PORSCHE BOXSTERをご紹介します
  コードナンバー=「986」
  RRの911とは違い、ボクサーエンジンをミッドシップにレイアウトしたロードスター
  「ボクスター」をご紹介します。
  ボクスターとの出会いから、卓越したパッケージとインプレッションを混じえて・・・
  私見だらけなので、「話半分」でご笑覧下さい。

Prologue Introduction Impressions SpecData Topics

車探し・・・
新車をオーダーしたいところですが、予算の都合で中古車を探す事になりました。お目当てのモデルは、3.2LのS。MY2003以降の高年式で、6MT、スポーツシャシー、18インチホイール装着車を探しました。2003年の秋にMY2002ですが黒で純正エアロを装着したモデルを見つけ、半年ほど毎日のようにネット上で眺めていました(笑)しかし暖かくなった翌年4月、一度も実車を見ないままSOLD OUTとなり、その後に見つけたMY2003モデルを手に入れる事になります。オプションはPSM、リトロニックヘッドライトとウィンドディフレクターに上記のスポーツシャシーと18インチカレラホイールを装備し、加えてスポーツデザインパッケージというインテリアが選択してありました。

 PORSCHE BOXSTER S MY2003
型式(VIN) GH−98624 WPOZZZ98Z3U6*****
ハンドル Left Hand Drive
トランスミッション 6Speed Manual
カラー(外装) Guards red
カラー(内装) Black(Sport Design Package)
カラー(幌) Black
走行距離 7000km
初年度登録 Nov/2002(MY2003)
オプション 18" Carrera wheel
Alarm system (315 Mhz)
Automatic air conditioning
Front centre console
Headlight pack including cleaning system
Porsche CDR 23 radio
Porsche Sound Package with amplifier (digital)
Porsche Stability Management (PSM)
SportDesign package
Sports suspension (- 10 mm)
Wind deflector
Windshield without graduated tint

ガーズレッド・・・
もともと流通量の少ない車だし、その中でも販売量の少ない「S」。そしてATの販売数のほうが多くなっている状況なので、「S 6MT」を探す事は、まさに「探す」でした。「選ぶ」台数がないんですね。正直日本に一台の状態でした。そんな車が近くで見つかったんですが、ボディカラーは「ガーズレッド」というソリッドの赤でした(笑)黒や白やシルバー等の色なら、文句なく即決ですが・・・初めて見た時の印象は、鮮烈ッ!派手ッ!思わず笑いました。完熟トマトのような・・・消防車のような・・・郵便屋さんのような・・・溜息・・・そしてもうひとつの懸念が紫外線による退色です。「ひと夏で痩せる」といわれるソリッドの濃色です。赤が朱になる・・・家族からも「あぁかぁー?!」と言われるし・・・

試乗・・・
ボディカラーは、ともかく一度試乗してみないと・・・2003モデルで、平成14年11月の登録でした。走行距離7000km弱という車ですが、新車とも言えるくらい状態も良く、タイヤ以外に不具合はありませんでした。フロントバンパー下にタイヤ止めに擦ったような跡がありましたが、他にパネル交換などの痕跡や板金は、見あたりません。ソフトトップの開閉もスムーズです。エンジンも快調で、リミットまでストレスなく回ります。ブレーキも問題ありません。足回りの不具合もありません。車としては、何の文句もありませんでした。試乗の印象は・・・イグニッションシリンダーが左にある事と背中で吠えるフラット6に悩殺された事、フルレザーのスポーツシートが苦しい(笑)、そしてLHDの違和感もあり妙に右助手席側が遠く感じた事でした。

納車・・・
何件もの商談に勝ち抜き、赤にもそのうちに慣れるという前向きな発想(笑)で、ついに契約。納車は2004年7月3日となりました。中古車の場合、半年毎に査定額が見直され、7月登録とする事で取得税額が変わってくるそうです。久しぶりに再会するとやはり眩しい色でした。アプルーブドカー(新車保証も残っている)としての整備を終え、エンジン、ミッション、ブレーキの油脂類交換と新品のパイロットスポーツに交換されたタイヤ。簡単な納車説明を受けてきました。なんでも03モデルは、リモコンドアロックの感度が悪いとか・・・遠くからロック解除できても仕方ないので、問題ないですね。整備記録や説明書、保証書などの文書確認と工具などを確認して・・・ナンバーは希望番号としたので、どんな番号かなぁっと言う楽しみもなく・・・お店で受け取りドライブしながら帰ってきました。オーナーとなってはじめて感じたのは、高速道路でのステアリング応答性の鋭さです。ドッシリした安定感の中でもわずかな操作でクイックな反応が返ってきます。エンストしないように・・・慎重に運転していた納車日でした。

PORSCHE・・・
華やかなガーズレッドのボディカラーもあってか、「PORSCHE」というブランドなのか、周りの視線が痛いですね(笑)信号待ちで停車しているとすれ違うドライバーの殆どがこちらを見ています。高速道路では、すんなり道を譲ってもらえます(大笑)近所の方々もキョトンとした顔で眺めて・・・中には「おっ!ポルシェ」と叫ぶお方も・・・とても目立つので通勤や買い物には、使えませんね。
ハードとしてPORSCHEを感じたのは、エンジンやブレーキではなくホイールボルトだったかも知れません。空冷モデルでは、スタッドボルトにナット締めのようですがボクスター以降では、ボルトになっています。ホイールとのアタリが球面ですが、この部分がワッシャー状に別物となって凝った作りです。130Nmと大き目の締付トルクからホイールを保護する為か、緩み防止か・・・ドライブシャフト等も中空にして軽量化を図っているとか・・・取扱説明書も付属していますが、内容が面白い・・・例えばシートの操作説明には、「上下位置調整レバー」とか「背もたれ調整レバー」等とレバーの位置を図解してありますが、それ以上の説明はありません。一方でエンジンオイルの説明だと「マルチグレードのエンジンオイルは、5W-50等で表示されます。Wは、Winterの略で・・・」丁寧な説明がついています。このあたりにもPORSCHEの拘りを感じます(笑)

LHD・・・
5分も運転すれば慣れるとも言われる左ハンドル。たしかにすぐに慣れます。よく言われる追越や右折時の見切りがし辛い事もありますが、視点を右に移動すればさほど苦になりません。ETCをつけていないので高速道路の料金所では、チケットを取るのに苦労しますが、支払は係員が外へ出てくれるので支障ありません。チケット式の駐車場や一部の無人料金所の有料道路では、右側にしか機械がなくかなり不便を感じるでしょうね。ただ一番不便を感じるのは、左折をする時に縁石等の障害物がピラーとサイドミラーの影になって見えない事です。いつも通るところだと見当をつけて曲がる事もできますが、突発的な落し物や初めての道路などでは、不便を感じそうです。左ハンドルとは関係ありませんが、2シーターである為に右横・・・少し後ろ側が見えない部分が多く脇道から左折して合流するような場面では、苦労します。LHDによるペダルレイアウトの不具合は、ありません。サイドシルが幅広で中央よりにシートがある為に多少右よりではありますが、違和感なく操作できます。当初不安に思っていたコーナリング時のロールの仕方も、ロール自体が少ないこともあり気にならないレベルでした。一度は乗りたいと思っていた左ハンドルですが、特に不安を感じる事はありませんでした。

6MT・・・
ダイレクト感を優先してマニュアル車を選択しましたが、3.2Lの大排気量で連続可変のバリオカムを装備し約1800回転から6800回転の広範囲で80%以上のトルクを発生する事もあって、ほぼ全域で鋭いレスポンスを体感する事ができます。トルクバンドに乗ったダイレクト感には、ゾクゾクしますね。スタートは、アイドリングスタートをする事でエンストの心配もなく発進する事ができ・・・ってこれまでに2回ストールしましたが・・・クラッチを繋いでアクセルを踏み込めば、一気にレブリミットまで吹け上がります。6速という多段化によって、それぞれのギア差が小さくこまめなシフトワークを要求される事もありますが、「高速道路では、6速入れっぱなし」という怠慢にも対応してくれます。6速80km/hが2000回転弱ですが、そのまま加速しても、流れをリードする事ができます。クラッチは、240mmのダブルマスフライホイールによりそれほど神経質になることもありません。冬場は、ややギアの入りが渋い事もありますが、温まれば問題なく操作できます。ワイヤー式のリンケージも不具合はありませんが、もう少し前後方向でのストロークが短いと良いですね。

装備・・・
装備に、不備はありません。MY2003からは、ガラス製リアスクリーンになり、カップホルダーやグローブボックスも装備されています。キャビンが狭い事もあってフルオートエアコンも良く効きます。ただし独車の例に漏れず外気温が3℃以下になるとコンプレッサーが動きません。水冷エンジンなのでヒーターもしっかり効きます。シートヒーターがついておりませんが、冬場のオープンドライブではあると重宝するでしょうね。ついついトイレ休憩に・・・を少なくする事ができると思います。ウィンドディフレクターを装備しているお陰で不快な風の巻き込みもありませんが、結構日焼しますね。帽子は、必需品だと思われます。スポーツシートは、しっかりホールドしてくれるので良いんですが、ゆったりと走るには、標準のシートの方が楽チンだと思います。このシートは、リクライニングが電動となりますが、上下はエアダンパー、前後はロック式のスライドレールとなり、メモリー機能は、ありません。サンバイザー裏には、照明付のバニティミラーがあったり、インナードアハンドルやシフト周辺、キーシリンダー等を照らすLEDが埋め込まれていたりしてラグジュアリーカーのように快適です。パワーウィンドウは、両座席ともワンタッチ機能が付いています。押し込む等の2段スイッチではなく、ちょん押しで全開、全閉し、長押しすると押しただけ上下するものです。サイドウィンドウには、シールクリアランス機構も装備していて、ドアノブを引くと同時にウィンドウが1cm程下がりドア開閉のしやすさと機密性を向上させています。ボンネットやトランクオープナーは、電磁式。リモコンキーでもロック解除することができます。オーディオは、ダッシュボードとドアにスピーカーを配したサウンドパッケージとCD、AM/FMラジオのヘッドユニットとなりますが、音は、あまり良くありませんね。できればMDが使えるとありがたいと思います。狭いキャビンですが小物入れは、たくさん配置してあります。グローブボックス、ドアには蓋付のポケット、センターコンソールに2段、肘掛部分には鍵付の小物入れがあり、ロールオーバーバー下にも収納スペースがあります。スイッチ類の節度感に乏しい部分もありますが、特に気にする程悪くはありません。インテリアカラーは、スポーツデザインパッケージなので、黒を基調としていますが、メーター上のラガーイブリッジやエアバックカバー、リアセンターコンソール、ロールオーバーバートリムがレザー、ダッシュボードやドアトリムがダイアモンドパターンとなり、マテリアルでのコントラストがあります。メーター周辺やセンターエアベント、コンソール、ドアポケット等は、メタリックグレー塗装となり、スポーツレザーシート背面とロールオーバーバーも同じ色で塗装されています。標準装備の赤外線室内センサーで監視するアラームシステムは、ダッシュボード中央の赤いLEDが点滅して作動状態を確認することができます。

維持費・・・
燃費は、3.2Lですがマニュアル車なので、高速では、10.0km/Lを記録できます。市街地でも7km/L後半となり、期待以上の数値だと思います。メンテナンス等の費用は、今のところ殆ど掛かっていません。定期的な出費は、エンジンオイルの交換となりますが、8L以上が必要なこともあり、一度の交換で2-3万を覚悟しなくてはいけません。っがそれ以外は、殆ど必要ないでしょう。ソフトトップの交換となれば30万。クラッチ交換で40万とか・・・このあたりのコストは、輸入車なので仕方ありませんね。

ミッドシップ・・・
さて、実際の走りには、とても満足しています。アンダーボディ全面とまではいきませんが、かなりの部分をフラットにカバーしてあることもあり、高速時の安定感も抜群です。ハンドリングにもフワフワするところがなくドッシリとした印象で、高速走行での反応もダイレクト感が残っています。ブレーキは、おや?と思うことがありますが、これはドライバーのミスですね。しっかりと踏み込んでいれば、パッドがローターを挟む感覚があり、頭が沈んだりお尻が跳ね上がったりする事もなく、きっちりと停車してくれます。コーナリングには、若干の違和感が・・・インターチェンジ等のカーブをオーバースピードで進入してしまった場合、コーナリングの途中でアクセルを緩めるとアンダーステアとなってしまいます。アクセルをもう一度踏み込めば、オンザレールに戻ります・・・これがミッドシップの特性なんですね。トラクションが掛かっている限り方向安定性は、抜群に高いという事です。グリップのある時は、早めに減速。ステアリングを切り込む前にブレーキを緩め、ヨーが発生しアンダーが出る寸前にアクセルを踏み込む・・・というわけですね。グリップのない時・・・雨などで路面が濡れている場合・・・って雨の日は、乗りません(笑)乗り心地は、18インチの扁平タイヤとスポーツシャシーのお陰で硬いですね。しかし足がバタつくこともなく尖った硬さではないので、不満はありません。それよりもロールが押さえ込まれていて、好印象です。