのかと思わしめるほどのチームワーク。みんなが自由と平等と人間愛を旗印にして、舞台上に一つの新しい世界を創造しているという実感とその志の持続力。霊力とはつまりそういうものを指すのだが、それを私は感じ、感動したのだった。

 あの感動をもう一度味わいたい。この度も脚本を引き受けた理由はただそれだけだ。

「人間には肉体があり精神がある。しかしこれだけでは平凡な人間たい。人間にはもう一つ魂がなければならない。この魂こそが霊気を発して、人間に創造という仕事ばさせっとたい」

 これは『長崎ぶらぶら節』のもう一人の主人公、古賀十二郎に私が言わせた言葉だが、私自身この言葉を信じている。

 であるがゆえに、思いのままに、つまり魂の命ずるままにこの芝居を書き終えたのだが、たぶん演出の鵜山さんは各所で頭をかかえられたことであろう。しかし作者としては、そういう部分が舞台上に創造されるところを見ることほどたのしいものはない。『戯曲赤い月』の時だって、鵜山さんは「ひまわり畑の場面」を始めとして、数々の難所を易々と切り抜けてくれた。この『長崎ぶらぶら節』でもきっと演出の妙を見せてくれることだろう。加えて、平淑恵さん、渡辺徹さんら文学座のみなさんが「新劇の霊力」を見せつけてくれることを期待してやまない。

なかにし礼   Rei Nakanisishi
 1938年、中国黒龍江省牡丹江市生まれ。
 1964年『知りたくないの』のヒットを機に作詩家となりヒットメーカーとして活躍。『石狩挽歌』『時には娼婦のように』など約4,000曲の作品を創り、日本レコード大賞、ゴールデンアロー賞など作詩家として数多くの賞を受ける。その後作家活動を開始し、98年に『兄弟』を発表。次作『長崎ぶらぶら節』で第122回直木賞を受賞する。満州からの引き揚げ体験を描いた小説『赤い月』は、自ら書下ろした『戯曲赤い月』として文学座で上演された。2007年には『戦場のニーナ』を出版。現在も旺盛な意欲で執筆活動を続けている。
 演劇・舞踏・オペラを融合した「世界劇」という新しい上演形式を開拓し、台本・演出を手がけ高い評価を受けている。
(出典 長崎ぶらぶら節プログラム)

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5. 感 想
 なかにし礼さんの「赤い月」は本で読んでいたので、文学座の「長崎ぶらぶら節」の案内を貰ったとき、高橋広司君の久しぶりの文学座公演だし行ってみることにしました。文学座には、このような芝居をする伝統があるのだと思います。
 やはり筋の良さに加えて、淑恵さん、渡辺徹さんという主演の二人が熱演だと思いました。

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[Last Updated 4/30/2008]