前に内田百
(「門」に「月」という字) の『阿房列車』のシリーズを紹介したことがあるが、そのとき、
一條裕子によるコミカライズにちらっと触れた。
実は 2 月の末に
第二巻が出ている。
これには、「東北本線阿房列車」「奥羽本線阿房列車」「雪中新潟阿房列車」「雪中横手阿房列車」が収められていて、方言の話はいくつかあるのだが、酒の名前の聞き違いとか、「遠洋漁業」とか、残念ながら既に前回、紹介済みなのだった。
あったとすれば、百關謳カ、福島の宿で「
選挙で来たのか」と聞かれたが意味がわからず、大分経ってから「
準急で来たのか」という意味だということに気づいた、というところくらい。
白石駅で停車中、人の声がふいに途絶えて、駅員の靴音が響く、という辺りの描写はすごかった。
あと、「山陽」で旧友が尋ねてきたとき、百閧スちが子どもになって描かれているところもほほえましい。
ちと列車の名前というのを調べてみた。
2 号には「銀河」「かもめ」「つばめ」あたりが登場するが、これに方言が使われていないだろうか、と思った。
秋田のドル箱としては、新幹線「こまち」のほかに、奥羽線から五能線を通って青森まで行く「
リゾートしらかみ」がある。
列車の愛称は、「くまげら」「[木無] (ぶな)」「青池」があるが、どれも方言ではない。
津軽弁の語り部が乗り込む、というイベントを行っているらしい。津軽三味線の演奏もあるらしいのだが、秋田的要素はあんまりないのね、残念ながら。
秋田県内には第三セクターの鉄道が二つある。角館から鷹巣まで走っているのが「
秋田内陸縦貫鉄道」、矢島から本荘まで走っているのが「
由利高原鉄道」。由利高原鉄道の方は、客車の愛称を「
おばこ」としている。
この二つは、「
じゃんご鉄道」と銘打って連携を展開中。「
じゃんご」は「田舎」。
Wikipedia で、列車の愛称の類の記事をいくつか見てみたが面白い。
不満が高じての揶揄も多いが、集団就職で上京した人が、お金をためて帰省するときに乗りたいと考えた列車のことを「出世列車」と呼んだなど、時代を感じさせるものも多い。
乗客の性質に寄ったものとして、「太公望列車」「ギャンブル線」「乙女駅」などが面白い。
「駅弁大学」あたりは有名だと思うが、「夢の超特急」が元々は「夢物語」という意味で揶揄する言葉だとは知らなかった (
鉄道路線や駅・施設に関する俗称)。
方言関係では、「
赤べこ」というのが見つかった。赤い電気機関車で、東北で主に使われていたことからついたものらしい。
単に「内部」としか書かれていないのではっきりしないが、おそらく業界用語ということなのだと思われる。1 を「ゲ」、8 を「パ」と呼ぶことがあるらしく、「
JR 東日本 EF65-1118 号機」だと「ゲゲゲッパ」となる。それが「
ゲッパ」と省略されることがあるらしいのだが、秋田辺りではこれは「最後尾」「ビリ」という意味である。
それにしても、8 が「パ」なのはわかるとして、1 が「ゲ」なのはなんでだろうね。
そういう業界用語みたいなので地域差ってないのかな。
勿論、あったら業務で困るのかもしれないけど、首都圏で雪が降るたびに大騒ぎするのを見ていると、雪対策・気温対策は JR 東日本全体で共有されてないのかもしれない、と思うので、言葉遣いに地域差があるってのもないことじゃないような気がする。
雪対策については、設備そのものが違うんだろうけど、くらいの理解はある。年に何回も降らないのに万全の対策をするわけにもいかないんだろうし。
三陸鉄道の列車番号はすべて 36 で始まるが、これは「さんじゅうろく」「さんろく」ではなく「
さんりく」と読むらしい。
上京は飛行機専門になっちゃったし、新しい車が来てそっちへの比重も高まり、ますます列車からは縁遠くなりそうな気がするんだが、前にも書いたとおり、久しぶりに列車の旅をしてみたい、という気はしないこともない。
駅弁も食いたくなってきたなぁ。魔法瓶はあるから燗酒の運搬にも支障はないし。いや、買えばいいんだけどさ。
いや、それより、駅そばツアーってのがいいかもしれない。
今夜はそばにしよう。と、趣旨が変わったところでおしまい。