Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜




第736夜

なまっテレ! なまっテレ!



なまっテレ! YES 方言ラブ」という NHK の番組を見た。
 実は、放送されたのは去年の 10 月なのだが、1/3 に再放送をやっていた。
 その日は、正月休みも終わり、実家からアパートに戻る日だったのだが、これを録画するために出発時刻を遅らせた。
 俺が知らなかったのもちょっと不思議なくらいの番組だが、後で調べたところによると、秋田では 10/15 の本放送の日には流されなかったらしい。初めてだったりしたかも。
 製作は仙台放送局なのだが、面子が豪華。
 司会は、福島放送局の片山智彦アナウンサーと、青森出身の新山千春
 ゲストは、俵万智とあゆか。俵万智は大阪出身だが、仙台在住なんだそうである。あゆかは、岩手出身のいわゆる「方言タレント」。
 お笑いが三組。山形+東京のロケット団、岩手+東京の 123☆45 (「イズミヨーコ」と読む)、秋田×2 のねじ

 まず、東京で方言を使いまくっている学生が二人、紹介される。
 青森出身の東大生と、秋田は角館出身の洗足音大生。
 紹介後にロケット団がコメントしていたが、前者は自分が方言話者であることを自覚していて意識的に使っている、それに対して後者は意識していない。つか、秋田弁が出ているということに気づいていない様子。
たぐらんけ」なんて秋田でだってあんまり使われなくなってるような気がするが。まぁ、これは「何か面白い秋田弁ない?」って聞かれて紹介した単語らしいけど。
 これは人を罵倒するときに使う言葉だが、『秋田のことば (秋田県教育委員会編、無明舎出版)』も『語源探求 秋田方言辞典 (中山健、秋田協同書籍)』も「田蔵田」を語源としている。『語源探求』によれば、中国でジャコウジカに似ているとされる空想上の動物で、ジャコウジカ狩をしようとするとフラフラあらわれて殺されてしまうことから、間抜けな奴の代名詞となった由。
『秋田のことば』は、「たくらむ」の変形という説も紹介している。「馬鹿の考え休むに似たり」という言葉も挙げているが、今いちピンとこない説明。

 次には、「方言恋愛」が紹介される。
 女性達が、恥ずかしそうに聞いていたのが印象的。
 流れたのは土佐版だったが、それでもクるんだろうね。

 山形放送局の伊藤海彦アナ (千葉)、あゆか、狩野英孝 (宮城) で東京へ。
 山形新幹線「つばさ」のカリスマ販売員、茂木久美子が登場。
 この人のことは、前に何かで読んだことがあって、ここでのネタにできる、と思ったんだが、すっかり忘れていた。
 山形弁を使うようになったのは偶然だそうだが、方言コンプレックスを持っている自分に違和感を持っていたらしい。わかるような気はする。
 本出してるようなので手配してみたい。
 次が、「ニホン GO!」でも取り上げられていた銀座のバー「白いばら」。有名なところらしく、ググると山ほどヒットする。
 青森出身の女性が、「しゃんてき」という言葉を使っていた。「素敵」という意味らしいのだが、濁点をつけたりして変形してもヒットしない。探し方が悪いんだろうか…。
 ネイティブがうれしいというのは当然としても、そうでない場合でも、「旅館にいるようで楽しい」という意見があったのは面白かった。確かにね。おもてなしされてるわけだし。

 途中で、NHK のアナウンサーが野球の試合を自分の方言で中継する、というコーナーが挿入される。チームは当然、ゴールデンイーグルス
 秋田出身の伊藤慶太アナの「(あまりに大きいヒットなので、外野の選手がボールを)ぼわねがった (追わなかった)」がおかしい。
 名古屋の高瀬登志彦アナは、「練習からまわしてきとる」。「まわす」「まわしする」は「準備する」という意味。
 宮崎の杉尾宗紀アナは以前、『日本語学』の「無アクセント地域からアナウンサーに」という連載で文章を書いた人。特徴的なのは「ふとかヒット」か。「ふとか」は「大きい」という意味である。「太い」ではない。

 さて、お笑いの人たち。
 ロケット団は去年、紹介した。ネタも同じだった。
 123☆45 は初めて見たのだが、「このほんじなしが」が売りらしい。
 ねじが、GReeeeN (‘e’の数は合ってるか?) の歌を秋田弁で歌っていた。ちと「」が気になる。こないだもちょっと触れたが、東北弁で、格助詞の「に」がすべて「」になるのではない。地域によって異なる。
 彼らの歌で、「好きになれる」と「形にして」の「に」がどちらも「」になっていた。これは俺の感覚とは大いに異なる。俺がおかしいのか、それとも彼らが秋田市周辺ではないのか、あるいは、無理に秋田弁っぽくしてしまっているのか…。

 磁石とか自然隊とか、最近、見ないねぇ。
 尤も、俺は真面目にお笑い番組見ないけど。ホットカーペットは、慌しくて苦手。相方を組み替えるコラボも面白いと思ったことないし。

 漫才師のブログって、コンビで一つじゃなくて、別々にやってるのが多い様な気がするんだけど、なんで?

 こういうの、半年に一回くらいやっても面白いかもね。今や、芸能人も田舎者であることがセールスポイントにできる時代になったわけだから。
 秋田テレビでは、加藤夏希をメインに、秋田で活躍する美人 4 人の対談番組をやっていた。それも 2 時間。そういう切り口もあるだろうし。正月特番を待つことはないと思う。制作費の問題はあるかもしれないけどさ。

 それにしても、「なまっテレ」でググってもほとんど記事がないのはびっくりした。




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