1997年6月1日号 223
患者への情報提供を考える
今、何が求められているのだろう? 医薬品の適性使用を目指した患者への医薬品情報提供では、従来から行われてきた医療従事者の裁量に患者自らの医療を委ねる(ゆだねる)という患者指導型ではなく、インフォームドコンセントの考え方をもとに医療従事者が患者に対して情報を開示する責務があると考えられるように成りました。 関連項目 患者への情報提供(2)もご覧下さい。 |
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近年さまざまな特性と強い生理活性を有した薬剤が開発されており、従来の行っていたような情報提供だけでは、患者に十分に適正使用を理解させることは難かしくなってきています。特に副作用、相互作用などネガティブ情報の患者への提供が、安全で効果的な薬物療法の実践には不可欠といえます。
ここでいう医薬品の適正な使用とは的確な診断に基づき患者の状態にかなった最適の薬剤、剤形と適切な用法・用量が決定され次いで患者に薬剤についての説明が十分理解され正確に使用された後、その効果や副作用がフィードバックされるという一連のサイクルと解釈されます。
薬剤部が患者の適性な薬物療法を確保するために行う薬品情報の提供には、大きく分けて3段階のアプローチが考えられます。
1.直接的な服薬指導ではないが、そのための環境整備としての適正な処方作成を支援するための医師への情報の提供
2.適正な処方を基にした正しい服薬のための患者への薬品情報の提供
3・患者を介して行う、医師への間接的な薬品情報提供
※相互作用回避のための情報提供
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併用禁忌および慎重投与でも起こり得る有害作用の結果が重篤である場合とその危険性
の割合が高い場合の薬剤。
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トリルダン、ヒスマナール:マクロライド系、アゾール系抗真菌剤
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ニューキノロン系:NSAIDs、金属カチオン
・ セフゾン:鉄剤
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NSAIDs:ニューキノロン系抗菌剤、アゾール系抗真菌剤
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アセナリン:マクロライド系、アゾール系抗真菌剤
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ハルシオン:マクロライド系抗生物質、アゾール系抗真菌剤
※薬剤部での副作用情報の提供の問題点
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処方する医師側の意図を十分に理解する必要がある。(協議が必要)
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患者に過剰な不安を与えてコンプライアンスを悪化させる恐れがある。
厚生省副作用重篤度分類
重篤な副作用(重篤度分類グレード3)に関しては、その初発症状あるいは初期随伴症状を患者に伝達して、副作用の重篤化を回避する必要がある。
重篤でないもの(重篤度分類グレード1〜2)に関しては、ある程度発現頻度の高いもの、尿の着色や苦み(にがみ)など間隔に訴えるもの、自動車の運転など日常生活に影響を与えるものを能動的に服薬指導すべきと考えられる。
関連項目 患者への情報提供(2)もご覧下さい。
添付文書を甘く見るな3
「副作用はどこまで説明されるべきか」 はこちらに移動しました
Protein sparing effect
体蛋白異化抑制効果
生命活動を維持するために必要な栄養素の摂取不良が続くと、栄養不良や負の窒素バランスに陥いり、生命予後不良の原因の1つになることは言うまでもありません。
生体の異化(分解)の過程で、まず最初に分解されるのは糖質で、次が脂肪、最後が蛋白質の順序です。十分な糖質・脂質の補給が行われないと蛋白の異化が起こってしまいます。
このように最後まで蛋白質の異化が行われず、先に糖質や脂質の異化を優先させて、筋肉を始めとする蛋白質を保存しようとする効果をProtein sparing effect(体蛋白異化抑制効果)といいます。
この概念は臨床栄養学では極めて重要で、患者の筋力を維持し、ADLを保つためには、十分な糖質・脂質の補給を行い、適切な栄養管理によって筋肉の異化を最小限に抑えることが重要です。
最も生理的な栄養ルートは口からの食事です。
IVH(経静脈栄養)よりも経腸栄養の生理的で、腸管粘膜萎縮によるgut
dysfunction(腸管機能障害)の予防になるといわれています。
栄養管理の原則は経腸栄養で、それが不可能なときにのみ静脈栄養を行い、経静脈栄養は、2週間以内の短期使用が原則とされています。
<Protein sparing effectのための蛋白質必要量>
経静脈に混合されるアミノ酸製剤は原則として非カロリー源として補給するもので、生体内での蛋白質同化に利用されることを目標にします。
蛋白同化作用を期待するには、十分なカロリー量が必要で、一般的には窒素1gに対して130〜180kcalが蛋白異化抑制効果(Protein sparing effect)として必要です。
蛋白必要量は理想体重に基づいて推定でき、種々の代謝ストレスに応じて以下のように求められます。
軽度代謝的ストレス(期待的手術など) 1.0〜1.1g/kg
中等度(一般的感染症など) 1.2〜1.4g/kg
重度(敗血症、膵炎など) 1.5〜2.5g/kg
窒素平衡式は体蛋白の同化と異化の状態を間接的に評価するもので、24時間蓄尿中の尿素窒素量 (UUN:urin
urea nitrogen)を測定し、以下の式で求められます。
N2balance=(protein intake/6.25)-([UUN/0.8]+2)
この値が陰性のときは異化状態を意味し、栄養状態の改善つまり体蛋白同化状態を目指すためにはさらに蛋白及びカロリーを必要とします。
出典:治療 2003.2
リフィル処方
Refilling Prescription
アメリカで一般的に普及している処方体系で、日本の制度で似ているものとしては「分割調剤」があります、「後発医薬品分割調剤」はリフィル処方の先駆けとして注目されています。しかし、リフィルとは再調剤のことで、基本的に分割調剤とリフィル処方の考え方は異なります。
アメリカでは、患者の不必要な医療機関への受診を避けるため、有効期間内であれば、医師の診察や新しい処方せんなしに薬剤師の裁量で医師が指示する回数だけ再調剤する事が出来ます。ただし、再調剤を禁止されている医薬品や有効期間、再調剤回数が制限されている医薬品もあります。また問題点として、薬剤の濫用、処方せんの改ざんなどがあり、薬局での再調剤の可否を薬剤師が十分留意する必要があります。
出典:ENFiF 医薬ニュース 2008.12.15 東邦薬品KK