平和大好き本を読むうちに、前に考えたことを振り返り、ときには修正しなければならなこともある。 世間の流行にうといので、「公と私」がはやりのテーマであることを知らなかった。宮台真司の「共同体原理を脱し、共生原理を確立せよ」という論考は、加藤典洋にたいする反論となっている。 ナポレオンもヒトラーもアレントもハーバマスも、近代的なるものの理想型として、ギリシャ的なるものを持ち出します。そして私の結論から言えば、近代の理念としてギリシャ的なるものを持ち出すものは、見かけはどうあれ、論理必然的にファシストにならざるをえません。その理由を理解するためには、アリストテレスに立ち返らなければならない。社会システム理論に依拠する宮台は、「ギリシャ的な熱情が与える参加動機を統合の支えにしたり、規範の支えにしたり、民主制の支えにするような思考」を全面否定している。 ほとんどの法は守っているし、社会から逸脱した経験がない。だから法を無視して生きる宮崎学の本を読むとうろたえてしまう。 「子どもがやられたら、何をおいても復讐するのが親の掟だ」と彼は言う。まさに敵討ちの思想そのものだ。彼がボロクソにけなす市民の一人ではあっても、もしかしたら彼の言うことのほうが正しいのではないかと思うことがある。 ヤクザの闘いの3大パターンは、脅す、ゴネる、居直る、だという。 アメリカは、イラクやコソボを空爆で脅し、「人権を守れ」と中国にゴネ、世界一、二の債務国のくせに、「お前のところに返すカネはない」と日本に居直っている。おまけに国連の分担金でさえ、「今、払える金がない」とワシみたいな言い草で踏み倒しとるやないか。そしてアメリカの自滅を予言する。 アメリカの国際投機筋は、世界のあちこちで博打を打っている。(中略)アメリカは必ず、自分の蒔いた種で自滅すると断言してよい。それがアウトローとしてのわたしの直感である。それに対して吉本隆明は、 アメリカは、日本に対して第二の敗戦だよと言っているんです。 だから、お前ら自力で不況を脱し、金融機関の整理ができないのならば、自分たちは援助もするけど、人を派遣して日本の経済を立て直すと言っているのは、つまり、経済的に占領するぞ、と言っているわけですよ。専門家を連れてきて、金も出すかわりに、こうせい、ああせい、と首脳部を動かしてそういうふうに要求するぞ、ということを言っているんです。もっとも、その方が庶民にとってはいいというのが吉本の考え。ただその時のために、会社を首になっても生き残れるような自衛策を講じておけとアドバイスしている。
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