先週の「
あ、安部礼司」では、主人公の安部キュンを「伝説の営業マン」と勘違いした雑誌編集者が取材に来る、というエピソードだった。
この、琴浦ミワという記者、鳥取出身である。
いくつか方言形が出てきたが、「
わったい」は「とても」、「
ようたんぼ」は「酔っ払い」。「
わったい」は単独で使い「なんてことだ」という意味にもなるらしい。
あとは「
だんだん」「
たいぎい」くらい。「
だんだん」は広く知られていると思うし、「
たいぎい (大変だ)」は他の地域でも使われる。秋田でも「
たいぎだ」という形で使う。
手元にある『都道府県別 全国方言小辞典(
三省堂、2002)』によれば、鳥取の方言は「西部」「中部」「東部」に分類できるそうだが、『最新 一目でわかる全国方言一覧辞典(
学研、1998)』は「雲伯
(うんぱく)」「伯耆
(ほうき)」「因幡」に分類している。
これが、Wikipedia の「
因州弁」になると「因州」「倉吉」「
雲伯」となる。
詳しく調べてないが、呼び方だけでなく、線の引き方まで違ってるかもしれない。
説明もそれぞれ違っているが、松本清張の『砂の器』でも有名なズーズー弁についてはどれも言及がある。また、場所を示す「で」相当の「
から」も紹介されている (「
二階から転んだ」などと言う)。
『小辞典』では、「〜をしながら」という意味の「
もって」について書いているが、これは大阪でも使われるはずである。サラ イネスの漫画『大阪豆ゴハン』『誰も寝てはならぬ』でよく出てくる。
色々と表現が並んでいるが、『小辞典』の「
しゃつかがない」が気になった。「常識がない」という意味らしいのだが、ググってみたところほとんどヒットせず。したがって語源もわからない。単純に「
しゃつか」が「ない」のだと思うのだが。
「
ぐやすや」は「体調が優れない」ことらしいく、今の俺にぴったりだが、これは一例のみ。
『一覧辞典』では「
ほしー」が面白かった。「もったいない」ということらしいのだが、例文の「
大事な時計をないにして (なくして)
ほしー」は、他所の地域の人が聞いたら確実に誤解すると思う。あるいは、ねだっている、と勘違いされるシチュエーションもありそうだ。これは、ググってはみたがノイズが多くて断念。
で、なんで「安部礼司」で急に鳥取の人が、と思ったのだが、その琴浦ミワが、「安部を『ゲゲゲの鬼太郎』の妖怪に例えると何か」と聞いたときにわかった。朝ドラの「ゲゲゲの女房」にひっかけたのだ。
朝ドラは滅多に見ない。ちゃんと見たのは「ファイト」「ちりとてちん」「つばさ」だけ、ほかだと「てるてる家族」が細切れである。「ファイト」以降は、最初の一週間くらいは見てみるのだが、「ま、いいや」となることがほとんど。そういや、
マナカナの「だんだん」は島根だった。
ポイントはヒロインが俺の好みかどうかで、いや
倉科カナは愛嬌あって可愛いと思ったし
岩佐真悠子も好きなほうだが、業爆で流されたことにしておく。毎日 15 分って結構なハードルなのだ。
今回の「ゲゲゲ」も、
水木しげるの話だから俺の趣味分野と接点はあるが見てない。ただ、8:00 スタートになってちょうど出勤するかしないかの時間に食い込んできたので、アバンくらいは目に入っている感じ。
「ゲゲゲ」で使われているのは雲伯方言だそうである。方言指導の広戸聡のインタビュー
*1がある。
「
べったべった」「
ただもの」が「
いつも」という意味らしいのだが、初めて聞いた。
人を罵倒するときに使う「
だらず」は、
大杉漣*2のインタビューのタイトルにもなっている。役の上での口癖らしい。
広戸の発言で興味深いのは:
というくだり。
つまり、ドラマの方言だから「間引いて」あって実態とは違うわけだが、演じている役がリアルであれば本物に見える、ということである。
例に漏れず今回も、「あんなの鳥取弁じゃない」と言われているようだが、それはしょうがないんだって。そもそもフィクションなんだから。別の次元の話なのよ。
『一覧辞典』によれば、鳥取市付近では「女」を「
にょば」というらしい。これはきっと「女房」だと思うんだが、だからって「
ゲゲゲのにょば」と言ってしまっては意味が全然違うんだろうねぇ、きっと。
*3
自分の問いに答えようと思って「
妖怪占い」というのをやってみた。
俺は「垢なめ」の子孫らしい。
確かに、まともに風呂の掃除をしてない。