1/8 の夕方のこと。
録画してあったオタク系番組を見ようとしてテレビをつけたら、金田一秀穂氏が出ててなんか方言の話題をやっている。新聞を確認したら、NTV の「
所さんの目がテン!」で、「新春ぜよ! 拡大ばい! お国言葉だがね! 大解剖でんがなスペシャル!」という特集だった。録画しようと思ったが、すでに放送時間は半分を過ぎていて、今更か、とあきらめようとしたら、HDD レコーダーの電源は既に入っていて、なんかを録画している。こんな時間に予約を入れた記憶はねぇなぁ、と思ってチャンネルを確認したら、その「所さんの目がテン!」だった。
なんと、
前に話した「キーワードを登録しておくとよきに計らってくれる機能」によるものだった。すっかり忘れていた。
忘れていた、ということは、今まで「方言」でヒットしたことは一度もなかった、ということである。
おそらく検索精度と言うより、局側が提供する番組情報に「方言」って単語が含まれていないってことだと思われる。
先週、取り上げた「なまっテレ!」もヒットしなかったわけだが、やっぱり過信は禁物ってことか。
番組ではいくつか実験が行われている。
最初の実験では、平日の朝 8 時の新橋駅前で、観光客を装って写真を撮ってもらおうとする。
標準語で「写真撮ってくれませんか」とお願いしたところ、写真を撮ってくれたのは、10 人に声をかけて二人だけ。
ところが、津軽弁・博多弁・関西弁にしたところ、それぞれ 9/8/7 人で正反対の結果に。
パーソナリティの
矢野 明仁 (広島出身) が方言の持つ「違和感」で説明していた。知らない言葉でいきなり話しかけられて、「え?」と思っている間につい話を聞いてしまう、ということらしい。
これは新橋だったけど、丸の内とか新宿とか六本木とか、場所を変えたら違った結果になったかもね。
次の実験は、どっかの公園で地方出身者を捕まえて、田舎の知り合いに電話をかけさせ、標準語だけで会話できるかどうかを見る、というもの。「なまり亭」でやってたよな。あれにも金田一さん、出てたし。
10 人中 9 人が失敗。
そりゃそうだろう。話の内容自体が、土産物を 10 個リストアップさせろ、というご当地ものだから尚更。
トップの青年は、友人と話をしてあんまりな結果だったので、今度は祖母にかけていたが、そりゃもっと方言になっちまうと思う。
これの補足実験が面白い。昔話を標準語と方言とで録音し、日本語のわからない外国人に聞かせる。どういうシーンだと思うか、と聞いてみると、標準語の録音では「無表情」、つまりどういう雰囲気のシーンだかわからない、と答えるのに対して、方言では「悲しい」「怒っている」などなんらかの感情を読み取る、という結果。
つまり方言というのは、感情が載る言葉、ということ。今回の実験で言えば、電話の相手がなかなかリストアップしてくれないから苛々する、その感情によって方言を使ってしまう、という理屈。
まぁ、苛々するのは、本来なら方言で話すべき相手と標準語で話すことによってコミュニケーションが阻害されてるからじゃないか、って気はするが。
最後の実験は大学生。
秋田弁・博多弁・関西弁で 30 分会話させ、東京出身の友人に方言がうつるかどうか。
結果、うつったのは関西弁のみ。
知らなかったのだが、関西弁では“12345678910”の読み方が激しく上下動する。読んだのはますだおかだの岡田圭右だが:
いちにさんしーごーろくしちはちきゅうじゅう
というイントネーション。
つまり、関西弁の上下動はほかの方言よりも大きい。だからインパクトがあってうつってしまうし、関西弁話者は標準語に直しづらい、ということになる、らしい。
最初の、「
写真撮ってけろじゃ」の実験だが、意地悪い見方かもしれないけど、
所ジョージが言ってたように、頼まれた方には「田舎から出てきて困ってるかわいそうな人」って意識があったんじゃないかなぁ。悪意はないにしても、ちょっと見下してる感じないかしらん。
二番目の、昔話の音読を聞かせる実験。
所ジョージが、(岡田や
山川恵理佳に比べて) 自分達の言葉は無表情、と言っていたが、ずっと標準語話者だった人の標準語と、ずっと方言話者だった人の標準語とはまた違うのではないか。標準語に感情がのらない、ってことはないはずだもの。そういう実験はやってないようだったが。
まぁ、所沢出身の所ジョージを含め、首都圏の人の言葉が「標準語」かどうかはさておくとして、だ。
そもそもを言えば、「関西弁」ってくくりは問題があると思うし、どっちかってば楽しさ重視の番組ではある。
単純に楽しめばいいのかもしれない。嘘は言ってないみたいだし。
一番面白かったのは冒頭のコントで、矢野とアナウンサーの佐藤良子 (山口出身) が大阪弁を話してみる、というもの。岡田の困ったような表情が印象的。