机の上が汚い。正確に言えば、食卓であるはずの常設こたつの上。春先くらいからの電気ガス水道の伝票とクレジットカードの明細、使い道があるかもしれないので捨てづらいダイレクトメールなどが積みあがっており、しょうがないのでパソコン作業用の机で食っている。
勿論、片付けの鉄則は、その場で直ちに処理する、であることは知っているし、そんな伝票の処理 (妙な金額じゃないかどうかチェックして、前月分を裁断、最新の分だけをクリアファイルに入れる) なんてあっちゅうー間に終わることも知っているが、よくある話で、面倒くさく思われてやらない。これを何ヶ月も繰り返すとこういうことになる。
本当にそのとおりになるかどうかは分からないが、残業規制が厳しくなる、という通告があって、今後は早く帰れるかもしれない。はたしてそれで改善されるだろうか。
いや、その前に、この積みあがった奴を。こうなっちゃうと時間かかるんだよな。
そんな中に埋まっていたのが、
ANA の機内誌「
翼の王国」の 4 月号。
4 月中旬に東京に行ったときに持ってきたもの。
特に用事があったわけではなく、勿論、金が余っていたわけでもなく、期限切れ間際のポイントを行使するための日帰り往復。
ということで 2 ヶ月ぶりに発掘してご紹介。
冒頭の“ANA'S WORLD SCOPE”では、福島三春町の
滝桜の写真について。
今泉文子という人が去年の 4 月に滝桜の写真を撮って地元の人に紹介したとき、「
国の天然記念物になって以来、初めて滝桜がオラたちのとこさ、戻ってきたみてぇだ」と言ったそうである。「
ガキのころ、あの桜の枝さ登って遊んだんだ。そだごどを思い出したわい」と続く。
先週、阿波踊りについて触れたが、チーム (連) によっては無形文化財になっているため振りを変えられないところもあるらしい。「維持する」というのはそういうことなんだよな。
以前、新聞社が、方言の維持に役所が動くべきだ、なんてことを言っていてびっくりしたが、そういうところに意識が行ってないんだろうな。方言の変化を嘆く人は、そういうことも合わせて考えて見るべきだろう。
「沖縄ぬちぐすい紀行」は、八重山でデイゴの木がデイゴヒメコバチという害虫にやられてピンチ、という話。デイゴのことは「
赤ゆら」「
赤ようら」と言うらしい。「
ゆら」「
ようら」が何かは不明。ググってはみたのだが、歌の名前と料理店の名前ばっかりでたどり着けず。
デイゴって「梯梧」って書くのね。
タイトルについて「『命の薬』という意味」と書いてあるが、これでは意味がわからない。調べたところ、おいしい料理、美しい景色、人の愛情などを含む広い概念らしい。
特集は西表島で「海の道行けば」。
マングローブの樹皮で糸を染めるのだそうだが、染めた糸を海水に入れておくことを「
海さらし」と言うそうな。染色にはこの行程があり、冬の川の水でさらすのをニュースで見たことがあるような気がする。これで色が決まるんだったような。
ここでも、マングローブの林が国有林であるため伐採はできず、折れた枝を拾って使っている、と書かれていた。戦争のときに相当、伐採されて今まさに回復作業をしているところなのでしょうがないのではあろうが。
「
コーフ (セダカクロサギ) の
マース煮」というのが紹介されている。「
マース」が塩、というのは初めて聞いた様な気がしていたが、
前に自分で紹介していた。
もう一つの特集は大分坂ノ市の「
萬弘寺の市」。
5 月に行われる、一週間続く縁日らしいのだが、その期間に、物々交換の市が立つらしい。たくさんの参拝者が訪れる中から自然発生したのだとか。
どうやら相当前から買い物の場であったようで、食器などの日用品はこの市で買うものだったらしい。くたびれてくると、萬弘寺さまで買おう、と言って一年待つ、というようなテンポだったそうな。その時期はお金を持っていることから、ツケを清算するタイミングを表す「
お盆、正月、萬弘寺さま」という言葉があったんだとか。
物々交換の方のキーワードは「
かえんかえー」。説明は不要であろう。朝 4 時に始まり、こう言いながら交換の相手を探す。
今では、昼の間に子供の部がある。ここで交換できることを知っていて、遊び飽きたオモチャも大事に取っておく子供もいるのだそうだ。食器と同じループができている。これはすごいと思った。
こないだ何かの本を読んでいたら、面白い市があるよ、というようなことが書かれていた。この「萬弘寺の市」のことかな、と思ったのだが、不精して確認しなかった。
で、今回、この文章を書いていて、その本なんだったっけ、と考えたのだがまったく思い出せない。そんなに前のことではないはずなのだが。
年をとる、というのはこういうことなのだ。