2003年6月29日 2003サロマ湖100kウルトラマラソン     T.K

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エピローグ
ちょっと前に読み終えた本"世に棲む日日"は、幕末、長州藩で生き抜いた吉田松陰や
高杉晋作のことが書かれている本なのだが、この中に激動の時代を生きぬいた高杉晋作
の辞世の句が書かれていた。

       『おもしろき、こともなき世を、おもしろく』

100kmマラソンというのは基本的には、しんどいものだ!と思う。これは人生も同じ?
あっちが痛い、こっちが痛い、あそこが疲れた、ここが攣った、気持ちが悪い、吐き気がする
、意識が薄れる、もう駄目だ〜 という状態がずーっと続くのだから・・・ 
完走という結果だけをもとめて走っていたら、こんなにキツイ事はないんじゃないかと思うが、
楽しい事、面白い事ってのは、そんな状況の中でも探そうとすれば、色々見つかる。これも
人生と同じ? 要は、心の持ち方次第では、どんなに過酷な状況でも、笑っていられるもの
だということを感じた。

例えば自分の前を走ってるおじさん。自分が走る事に精一杯で見えないゴールだけを見つ
めていたら何にも感じないけど、よーく観察していたら、1歩毎に左右に傾くフォームや動か
なくなった足でヨチヨチ走っている様子は陸の上を歩くアヒルみたいに面白く見えたりして?
これで、会社では部下もいたりして、結構偉そうな事言ってるんじゃないかな? なんて
勝手な想像膨らませ、そんないい歳したおっさんが、何を好んで、こんなばかげた事して
るんだろう?って考えてたら、俺も同じじゃん!って事に気づいて、そしたら、深刻な顔して
走ってるのがバカらしくなってきて、思わず笑ってしまう。とか…

どんなお金持ちでも、どんなに格好良い俳優でも、これだけの距離を踏んできたら肉体的には
ヘロヘロになってしまう。どんなに沢山のお金を持っていても走り続けるという目的の為には、
何の役目も果たさない。最終的には、自分の気持ち、これこそが原動力となってくる。
『もう駄目だ』と思えば、そこで終わるし、『まだ行ける』と思えばゆっくりでも前へ進める。
無理してでも笑ってみたら、笑えたという事実が心の余裕になり、体力的な余裕が生まれて
くるかも? 『いつも心に微笑を』なんて良く使われる言葉だが、これってウルトラマラソン完走
の秘訣だったりして???

そんなこんなで、本当なら苦しくて苦しくて、身体なんて動かなくて行き詰まり、楽しい事なんて
なかなかみつけだせない程、辛い100kmなんだけど、自分の心の持ち方で随分と印象が
変わるもんだなーと感じた訳でした。

『おもしろき、こともなき世(レース)を、おもしろく』 
          『すみなすものは(走りきるのは) 心なりけり』

終わり


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