前回まで、
こばやしたけし氏の『あきたをおしえて!! (
くまがい書房)』を紹介してきたが、そこで、俺が買ったときは、ジュンク堂秋田店で『
舟を編む』『
おべんとうの時間 (2)』に次いで三位、という話をした。
『おべんとうの時間』の最初の奴は
前にも紹介した。好きなシリーズで、
ANA に乗ると「
翼の王国」を読むのが楽しみである。だが、ランキングで二位に入る、というのはちょっと意外だった。バカ売れする種類の本じゃないと思ってたんだが。
NHK の「サラメシ」効果か?
で、今回はその『おべんとうの時間 (2)』から。
最初が秋田で、三種町でじゅんさいを採ってるおばあちゃん。
集まりで食べ物を分担するとき、「
なんばんべっちょお願い」とか言われるそうだ。
初めて聞く料理だが、
秋田ファンドッとコムに
レシピがある。菊とタクアンとキノコをトウガラシ (南蛮) で味付けした和え物らしい。
本では、「
南蛮入れてベソかくくらい辛い」とあるが、このレシピでは「
なんばんを使って、
べっちょ(汗)をかくほど辛いので、この名前がついたという説もある」と書いている。
大意はいいとして、「
べっちょ」を「汗」と解説しているのが気になる。『秋田のことば (秋田県教育委員会編、
無明舎出版)』にはそういう記述はない。『語源探求 秋田方言辞典 (中山健、秋田協同書籍)』は「べっちょ」自体を立項していない。
ほかのレシピでは、「
あじゃら」の由来が説明になってないし、阿弥陀を「神様」と
言ったりしている。
秋田弁講座の
ページもあるのだが、「
こっちさあべ」を「こっちに来なさい」と訳していたり (「こっちに行こう」である) 、「
ぶっとばす」を「
どつく」と訳していたりして、ここのサイトの日本語・秋田弁には総じて難があるような気がする。
レシピに戻るが、「
つぶ油」というのが出てくる。これはエゴマの油らしい。前から思ってるんだけど、「エゴマ」って戦隊シリーズの敵役みたいな響きがあるよな。「な」って言われても困るだろうが。
「
つぶ油」はどうも北東北の例が多いようだが、「
じゅうね油」という言い方も岩手や山形で見つかる。この「
じゅうね」はエゴマのことで、
Wikipedia によれば「十年長生きできるから」らしい。
暑い日には、「
氷水」を飲んで一休みするそうだが、この「氷水」が問題。
辞書を引くと、「氷の入った水」と「カキ氷」の二通りの意味が出てくるが、どうもウェブでは前者の意味のほうが優勢っていう感じがする。
また、カキ氷を指す場合、「こおりすい」と言うべきらしい。この単語自体になんか違和感。関西っぽい感じがするのだが。湯桶読みだな。
俺、子供の頃、「
こおりみず」って言ってたような気がするなぁ。
で、「カキ氷」だと「食べる」がつながると思うんだが、「氷水」の場合、「氷の入った水」であれ「カキ氷」であれ「飲む」じゃないだろうか。最後の字に引きずられてるのか。
このおばあちゃんの場合、「お菓子食べて、氷水飲んで」とあるので、おそらく水だと思う。
岩手のバスの運転手さん、子供の頃は、弁当よりも給食の牛乳の方が楽しみだったらしい。
ケースの中に、一つか二つ、蓋に書いてあるマークの大きい奴があって、それを生徒間で取り合ったとか。いかにも子供らしいエピソード。
この人、「岩手牛乳」って名前を出してるんだけど、俺、小中学校で出てた牛乳のメーカー、覚えてねぇなぁ。
ちょっと
日本乳業協会で調べてみたが、
秋田の会員では、心当たりがない。森永とか明治とかの全国メーカーだったろうか。
それより、“dairy”って単語を初めて見た。乳業関係の工場を意味し、発音は「デアリ」っぽい。
東映京都撮影所の人が出てくる。
こないだ火事があって第一ステージが全焼したが、今後、大丈夫だろうか。
京都撮影所って言うと時代劇でしょ、と思う人が多いかもしれないが、「おみやさん」「京都地検の女」とあそこで撮影されているテレビシリーズは結構、あるのだ。
*1
弁当、関係ない話題でしたね。
つか、ここで紙面が尽きた。書いてて本人がビックリした。
来週につづく。