Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第809夜

またおべんとうの時間 (後)




 密かなベストセラー、阿部了・直美夫妻の『おべんとうの時間 (2)』に借りた文章、後編。

 新潟の旧山古志村の人のお弁当には、「かぐらなんばん」の味噌炒めが入っている。
なんばん」で分かるとおり唐辛子だが緑色で、一見、ピーマン。
ニッポン食育ネット」の「故郷に残したい食材」に説明がある。「ゴツゴツとした外観が神楽面に似ていることから」だそうである。でも、ピーマンとか唐辛子って大概ゴツゴツしてない? とか思ったりする。
「残したい〜」を一通り見たが、ご当地やさいだからって方言が使われている、というわけでもないようだ。かと思うと、「そば」とか「くるみ」とかがあったりする。
 秋田のスーパーでも時々見かける雪菜に、「雪菜といえば『ふすべ漬け』。ふすべて(湯通しして)塩だけで漬けると、辛味が出てくる」とある。
 ちょっとググっただけでは「燻べる」という語しか出てこない。字を見て分かるとおり、「いぶす」という意味である。この語なら秋田にもあるようで「ぶすめぐ」という語が『語源探求 秋田方言辞典 (中山健、秋田協同書籍)』に載っている。
「AND 山形」にすると「湯がく」の例が出てくるのだが、どうも雪菜の調理法が大半で、語源の説明が見当たらない。
きくいも」もある。記事は岐阜のものだが、秋田でもわずかに栽培されていて、これを使った焼酎に「太陽の花」というのがある。これはきくいもの学名からきているらしい。
 探してみたら、長野や宮城にもあるようだ。

 この人の家は農家らしく、「夕方家に帰れば、田んぼの草刈りに牛のエサくれね」と発言している。この「エサくれ」が気になる。実は、この本の中で一番、ひっかかっている表現。
 意味はわかる。「エサやり」である。だが、「くれる」の形になっている。
 予想はされたが単純にググっても「エサくれとねだるうちの猫」てな話がほとんどで、この形の用例をスクリーニングすることができない。

 那覇からはコーヒー栽培農家の人。沖縄にはコーヒーの害虫がいないので農薬を使う必要がないのだそうだ。
 そういう農業をしているので、「タナガーや蟹がまた川に戻ってきてくれる」と言っている。
タナガー」は「手長エビ」。Wikipediaに、「カワエビ」「ダンマ」などの形が載っている。これも説明見当たらず。

 島根津和野の人は、「一等丸」という漢方薬を売っている古いお店の人。
 最初は店に行かなきゃいけないらしいが、それ以降は通販している。が、薬事法の改正によって送れなくなるかもしれないのだそうだ。中途半端な知識で言うのは問題かもしれないが、こういうのを聞くと、誰のための法律なんだろうね、と思う。

 さて、現在の昼飯は「卯の花」である。これが主食。
 ちょっと体重が洒落んならん数値になっており、ここで踏みとどまらないと肥満になってしまう。とりあえず、米を減らすことにした。
 最近、気づいたのだが、ビールも実は高カロリー。いつかも書いた通り、好んで飲んでるのはサッポロの「金のオフ」だが、500ml 一本が 140kcal.
 ということは、これを五本飲むと 700kcal で、ホワイトカラー系中年男子が一回の食事で摂取するカロリーに近い値となる。普通はつまみも一緒なわけだから、おそらく 1,500kcal を超えると思われる。つまり、酒を飲む日はそれも含めて二食、しかももう一方は軽め、って感じにしておかないとオーバーカロリーなのだ。
「金のオフ」は糖質カットの発泡酒だが「ビール」のカロリーはもっと多い。サッポロの記事によれば、例えば黒ラベルの 500ml は 200kcal で、コンビニ オニギリ一個くらい。ヱビスの黒はちょっと多くて 225kcal.
 その記事にあるように、酒のアルコールは飲むそばから消費されるからつまみを考えれば酒飲んでもいい、という話はあるらしいのだが、本当か? と思い始めているところである。




"Speak about Speech" のページに戻る
ホームページに戻る

第810夜「トコトコ四国」へ

shuno@sam.hi-ho.ne.jp