Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第934夜

Land of Wind ふたたび


 宮崎に来てから何度か自転車で遠出した。
 それ自体はいい。秋田にいたときもやってたし。尤も、秋田でやってるのは基本的に練習で、こっちは観光・物見遊山である、というところは違う。
 問題は、まだ 3 回しかやってない、ということである。もう 5 ヶ月になろうというのに 3 回。
 もちろん、最初の一ヶ月くらいは引っ越しの残務作業、いろいろと買い揃えたりするのに週末を使ったので、そこはカウントするべきじゃないのかもしれない。だが、それにしたって、である。
 原因は一つ。天候。
 要するに、遠出したい、してもいい、という気になる天候の週末が 3 回しかなかった、ということなのだ。
 聞くところによると、宮崎は晴れの日も多いが、雨の日も多いところらしい。だが、俺の印象では、風も強い。
 洗濯物を干してから出かけて、帰ってきたら竿から落ちてたってことは非常に多い。数えたわけではないが、2/3 くらいの感じ。ハンガーがずれてないと「すげぇ」と思うくらい。
 風と言えば台風。上陸や、上陸しないまでも被害が発生するような影響を受けたのは 3 回 (かすめるかもよ、って予報で大人しくしてたら来なかった、というのが一回)。
 いやぁ、すごい。秋田にだって台風が来ることはあるが (爆弾低気圧ってのもある)、あれって相当くたびれたやつなんだ、ってことがわよくわかった。
 俺の部屋はアパートの一階なので、上から降る雨の音はさほど気にならない。「雨の予報だったけど、降ってねぇのかな」と思ってカーテンを開けてみると結構、強い雨だった、ということはよくある。だが、台風が来ると違う。ドアの方からバケツで水をかけてるような音がするのだ。これは半端じゃねぇ、と思った。

 というわけで台風をネタに、と思ったのだが、これまでにもう何度か取り上げていて、ネタが尽きた感がある。南西諸島にたくさんの表現がある、ということを確認するにとどめる。
 じゃ「風」ってことにするか、でも前にやってるよなー、と昔の文章を見てたら、「用例がほとんど見つからない」みたいなことを書いてるのを見つけた。具体的には、2006 年の NISSAN のカレンダーをネタにした記事 (前編後編) で、これをググって追跡してみたい。

 2 月の「鹿の角落とし
 数は少ないが、山口県で使われる言葉で、2〜3 月に吹く南西の風、という記事が見つかった。4 月、という記事もある。
 見つかったはいいが、出典を示している記事が見当たらない。いや、「山口でそう言う」ということなら出典もなにもないのだが、「長州弁である」という記事もない。見た目が普通の「漢字仮名交じり」で方言と認識されていない可能性はあるが。
 ただ、多くの記事の言い回しが似ており*1、どっかの記事のコピーなんじゃないの、って疑ってしまう。
 ――で終わると、この記事もその一つになってしまうので、とりあえず、辞典風の体裁をしている「風の名称辞典」を紹介しておく。
 山口と鹿の関係もピンとこない、と思ったが、鹿は山口の県獣だそうだ。一般公募で、身近な動物として選ばれたらしい。*2

 飛んで、11 月の「あなじ」については、「穴西」という表記があったらしい。
 が、これも多くの記事が似たい言い回しをしていて、読んでてこっちの眉が険しくなる。*3
 Google で先頭に出てくるのは「対馬の民俗」。先頭だからって、最初に書かれた記事とは限らない。為念。

 まぁ、実のところ、追跡できたのはこれだけである。3 月の「光風」は当時からノイズが多かったが、今となってななおさらである。季語になっているものはこのタイプが多い。
 逆に、記事数が減っていると思われるのは 4 月の「花の下風」で、俺の記事がトップに来るようではどうしようもない。

 まだ 3 回しか出かけてないので断言は控えるが、坂が少なくて練習にならん、と思っている。
 いかに「宮崎平野」とは言っても標高 2〜300m 程度の山というか丘くらいあるだろう、と思って地図を見たんだが、どうもそういうところはことごとく団地かゴルフ場になってるようだ。つか、宮崎市、ゴルフ場多すぎ。




*1
 似ている、と言うか、「早春に吹く風」以上のことを書いてる記事が見当たらない。ほかの風の名称と一緒に列挙しているだけの記事がほとんど。(
)

*2
 山口県の
ホームページより。()

*3
 これは、「穴から吹き出してくるような鋭い風」という解釈がされているのだが、その解釈の前に「まさに」「文字通り」などが先行する点が共通しているところが疑わしい。(
)





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