バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

(最終更新日2012/02/12) 所有369枚 (済354/未16) (CD感想欄へ)

全集(169)
演奏者 レーベル 収録年 収録曲 演奏 録音 補足
アッカルド Philips 1976 全集
アッカルド fonè2007 全集
アーヨ Philips 1974-5 全集
アジジャン Classico 1996-2002 全集 分売
バラティ Saphir 2002 全集 ライヴ
バラティ Berlin Classics2009全集
ベンヴェヌーティLudwig Classica1997 全集 分売
ベイエ Zig-Zag Territories2010,11全集 バロックVn
ベズノシウク Linn Records2007 全集 バロックVn
ビスムート STIL 1991 全集 バロックVn
ブルックス ARTS 1999 全集 バロックVn
ブルシロフスキーSuoni e Colori1990全集
バスウェル Centaur 1989 全集
チェピツキー Multisonic2001,02 全集
チュマチェンコEdelweiss1988,89 全集 分売
コリャール EMEC 2003 全集 バロックVn
クラフト Tononi 1998 全集
ダール Naxos 1996 全集 バロックVn,分売
ドラッカー Parnassus1988,89 全集
デュモン Columbia 不明 全集
エディンガー Naxos/Amadis1991 全集 分売
エーネス ANALEKTA 1999,2000 全集
エネスコ La Voce,IDIS1948,49 全集
エプスタイン Agora 1995 全集
エルリー ACCORD 1969 全集
フェオドロフ ORF 2006 全集 バロックVn
フェルナンデス Flora 2002 全集 バロックVn,分売
フェラス Ages Records1977 全集
フィッシュバッハ自主製作?2002-04 全集
フィッシャー PentaTone2004 全集
フリード Lyrinx 1997 全集
ファルカーソン Bridge 1995 全集
ゲーラー Arte Nova1998 全集 バッハボウ
グローヴァー GLOBE 1990? 全集 バロックVn
ゴトコフスキー RCA 1978,79,80全集
グリマル Transart 1999 全集 ライヴ
グリマル Ambroisie2008 全集
グリュミオー Philips 1960,61 全集
ヘンデル Testament1995 全集
ハイフェッツ RCA 1952 全集
ヘンケル the spot records2004全集
ホイトリング gutingi 1999,2000 全集 分売
ヒンク CAMERATA 2000,02,04全集
ホロウェイ ECM 2004 全集 バロックVn
ホムバーガー Maya Recordings2002,07,10全集バロックVn
ハジェット Virgin 1995 全集 バロックVn
イブラギモヴァ hyperion 2008,09 全集
ジュリッツ Nimbus Alliance2008,09全集
カーラー NAXOS 2006,07 全集
カガン Erato 1989 全集 ライヴ
カントロフ Denon 1979 全集
キャプラン MMM 1991,92 全集
ハチャトゥリアンnaïve2008,09全集
クレーメル Philips 1980 全集
クレーメル ECM 2001,02 全集
キュッヒル Platz 2003 全集
クイケン DHM 1981 全集 バロックVn
クイケン DHM 1999,00 全集 バロックVn
コットマン Melisma 1997? 全集
ラロック Sonogramme2000 全集
ラウテンバッハーBayer 1964 全集
ラウテンバッハーVox Unique1973,74全集
ランズデール Cyberphunx1999,2000全集
レーフ Apex 2001 全集 分売
J. リン fine NF 2005,07,09全集 分売
ルボツキー Brilliant1987 全集
ルカ Nonesuch 1977 全集 バロックVn
ルプー Electrecord不明 全集
マドロシュキェヴィッチュGramola2000-02全集
マリキアン Warner 不明 全集
マヌージアン UW-Madison不明 全集
マルツィ EMI 1954,55 全集
マシューズ Centaur 1997 全集 バロックVn
メニューイン EMI 1934,35,36全集
メニューイン EMI/HMV 1956,57 全集
メニューイン EMI 1973,74,75全集 分売
ミケルッチ Fone 不明 全集
ミレンコヴィッチDynamic1996 全集
ミルシテイン EMI 1954,55,56全集
ミルシテイン DG 1973 全集
ミンツ DG 1983,84 全集
モルトコヴィッチChandos1987 全集
ムローヴァ onyx 2007,08 全集 バロックVn?
ニコラ Alphee 不明 全集
ニコリック Syrius 1997 全集
ノヴォトニー Supraphon1969 全集
V. オイストラフMUSICOM 不明 全集
オレフスキー Doremi 1953 全集
オロフ Vanguard 1979 全集
パパヴラミ PPL 2000 全集 ライヴ
パパヴラミ aeon 2004 全集
パラシェフコフTelos 1996 全集
パスキエ harmonia mundi1981 全集 LP
パウル Tacet 1989,95 全集 分売
ペラシー BNL 1990 全集 分売
パールマン EMI 1986,87 全集
ペトレ 自主製作 不明 全集
ピカイゼン Melodiya 1971 全集
ポッジャー CCS 1997,98,99全集 バロックVn,分売
プーレ Arion 1994,95 全集
リッチ MCA 1965 全集
リッチ Unicorn 1981 全集
ロザンド Vox 1997 全集
ロス Gaudeamus2006 全集 バロックVn,分売
シル auris subtilis2007 全集
シュミット Arte Nova1999 全集
H. シュミット Alpha 2004 全集 バロックVn,分売
シュニーベルガーJecklin1987 全集
シュナイダー MERCURY 1949 全集 LP
シュレーダー ADDA/NAXOS1984,85 全集 バロックVn
シュムスキーASV/Nimbus1975 全集
スィグリョンスドーティル自主制作2000-07全集
シルヴァーシュタインIR 2001 全集
シトコヴェツキーOrfeo 1984 全集
シトコヴェツキーHanssler1997 全集
スクラール MSM 1999 全集
セント・ジョン ANCALAGON2006,07 全集
スーク EMI 1970 全集
ズスケ DSP 1983,5,7,8全集
セントヘイ Hungaroton2001 全集
シェリング Sony 1955 全集
シェリング DG 1967 全集
シゲティ Vanguard 1955,56 全集
テルマーニ Testament1953,54 全集 バッハボウ
テネンバウム ESS.A.Y 1994 全集
テツラフ Virgin 1993 全集
テツラフ hänssler2005 全集
トニェッティ ABC Classics2004 全集 バロックVn
トーテンベルク MCS 不明 全集 分売
ウーギ BMG 1991 全集
ヴァイドマン 自主制作 1999 全集 ライヴ
ヴァイマン DUX 2006 全集
ヴァレンズエラ Con Brio 1997,2002 全集 分売
ヴェーグ Auvidis 1971 全集
ヴィンニコフ IM Lab 2004 全集
ウォルフィッシュHyperion 不明 全集 バロックVn
ウォーターマン Meridian 2000-03 全集
ヤロン ACCORD 1989 全集 分売
ツェートマイヤーTeldec 1982 全集
ツィヴォーニ Meridian 1990?,94? 全集 分売
ズーコフスキー Vanguard/CP21971,72全集
ズヴォリステアヌDinemec不明 全集
荒井英治 HERB Classics2007 全集
潮田益子 EMI 1971,72 全集
潮田益子 Fontec 1996 全集
浦川宜也 Fontec 1979-82 全集
漆原啓子 NAR 2010,11 全集
江藤俊哉 BMG/RCA 1976 全集
加藤知子 Denon 1999,00 全集
川原千真 CRÉATION2007全集 バロックVn
木野雅之 Exton 2003 全集 分売
桐山建志 ALM Records2002-06 全集 バロックVn,分売
久保陽子 自主制作 2004 全集
久保田巧 Exton 2002,04 全集 分売
塩川悠子 Camerata 1989 全集
島根恵 ALM 2000 全集
清水高師 Platz 1994 全集
諏訪根自子 King 1978,79,80全集
千住真理子 Victor 1994 全集
高橋満保子 Victor 2001 全集
寺神戸亮 Denon 1999 全集 バロックVn
天満敦子 King 2004 全集
豊田耕兒 Victor 1971 全集
辻井淳 Isoda 2000 全集
戸田弥生 OCD 2001,02 全集
藤原浜雄 Toshiba EMI/SONARE1985全集 ライヴ
前橋汀子 Sony 1988 全集
和波孝禧 Artunion 1993 全集
和波孝禧 LiveNotes2011 全集
 
選集(2曲以上)
演奏者 レーベル 収録年 収録曲 演奏 録音 補足
アベル PODIUM 1979,84,85s1,3,p2
バートン・パイン Cedille 2004 s1,p2 バロックVn
ブラッハー Phil. harmonie2009 p2,3 詩の朗読付き
ビュヒナー Calig 不明 p2,3 湾曲弓
カンタグリル Art & Musique不明 s1,p1,2,3
チャン Cavalli 不明 partita集
シシュ Intrada 2006 s1,p2
ファウスト harmonia mundi2009 s3,p2,3
フェルシュトマンChallenge Classics2009s1,p3
フィヒテンホルツGreat Hall不明 p1,2 ライヴ
フランチェスカッティBiddulph/Doremi1950,52p2,3
フロシャウアー DS 2004 s1,3,p3
ゴールドベルグ 自主製作?不明 s1,p2 ライヴ
ゴルトシュタインMITRA 不明 partita集
ゴルツ Cascade 不明 s1,3,p2,3
グリンゴルツ DG 2002 s2,p1,3
ハーン Sony 1996,97 p2,3 s3
ハンセン Bergin Digital Studio2005s1,p1,2バロックVn
ハイフェッツ EMI 1935 s1,3,p2
フアン Philarmonia2000 s3,p2
ジョンソン (Private)2002 partita集
カガン LC 1979 p1,2 ライヴ
カヴァコス ECM 2002 s1,p1
クレーメル Victor/Venezia1975 partita集
クレーメル Euro Arts2001 partita集DVD
キョンファ Decca 1974 p2,s3
Z. レヴィン MSR Classics不明 partita集
マルツィ Coup d'Archet1962,55s1,p3
メニューイン Biddulph 1951 s1,p3
ミルシテイン Orfeo 1957 s1,3,p2 ライヴ
ムローヴァ Philips 1993 partita集
オリヴェイラ ELAN 1988 s1,p2
レナルディ Testament1950,51 s1,3
リッチ Decca 1957 s1,p2
リッチ MCA 1965 s2,3,p3
リッチ One Eleven1988 s2,p2 ライヴ
ロザンド Audiofon 不明 s1,p2
ザイラー Berlin Classics2009partita集バロックVn
スタドレル Art & Elec.不明 partita集
シュタインハートTownHall1966 s1,p2
セント・ジョン WTP 1996 s3,p2
シェリング DOREMI 1961 s3,p2 ライヴ
シェリング TDK 1976 s1,p2 ライヴ
シゲティ Opus Kura1931,33 s1,2 SP復刻
シゲティ Music & Arts1946,49s1,2,p3 ライヴ
トレイバー PODIUM 1993?,97 s1,2,p2
ウーギ Fone 2004 s1,p2 ライヴ
ヴァルチノフ OVH(自主制作)不明 s2,p2
ウィウコミルスカConnoisseur Society1960'ss1,p2
漆原朝子 Fun House1996 partita集
緒方愛子 NGE(自主制作)2005 s1,p2
久保田巧 JOD 1992 p2,3
小林美恵 N.Columbia2001 s1,p2,3
庄司紗矢香 MIRARE 2010 s1,p1,2
斎藤アンジュ玉藻 Art Union2006 partita集
能宗さち SC企画 2004,05 s1,p2,3
堀米ゆず子 CBS/Sony 1986,87 sonata集
前田朋子 Gramola 2010 s2,3,p2
渡辺玲子 Teldec 2000,01 s1,3 p2
 
カップリング収録盤(1曲)
演奏者 レーベル 収録年 収録曲 演奏 録音 補足
アジジャン CLASSICO 1994 p3
バティアシュヴィリEMI 2000 p1
ベントレイ Neptunus 2001 p2
ブラウン MSR Classics不明 p3
ブッシュ EMI 1929 p2
ブッシュ Biddulph 1942 s3
シェムラ Quantum 2001 p2
コール Bacchanale Records2006s1
コンツェン Arte Nova2004 p3
ダスカラキス TUDOR 1999 p2
デ・ヴィート IDIS 1947,50 p2
ドゥガン Intrada 2002 p2 バロックVn
デルモーニ John Marks1988 p2
デニソヴァ Etcetra 2000 p1
フェイン Image Recordings不明p2
フォスター Delano Music不明 s1
フランチェスカッティBiddulph1958p1 ライヴ
フランチェスカッティOrfeo1958 p1 ライヴ
ギャレット DG 1993 p2
グッリ Trio 不明 s1
ヘンデル Doremi 1968 s1 ライヴ
ハーグナー altara 2005 p2
ハルトマン FARAO classics2006 p2
フーベルマン Arbiter 1942 p2 ライヴ
イーヴォネン Yarlung Records不明p2
インゴルフソン Catalpa 2000 s3
ヤンセン Decca 2007 p2
カガン LC 1979 p3 ライヴ
コーガン Triton 1953 p1 ライヴ
コウ Cedille 2001 p2
クレーメル Yedang 1974,76 p3,ch ライヴ
クスマウル SIMPK 1995 p2 ライヴ
クルマン Estonian Record2006p2
クーシスト Ondine 1997 p3
キョンファ Lucky Ball1983 p2 CD-R, ライヴ
キョンファ Badinage 1998 p2 CD-R, ライヴ
レシャー ORF 2004 p1
リュッケ Cavalli 1992 s3
メイ Angel 1996 p3
マカルスキー ECM 1995 p1
マルトー Caprice 1912,13 p3 SP復刻
マルツィ Doremi 1960 s1 ライヴ
メニューイン Biddulph 1929 s3
メニューイン Tahra 1968 p2 ライヴ
ミルシテイン Biddulph 1935 p2
ミルシテイン Bridge 1946 s1 ライヴ
ミルシテイン Bridge 1953 p2 ライヴ
ミルシテイン Orfeo 1956 p1 ライヴ
ムローヴァ Philips 1987 p1
オドノポソフ Bayer 1974 p3 ライヴ
オイストラフ Doremi 1947 s1
パルマー NIMBUS 2008 p2
ポゴストキン PODIUM 不明 s2
ポッペン ECM 2000 p2
レビン EMI 1955 s3
ラドゥロヴィチ Transart 2005 p2 ライヴ
レーピン A&E 1990 s2
リッチ Prompt 不明 s3 ライヴ
リッチ One-Eleven1993 p1 ライヴ
リッチ One-Eleven不明 p2 アナログ復刻
リッチ One-Eleven不明 p2 ライヴ?
シュナイダーハンDG 1955 p2
Y. シトコヴェツキーSYD1954 p2
スクリッド Sony 2004? p2
スターキアン Gallo 不明 p2
スターン INA 1953 s1 ライヴ
セント・ジョン Ancalagon2001 s1
サライ BMC 不明 p2
シェリング Aura 1975 p2 ライヴ
シェリング Palexa 1979 p3 ライヴ
ウェーバー Primavera2001,02 s1
ツァック AVIE 不明 p2
今井信子 BIS 2001 p3
大谷康子 自主製作?2006 p2 ライヴ
川畠成道 Victor 2003 p2
桐山建志 Caille 2000 p2 バロックVn
ヒロ・クロサキ ORF 2005 p2 バロックVn,ライヴ
日下紗矢子 HERB Classics2008 s3
五嶋みどり Sony Classical2005 s2
小林倫子MPS Classics2006 p2 ライヴ
鷲見恵理子 Musicamici2006 p2 ライヴ
高田あずみ Euros 1994 p2
高橋和歌 vivid 2009 s1,ch
舘市正克 ALM 1999 s1 ライヴ
戸田弥生 OCD 2000 p2
豊嶋泰嗣 Canion 1992 p2
二村英仁 Sony 2001 s3
藤原浜雄 Fontec 2007 s1
堀米ゆず子 Sony 1985 p3
米谷彩子 Venus Classics2000 p1,ch
 
番外編
演奏者 レーベル 収録年 収録曲 演奏 録音 補足
シャボー Ligia Digital2002 s1,2,p2 ピアノ伴奏付き
カントロフ National Trusut1995,96全集 ピアノ伴奏付き
シュミット MDG 1994,95 全集 ピアノ伴奏付き
Deych 不明 1999? 全集 ヴィオラ
フランク Pierr Verany1997 partita集 ヴィオラ
ナギー Cadenza 2000 (sonata集)ヴィオラ
ングウェニャーマEDI 録音不明 p1,2 ヴィオラ
Slapin SSRS 1998 全集 ヴィオラ
アニシモワ Cellestial2000,01 全集 チェロ
ビルスマ DHM 1988 s2,p3 チェロ
ヒルガー querstand不明 全集 チェロ
パテルノステルMS Records1995 全集 チェロ
バルエコ EMI 1995 sonata集 ギター
ブンガルテン MDG 1987,2000 全集 ギター
フィスク MHS 不明 全集 ギター
ガルブレイス Delos 1997,98 全集 ギター
ゴルセス Naxos 1994 sonata集 ギター
ハラツ BIS 1997 sonata集 ギター
ロメロ Delos 1985,86 全集 ギター
ラッセル Telarc 2001,02 p2,3 ギター
福田進一 Denon 2000 p3,ch ギター
山下和仁 Crown 1989 全集 ギター
J. キング NALU Music1996-98 全集 ウクレレ
エグエス MA 2000 s1,p3 リュート
ノース Linn 1993 全集 リュート
スミス DHM 1987 p2 リュート
スミス Astree 1999 全集 リュート
エルバス 自主製作?2003 s1,p1,2 マンドリン
アスペレン Aeolus 2000 s2,3,p3 チェンバロ
エヴァンス Celestial Harmonies2006全集 チェンバロ
レオンハルト DHM 1984 s1,s3 チェンバロ
シュタイアー Teldec 1997 s2,3 チェンバロ
ローレンスキングDHM 1999 p2 バロックハープ
ジョフリー Skarbo 不明 partita集マリンバ
フランコ Quindecim2003 選曲集 リコーダー
グランテ Music&Arts不明 s1,2,p1 ピアノ(Godowsky編)
ナナサコフ Nanasawa 2000 s1,2,p1 ピアノ(Godowsky編)
フェイスアイコンについては「フェイスアイコン」を,評価点については「演奏・録音 評価基準表」をご参照下さい。
「収録曲」は所有しているCDの内容を示しています。"s"はソナタ,"p"はパルティータを示しています。
<未記入リスト>
  • フレデリック・ペラシー(Frédéric Pélassy) (BNL 2006) (全集)
  • ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng) (Radio Servis 1968) (p3)
  • ナタン・ミルシテイン(Nathan Milstein) (Orfeo 1963) (s1)
  • イツァーク・パールマン(Itzhak Perlman) (Christopher Nupen) (p2,3) (*DVD)
  • [番外] Haroutune Bedelian (Centaur 2006) (全集) (*シューマン編曲版ピアノ伴奏付き)
  • [番外] マータン・シャリフール(Martin Chalifour) (Yarlung Records 2008) (p1) (*シューマン編曲版ピアノ伴奏付き)
  • [番外] スコット・スレイピン(Scott Slapin) (Eroica 2006) (全集) (*ヴィオラ)
  • [番外] フレデリック・チャールトン(Frederick Charlton) (自主制作?) (選曲集) (*コントラバス)
  • [番外] 山下和仁 (BMG 2004) (全集) (*ギター)
  • [番外] ティモ・コルホネン(Timo Korhonen) (Ondine 2007) (ソナタ集) (*ギター)
  • [番外] トモ・イワクラ(Tomo Iwakura) (p2,s3) (*ギター)
  • [番外] ホセ・ミゲル・モレーノ(Jose Miguel Moreno) (Glossa 1998) (s1,p2) (*リュート)
  • [番外] 佐藤豊彦 (Philips 1983) (s1,p3) (*リュート)
  • [番外] コンスタンティン・シェルバコフ(Konstantin Sherbakov) (Marco Polo 1996) (s1,2,p1) (*ピアノ(Godowsky編))
  • [番外] グスタフ・レオンハルト(Gustav Leonhardt) (DHM 1975,84) (s1,3,p1,2,3) (*チェンバロ)
  • [番外] ジャン・ジョフリー(Jean Geoffroy) (Skarbo 2006,07) (ソナタ集) (*マリンバ)
<未所有リスト>(※入手の目処が立たないもの)
  • ミカエル・ゴルトシュタイン(Michael Goldstein) (MITRA CD16239) (パルティータ集) (#)
  • マイケル・レビン(Michael Rabin) (EMI 1955) (ソナタ第三番) (#)
  • ウォルフガング・シュナイダーハン(Wolfgang Schneiderhan) (DG 1955) (パルティータ第二番) (#)
  • ワディム・レーピン(Vadim Repin) (EMI 1990) (s2) (#)
  • デネス・ジーグモンディ(Denes Zsigmondy) (Junaeau Bach Society 1995) (全集) (#)
  • ロバート・アッチソン(Robert Atchison) (全集)
  • ユーディ・メニューイン(Yehudi Menuhin) (フンガロトン 1956?) (s3,p3) (*LP) (#)
  • カタリーナ・ヤムサ=ペソネン (Jubal Production JCD34) (s1,3,p2)
  • ティボール・ヴァルガ(Tibor Varga) (p2)
<未所有リスト:復刻待ちアナログ盤>(※全集のみ)(※情報は不正確かもしれません...)
  • アレクサンダー・シュナイダー(Alexander Schneider) (Mercury 1949) (全集) (#)
  • ネル・ゴトコフスキー(Nell Gotkovsky) (RCA 1978-80 国内盤RCL-8363/輸入盤RL 37406) (全集) (#)
  • レジ・パスキエ(Régis Pasquier)(仏harmonia mundi HM 1085/87 1981) (全集) (#)
  • ジャック・デュモン(Jacques Dumont) (コロンビア OS5109〜111) (全集) (#)
  • デネス・コヴァーチュ(Denes Kovacs) (Hungaroton SLDX-12033/35) (全集)
  • ブロニスラフ・ギンペル(Bronislav Gimpel) (米Dover) (全集)
  • ヴォルフガンク・マルシュナー (Christphorus 1972,3 SCK70335) (全集)
  • ロルフ・シュレーダー (Columbia SL-189) (全集) (*湾曲弓)
  • ハイマン・ブレス(Hayman Bress) (米Mace) (全集)
  • ジャン・シャンペール (仏Vega) (全集?)
  • リュシク(Andrej Lutschg) (TUDOR 73009/10/11 1975) (全集)
※ (#)印はご厚意で聴かせていただくことが出来たもの(数の上では所有盤扱いをさせていただいています)

CD感想


和波孝禧(Wanami Takayoshi)

レーベル LiveNotes
収録曲 全集
録音データ 2001年4月13-14日,6月15-16日 三重県総合文化センター大ホール
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 WWCC-7689〜90 (P)2011 Nami Records (国内盤)
備考 参考url: 公式Webサイト

演奏は厳しいのですが音楽は温かさに満ちています。 あまり技術的にキレが良くないところがときどき気にはなりますが, この人柄がにじみ出たようなヒューマンな音楽に思わず聴き入ってしまいます。

和波さんは2000年から2006年頃までバロックヴァイオリンとバロック弓でバッハに取り組んでおられたということですが, 再びモダン楽器に戻り,バロックヴァイオリンでの経験を活かしてこのバッハ演奏を組み立てられたとのことです。 私にはどのようにそれがこの演奏に反映されているのかはよくわかりませんでしたが, 何度も聴いているとそういったことを超えた音楽の力を感じるようになってきました。

この演奏を聴いていると,「音楽とどう向き合っているか?」と問われている気分になります。 レコード芸術誌2012年2月号のこのディスクの記事でシゲティの演奏との共通点について触れられていましたが, 私は上記のような意味でシゲティの演奏を思い浮かべていました。 この演奏をどう思うかは聴き手の姿勢次第という気がします。

録音:

ホールの響きが少し多めに取り入れられていますが, 楽器音が分離良く明瞭に録られていて細かいニュアンスまで聴き取ることが出来ます。 音色も自然です。 残響が取り入れられていてもこれならまあ納得できます。

(記2012/02/12)


ジョセフ・リン(Joseph Lin 林 以信)

レーベル fine NF
収録曲 全曲
録音データ (a) 2005年1月25-28日 魚沼市小出郷文化会館(新潟県)
(b) 2008年2月8-10日 すみだトリフォニーホール(東京)
(c) 2009年6月1-3日 所沢市民文化センター ミューズアークホール(埼玉)
使用楽器 記載なし
所有盤 (a) NF63001 (P)(C)2005 ソナタ第2番,パルティータ第2番
(b) NF53002 (P)(C)2007 パルティータ第1番,パルティータ第3番
(c) NF23003 (P)(C)2011 ソナタ第1番,ソナタ第3番
N&F Co., Ltd. Tokyo (国内盤)

深い色合い持たせながら決して嫌みにならないヴィブラートや, 連綿と美しい音を紡ぎ出していく吸い付くようなボウイングなど, その技術力の高さには感嘆します。 情に訴えるようにひたすら熱く高揚しながらも,一方で,流されることなく着実に音楽を組み上げていくしたたかさも感じます。 表現自体はどちらかといえばモダン楽器によるオーソドックスな路線上にありますが, 数多の演奏に埋もれない,光るものがあります。 モダン楽器の表現力の素晴らしさを改めて実感させてくれる秀演です。

なお,時折装飾音符が入ったり,曲の終わりを軽く編曲したり(ソナタ第二番アレグロ)していますが, 私には単に曲の流れを乱しているようにしか聴こえず,この点に関しては残念ながら消化し切れていない印象を受けます。 こういうところに走らずとも,自分の音楽を聴かせる十分な力量があると思うのですが。

録音:

(a)(b)(c)でそれぞれ収録会場が異なるために残響の質が少しずつ異なりますが,概ね違和感のない範囲で統一されています。 それぞれ残響を多めに取り入れた録音で,響きの減衰がスムーズで美しく心地よいものであり,残響の質はかなり良いと思います。 楽器音も伸びがあり,解像感が高く,オーディオ的にも優れていますが, 少し距離感があり,残響の被りがやや多めでその音色への影響を免れていません。 残響の許容できる方には優秀録音と言えるかもしれませんが,私としては,解像感があるとはいえ, 音色への影響,楽器音へのまとわりつきが許容し難いです。 もう少し直接音比率を高くして欲しかったと思います。 また,わずかながら空調ノイズのような「ゴーッ」というような低域のノイズが入っており,密閉型のヘッドホンでは少し鬱陶しく感じられます。

(a)の解説書では,録音に関して次のようなコメントが記載されています。

「ホールの自然なアンビエンスの中に定位する,演奏者の大きさと位置は,左右のスピーカーに対してまことに適切で, 録音側の意図的なアレンジやオーディオファイル受けしそうな,これ見よがしなHiFiテイストは一切感じられない。 これはfine NFの録音に一貫した特色だが,このディスクにはたぐい稀な透明感,ストレスのない音の伸びに加え, 普通演奏者にしか聴くことのできないと思える,奏法,運指が見えるかのような臨場感に圧倒される。」 - 解説書の澤田龍一氏(マランツ音質担当マネージャ)のコメントより

一部あてつけのような記述がありますが(^^);,「奏法,運指が見える」かどうかはともかく,この録音の特徴を的確に言い表していると思います。

P.S.

“Bach & Ysaÿe”という企画でイザイの無伴奏ヴァイオリンソナタとともに録音が進められ, バッハ無伴奏ヴァイオリン全曲が揃い完結しましたので,全集扱いに格上げしました。

ジョセフ・リン氏は台湾系アメリカ人。 2011年からはジュリアード音楽院で後進の指導にあたるとともに, なんとジュリアード弦楽四重奏団の第一ヴァイオリン奏者としても活躍しているとのことです(知りませんでした)。

(記2006/05/15) (a)を掲載
(追2009/09/11) (b)を追加
(追2012/01/07) (c)を追加,全集として再編


マリー・カンタグリル(Marie Cantagrill)

レーベル Art & Musique
収録曲 ソナタ第一番,パルティータ第一番,第二番,第三番
録音データ Recorded at the Saint-Serge Church, Angers, France
使用楽器 Riccardo Antoniazzi (モダン仕様)
所有盤 (a) Ref. AB1/1 (P)(C)2009 ABP Musique Classique Productions (輸入盤)
(b) Ref. AB1/2 (P)(C)2011 ABP Musique Classique Productions (輸入盤)
備考 参考url: 公式Webサイト

遅めのテンポでじっくりと演奏されています。 特にパルティータ第二番。 シャコンヌだけでほぼ18分,パルティータ第二番全体で約37分あります。 リピートは省略されていません。 特に大きな特徴を持っているわけではありませんが,真摯で丁寧な演奏が心を打ちます。 技術的にも全く不安のない演奏です。

録音:

教会での録音なので,残響はかなり取り込まれていますが,直接音も大切にされているため, これだけの残響の量の割にはまずまずかなと思います。 もちろん私の好きな録音の仕方ではありませんが。

(記2010/02/17)
(追2012/01/04) ※ディスク(b)追加(ソナタ第一番,パルティータ第一番を収録)


マヤ・ホムバーガー(Maya Homburger)

レーベル Maya Recordings
収録曲 全集
録音データ (a) 23-27 September, 2002,Propstei St. Gerold, Austria.
(b) 15-19 February, 2007 Stadtkirche Böblingen, Germany.
(c) 13-17 December, 2010 Propstei St. Gerold, Austria.
使用楽器 Antonio dalla Costa, Treviso 1740 (バロック仕様)
所有盤 (a) MCD0301 (P)(C)2003 Maya Recordings (輸入盤)
(b) MCD0802 (P)(C)2008 Maya Recordings (輸入盤)
(c) MCD1101 (P)(C)2011 Maya Recordings (輸入盤)
備考 参考url: Maya Recordings

バロック・ヴァイオリンによる演奏。 (a)ソナタ第1番・パルティータ第1番,(b)ソナタ第2番・パルティータ第2番,(c)ソナタ第3番・パルティータ第3番,の順に収録されています。

丁寧で柔らかな表情が印象に残る演奏です。 第1番はあまり感情の起伏がなくモノトーンの世界が広がります。 第2番はそれに比べやや感情が見え隠れして赤みが差し,音楽に奥行きが加わった印象です。 そして第3番はさらに明るさが加わってきます。

8年という年月をかけて全集として完結しましたが,全体の統一感を保ちつつ, 少しずつ音楽に深みを増していっていると思います。 どちらかといえば地味ですが,聴くほどに味わいが増してきます。

録音:

残響時間が長く,楽器音に大きく被っているため音色が大きく影響を受けていて私の好みではありませんが, 近めでしっかりと捉えているためぎりぎり許容範囲です。 収録時期が離れていますが,録音の質はほぼ揃っていて全集として違和感はありません。

(記2011/12/17) 3枚目追加に伴い再レビュー
(記2008/04/15) 2枚目追加に伴い再レビュー
(記2004/06/29)


CD image
演奏:
録音:

藤原浜雄(Hamao Fujiwara)

レーベル 東芝EMI
収録曲 全集
録音データ1985.6.5 イイノホール
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 PCDZ-1543/44 (P)1997 東芝EMI(株) (国内盤)
※1986年にLPとして発売されたものをCD化したもの

ライヴらしい気迫に満ちあふれた演奏です。 即興的な感じがほとんどなく,バッハの音楽に鋭く迫ろうとするような姿勢が感じられます。 全体的に速めのテンポで力強さがあり,また音色にも非常に張りがあって聴き応えがあります。 演奏上の傷はいろいろとありますが,そんなことが全く気にならないほどの好演だと思います。 基本的にリピートが省略されており,この点が非常に残念でなりません。

録音:

「至高のバッハ・リサイタルを完全収録したライヴ・アルバム!!」というだけあって,入場時の拍手から調弦まで収録されています。 ライヴ録音ながらかなり近接マイクで収録されているようで,残響が全くといって良いほど無く, 非常に鮮明に,かつ,生々しく収録されているところが素晴らしいです。 演奏者の芸術性が本当にストレートに伝わってきます。 ライヴ録音としてはこれ以上望むのは無理といっても過言ではないと思います。 オーディオ的な音質,バッグクラウンドノイズ,アナログテープの転写(?)など,オーディオクオリティでは今一歩という感じはしますが... 私の好みという点ではまさに理想に近い録音です。

P.S.

解説書によれば「当初は記録目的であったが内容が良かったのでレコード化した」とのことです。 製造が東芝EMIと書いてあるのですが,今ひとつ発売元がよくわかりませんし,一般の店頭で見かけたこともありません。 確かに内容が良いので,もう少し店頭に並んでも良いのではないかと思います。

(記2002/08/15)(追2002/10/01)(修正2011/08/15)


CD image
演奏:
録音:

デヴィッド・ジュリッツ(David Juritz)

レーベル NIMBUS ALLIANCE
収録曲 全集
録音データRecorded at Wyastone Concert Hall, Monmouth, 8, 9 October 2008, 23, 24, March 28, 29 May 2009
使用楽器 1746年製 G. B. Guadagnini (モダン仕様)
所有盤 NI 6142 (P)(C)2011 Wyastone Estate Ltd. (輸入盤) ※CD-R

オーソドックスなアプローチの演奏だと思います。 落ち着きがあり「動」よりも「静」のイメージであり,やや地味で印象が薄いものの, 技術的にも安定していて安心して聴くことが出来ます。

路上パフォーマンスをやる人なのでもっとくだけたバッハが聴けるかと密かに期待していたのですが, 真面目で至極真っ当でした。 もちろんこれはこれで良いのですが。

録音:

少し残響が多めですが,楽器音自体はしっかりと捉えられていますので,ニュアンスや質感がそれなりに伝わってきて印象は悪くありません。 とはいえ,響きが音色に影響を与えていますし明瞭感も損なっていますから,私としてはもっと残響を抑えてすっきりと抜けよく録って欲しかったと思います。

P.S.

デヴィッド・ジュリッツ氏は英国のヴァイオリニスト(南アフリカ,ケープタウン生まれとのこと)。 ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズのコンサートマスター。
2007年8月2日の編集日録で, 「路上パフォーマンスで寄付を募りながら世界各地を周っておられる」と紹介しました。 日本にはその年の9月に来られていました(2007年9月4日の編集日録)。 最近では今年の3月11日(東日本大震災の日!)に兵庫の芦屋でチャリティーコンサートを行われていたようです(→参考:ふぃお〜ら旅に出る)。

密かに路上パフォーマンスのライヴ録音を期待したのですが,普通の録音でした(^^;。

(記2011/05/28)


庄司紗矢香(Sayaka Shoji)

レーベル MIRARE
収録曲 ソナタ第1番,パルティータ第1番,第2番
録音データ 2010年8月 パリ,ランファン・ジェジュ教会
使用楽器 1729年製ストラディヴァリウス「レカミエ」(モダン仕様)
所有盤 MIR 128 (C)2010 mirare (輸入盤)
カップリング曲:レーガー/前奏曲とフーガ ロ短調作品117-1, ト短調作品117-2,シャコンヌト短調作品117-4

強い意志を持った堂々とした演奏。 しかし繊細さも持ち合わせていて,まったく隙がありません。 あらゆる面で飛び抜けています。 この若さにしてすでに巨匠的風格を備えていることに驚きます。 これが全曲録音でないことが残念でなりません。

録音:

残響が多く,まとわりつきがかなり鬱陶しいですし,音色への影響もかなりあります。 楽器音はしっかりと捉えられているのでなんとか許容範囲ですが, もう少しヌケよくすっきりと,透明感のある音で録ってほしいところです。 残響が気にならない方にとっては優秀録音かもしれません。

P.S.

海外のマイナーレーベルですが,日本語の解説が付いているのは有り難いです。 (輸入盤とはいえ日本人演奏家のディスクなのですから,これくらいの配慮は当たり前と思うのですが...)

(記2011/04/24)


ルース・ウォーターマン(Ruth Waterman)

レーベル Meridian
収録曲 全集
録音データ 2000-2003年 ドイツ
使用楽器 記載なし(モダン仕様)
所有盤 CDE 84595/6-2 (P)(C)2010 Meridian Records (輸入盤)

緩急強弱が結構付けられている気持ちのこもった演奏ですが, 自然な呼吸感の中で付けられているので嫌みもなくむしろ上品な印象を受けます。 緩徐楽章では編曲に近いくらいの装飾が結構あって,これはちょっと馴染めないところはありますが, 技術的にもしっかりしていて全体としては良い印象です。

録音:

残響が付帯音として少し気になるものの,直接音の方がわずかに優勢のため, 楽器の質感,ニュアンスも感じられてどちらかといえば良い印象です。 若干高域の伸びに欠けることと録音レベルが低めであることが惜しいところです。

P.S.

公式Webサイトがあります。

(記2011/03/28)


コリヤ・ブラッハー(Kolja Blacher)

レーベル Phil. harmonie
収録曲 パルティータ第二番,第三番
録音データ Recorded at Studio P4/Berlin, November 25/26 and December 9, 2009
使用楽器 1730年製ストラディヴァリウス「トリトン」/キミコ・パワーズ氏より貸 (モダン仕様)
所有盤 PHIL. 06007 (P)(C)2010 Forderverein Klassikwerkstatt (輸入盤)

これはちょっと変わった企画のディスクです。 バッハと同時代の詩人の朗読も収められているのですが(朗読はフランク・アルノルト), これが曲の途中に突然割り込んできたり(例えば二部形式AABBのAとAの間,AとBの間に朗読が割り込んでくる), 演奏に朗読を重ねてきたりするのです。 従って,演奏だけを抜き出して聴くということが出来ません(幸いにもシャコンヌだけは詩の割り込みはありませんでしたが)。 意図があってのことと思いますが,ドイツ語が全くわからない上に, バッハの音楽だけを楽しみたい身にはちょっと迷惑な企画です。

演奏自体はオーソドックスでキリッと引き締まった大変立派なもので聴き応えがあります。 それだけにこの企画は残念でなりません。 いつか全曲を普通に録音してくれることを期待します。

録音:

スタジオで収録されているようで,多少の響きを伴っているものの明瞭感があり,音色もまずまず自然で良好な録音です。

P.S.

ブラッハー氏は元ベルリン・フィルのコンサートマスターとのことです。

(記2011/02/20)


ルース・パルマー(Ruth Palmer)

レーベル Nimbus Alliance
収録曲 パルティータ第二番
録音データ Recorded at the Temple Church, London on 2nd & 3rd February, and 29th & 30th March 2008
使用楽器 Hubay Stradivari 1726 (モダン仕様)
所有盤 NI 6133 (P)(C)2010 Ruth Palmer (輸入盤)
カップリング曲:Bartok/Sonata for solo violin, Sz.117

どちらかといえばオーソドックスです。 で,なおかつ絶唱型というか一弓入魂というか(こんな言葉はありませんが), ものすごく気合いの入った演奏です。 ちょっと力が入りすぎて音がつぶれる寸前のところも多々ありますが, 特にシャコンヌの中間部の高揚感はこの演奏の白眉で一聴の価値ありです。 技術的にもしっかりしています。

録音:

比較的近距離で捉えているのですが,それにも増して残響が多いので,かなり音色に影響がでています。 とはいえ直接音もそれなりにあるため質感も失われずに聴こえてきます。 そういうこともあって残響量の割には印象は悪くないのですが,音色のバランスはかなり崩れているので良いとも言えません。

P.S.

公式Webサイトがあります。 わかりにくいのですがCD-Rのようです。

(記2011/01/17)


シグリッド・クルマン(Sigrid Kuulmann)

レーベル Estonian Record Productions
収録曲 パルティータ第二番
録音データ Recorded in December 2006 in the studio of Estonian Broadcasting Corporation
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 ERP 3109 (C)2010 Sigrid Kuulmann (輸入盤)
カップリング曲:Paganini/“Nel cor più non mi sento” Op.38 MS44, Ysaÿe/Sonata in D minor Op.27-3 “Ballade”, Sonata in E major Op.27-6

良い意味で教科書的。 いろいろな可能性に挑戦する前にまず誠実にバッハの音楽を表現してみようというような姿勢に感じられて, そこが好印象につながっています。 技術的にも優れていてとても立派な演奏だと思います。

録音:

少し残響は感じられるものの,かなり鮮明に,高解像に録っています。 音色も問題なし,楽器の質感も良く捉えています。 きついと感じられる方もおられるかもしれませんが,私にはちょうど良いです。 オーディオクオリティもまずまず良好です。

P.S.

クルマン氏はエストニアのヴァイオリニスト。 なお,本CDは秋山鉄さんの「シャコンヌ狂時代」より教えていただきました。 いつも有り難うございます。

(記2010/12/30)


フリフ・スィグリョンスドーティル(Hlíf Sigurjóonsdóttir)

レーベル 自主制作
収録曲 全集
録音データ Recorded in the Church of Reykholt, Borgarfjorour, Iceland, October 2007(BWV1001,1003,1005), September 2002(BWV1002), June 2001(BWV1004), December 2000(BWV1006)
使用楽器 Christophe Landon(Sonatas), G. Sgarabotto(Partitas) (モダン仕様)
所有盤 HBS03 (輸入盤)

正直なところ,技術的には相当苦しいと言わざるを得ません。 特にソナタ。 フーガなど止まってしまいそうですごくスリリングです(^^;。 一方,パルティータ第2番だけは他の曲に比べるとかなり出来が良いです。 この出来を考えると他の曲は明らかに弾き込み不足でしょう。 とはいえ,それなりに味わいがあって楽しめました。

録音:

すごい残響です。 しかし,楽器音の輪郭はそれなりに感じられ,質感もそこそこ伝わってくるので, 残響量の割にはマシかなと思います。 もちろん私の好みではありませんが。

P.S.

アイスランドのヴァイオリニスト。 公式Webサイトがあります。 ディスクはこのサイトから購入しました。

(記2010/11/19)


高橋和歌(Waka Takahashi)

レーベル vivid
収録曲 ソナタ第一番,シャコンヌ
録音データ 秋川きららホール Nov. 10-11, 2009
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 EGPF-005 (P)2010 VIVID productions (国内盤)

厳しくバッハに接している演奏です。 緩急や強弱も最小限。 そのひたむきさが心に響いてきます。 技術的にも安定していて安心して音楽に浸ることが出来ます。

録音:

オーディオクオリティという面ではかなり良いと思います。 きめが細かくなめらかで,情報量の多さも特筆できます。 しかし,明らかに残響過多で間接音成分が支配的, 残響のまとわりつきが鬱陶しく,音色はくすみ(そして変にキンキンしている), 微妙なニュアンスや楽器の肌触り,質感はすっかり失われしまっています。 情報量が多いといっても音楽的情報が失われた残響成分で占有されているに過ぎません。 せっかくのオーディオクオリティが泣いています。 残念でなりません。

(記2010/08/19)


ウェルナー・ヒンク(Werner Hink)

レーベル カメラータ・トウキョウ
収録曲 全集
録音データ 2000年10月29,30日 草津音楽の森国際コンサートホール(群馬)(BWV1001,1004)
2002年2月17,18日 スタジオ・バウムガルテン(ウィーン)(BWV1006)
2004年5月30,31日 スタジオ・バウムガルテン(ウィーン)(BWV1002)
2004年11月16-18日 三重県総合文化センター(三重)(BWV1003,1005)
使用楽器 ストラディヴァリウス“Ex Hammerle” (モダン仕様)
所有盤 CMCD-20101-2 (P)2000,2002,2004 (C)2010 CAMERATA TOKYO (輸入盤)

どことなく温かさ・優しさを感じる味わい深い演奏ですが, 一方で,時代に流されることなく自分の築いてきたスタイルを頑固に守り通そうとする意志の強さも感じます。 従って,やっぱりちょっと古風というか旧世代的な印象を受けるのですが, 伝統の重みとでも言いましょうか,それが良いところでもあると思えます。 技術的には少し衰えを感じてしまうのが少し残念です(というほどのご年齢でもないとは思いつつ...)。

録音:

3カ所で4回に分けて録音されています。 確かに少しずつ音が違うのですが,意識しなければ全く意識されないほどの差しかなく, これだけ統一感のある録音になっていることに驚きます。

少し残響が多めで付帯音が鬱陶しく,またヌケの悪さにつながっているのが不満ですが, 楽器音自体は比較的しっかりと捉えられているため,質感もそこそこ感じられるので, まあ許容範囲かなと思います。

P.S.

ウェルナー・ヒンク氏はウィーン・フィルのコンサートマスターとして1974年から2008年という実に長い期間にわたって活躍されていたということです。

(記2010/07/09)


クリストフ・バラティ(Kristóf Baráti)

レーベル Berlin Classics
収録曲 全集
録音データ 07-12.09.2009, Berlin, Siemens-Villa
使用楽器 1703 Stradivarius “Lady Harmsworth” (モダン仕様)
所有盤 0016732BC (P)(C)2010 Edel Germany GmbH (輸入盤)
備考 参考url: 公式Webサイト

バラティ氏は2002年にも全集を録音していますので,これが2回目の全集となります。

すごくキレがよく推進力があります。 そして楽器の鳴りが素晴らしい。 それでいて全く淀みがなくサラッと清々しく進行していくあたりが今風という感じがします。 テクニックも万全で和音などもすごく美しく響きます。 音色は刺々しさと紙一重で豊潤さはあまりないのでこのあたりで好みが分かれるかもしれません。 ピリオドに傾かず,あくまでモダン奏法の中で新しい表現を追い求めようとしているところに好感を持ちます。 二部形式の後半のリピートのほとんどが省略されていて,それだけが惜しまれます(なんで!)。

録音:

すこし残響が多めで楽器音への被りも感じられますが,直接音が適切な距離感で捉えられているため,まずまず良好です。 もちろん私としては残響の被りによる音色のくすみが気に入りませんが。

(記2010/06/23)


セルゲイ・ハチャトゥリアン(Sergey Khachatryan)

レーベル naïve
収録曲 全集
録音データ Recorded in December 2008 and January 2009 at L'heure bleue, Salle de musique.
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 V 5181 (P)(C)2010 Naïve (輸入盤)
備考 参考url: 公式Webサイト

ビブラートをしっかりとかけて感情を込めてしっかり弾く,どちらかといえば旧来のスタイルの延長線上にあると思います。 それにしても技術的にも申し分ありませんし,そのスケールの大きさ,リピートでの微妙な表情の変化など, 聴きどころのたくさんある立派な演奏です。

録音:

少し残響が取り入れられていますが,直接音主体で微妙なニュアンスもきちんと伝わってくるので, まずまず良好と言えます。 とはいえやはり残響による音色のわずかなくすみが気になるので,文句なしとは言えませんが。

(記2010/06/07)


リザ・フェルシュトマン(Liza Ferschtman)

レーベル Challenge Classics
収録曲 ソナタ第一番,パルティータ第三番
録音データ Galaxy Studios, Mol, Belgium, July 2009
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 CC72351 (P)(C)2010 Challenge Classics (輸入盤)
カップリング曲:イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第一番,第二番
備考 参考url: 公式Webサイト

この奏者は恐ろしくキレます(「ブチ切れる」という意味ではありません(^^; 念のため)。 演奏はいたってスマートでクール,表現力が豊かでかつ透明感ある音色が魅力的です。 しかし,どこか孤独で憂いがあり,またどことなく冷たい肌触りも感じられます。 旧来のモダン流儀でもなく,ピリオドに傾くこともなく(少なくとも私はそう感じました), 洗練性を追求したこれぞモダンらしい演奏! うれしくなりました。 全集のリリースを期待します!

録音:

わずかに響きはありますが,直接音が主体で明瞭感が高くクリアでヌケも良いので,ほぼ文句ないレベルの仕上がりと言えます。 暗騒音,その他のノイズもほとんど感じられず,静寂の中で演奏されているような,ある意味現実感の希薄な不思議な感じのする録音ですが, もちろん悪い印象ではありません。

(記2010/05/25)


マリー=アニック・ニコラ(Marie-Annick Nicolas)

レーベル Alphee
収録曲 全集
録音データ 記載なし
使用楽器 Andrea Guarnerius (Cremona 1673) (モダン仕様)
所有盤 ALPHEE 0041213 (P)(C)2000 Asped production (輸入盤)
備考 参考url: 公式Webサイト

これはいい!と思わず心の中で叫んでしまいました。 ややかさついた音色ではありますが,伸びやかで透明感ある響き(残響ではありません,念のため)が本当に美しいです。 正統的で派手さはありませんが,緩急,抑揚,ヴィブラートなど絶妙にコントロールされていて,力強さの中にも繊細さ,やさしさが感じられます。 技術的にも安定感があって,安心して音楽に没入できました。

録音:

ふわっと広がる美しい響きが印象的ですが,音色への影響が感じられ,聴いていて苛々させられます。 響きの割には解像感は良好ですが,やはり残響成分がヌケの悪さにつながっていると思います。 演奏が素晴らしいだけに残念でなりません。 (おそらく一般的な評価は「優〜良」だと思いますが。)

P.S.

マリー=アニック・ニコラは,1956年フランス生まれ。 1974年の第5回チャイコフスキーコンクールで3位入賞,1976年のエリザベート王妃国際音楽コンクール7位入賞など,いくつかのコンクールで入賞した実績があります。

(記2003/03/25)

複数名の方から「良かった」というコメントをいただきました(有り難うございます)。 この演奏は,私が紹介してきたマイナー盤の中で最も評判の良いものの一つに挙げられます。

演奏自体は旧世代のモダン流という感じで,昨今の洗練された, あるいはピリオド奏法を意識した演奏から比べるとやっぱり古いかなと思いますが, そういったことが些細なことに思えるくらい音楽的に充実し魅力に溢れているところが受けているのかなと思います。

なお,全てではありませんが,二部形式の曲の後半は基本的に省略されています。 この点だけが残念なところです(あと録音が私の好みとは少し違う点も)。

このディスク,入手性があまり良くないのが残念なのですが,amazon.frなどにエントリされているので入手困難ではありません。 私が入手した2003年頃は国内での取扱いが見つからず,amazonにもなかったので, alapage.comでフランス語と格闘しながら数時間かけてオーダーした覚えがあります。 一時期hmv.co.jpにも出ていたと記憶しているのですが,今は取り扱っていないようです。

(記2010/05/13)


イザベル・ファウスト(Isabelle Faust)

レーベル harmonia mundi
収録曲 ソナタ第三番,パルティータ第二番,第三番
録音データ 2009年9月1-4日 ベルリン,テルデックス・スタジオ
使用楽器 'Sleeping Beauty' Stradivarius of 1704 (モダン仕様)
所有盤 HMC 902059 (C)2010 harmonia mundi (輸入盤)

意外に普通で地味だなぁ...というのが第一印象でした。 装飾音を上手く取り入れたりしているものの,突出した特徴はありません。 しかし,音色の美しさ,キレの良さ,推進感,どれもが高いレベルで均整の取れた素晴らしい演奏であることが次第にわかってきました。 個性で楽しませるタイプのアプローチではなく,音楽そのものの魅力で聴き手を惹きつける,これは本物だと思います。 特に感心したのが音程の良さで重音の美しい響きには聴き惚れてしまいます。

パルティータ第三番は装飾音が多めでリズムを崩し気味にして少しくだけた感じに仕上げています。 Gavotte en Rondeauでは最後に楽譜にないリピートをしたり,普通省略されるMenuet Iに戻ったときのリピートがされてたりします。

録音:

少し残響が多めであり,私の好みとは少し違いますが,楽器音をしっかりと捉え,ニュアンスも十分伝わってくるため, かなり印象は良いです。 こういう録音なら私もまずまず納得できます。

P.S.

なんで後半の三曲だけなんでしょう? 早く全集を完成させて欲しいです。

(記2010/04/29)



オスカー・シュムスキー(Oscar Shumsky)

レーベル Nimbus
収録曲 全集
録音データ 記載なし(1975年だと思われる)
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 NI 2557 Original Release (C)(P)1979 Amreco, Inc. This release (P)(C)2010 Wyastone Estate Limited (輸入盤)
参考url: WyastoneAmazon.co.jp

ASV盤と同じ音源です。 感想についてはASV盤をご参照下さい。

収録曲順もASV盤と同じですが,トラックは一般的な1曲単位の分割に変更されています。 ASV盤とデータレベルの比較も行いましたが,いくつかの曲で微小な差があったものの, ほとんどの曲で完全一致しました。 基本的にASV盤のディジタルデータが引き継がれ, 再マスタリングや編集などはされていないと考えて良いと思います(すなわち音質は同等です)。

なお,もしかしたらCD-Rかもしれないという話も聞いていたのですが,私が盤面を見る限りはプレスCDのようです。(→訂正します。下記参照下さい)

(記2010/04/05)

NIMBUS盤をご購入された読者の方から,これはCD-Rであるというご指摘を受けました。 その方の話では内周部にATC700T-1という刻印があり,Sony製のCD-Rとのことでした。 私のものはT80FD-D0034という刻印があり,同じものではないようですが,恐らくCD-Rでしょう。

信号面の色やレーベル面の印刷状態からプレスCDに違いないと判断したのですが,間違いだったようです(でも今もって自信がありません...)。 誤報,申し訳ございません。 訂正いたします。

(記2010/04/18)

オスカー・シュムスキー(Oscar Shumsky)

レーベル ASV
収録曲 全集
録音データ 記載なし(1975年だと思われる)
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 CD DCD 454 (C)(P)1983 Academy Sound and Vision Ltd. (輸入盤)
※“A Musical Heritage Society Recording”とあります。
参考url: Amazon.co.jp

まさに入魂の演奏! 武骨で不器用なほどにストレート,かつ,全編に渡って極めてテンションが高く圧倒されます。 ただただひたすら無心に演奏に打ち込んでいる姿が目に浮かんできます。 決して個性の強い演奏ではありませんし(むしろ地味),洗練されているわけでもなく, その気迫が時に息苦しささえ感じさせることもありますが, 無垢の魅力に溢れており,素直に「すごい!」と言える好演だと思います。

録音:

やや残響感を伴っているものの,明瞭感,解像感はそこそこあり,この点では好ましいです。 ただ,音色はかなり硬質でギスギスして刺激的,少々聴き疲れします。 また,高域の伸び感が今ひとつで,スカッとしません(こもった感じではありませんが)。 1975年の録音にこのような文句を付けるのもどうかとは思いましたが,やっぱり1975年の録音にしてはちょっと古臭い音質に感じます。 演奏が良いだけに少々残念です。

P.S.

このCD,トラック分割が変です。 ソナタ第二番,第三番で第一楽章と第二楽章まとめて1トラックというのはまあいいとして, パルティータ第一番は2トラック(Allemande+Courante, Sarabande+Tempo di Bourree), 第二番は3トラック(Allemande+Courante, Sarabande+Gigue, Chaconne), 第三番は4トラック(Preludio, Loure+Gavotte en Rondeau, Menuet, Bourree+Gigue)しかなく, それぞれのトラックに対して,"1st Movement", "2nd Movement"などと付けられています。 聴き通す場合には問題ありませんが,ちょっと扱いにくいです。

シュムスキー盤再発売の可能性について
このシュムスキー盤,定評のある盤にもかかわらず入手困難ということで,K.N.さんが追跡調査して下さいました(2002年秋頃)。 まずASVですが,元々の権利はアメリカのMusical Heritage Societyが保有しており, ASVはそこから一時的に商品化権利を得て商品化し,現在は契約切れで再発売の権利も所有していないということでした。 返信して下さったASVの担当者も「素晴らしい演奏だったので何とかしたいが...申し訳ない」という話だったそうです。

そしてこのMusical Heritage Societyですが, 復刻を熱望するリクエストに対するここからの返信は「この録音はもう入手不能です」という素っ気ないものだったとのことです。 再度「歴史的な名演奏をぜひ復刻して欲しい」というリクエストを送ったそうですが,残念ながら返信なしとのことでした。 (注:上記のリンク先アドレスは間違っていないと思うのですが,なぜかサイトにつながりません)

Musical Heritage Societyにその気がないなら,再発売は望み薄だと思います。 これほどの演奏がこのまま埋もれてしまうのは何とも残念なことです。 これが何かの間違いであり,ある日どこかのレーベルからひょっこりと出てきて欲しいものです(復刻レーベルのがんばりに期待!)。

(記2003/10/02)

Nimbusから再発盤が出ました! Nimbus盤をご参照下さい。

(記2010/04/05)


ジャック・デュモン(Jacques Dumont)

レーベル COLUMBIA
収録曲 全集
録音データ 不明
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 COLUMBIA Japan OB-7027/9 (国内盤) (※LP)

正攻法の真面目な演奏。 ちょっと時代を感じさせる旧世代の演奏スタイルかなと思います。 推進力や躍動感はありませんが,節度ある丹念な演奏に心惹かれます。

録音:

少し残響が被っていますが,直接音もある程度確保されているので印象は悪くありません。 ただ,曲の途中で曇ったり音像ががらっと変化するところがあったりするのですが, マスターの問題なのか,盤の状態の問題なのか,再生機の問題なのか,ちょっと判断がつかないので, この点に関しては保留としたいと思います。

P.S.

ある方のご厚意でこの貴重な演奏を聴かせていただくことが出来ました。 有り難うございました。 日本コロムビアの大バッハ全集に収められていたものということです。 CD復刻を期待します。

(記2010/03/15)


ペッテリ・イーヴォネン(Petteri Iivonen)

レーベル Yarlung Records
収録曲 パルティータ第二番
録音データ 不明
使用楽器 Ferdinandus Gagliano (1767年製) (モダン仕様)
所有盤 05787 (C)2009 Yarlung Records (輸入盤) (※MP3ダウンロード購入)

小細工のない素直でストレートな表現に好感を持ちます。 キリッと引き締まった演奏なのですが,ちょっとあっさりしていて訴えかけがちょっと弱いかなと。 良い演奏だとは思うのですが,あまり印象に残りませんでした。

録音:

どのような環境下で録音されたのかわかりませんが,残響がほとんどなく,明瞭感のとてもよいすっきりした録音です。 音色もまずまず自然です。 やや楽器音のとらえ方が弱く,中低域が希薄で,ボディ感の乏しい,やや質感を失った音に感じられるのが少し残念です。 とはいえ,それでもこの録音はなかなかいいです。

P.S.

フィンランドのヴァイオリニストのようです。 名前の日本語表記は全く自信がありません。

今回はCD Babyからこの曲だけをダウンロード購入しました。 Windowsのエクスプローラのプロパティで見ると256kbps,iTunesにインポートしてプロパティを見ると180kbps(VBR)と出ていました。 ファイルサイズと時間から計算すると約180kbpsになります。 エンコード歪みはほとんど気になりませんでしたが,MP3ならせめて256kbpsか320kbpsの固定ビットレートにして欲しかったところです。 Linn Recordsからもダウンロード購入できるようで, こちらはクオリティを選べます(こちらにすれば良かった...)。

(記2010/02/19)


鷲見恵理子(Eriko Sumi)

レーベル Musicamici
収録曲 パルティータ第二番
録音データ 2006年11月30日 紀尾井ホール(ライヴ収録)
使用楽器 1686年製 アンドレア・グァルネリウス (モダン仕様)
所有盤 ES-1002 (P)(C)2009 Office Amici (国内盤)
タイトル:鷲見恵理子 紀尾井リサイタル
併録曲 イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第二番 Op.27-2
パガニーニ:奇想曲 第22番,第3番,第13番,第11番,第14番
クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリス

ライヴ収録。 Gigueまではエンジンがかかっていないというか,気持ちが乗りきっていないというか,少しぎこちない印象です。 さらにAllemande, Courante, Gigueは前半のリピートまで省略されているので,あれあれっていう間に過ぎ去っていくのもなんだか物足りません。 Ciacconaの中頃あたりからようやく気合いの入った迫真の音楽が展開していきます。 しかし,ライヴ収録とはいえ,メディアを通して鑑賞するにはいろんな面で不満が残ります。 生で聴いていたらきっと違う印象を受けただろうと思うのですが。

録音:

少しマイクが遠目で,明らかに間接音比率が高く,明瞭感が良くありませんし, 何より音色がくすみ,楽器の質感も十分に捉えられていません。 残響時間はそれほど長くなく,響きがまとわりつく鬱陶しさはあまりありませんが。

(記2010/02/12)


マリナ・シシュ(Marina Chiche)

レーベル Intrada
収録曲 ソナタ第一番,パルティータ第二番
録音データ 2006年11月10-12日 IRCAM(フランス音響音楽研究所)
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 INTRA034 (P)(C)2008 Intrada (輸入盤)
タイトル(邦題):「バッハを読んで 〜バッハから近代へ,そして...」
併録曲 イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第四番 Op.27-4
ベッファ:バッハを読んで...無伴奏ヴァイオリンのための
プロコフィエフ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Op.115

とても丁寧できっちりしていて品があります。 高揚するところでも決して踏み外すことがなく,洗練された美しさを保っています。 技術力の高さ,安定感も光ります。 全曲聴いてみたいものです。

なお,パルティータ第二番では,Allemande, Courante, Gigueの後半のリピートが省略されていました。

録音:

残響を伴っているものの,楽器の直接音が主体なので,明瞭感に優れ,ヌケの良さ,音色の自然さ, ニュアンスの聴き取りやすさなど,かなり良いと言えます。 このような録音であれば,響きが必要と思っている方もまずまず満足できるでしょうし, 響きに楽器音を邪魔されたくない私もそれなりに納得がいきますので, そういう意味でちょうど良いバランスの録音と言えそうです。

(記2010/01/21)


ヴァレリー・オイストラフ(Valery Oistrakh)

レーベル MUSICOM
収録曲 全集
録音データ II Bagno, Steinfurt (Germany) (※録音年月日記載なし)
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 CD 020717 (P)MUSICOM (輸入盤)
備考 参考url: 公式WebサイトMUSICOM

かたくなに自己のスタイルにこだわり,真摯に愚直にこの楽曲に取り組み,完成させてきた,そんな風に聴こえます。 実際のところ,よく練られ,丁寧に演奏され,非常に良く仕上がっています。 今風の颯爽とした演奏でもなく,何かに秀でた尖った演奏でもなく,どちらかといえば不器用で武骨で古くさい,そんな頑固な演奏ですが, ここにはひたむきに音楽と向き合う氏の志がしっかりと刻まれているように感じます。 私の好きなタイプの演奏ではありませんが,なんだかジーンとしてきます。

録音:

残響が少し多めに取り込まれており,音色に影響しているものの,それでも直接音がそれなりの比率で入っているためにそこそこの明瞭感が確保されており, 何とかぎりぎりプラスの印象になっています。

P.S.

ヴァレリー・オイストラフ氏は,イーゴリ・オイストラフ氏の息子,すなわちあのダヴィド・オイストラフ氏の孫ということです。 現在,ベルギーのブリュッセル王立音楽院(?)の教授。

なお,入手に関しては拙ブログ「好録音探求」にて触れていますので,一度そちらも覗いてみてください。

(記2009/12/07)


ギドン・クレーメル(Gidon Kremer)

レーベル Euro Arts
収録曲 パルティータ集
録音データ Recorded at the Pfarrkirche St. Nikolaus, Lockenhaus, September 2001
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 Euro Arts 2055638 (C)2007 (輸入盤) (*DVD)

明記されていませんが,2001年9月に録音された2回目の全集のパルティータと同演奏と思われます。 私が聴く限り違いがわかりませんでした。

DVDということで,映像は聖ニコラウス教会の祭壇?の前で弾く氏の姿ですが... バッハを弾く姿を見られること自体はうれしいのですが,あまり見ていて楽しくないというのが正直なところです。 弾いている姿はあまり格好良くないし(ごめんなさい),ライティングもなんとなく不自然, 総金箔張り?の祭壇の背景は映像として煩く,また趣味が良くないです。 CDを聴きながらいろいろと想像を巡らせる方が良いかと。

しかし...久しぶりに聴いて,その表現力のすごさに改めて感嘆するものの,氏の強烈な個性にはやっぱりついて行けないなと少し淋しい気分になりました。

(記2009/11/30)


小林倫子(Michiko Kobayashi)

レーベル MPS Classics
収録曲 パルティータ第二番
録音データ 2006年9月30日 港区立高輪区民ホール
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 品番なし MPS企画 (国内盤)
タイトル:Michiko Kobayashi Solo Recital
カップリング曲:バッハ/パルティータ第三番よりプレリュード,ミルシュテイン/パガニーニアーナ変奏曲,エルンスト/夏の名残のバラ,イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第三番「バラード」, 竹内邦光/無伴奏ヴァイオリンのための「落梅集」,バッハ/ソナタ第二番よりアンダンテ
備考 参考url: 公式Webサイト

ぜひ生で聴いてみたい,と思ってしまう,ライヴらしい気持ちの乗った熱演。 演奏上の傷が散見されるものの,この演奏の価値を下げるものではありません。 リピートが全て省略されてしまっているのが非常に残念です。

録音:

客席に設置されたマイクで録音したのではないか,と思えるような全く明瞭感のない冴えない音です。 客がリニアPCMレコーダでこっそりと録音したレベルとそう変わりないという印象です。 そういう意味で非常に生々しいのですが,これはあまりにも淋しいと言わざるをえません。 演奏が良いだけに残念です。

(記2009/11/16)


アリーナ・イブラギモヴァ(Alina Ibragimova)

レーベル hyperion
収録曲 全集
録音データ 2008年12月22-23日,2009年1月17-18日,2009年2月17-18日
ヘンリー・ウッド・ホール(ロンドン)
使用楽器 ピエトロ・グァルネリ(1738年製) (モダン仕様)
所有盤 CDA 67691/2 (P)(C)2009 Hyperion Records Ltd., London (輸入盤)

ノンビブラートを始めピリオド的な奏法を意識しているようで,確かにそういう特徴もあるのですが, 若い演奏者らしい意欲をストレートに表現した清新さも持ち合わせており,これが大きな魅力になっています。 技術のキレも素晴らしく,推進力にも富み,何より素直で瑞々しいところに共感します。 音色の美しさ,透明さも特筆できます。 文句なし! 見事です。

録音:

ほんのわずかに残響を伴っていますが,極めて鮮明で明瞭度の高い好録音です。 音の伸び,音色の自然さ,どれをとっても満足のいくレベルです。 オーディオクオリティもかなり良いと思います。 かなり刺激的できついと思われる方もおられるかもしれませんが,私としてはこれくらいの方が良いです。 ほんのわずかな響きが微妙に質感を覆い隠していて,その点だけが完璧に納得できないところではあるのですが, そこまで言うのは贅沢かもしれません。

(記2009/10/14)


ネイサン・コール(Nathan Cole)

レーベル Bacchanale Records
収録曲 ソナタ第一番
録音データ Recorded January 13-15, 2006 at WFMT studios in Chicago
使用楽器 記載なし
所有盤 品番なし (C)2007 Bacchanale Records (輸入盤)
カップリング曲:バルトーク:無伴奏ヴァイオリンソナタSz117,オーガスタ・リード・トーマス:Pulsar, Incantation, Caprice, Rush
備考 コール氏はシカゴ交響楽団の第一ヴァイオリン奏者。

力強く,そしてほとんど小細工のない淀みない音楽が,ある意味潔くて好感を持ちました。 技術にキレもあります。 個性的というわけではありませんが,真面目で真摯な演奏であり,これはこれで良いと思います。

録音:

スタジオでの録音のようで,残響は少ないのですが,音色がわずかに濁ってヌケが悪くなっており, すっきりしません。せっかくのスタジオ録音なのに,それを活かせていません。 もったいないです。

(記2009/09/11)


サルヴァトーレ・アッカルド(Salvatore Accardo)

レーベル fonè
収録曲 全集
録音データ September 24-29 2007
使用楽器 Antonio Stradivari “Hart” ex Francescatti (1727) (モダン仕様) (s1,2,3,p3)
Maggini “Giorgio IIIº” (1620) (モダン仕様) (p1,2)
所有盤 fonè SACD 061 (P)(C)2008 Audiophile Productions (輸入盤)
備考 アッカルド氏2回目の録音。

バッハの無伴奏ヴァイオリンはこう弾くんだ!と,端正でオーセンティック志向の演奏が多い昨今の流れに反発するかのような熱く激しい入魂の演奏。 一方で,勢い先行の粗さや微妙な音程の散らばりが見られるなど,若干安定感を欠き年老いた巨匠のイメージがついて回るのが少々残念です。 もっとも,これも何度も聴いているうちにそのスケールの大きな音楽に引き込まれて気にならなくなるのはさすがだと思いますが。

録音:

残響時間が長く,また明らかに残響過多です。 残響が大きく被るため,そのまとわりつきで不明瞭になり細部のニュアンスが聴き取りにくく, また音色も大きく損なっています。 曇った感じが少ないため許せる方もおられるかもしれませんが, 全く私の好みではありません。

(記2009/09/04)


ダヴィド・グリマル(David Grimal)

レーベル Ambroisie
収録曲 全集
録音データ Recorded in september and december 2008 at the Opéra de Dijon (France)
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 AM 181 (P)(C)2008 Naïve (輸入盤)
※パルティータ第二番を収めたDVDが付属
備考 グリマル氏2回目の録音。 ソナタとパルティータの間に,ブリス・パウゼ(Brice Pauset)による短い曲が挿入されています(Kontrapartita Corrente, Preludio, Loure)

緩急と微妙なリズムの崩しに特徴があり, また,パルティータではバロックらしからぬ独特の装飾(編曲?)が多く見られます。 そういった点を除くと,至って冷静に,技術的な余力を活かして現代的な洗練された演奏をされています。 上記の個性的な部分が受け入れられるかどうかで評価が分かれるのではないかと思います。 私としては全体としては気に入っていますし,装飾もそれなりに楽しませてもらっているのですが, 毎回毎回この装飾を聴かされるのもなぁ...と少し微妙です。

録音:

残響がやや多めに取り込まれていますが,あくまで直接音を主体に明瞭感・解像感高く捉えられており, また,残響は直接音と明確に分離され,楽器音をほとんど濁すことなく音の広がり,奥行きを演出しています。 私としてはこの残響は不要ですが,これならまあ許せます。 楽器音がややきつめですが,ニュアンスがきちんと伝わってきますし,音色も自然,高域の伸び感も十分にあります。

付属DVDですが,あまりにも局部的なアップが多すぎて,見たいところが見えず不満がたまります。 もう少し引き気味にして欲しかったところです。

(記2009/08/06)


藤原浜雄(Hamao Fujiwara)

レーベル Fontec
収録曲 ソナタ第一番
録音データ 2007年11月19日 紀尾井ホール ライヴ録音
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 FOCD9374 (P)(C)2008 FONTEC Inc. (国内盤)
カップリング曲:ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第八番,エネスコ/ヴァイオリン・ソナタ第三番,チャイコフスキー/憂鬱なセレナーデ,サラサーテ/カルメン・ファンタジー

鋭く勢いのある弓使いや細かい音にまで効かせるビブラートなど典型的なモダン流儀の演奏かなと。 真摯に厳しくバッハに対峙する姿勢を貫かれていますが,そんな中にも情緒的な表情が感じられるところは, さすがベテランといったところでしょう。 ライヴながら技術的にも非の打ち所がありません。 立派な演奏です。 全曲の再録音を期待したいところです。

録音:

残響の取り込みが多く(残響時間もかなり長い),また少し距離感もありますが, 楽器音はそれなりにしっかりと捉えられていて,これだけの残響を伴いながらもある程度の聴きやすさを保っています。 ライヴの雰囲気をそれなりに伝える音場感があり,残響が許せる方であれば納得のいく録音かもしれません。 もちろん私の好みではありませんが。

(記2009/07/21)


ボグダン・ズヴォリステアヌ(Bogdan Zvoristeanu)

レーベル Dinemec
収録曲 全集
録音データ Recorded at Dinemec Studios
使用楽器 Nicolaus Gagliano 1761 (モダン仕様)
所有盤 DCCD 060 (P)(C)2008 DINEMEC CLASSICS (輸入盤)
備考 参考url: Dinemec Records

スタンダード路線ど真ん中といったところでしょうか。 良い意味で教科書的・模範演奏的です。 整然としたテンポ,音程の正確さ,和音の響きの美しさ,音の伸び・密度感,楽器の鳴り, あらゆる面でそつがなく,安定した技術で高精度に磨き上げられています。 個性を前面に出す演奏ではなく,そういう意味で面白味に欠けるかもしれませんが, 高いレベルでまとまっていて本当に立派だと思います。 こういう演奏,好きです。 思いがけない掘り出し物でした。

録音:

息づかいが聞こえるほどの距離で捉えているものの,響きがやや被り気味で, 今ひとつすっきりしません。 悪くはありませんが,私の好みからは少し外れます。 非常に惜しい録音です。

(記2009/07/09)


ジノ・フランチェスカッティ(Zino Francescatti)

レーベル Orfeo
収録曲 パルティータ第一番
録音データ Live Recording 25, August 1958
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 C 711 081 B (P)(C)2008 Orfeo International Music GmbH. (輸入盤)
カップリング曲:ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第三番,ベン=ハイム/ソナタ ト長調, サン=サーンス/序奏とロンドカプリチオーソ,ラヴェル/ツィガーヌ,他

鋭角的でちょっとばかりせっかちな「フランチェスカッティ節」を,このパルティータ第一番でも期待通り聴くことが出来ます。 これはバッハを楽しむというより彼の巨匠的な強い個性を楽しむもので, そういう意味で非常に聴かせ上手だなとつくづく思います。

録音:

モノラルのライヴ録音。 若干残響は感じられるものの,音の捉え方自体はそれほど悪くありません。 しかし,如何せん,残念ながら基本的な音質が貧弱すぎます。

(記2009/06/30)


ヘルヴィッヒ・ツァック(Herwig Zack)

レーベル AVIE
収録曲 パルティータ第二番
録音データ 記載なし
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 AV2155 (P)(C)2008 Herwig Zack (Avie Records) (輸入盤)
カップリング曲:バルトーク/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ,イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第三番, スカルコッタス/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ,クライスラー/レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース
備考 ツァック氏は,1982年から1995年までシュトゥットガルト室内管弦楽団の第一コンサートマスター,現在はソリストとして活躍中とのこと。
参考url: Avie Records

時折音の処理で独特の箇所はありますが,概ね正攻法での演奏かと思います。 個性的表現があるわけではありませんが,意欲的で快活な演奏は聴き応えがあります。 技術力も十分あり安定感があります。

録音:

楽器音をしっかりと捉えていますが,残響が多く,楽器音に被って明瞭感と音色を大きく損なっています。 私の好みの録音ではありません。

(記2009/06/30)


ヴィクトリア・ムローヴァ(Viktoria Mullova)

レーベル onyx
収録曲 全集
録音データ 2007年3月18日-19日,2008年10月20日-22日,ボルツァーノ(イタリア)
使用楽器 1750 G.B.Guadagnini, gut strings; Baroque bow W. Barbiero; A=415 (バロック仕様?)
所有盤 ONYX 4040 (P)(C)2009 VIKTRIA MULLOVA (輸入盤)
輸入・発売:株式会社東京エムプラス

金属巻線処理されていないガット弦とバロック弓を使った演奏(楽器自体がモダンかバロックかはわかりません...)。 スピードとキレのある運弓はモダン的,ノンビブラートでかつ短めに切り上げる音の処理はピリオド的, 中間的というか折衷的なアプローチかなと思います。 勢いをもって大胆に切り込んでいるにも関わらず,聴き手に緊張感を強いない軽妙さが支配しているのは, ピリオド的アプローチを完全に自分のものとし,持ち前の技術力でそれを表現しきっているからなんだろうなと思います。

録音:

やや残響が多く,こもった感じこそないものの,残響が楽器音に被って明瞭感と音色を損なっていることには変わりありません。 許容範囲ではありますが,私の好みの録音ではありません。 残念です。

P.S.

それでもやっぱりモダン楽器でやって欲しかった...

(記2009/06/16)


日下紗矢子(Sayako Kusaka)

レーベル HERB Classics
収録曲 ソナタ第三番
録音データ Recorded 01-03/August 2008 at Hanakage-Hall in Yamanashi-City, Japan
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 HERB-011 (P)(C)2008 HERB Classics(Japan) (国内盤)
カップリング曲:バルトーク/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ,B. A. ツィンマーマン/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
備考 参考url: HERB Classicsのプロフィール

真面目で慎ましく理知的,しなやかな弓使いでレガート主体の印象。 音のつながり,澄んだ音色の美しさは特筆に値します。 現代的で洗練された好演奏だと思います。

録音:

少し響きを伴っていて,その付帯音による癖のある音色の変化がわずかに気にはなるものの, 楽器音が主体で明瞭感,高域の伸びもあってまずまず良好かなと思います。

P.S.

日下氏は,2008年3月より,ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団(旧称:ベルリン交響楽団)の第一コンサートマスターとしてご活躍とのこと。

(記2009/06/16)


川原千真(Chima Kawahara)

レーベル CRÉATION
収録曲 全集
録音データ 2007年4月12-13日,6月12-13日,8月7-8日 相模湖交流センター
使用楽器 北イタリア(18世紀後半)製 (バロック仕様) ※バロック仕様のまま約200年ほどジェノヴァの農家の納屋に埋もれていたが,10年ほど前に発見されたもの
所有盤 CRT-3100/1 (P)2009 CRÉATION (国内盤)

一音一音丁寧に練り上げ,隅々にまで神経を行き届かせて演奏されています。 感情は抑え気味で熱くなることなく常に冷静,でも歌心は忘れず,美しい響きが印象に残ります。 技術的にも優れたレベルの高い演奏だと思います。 バロックヴァイオリンによる演奏ですが,それを強調するような弾き方ではなく, ごくごく自然であり,バロックヴァイオリンであることが意識に上ってくることはほとんどありませんでした。

録音:

響きがやや多めに取り入れられています。 音の伸びが感じられるので,極端に悪い印象はありませんが, 音色はかなり損なわれており,細かいニュアンスもやや聴き取りにくいように思います。 悪い録音ではないかもしれませんが,私の好みではありません。

P.S.

川原千真さんは古典四重奏団の第一ヴァイオリン奏者で,モダンとバロックの両方を演奏されるということです。 私がこの演奏で唯一残念なのが,この曲集の演奏にバロック楽器を選択されたことです。 この演奏であれば,モダン楽器を使われた方がもっと素晴らしかっただろうに,と思うのです(※注:単に私がバロック楽器よりもモダン楽器の方が好きだからなのですが)。 両方を演奏されるならバロックを選ぶのはある意味当然かもしれませんが...うーん,残念。

(記2009/05/14)


ジョコンダ・デ・ヴィート(Gioconda De Vito)

レーベル IDIS
収録曲 パルティータ第二番
録音データ Studio Recording, 1947(Ciaccona) & 1950(Allemanda, Corrente, Sarabanda, Giga)
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 IDIS 6564 (P)2009 Istituto Discografico Italiano (輸入盤)
“GIOCONDA DE VITO. THE LAST RECORDINGS”
カップリング曲:バッハ/ヴァイオリン協奏曲BWV1042,モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲K.216

1947年にシャコンヌが録音され,1950年にその他4楽章が追加で録音されたということです。 前の4つの楽章はどちらかといえば落ち着いています。 一方シャコンヌは緊張感のある演奏で, 静かに始まって徐々にテンポを速めて頂点に持って行く長調の中間部などなかなか聴き応えがあります。

録音:

アナログ盤の復刻で,楽章毎に復刻の状態が異なります。 前の4つの楽章はややこもった感じが残り状態は決して良くありませんが,1950年の録音であることを考えると, まずまずかと思います。 一方シャコンヌは,これが1940年台のしかもアナログ盤からの復刻かと思うほど鮮明でこもり感もなく,すごく状態が良いです。 残響にまみれた近年の録音よりよっぽど音楽を楽しめます。 これには少々驚きました。

P.S.

シャコンヌで一カ所,弾き直したように聴こえるところがあります(あり得ないような弾き直し方なので編集ミス?なのかもしれませんが)。 逆に編集で普通に聴こえるように出来たはずなのですが,あえてしなかったのはなぜかなとちょっと疑問に思います。

(記2009/04/21)


アレッシオ・ベンヴェヌーティ(Alessio Benvenuti)

レーベル Ludwig Classica
収録曲 全集
録音データ Italy Luglio 1997
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 Ludwig Classica 002/003 Italy 1997 (輸入盤) (*CD-R)

模範的というか,良い意味で教科書的にきちっととしています。 音にも力と張りがあり,全曲にわたって緊張感が持続しています。 技術的にも問題ありません。 秀でたところや特徴のある表現があるわけではありませんが, バランスの取れた良い演奏であると思います。

録音:

直接音主体に明瞭に捉えていおり,若干の高域の伸びの不足を感じつつも印象は悪くありません。 アナログ録音でわずかなヒスノイズを感じますが,全く問題ありません。 ただし,編集がいい加減すぎます!(怒)。 曲の終わりで楽器の響きが残っているのにブチ切ったり,曲間にプチッというノイズが平然と入ってきます。 演奏も録音も良いのに,このずさんな編集が全てを台無しにしています。 残念です。

P.S.

なお,本CDは秋山鉄さんの「シャコンヌ狂時代」より教えていただきました。 いつも有り難うございます。 紹介とサンプル音源のページがあります(Vol.1Vol.2)。 私はeBay.itから手に入れましたが,現在出ているかどうかはわかりません。

(記2009/03/26)


オルヌルフ・ボイエ・ハンセン(Ørnulf Boye Hansen)

レーベル Bergen Digital Studio
収録曲 ソナタ第一番,パルティータ第一番,第二番
録音データ Ringsaker Church, April 2005.
使用楽器 記載なし (バロック仕様)
所有盤 BD 7042CD Bergen Digital Studio (輸入盤)

うーん,技術的にちょっと苦しいかな,というところが散見されます。 左手のキレの悪さ,音程の不安定さ,地に足がついていない(?)ような弓使い(若干暴れ気味), 技術的というよりも,こなれていないというか,バロック楽器を使いこなせていない印象,といった方が近いかもしれません。 モダン楽器で聴きたかったという気がします(残りの曲はモダン楽器で録音して欲しい...)。

録音:

なぜか残響ですごく曇ったり,すぅーっと晴れるように高域が伸びたり, それが曲毎でも起きるほか,曲の途中でも刻々と変化します。 どうやったらこんな風に録音できるのか不思議でなりません。 ヘッドホンで聴いているとすごく気持ち悪いです。 「晴れ」の時の音はなかなか良いんですが。 残念な録音です。

(記2009/03/17)


アリアドネ・ダスカラキス(Ariadne Daskalakis)

レーベル TUDOR
収録曲 パルティータ第二番
録音データ 27.& 28.08.1999, Studio des SWR Kaiserslauterm
使用楽器 Giovanni Baptista Guadagnini, Parme 1769 (モダン仕様)
所有盤 TUDOR 7081 (P)(C)Tudor Recording AG, Zürich (輸入盤)
カップリング曲:ニコラ・マッテイス/グラウンド,アリア・アモローザ, ビーバー/ソナタ・レプレゼン, ティーヴァバルツァー/《John Come Kiss Me Now》変奏曲, コレッリ/ソナタ《ラ・フォリア》
備考 参考url: 公式WebサイトTobu Tradingカタログより

非常にキレの良い,推進力ある淀みのない音楽が大きな魅力です。 しかし,リピートの後半で時折挿入される装飾が音楽の自然な流れを乱しており, 入れる効果より乱れるデメリットの方が大きく感じられます。 些細なことですがちょっと残念に思います。

録音:

若干響きを伴っているものの,楽器音を主体に捉えているので印象は悪くありません。 しかし,響きのために抜けが悪くなり音色が損なわれているのは確かです。 パルティータ第二番以外の曲がずっとクリアーに透明感ある音で捉えられているので, なぜ同じように録音しなかったのかと腹立たしくなるほど差があります。 せっかくの美しい音色を台無しにしています。

P.S.

カップリングの他の曲はチェンバロとチェロとのアンサンブルですが, モダン楽器の明るく透明感ある美しい音と,チェンバロとチェロによる通奏低音の古雅な響きが, えもいわれぬ良い雰囲気を出しています。 録音の良さもあり,パルティータ第二番よりもこちらの方が聴きものだと感じました。 こういうバロック音楽がモダン楽器ですっかり演奏されなくなってしまった昨今ですが, モダン楽器ならではの大きな魅力があります。 バロック音楽を古楽器奏者のものだけにしないで欲しい,とそう思ってしまうCDでした。

なお,本CDは秋山鉄さんの「シャコンヌ狂時代」より教えていただきました。 いつも有り難うございます。

(記2009/03/17)


フレデリック・ラロック(Frédéric Laroque)

レーベル Sonogramme
収録曲 全集
録音データ Enregistrement a la Chapelle Royale le 21 septembre 2000.
使用楽器 Guadagnini? (モダン仕様)
所有盤 SNG-07-FL01 (輸入盤)
備考 参考url: Sonogramme

ライヴ録音(拍手まで収録されています)。 確かな技術の下支えの上で自由に積極的にのびのびと表現されています。 ほどよい緊張感を伴いながらも,音楽の喜びが素直に出ていて本当に活き活きしています。 自分の音楽をはっきりと前面に出す,どちらかといえば主張する演奏ですが,節度もあって嫌みがありません。 ライヴとしてはかなり良い出来だと思います。 二部形式の後半のリピートが全て省略されているのは少々残念ですが... でも,こういうモダン楽器らしい演奏,好きです。

録音:

残響が多くしかも残響時間が長いのですが,楽器音がそれなりにしっかりと捉えられており, また,これだけ残響がありながら音色は比較的自然に聴こえる素直な録音のため,何とか許容できます。 高域のヌケがもう少し欲しいところですが。

P.S.

解説書はフランス語,英語,そして日本語でも記載されています(たいした内容は書いていないのですが...)。

(記2009/01/17)


トマス・フェオドロフ(Thomas Fheodoroff)

レーベル ORF
収録曲 全集
録音データ Juni, September 2006, Pfarrkirche Maria Hilf Ob Guttaring
使用楽器 Nicolaus Gaglianus, fecit Nea;oli, 1747 (バロック仕様)
所有盤 ORF CD 3023 (P)(C)2008 ORF ALTE MUSIK (輸入盤)

バロックヴァイオリンによる演奏。 奏法自体は素直で楽器を意識させるような弾き方・表現ではないため受け入れやすいです。 どちらかといえば穏やかで優しく暖かさがあるのが良いところですが, 逆に躍動的ではないためかやや音楽が停滞気味に聴こえる部分もあって, 私としてはこの点が少し残念に思うところです。 技術的には安定しています。

録音:

残響が多く,残響時間も長く,まとわりつきが鬱陶しいのですが, 比較的近距離で直接音主体に捉えているため,残響量が多い割には印象はそれほど悪くありません。 もちろん私の好みの録音ではありませんが,残響を取り入れるならこういうやり方にして欲しいとは思う録音です。

(記2009/01/07)


ノルベルト・ヒルガー(Norbert Hilger)

レーベル querstand
収録曲 全集
録音データ 記載なし(解説書の写真から教会での録音と思われる)
使用楽器 記載なし (モダン仕様) (チェロ)
所有盤 VKJK 0722 (C)2008 querstand (輸入盤)

チェロによる演奏。 演奏者自身の編曲による。 チェロの調弦に合わせ,五度低い調に移調しているようです。

チェロってこんなに低い音が出たんだな...って思いました。 楽器の特性の違いか,伸びやかさはなくゴツゴツとした無骨な演奏ですが, 楽器のハンデをほとんど感じさせません。 健闘しています。 スル・ポンティチェロで弾いてみたり,ピチカートを使ってみたりと,ところどころでやっていますが, 嫌みな感じはありません。 楽器をしっかりと響かせていい音色を出しています。

録音:

少し残響感がありますが,楽器の響きをしっかりと捉えているので, チェロのボディの鳴り感が伝わってきて,どちらかといえば印象の良い録音です。

(記2008/11/29)


荒井英治(Eiji Arai)

レーベル HERB Classics
収録曲 全集
録音データ 30/31 may, 06/07 september, 08/09 november 2007 at Koide-go Cultural Hall in Niigata / Japan.
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 HERB-008/009 (P)(C)2008 HEAB Classics (国内盤)
備考 参考url: HERB Classics

真面目でやや堅い印象ですが,ほどよい緊張感が曲を引き締めています。 しかし,これもソナタ第三番まで。 パルティータ第三番になると様相が一変します。 一言でいうと「ノリ」が全然違う! 特にプレリュード。 これは出色の出来映えに思います。 前の五曲もこのノリでやってくれたら数多の演奏とは一線を画すすごい全集になったんじゃないかと思うのですが... でも前の五曲をノリにノってって...ちょっと想像つかないですね...

弾き方が少しゴシゴシと弦を弓でこすりつけるような感じで音の伸びがもう一つですが, ビブラートを控えめにして和音の音程をきっちり取り美しく響かせているので印象は悪くありません。

録音:

少し残響感はありますが,響きを抑え気味にして楽器音を明瞭に捉えています。 まずまず良好です。 ちょっと距離感があり,もう一歩近寄って直接音比率を上げて欲しいという気はします。

(記2008/11/06)


セルゲイ・アジジャン(Sergej Azizjan)

レーベル CLASSICO
収録曲 パルティータ第三番
録音データ Recording at Vestkirken, Ballerup, July 19, 1994.
使用楽器 不明 (モダン仕様)
所有盤 CLASSCD 114 (C)1995 Olufsen Records (輸入盤)
カップリング曲:Sarasate/Playera Op.23 no.5, Romanza Andaluza Op.22 no.1, Caprice Basque Op.24, Paganini/Concerto for Violin and Orchestra No.2 in B minor "La Campanella"

全くブレない真っ直ぐな演奏。 取れたての新鮮なレタスのように瑞々しくシャキッと,そして苦みというかちょっと青臭さを感じます。 なんの細工もない潔さ,淀みのなさが良い印象につながっています。 技術力も十分にあり,重音の美しさなど特筆に値します。

録音:

残響感が多少あるので明瞭感,音色への影響が感じられ,すっきり感に劣るものの, それでも楽器音を主体に捉えているので,何とか良い印象を保っています。 少し距離感があってこぢんまりした音像で,もう少し近めで捉えても良かったんじゃないかと思います。

P.S.

本CDではラストネームが"Azizjan"(アジジャン)ですが,全曲録音のCDの表記は"Azizian"(アジジアン?)になっています。

(記2008/10/16)


ジェニー・アベル(Jenny Abel)

レーベル PODIUM
収録曲 ソナタ第一番,第三番,パルティータ第二番
録音データ 1979年(ソナタ第一番),1984年(パルティータ第二番),1985年(ソナタ第三番)
使用楽器 不明 (モダン仕様)
所有盤 WOW-001-2 (輸入盤) (ソナタ第一番)
WOW-003-2 (輸入盤) (パルティータ第二番)
WOW-004-2 (輸入盤) (ソナタ第三番)
※併録曲:省略(下記urlを参照)
備考 参考url: PODIUM (WOW-001-2WOW-003-2WOW-004-2)

ライヴ収録ということもあると思いますが,相当気合いが入っています(特にソナタ第一番)。 熱演です。 無傷ではありませんが,気持ちの乗った音色の印象の方が強く,気になりません。

録音:

それぞれ録音の傾向が異なります。 ソナタ第一番は,会場の響きが結構あるものの,楽器音をしっかり捉えているため,聴きやすい音です。 中域に若干癖を感じる音色ですが。 パルティータ第二番は,ものすごい残響(残響時間も長い)の中での録音で,残響のまとわりつきと響きの混濁が鬱陶しく, 音色も全く伸びがなくくすんでしまっています。 ソナタ第三番はそれにもっと輪をかけたような響きに埋もれた録音で,全く良くありません。

(記2008/10/16)


ハルトムート・シル(Hartmut Schill)

レーベル auris subtilis
収録曲 全集
録音データ November 2007
使用楽器 不明 (モダン仕様)
所有盤 as 5021-2000 | 2007 auris subtilis (輸入盤)
備考 参考url: auris-subtilis (CD)

弾き方はモダンですが,音色はどことなくガット弦っぽい(そう聴こえるだけだと思いますが)。 ちょっと頼りなげな線の細さがありますが,アレグロやプレスト楽章などでは意外に小気味よく音楽を推進しています(フーガはちょっと重いかな...)。 全体に軽く明るいところが魅力です。 技術的にも不満はありません。

録音:

ものすごく残響が多く,また残響時間も相当長いです。 響きの混じり合いが半端じゃありません。 これを心地よい響きと感じるか,混沌とした,混濁した鬱陶しい響きと感じるかは聴き手次第とは思いますが。 ただ,直接音成分もそれなりにあるのか,残響が嫌いな私でも意外に聴けてしまいます。

(記2008/10/08)


米谷彩子(Ayako Yonetani)

レーベル Venus Classics
収録曲 パルティータ第一番,シャコンヌ
録音データ PhatPlanet Studios, Orlando, FL, (Ed Krout) 12/2000 (Partita No.1), Dom umenia, Kosice, Llovakia, (Gejza Toperezer, Rudolf Hentsel) 5/2008 (Others)
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 825 346-5528 (C)(P)2008 Venus Classics (輸入盤)
カップリング曲:ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第一番ト短調作品26(Zbynek Muller, conductor, The Slovak State Philharmonic of Kosice)
備考 参考url: CD Baby

その人の表現力の限界の枠というのがあったとして,その枠いっぱいいっぱいまでがんばった, そんなイメージが浮かんでくる熱演。 大ホールで隅々にまで行き届かせるようなきつめの発音なので,たった一曲なのに聴いた後はものすごく疲れます(これは録音の問題か)。 これに比べるとシャコンヌは随分落ち着いた印象です。

録音:

残響感はそれほどないのですが,反射音が大きいのか,音がダブったように濁って聴こえます。 透明感に欠け,高域の伸び感も今ひとつであまり良い印象を受けません。 遠くの人にまでしっかりと音を届けようというようなきつめの発音を比較的近いイメージで捉えている点も, 演奏と録音のミスマッチのように感じられます。 一方,シャコンヌは音の濁りはあまりなくこの点は良いのですが,こちらも高域のヌケが良くなく, すっきりしません(こちらの方が若干良いようには思いますが)。 このCDの中ではブルッフが一番録音が良いように思います。

(記2008/09/30)


ジェームズ・エーネス(James Ehnes)

レーベル ANALEKTA
収録曲 全集
録音データ Recorded on November 7, 8, and 9, 1999 and June 8, 9 and 10, 2000 at Église Saint-Augustin
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 ANALEKTA FL 2 3147-8 (輸入盤)
備考 参考url: 公式WebサイトANALEKTA (FL 2 3147-8)

ものすごく巧い! 技術的な余裕度がすごく大きい! この技術力を活かした力強く自在でニュアンス豊かな表現,音程の正確さから生み出される濁りのない美しい響きが実に素晴らしい。 奇をてらわない真っ当な演奏で,モダン楽器の醍醐味が堪能出来ます。

録音:

残響が多く,しかも残響時間がとても長いので,まとわりつきが鬱陶しく音色もくすんでいるので私としては好きではありませんが, 音の輪郭はぎりぎり確保されているので,何とか許容範囲と言えます。 残響の許せる方なら悪くないかもしれません。

(記2008/09/30) 2回目
(記2002/09/20)(2002/09/30)


ティム・フェイン(Tim Fain)

レーベル Image Recordings(自主制作?)
収録曲 パルティータ第二番
録音データ Recorded at Sprague Hall, New Haven, CT
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 IRC 0810 (C)(P)2008 Image Recordings (輸入盤)
カップリング曲:Kevin Puts/Arches, Randall Woolf/No Axe To Grind, Mark O'Conner/Caprice No.6, Daniel Ott/Double Aria
備考 参考url: 公式WebサイトImage RecordingsCD Baby

なかなかキレのある演奏をします。 技術の冴えに胸のすく思いがします。 もう少し色気があってもいいのにと思うのですが,これはこれで彼のキャラクターなんでしょう。 聴く前は少し心配でしたが(^^; なんのなんの,これはちょっとした掘り出し物でした。

録音:

残響感が少なく,楽器音を明瞭に捉えた好録音です。 高域の伸び感も十分にあります。 ヘッドホンで聴くとちょっと刺激が強すぎて耳が痛くなるくらいで, もう少し適度な距離感が欲しかったかなとは思いますが。 でも私の好きな録音です。

(記2008/09/24)


ミヒャエル・ヴァイマン(Michael Vaiman)

レーベル DUX
収録曲 全集
録音データ Recorded at Schloss Gottesaue, Karlsruhe, Germany, March-April 2006.
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 DUX 0610/0611 (C)2008 DUX (輸入盤)
備考 参考url: DUX (0610/0611)

無理なく丁寧に演奏されており, 引き締まっていながらも全体には穏やかで聴き手に緊張感を強いません。 音色もなめらかで美しく,技術的にもそつがありません。 どちらかといえば大人しい演奏なので少々印象に残りにくいところはありますが...堅実な好演奏です。

録音:

少し残響を伴っており,その量は多くないですし残響時間もそれほど長くはないのですが, どことなくヌケの悪さを感じるすっきりしない録音です。 というほど悪くはないのですが,私としては少し不満があります。 時折バックグラウンドに変な付帯音が聞こえるのも気になります。

(記2008/09/18)


ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng)

レーベル SONY
収録曲 全集
録音データ 1955年
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 MP2K 46721 (P)1965 Sony Music Entertainment Inc. (C)1991 Sony Classical GmbH (輸入盤)

まさに王道をいく演奏! 2回目の全集のような境地にまでは達していないとしても, それでも,その到達点,充実度は他の多くの演奏の一段上を行っていると思います。 異論はいろいろとあろうかと思いますが,やはり別格,すごいです。 巨匠らしい風格があります。

録音:

モノラル録音ですが,どうやら疑似ステレオ処理されているようです(LRのリサジュー波形を見ると位相処理がなされているであろうことがわかる)。 ヘッドホンで聴くと音像が広がったり,本当にモノラルになった感じがしたり,と聴き苦しさを感じます。 また,全体に高域のレンジ感がなく,抜けが悪くこもっていて印象が良くありません。 マスターの状態があまり良くないのか,部分的にこもったりふらついたりします。

肝心の録音の方ですが,やや残響が多めに取り込まれているため,ここでも明瞭感を悪化させ,音色を損なっているように感じられます。 パルティータ第三番だけが若干マシです。

P.S.

CDの解説書には"Recorded:1965"と書かれていますが,1955年の間違いだと思います。

(記2008/09/18) 2回目
(記2002/07/26)(追2002/10/04)


大谷康子

レーベル 自主製作? (Sony Music Direct)
収録曲 パルティータ第二番
録音データ Recorded at Hamarikyu Asahi Concert Hall, Tokyo. Recording Date: July 07, 2006.
使用楽器 ピエトロ・グァルネリ 1708年製 (モダン仕様)
所有盤 SSCX 10305 (P)(C)2008 Yasuko Ohtani Manufactured by Sony Music Direct (Japan) Inc. (国内盤)
アルバムタイトル:深紅(あか)のシャコンヌ
カップリング曲:プロコフィエフ/無伴奏ヴァイオリンソナタニ長調作品115, クライスラー/レチタティーヴォとスケルツォ・カプリス作品6, テレマン/12のファンタジーより第一番,第五番
備考 参考url: 公式Webサイト

渾身のバッハ! 熱い演奏ながら勢い任せに走らず,一音一音に思いを込めて確かめるように丁寧に弾いています。 表現もストレート,技術的にも安定していて好印象です。 音色は力が入りすぎてややきつい感じがしますが,大きなホールの隅々にまで音を行き渡らせるような弾き方をされているためかもしれません。

録音:

ライヴ録音と記載されていますが,拍手は入っておらず,観客のノイズも感じられません(演奏者の足音?は入っていますが)。 残響時間はそれほど長くありませんが,少し多めに取り込まれているため,明瞭感が今ひとつ, 高域の抜けも悪く,全くすっきりしない,そして少々暑苦しい息の詰まるような録音です。

それにもかかわらず,かなりきつい音に感じられます。 前述したような大ホールの隅々にまで音を行き渡らせるような弾き方の音を, 比較的近くで捉えているためではないかと思います(それでも少し距離感はあるのですが)。 弾き方と録音のミスマッチがあるのではないでしょうか。 録音レベルが高めという点だけは印象が良いのですが。

(記2008/08/15)


ウィンサム・エヴァンス(Winsome Evans)

レーベル Celestial Harmonies
収録曲 全集
録音データ Recorded at the Music Department, The University of Sydney (2006年?)
使用楽器 Alastair McAllister, Melbourne, Australia (チェンバロ)
所有盤 14268-2 (P)2007 Celestial Harmonies (輸入盤)
備考 エヴァンス氏はオーストラリアの女流チェンバロ奏者。
参考url: Celestial Harmonies (14268-2)

チェンバロによる演奏。 演奏者自身の編曲による。 CDの最初に収められているパルティータ第三番のド派手な編曲,威勢のよい演奏が圧巻! かなりたくさんの音符の追加があります。 これはもう紛れもないチェンバロ曲。 ここまで大胆にやるとは立派。 原曲のヴァイオリンによる演奏とはかなりイメージが異なりますが,これはこれで大変面白いと思います。

録音:

響きがかなり多く取り込まれ,明瞭感も音色も良くありません。 コンクリートで囲まれた狭い閉鎖空間に押し込められて聴かされているような息苦しさを感じます。 全く私の好みではありません。 また,グジュグジュした歪み(ダイナミックレンジを無理矢理圧縮したときのような)を感じるところもあり, オーディオ的なクオリティも良くありません。 ちょっとひどいと思います。

(記2008/08/15)


ナタン・ミルシテイン(Nathan Milstein)

レーベル EMI
収録曲 全集
録音データ Studio A, 46th Street Studio, NY.
26 & 31 March 1954(Sonata No.1), 6 February 1956(Partita No.1), 27 December 1956(Sonata No.2), 23-24 March 1954(Partita No.2), 5, 16, 17 March 1956(Sonata No.3), 28 December 1955(Partita No.3)
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 ZDMB 64793 2 3 (P)1955-66 Angel Records, (C)(P)1993 Angel Records(compilation and digital remastering) (輸入盤)

恐ろしいほどにキレがよく,その潔さが痛快! 円熟や味わい深いといった言葉の対極にある,ものすごく尖った演奏です。 当時の巨匠の強烈な個性に圧倒されます。 現代ではもうこんなスタイルで演奏する人はいないだろうなぁ...

リピートの省略が多いのが残念なところですが,これも時代を思えばいたしかたなしというところでしょうか。

録音:

モノラル録音。 残響はほんのわずかに感じられますが,ほとんど影響がないと言ってもいいくらいです。 ほんのわずかに距離感があってわずかに明瞭度,鮮明さを落としているのが残念ですが, それでも音の捉え方としてはかなり良く,演奏をストレートに生々しく伝えてくれる好録音です。 (この点を評価しました。)

ただオーディオ的なクオリティは決して良いとは言えません。 高域がキンキンし,低域が抜けた感じでバランスも良くありませんし,いかにも古い音色です。 マスターテープの問題か,時折曇った感じに聞こえるところもあります。 古い録音なので仕方ないと思います。

P.S.

1回目の全曲録音で,どちらかといえば2回目の方が一般的に評価が高いように思いますが, この1回目も捨てがたいです。

(記2008/08/01) 2回目
(記2002/09/05)


レジ・パスキエ(Régis Pasquier)

レーベル harmonia mundi France
収録曲 全集
録音データoctobre/novembre 1981
使用楽器 Montagnana, Venise 1742 (モダン仕様)
所有盤 HM 1085/87 (P)1982 harmonia mundi (輸入盤) (*LP)

遅めのテンポで真摯にじっくりと弾き込んでいます。 その丁寧で折り目正しい弾き方に好感を持ちます。 推進力があまりないため,その面では少し物足りなさが残りますが, この演奏にそういうところを求めること自体が間違っているかもしれません。

録音:

少し残響感を伴っており,しかも残響時間が若干長めのため,ややまとわりつきが気になるものの, 楽器音を主体に捉えており,明瞭感もそこそこあって印象は悪くありません。 高域の抜けがもう少しあれば良かったのですが。

P.S.

この貴重なLPも,いつもお世話になっているT.Y.さんのご厚意により聴かせていただくことが出来ました。 有り難うございました。

(記2008/07/17)


ウート・ウーギ(Uto Ughi)

レーベル BMG
収録曲 全集
録音データRecorded in Siena, Sala Scarlatti/Beccafumi Accademia Musicale Chigiana: April 7-10, 1991; June 14-17, 1991, September 9-13, 1991.
使用楽器 Giuseppe Guarneri Del Gesu', 1744 (モダン仕様)
所有盤 BMGCD-9H75-09026-60971-2 (C)1993 BMG Music (P)1991 BMG Music Distributed by BMG (Han Kook) Music Co., Ltd. (輸入盤)

演奏は至極オーソドックス,丁寧で均整が取れています。 派手さはありませんが,充実感のある深い,そして少し甘美な音色が素晴らしいです。 音の流れのなめらかさ,ニュアンスの豊かさはさすがです。 インパクトのある演奏ではありませんが,聴くほどに味わいが深まります。

録音:

やや残響感があり,高域の抜けが悪く,また音色も少し影響を受けていますが, 楽器音主体に捉えられているので,何とか許容範囲というところです。 ソナタ第一番のフーガでは,音像のふらつきがあったり,最後の方で突然逆位相になったり, ブツブツというノイズが入ったりと,明らかにおかしい部分があります。

(記2008/07/12) 2回目
(記2002/12/27)


ウート・ウーギ(Uto Ughi)

レーベル SONART (Stradivarius)
収録曲 全集
録音データRecorded in Siena, Sala Scarlatti/Beccafumi Accademia Musicale Chigiana: 9-13 settembre 1991(BWV1001,1002), 14-17 giugno 1991(BWV1003,1006), 7-10 aprile 1991(BWV1004,1005)
使用楽器 Guarneri Del Gesu', 1744 (モダン仕様)
所有盤 FPAP 005-006 (C)2005 (P)2005 Uto Ughi (輸入盤)

BMG盤と同じ演奏。 解説書は五カ国語で日本語もあります。 オリジナル(BMG盤のこと?)からわずかに修正を加えているということです。 解説書に次のような記載があります。 「オリジナル録音は,技術上の問題を取り除くため,また雑音を取り除くために僅少の修正が加えられています。 演奏家の要望で,シャコンヌだけに僅かな修正を加えた以外,録音時の音響の特性はそのままに保たれてあります。」

実際にBMG盤と比べてみると,音のレベルが約3dBほど上がっているほか, ソナタ第一番(特にフーガ)の音像のふらつき,突然逆位相になったりする感じは緩和されています(ブツブツというノイズは緩和されていませんでした)。 基本的な音質は変わりないように感じました。 シャコンヌについてもどの部分がどう変わっているかはわかりませんでした。 明らかな不具合は何とかして欲しかったのですが,修正困難だったのでしょうか。

(記2008/07/12)


五嶋みどり

レーベル Sony Classical
収録曲 ソナタ第二番
録音データRecorded August 22-23, 2005 at Mechanics Hass, Worcester, Massachusetts.
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 82796-97745-2 (P)(C)2007 SONY BMG MUSIC ENTERTAINMENT (輸入盤)
カップリング曲:Bartok/Sonata No. 1 Sz. 75, BB84
備考 参考url: 公式Webサイト

これはとてももう言葉では言い表せません。 無限の静寂の世界に,静かに深く染み渡っていく音楽... こんな視覚的なイメージが想起されるバッハは滅多にありません。 ある意味非常にドラマティックなのですが,あくまで内面的で奥深く,いわゆる「個性的表現」とは次元が違うように感じます。 感動しました。

録音:

やや残響が多め,残響時間が長めで,抜けの悪さ,音色のくすみ,まとわりつきが気になるものの,何とか許容範囲です。 音にきめの細かさが感じられ,オーディオ的なクオリティの良さは感じられます。 もう少し直接音主体に捉えて欲しかったと思います。 私の好きな録音ではありませんが,残響の許せる方なら悪くないかもしれません。

P.S.

芸術家としての新たな境地への一歩を踏み出したと感じさせる感動的な演奏でした。 ちょっと誉めすぎかもしれませんが... ぜひ全曲録音を!

(記2008/07/05)


緒方愛子

レーベル NGE(自主制作)
収録曲 ソナタ第一番,パルティータ第二番
録音データJuly 13-15, 2005, 福岡市タオホール
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 NGE-003 (国内盤)
カップリング曲:イザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第二番ホ長調,太田哲也/無伴奏ヴァイオリンの為の詩歌 2005
備考 緒方氏は,現在シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州立歌劇場コンサートマスター。

真面目で節度のある演奏ながら,同時にライブのような熱気も感じられます。 一つ一つの音に込められた誠実な思いに素直に共感できる好演奏です。

録音:

やや距離感があり,残響というより主に初期に近い反射音成分が多く,明瞭感はもちろんのこと,音色もかなり濁ってしまっています。 楽器音が鳴るたびに「シー」という付帯音が聞こえるのも印象を悪くしています。 良いマイクポジションが確保できなかった生録のような感じです。 録音環境の雰囲気はそれなりに伝わってくるのですが...

P.S.

本CDは秋山鉄さん(シャコンヌ狂時代)から教えていただきました。 いつも有り難うございます。 ヤマハミュージック九州福岡店委託CD紹介コーナーで取り扱いがあります(通販可)。

(記2008/07/05)


イリヤ・カーラー(Ilya Kaler)

レーベル NAXOS
収録曲 全集
録音データRecorded at St. John Chrysostom Church, Newmarket, Canada, 19-22 July 2006 (Sonatas) & 1-4 February 2007 (Partitas)
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 8.570277-78 (P)(C)2008 Naxos Rights International Ltd. (輸入盤)
備考 参考url: ウィキペディア

テクニックが際立っています。 淀みのない自信に満ちた表現, 往年の巨匠を彷彿とさせる風格があります。 どちらかといえばオーソドックスで,やや古めかしく新鮮味に欠けるところはあるかもしれませんが, 立派な演奏には違いありません。

録音:

たっぷりと残響を取り込み,また残響時間も長いため,かなり鬱陶しく感じられます。 明瞭感も良くありませんし,当然音色への影響も大きく出ています。 残響量の割りにはマシかもしれませんが,私としてはほんのわずかに許容範囲を越えており,印象が良くありません。

(記2008/07/05)


ジャニーヌ・ヤンセン(Janine Jansen)

レーベル DECCA
収録曲 パルティータ第二番
録音データSt Martin's Church, East Woodhay, Hampshire, 6-7 August 2007
使用楽器 "Barrere" by Antonio Stradivari (Cremona, 1727) (モダン仕様)
所有盤 475 9081 (P)(C)2007 Decca Music Group Ltd. (輸入盤)
カップリング曲:The 15 Two-part Inventions, BWV772-786 (Played on violin and viola), The 15 Tree-part Inventions (Sinfonias), BWV787-801 (Played on violin, viola and cello)
備考 参考url: 公式Webサイト, ユニバーサル・ミュージック

堂々としていて芯が強い。 音楽に力があります。 しかし,力まかせにならずセンス良くスマートに聴かせるところなどなかなか上手いと思います。 テクニックも十分,密度の高い響きを生み出す柔軟で神経の行き届いた弓使いも素晴らしいです。 弓の圧力が高いのか,音色に伸びがなくつぶれ気味に聴こえるのが惜しいと思います(録音が悪いせいかもしれませんが...)。

録音:

少し距離感があります。 残響時間はそれほど長くないのですが,楽器音に中域の響きが被って明瞭感,楽器音の質感を大きく損なっており, 音色も抜けが悪く全く良くありません。 くぐもった音色にイライラが募ります。 この録音では,響きは鑑賞の邪魔をするばかりで音楽的にもオーディオ的にも何の役にも立っていません。

と書きましたが,まあそんなに無茶苦茶ひどいことはありません。 これがDECCAの録音とは...と思うとちょっと辛口になってしまいました。

(記2008/04/18)


アンジェル・ヴァルチノフ(Angel Valchinov)

レーベル Orpheus Violin House (自主制作)
収録曲 ソナタ第二番,パルティータ第二番
録音データ記載なし
使用楽器 Hristo Tchechmedjiev 1998年製 (モダン仕様)
所有盤 Orpheus Violin House 2004 自主制作 (輸入盤) (CD-R)
備考 参考url: 公式Webサイト, Orpheus Violin House(CD's)

力強い,気合いの入った発音, ストレートで自信に満ちた表現が好印象です。 気を惹く器用さはありませんが,一途な姿勢がよく伝わってきます。 技術的には,もう少し細部を練り上げて欲しいかなと思いますが,些細なことかもしれません。

録音:

これは本当に驚きの録音! これぞ私の求めていた理想的・完璧な録音と,ほとんど言い切ることが出来ます。 残響は皆無(本当に全くない!),環境雑音も皆無,楽器音を邪魔するものは何もありませんし,音色への味付けも一切ありません。 距離感もほぼ適正です(決して「松脂の飛び散る音が聞こえる」ほど極端ではありません)。 生々しく,眼前で弾いてもらっているような録音で,一般的なホールでの録音とは全く違う次元の音が目の前に現れます。 これはすごい!!

なぜかモノラルであり,ほんのわずかにクリップして歪んでいるのが本当に残念です(ほとんど気にならないレベルですが)。 一体どんな環境で録音されたのか,ちょっとわからないのですが, 放送用のスタジオでアナウンス用のマイクで録音したような,そんな感じがします。

で,この理想的な録音に始めて出会ってみての感想。 やっぱりいい! やっぱりこの音で聴きたい! と心底思いました。 ただ,このような録音は鑑賞には向かないように言われていますが,確かにその通りかもしれないな,と思ったのも事実。 それでも私はこの録音は好きですし,同じように思う人も少なからずいると信じています(オーディオマニアでなくとも)。 (でも絶対大手レーベルからはこんな録音は出ないだろうなぁ...と思います)

P.S.

本CDも小説家秋山鉄さんのWebサイト「シャコンヌ狂時代」で知り入手できました。 有り難うございました。 (しかし,秋山さんの紹介文の中では,「残響を多めに取りこんでいるが」という記載があります。なぜ...?)

(記2008/03/12)

秋山さんからメールをいただきました。 有り難うございます。 秋山さんの持っているものは明らかに残響があり,しかもステレオであるとのことです。 なぜ内容が異なるのかよくわかりませんが,何らかの理由で途中から差し替えられたのではいかと思われます。 あるいは,CD-Rなので焼くものを間違えたのか... もしそうだとしても私にとってはラッキーだったと言えるでしょう。

(記2008/03/15)


ヴェラ・ヴァイドマン(Vera Vaidman)

レーベル 自主制作
収録曲 全集
録音データRecorded at a concert on 21 March 1999, Clairmont Hall, S. Rubin Academy of Music, Tel Aviv University.
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 自主制作 (輸入盤) (CD-R 2枚組)
備考 参考url: 公式Webサイト

緊張感のあるひたむきな演奏で,ソナタ第一番はやや抑え気味ですが, 徐々にライブらしい熱っぽさを帯び,シャコンヌで頂点に達しています。 ソナタ第三番以降は少し疲れが見えるものの,最後まで集中力を持続しています。 音に粘りと伸びがあり,和音の響きも美しく,控えめながらも表情豊かな音色が大変魅力的です。 バッハの誕生日に一日で全曲を演奏されたようですが,ライヴでこの演奏は立派です。(多少の傷はありますが...)

録音:

ホールの響きを少し伴っており,距離感も感じるものの,楽器音を明瞭に捉えており,印象はそれほど悪くありません。 音色は響きの影響を受けて多少抜けの悪さにつながっていますが,何とか許容範囲です。

曲間でブツッというノイズが入ることがあったり(パルティータ第一番), 曲の終わりで音が消える前にフェードアウトし拍手をつなげてしまっている(ソナタ第二番),など, 編集上の問題があるのが少々残念です。 また,もう少し会場の雰囲気を感じさせる雑音などの小さな音が聞こえていても良いはずなのに,ほとんど聞こえないため, 逆に不自然な感じがして妙な息苦しさを感じます(気のせいだとは思うのですが,微少レベルがカットされているような感じです)。

P.S.

本CDは,小説家秋山鉄さんのWebサイト「シャコンヌ狂時代」で知りました。 有り難うございました。 CDは,ヴァイドマン氏の公式Webサイトに記載のメールアドレスに連絡して送ってもらいました。 1セットUS $25(送料込み)でした。

(記2008/02/06)


ネル・ゴトコフスキー(Nell Gotkovsky)

レーベル RCA
収録曲 全集
録音データ1978年,1979年,1980年
使用楽器 G. B. Guadanini(1770) (モダン仕様)
所有盤 RCA RL 37406 (輸入盤) (*LP 3枚組)

キリッと引き締まったストレートで端正な秀演。 アクセントが丁寧で柔らかく,音色がニュアンス豊かで気品が感じられます。 技術的にも安定感があります。 どちらかといえば生真面目で地味ですが,素直に良いと思える演奏です。 二部形式の後半のリピートが全て省略されているのが残念です。

シャコンヌの中間部の終盤(201〜208小節)の和音の弾き方ですが,一般的には分散和音的に弾きますが(私の持っている楽譜でもarpeggioと書いてある), この演奏では通常の重音のように弾いています。 このような弾き方は始めて聴きました。

またパルティータ第一番AllemandeのDoubleは,後半のリピートが省略されているにもかかわらず6:13という遅さです(ちなみにシェリングは同じリピート省略で2:03!)。 これがこの曲の本来のテンポではないとは思うのですが,それでも弛緩せず聴かせるところなど,なかなかの実力者だと実感します。

録音:

やや響く環境下での録音ですが,楽器音主体に捉えているため明瞭感は良好で,印象は悪くありません。 とはいえ残響のまとわりつきと音色への影響は少々気になるレベルです。 録音が三年にわたっていますが,ばらつきはあまり感じられません。

P.S.

いつもお世話になっているT.Y.さんのご厚意によりこの貴重なLPを聴かせていただくことが出来ました。 有り難うございました。 いつかCDで復刻されることを期待します。

(記2008/01/14)


アレクサンダー・シュナイダー(Alexander Schneider)

レーベル MERCURY
収録曲 全集
録音データRecorded 1949 at Reeves Sound Studios, New York City.
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 MG10017-20 (輸入盤) (*LP 4枚組)
備考 シュナイダー氏は,ブダペスト四重奏団の第二ヴァイオリン奏者としても活躍されていたとのこと。

もうひたすら真面目でひたむきです。 小細工のないストレートで,かつ,引き締まった表現に好感を持ちます。 個性を前面に出す演奏ではないためか,かなり昔の演奏にもかかわらず古さはあまり感じません。 パルティータ第二番まではかなり良いのですが,ソナタ第三番で少々技術面での綻びが散見されます。 健闘されているのですが...ちょっと残念です。

録音:

古いLPなので,この音質はいかんともし難いものがあります。 しかし,帯域は狭いのですが,音の捉え方自体は悪くないので,鑑賞には十分堪えます。 編集の跡がはっきりわかってしまう不自然さが時折みられるのが残念ですが,当時の技術や機材のことを想像すると仕方ないかなとも思います。

P.S.

この貴重なLPですが,いつもお世話になっているMさんとT.Y.さんのお二方のご厚意により聴かせていただくことが出来ました。 有り難うございました。

(記2007/12/27)


ララ・セント・ジョン(Lara St. John)

レーベル ANCALAGON
収録曲 全集
録音データRecorded at Skywalker Sound, A Lucasfilm Company, Marin County, California; August 28-30, 2006, January 2-4, 2007.
使用楽器 Guadagnini "Salabue" 1779 (モダン仕様)
所有盤 AR 132 ANCALAGON (輸入盤)
SACDハイブリッド盤(SACD 5.0/SACD Stereo/CD Stereo)
備考 参考url: 公式Webサイト

これはかなり挑戦的(挑発的?!)です。 弱音を巧みに使った緩徐楽章から,アグレッシブに攻める急速楽章まで, 緩急や強弱を絶妙に織り交ぜつつ,ここまでやるかぁ...というくらい大胆です。 楽節や楽章の終わりから次に向かって飛び込んでいくやり方などを含め, いろいろな面で特徴があって,とにかく面白い。 (でも,ピッチが上擦らんばかりの強奏音はやりすぎじゃないか...)

とまあ特異な面に目が行きがちな演奏ですが,技術はしっかりしていますし, ニュアンスも豊かで,何より伸びやかで充実感に満ちたサウンドが素晴らしく思います。 楽器を気持ちいいほどに良く鳴らしています。 ただ,洗練されたスマートな演奏を期待していた私としては,やや下品な方向に走ってしまったところが大いに不満なのですが(^^;。

録音:

ルーカスフィルム社のスカイウォーカーサウンドという,おそらくスタジオでの録音。 残響感はそれほどありませんが,マイク位置がやや遠めなのか,反射音成分の被りが感じられ, 抜けが悪く鮮明さのない音質になってしまっています(直接音声分よりも反射音成分の方が多く感じられる)。 残響に汚されていないだけましで,目くじらを立てるほど悪くはないのですが,苛立ちを感じるのも事実。 せっかくのスタジオ録音(?)なのにこの音の捉え方は全くもってもったいないとしか言いようがありません。 残念です。 (以上,SACD Stereoでの試聴)

(記2007/11/20)


豊田耕兒

レーベル Victor
収録曲 全集
録音データ1971年4月20〜30日 川口市民会館
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 NCS-591-592 (P)(C)2007 Victor Entertainment, Inc. (国内盤)
タワーレコード企画盤(TOWER RECORDS VICTOR HERITAGE COLLECTION Vol.III "豊田耕兒の芸術" (オリジナルはLP Victor VX-70/72)
備考 参考url: TOWER RECORDS

緩急強弱の変化はほとんどありません。 ひたすらに高い緊張感を維持した,普遍性を追求するかのような精神性を感じさる演奏です。 確かに模範演奏的で,かつ,時代を感じさせるスタイルではありますが,決して単調でも退屈でもありません。 気合いのこもった音楽にただただ圧倒されるばかりです。 演奏上の傷は散見されるものの,この演奏の価値を落とすものではありません。

録音:

ホールでの録音ですが,直接音比率が高く,残響はわずかに感じられるものの, 楽器音にはほとんど影響を及ぼしておらず,極めて明瞭感の高い,そして楽器の質感がよく感じられる素晴らしい録音です。 とはいえ,わずかながら付帯音が感じられること, オーディオ的なクオリティとしてのクリアさが今一歩であること(マスターテープの劣化も多少感じられる),など本当に惜しいと思います。

音の捉え方としてはほとんどこれ以上望めないと思うくらいですが, このような音の捉え方をするなら,いっそのことスタジオでもっとクリアに録音して欲しかったと思います。 ホールで録音する意味があまり感じられません(わずかに感じられる響きはプラスに働いていない)。

と,少し不満を書きましたが,最近聴いた録音の中では飛び抜けて良いことには変わりありません。 残響のない録音がいかに素晴らしいかを再認識させてくれます。

(記2007/11/01)


渡辺玲子

レーベル TELDEC
収録曲 ソナタ第一番,第三番,パルティータ第二番
録音データ2000年12月,2001年2月,秩父ミューズパーク音楽堂
使用楽器 ストラディバリウス Engleman(1709) [日本音楽財団より貸与] (モダン仕様)
所有盤 WPCS-11101(8573-86404-2) (P)(C)2001 WARNER MUSIC JAPAN INC. (国内盤)
備考 参考url: 梶本音楽事務所

ビブラートを深めにかけた濃厚で気持ちのこもった音色が特徴で,全編,真摯で厳しい姿勢が貫かれています。 バッハ,あるいはバロックを意識した奏法は取られておらず, 自分が最も力を発揮できるやり方で演奏した,というように受け取りました。 不器用だけど(失礼...決して悪い意味ではないです)真面目で一途な日本人らしい演奏だなと思います。

録音:

残響過多の録音で(残響時間も長め),少し距離感があることもあり, 楽器音に大きく被って明瞭感,質感を大きく落としています。 楽器音のエッジは辛うじて感じられるので何とか許容範囲ではありますが, 残響のまとわりつきが鬱陶しく,雑味が混じって音色がくすんでしまったこの録音は, 全く私の好みではありません。 せっかくのいい演奏に何てことしてくれるんだ,と残念でなりません。

(記2007/11/01) 2回目
(記2002/05/15)


フリードマン・アマデウス・トレイバー(Friedemann Amadeus Treiber)

レーベル PODIUM
収録曲 ソナタ第一番,第二番,パルティータ第二番
録音データ1993年?(パルティータ第二番),1997年(ソナタ第一番,第二番)
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 WOW-002-2 (P)(C)1993 Friedemann Amadeus Treiber (輸入盤) (パルティータ第二番)
WOW-005-2 (輸入盤) (ソナタ第一番,第二番)
※併録曲:省略
備考 参考url: PODIUM (WOW-002-2WOW-005-2)

全体にテンポが速めで,かつ,起伏が大きく情緒に訴える傾向の強い演奏です。 緩徐楽章では要所要所に装飾が取り入れられています。 少し癖がありますが,演奏者の領域に聴き手を引き込む技術力・表現力が十分にあります。 好きかどうかは別にして,かなり楽しめます。 些細なことですが,ソナタ第一番のアダージョとフーガで,それぞれ一カ所,和音の音程が違うところがあり(半音高い音がある), そこを聴く度に少々違和感を感じます。

録音:

それぞれかなり録音状態が異なります。 パルティータ第二番は,まるでカセットテープの転写のようなエコーが聞こえます。 自然な残響なのか人工的なものなのかわかりませんが,かなり鬱陶しく感じます。 ソナタ第一番は,残響量がかなり多く,また楽器音への被りも多くて明瞭感が良くありません。 ソナタ第二番も同傾向ですが,第一番に比べると幾分ましです。

全体に残響過多で明瞭感が良くないのは共通しており,さらにモノラル気味(ソナタ第二番だけ完全モノラル)で, さらに印象を落としていると思います。 (モノラル自体が悪いわけではないのですが,楽器音と残響との聴感上の分離が悪い要因の一つになっているように感じます)

(記2007/10/09)


桐山建志

レーベル ALM Records
収録曲 全集
録音データ 2002年7月2日-7日(BWV1001),2002年7月5日-6日(BWV1005),2003年9月10日-11日(BWV1006),2004年8月17日-18日(BWV1002),2005年3月31日/2006年2月6日-8日/4月27日-28日(BWV1003,1004),山梨市花かげホール(旧牧丘町民文化ホール)
使用楽器 Minoru Sawabe, 1991 Tokyo (Model: J. Guarneri "Del Gesu" Cremona 1740) (バロック仕様)
所有盤 (Vol.1) ALCD-1048 (P)2003 (ソナタ第一番を収録)
(Vol.2) ALCD-1054 (P)2003 (ソナタ第三番を収録)
(Vol.3) ALCD-1065 (P)2004 (パルティータ第三番を収録)
(Vol.4) ALCD-1072 (P)2005 (パルティータ第一番を収録)
(Vol.5) ALCD-1087,1088 (P)(C)2006 (ソナタ第二番,パルティータ二番を収録)
ALM RECORDS / Kojima Recordings, Inc. (国内盤)
備考 『この全5巻シリーズは,ヨハン・セバスティアン・バッハの作品として今日に伝えられる「ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ」全6曲「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」全6曲と,そのチェンバロまたはリュートのための編曲版, および「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ」全2曲をひとつの大きなまとまりの中でとらえてみるべく計画された。』とあります。(Vol.1解説書より)
参考url: 公式Webサイト?

バロックヴァイオリンによる演奏ですが,奏法および表現はモダン楽器的で, バロックヴァイオリンでの演奏を聴いているという感じがほとんどしません。 全体に速めのテンポで推進力があります。 起伏は控えめで粘らず歌い込まず,どちらかと言えば,淡泊な印象です。 技術的にも隙がありません。 楽器の能力以上にドライブしようとしているような,締め付けられるような苦しげな音色に聴こえる時があるのが少々残念に思います。 これならモダン楽器で伸び伸びと開放感ある音色で演奏して欲しかった...と思うのは私だけでしょうか?

録音:

残響の取り込みがやや多めで,楽器音を主体に捉えつつも残響が被って精彩を欠いたすっきりしない音色になってしまっているのが残念です。 音の捉え方自体は悪くないとは思うのですが。 録音が多年にわたっており,多少のばらつきはありますが,全体の印象はそれほど変わりません。

(記2007/09/26) Vol.3-5を追加し全集盤扱いで記載
(記2004/02/06) Vol.2追加に伴い加筆修正
(記2003/11/05) Vol.1掲載


モーリス・スクラール(Maurice Sklar)

レーベル Maurice Sklar Ministries
収録曲 全集
録音データ1999年9月〜12月
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 (写真上) 品番なし (P)(C)2004 Maurice Sklar Ministries, Inc. (輸入盤) (CD 3枚組)
(写真下) 品番なし (P)(C)2000 Maurice Sklar Ministries, Inc. (輸入盤) (カセットテープ2本組)
備考 参考url: 公式Webサイト

極めてオーソドックスな路線。 全曲で約162分(CD2枚に収まらない!)というゆったりした演奏ですが,弛緩したところなど微塵もない充実した内容で, 謙虚な態度で臨む真摯で意欲的な演奏でありながら,厳しさに走らず,じわっと心に染み込んでいくような温かさが実に素晴らしいです。 こういうのが本物の「個性」なんじゃないだろうかと思います。 一部の急速楽章や難しいところでわずかに崩れることがあり,技術的に全く不満がないわけではありませんが, 逆に巧い(表現力がある)と感じるところも多くあり,全体的には技術面でも好印象です。

録音:

良く響く環境下での録音で,残響時間は少し長めです。 ただし,オンマイク気味での録音のため残響の影響は最小限で,楽器音を明瞭に捉えた好録音です。 私としては残響の多い環境での録音という点が不満で,残響のない環境で録音して欲しかったという気持ちには変わりありませんが, 残響を多く取り込んだ録音としては明瞭感も解像感も良く,楽器の質感をなかなかよく捉えており, 残響を取り込むなら,こういう音の捉え方をして欲しい,というお手本のような録音です。 残響の取り込みがやや多いということでとしましたが,実際のところの印象は実はもっと良いです。

印象は,CD,カセットテープともほとんど変わりません。 メディアの性能云々以前に,その素材となる音をいかに良く捉えるかの方がはるかに重要である,ということを再認識させられる録音です。

P.S.

CDとカセットテープで(C)の年が異なりますが,同じ演奏でした。 カセットテープには立派な解説書が付属していましたが,CDの方は,裏面に曲目リストが載ったカバーピクチャ1枚だけで, ちょっと寂しくなったのが残念です。

こちらの頁によると, 当初音楽家としての道を歩み,その後,クラシック音楽を通して神に仕えていく聖職者への道に進まれたようです。 解説書によると,ジュリアード音楽院やカーティス音楽院で学び, イヴァン・ガラミアンやドロシー・ディレイに師事して研鑽を積まれたとあります。 「シャコンヌをガラミアン先生の前で演奏した歳,涙を浮かべて素晴らしい演奏だった,と言葉をかけて下さったが, その三日後に心臓発作で亡くなられた。」という逸話も紹介されています。

この演奏を見つけた当初(2003年末頃),CDが品切れということで,カセットテープでも良いとお願いしていたところ, 約1年後に入手することが出来ました。 最近になってCDをオーダーしたのですが,これも入手までに約半年かかりました。 メールでの問い合わせに対する反応は悪く,すごく心配になってしまうのですが,最終的にはきちんと対応してくれています。

(記2007/09/26) CD追加と再レビュー
(記2004/01/16)


二村英仁

レーベル Sony
収録曲 ソナタ第三番
録音データ2001年5月22日 ソニー・ミュージックスタジオ
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 SRCR 2721 (P)(C)2001 Sony Music Entertainment (Japan) Inc. (国内盤)
タイトル:「時空(とき)をこえて(From the Past to the Present)」
併録曲:省略
備考 二村氏は,日本人で初めてユネスコが認定した『アーティスト・フォー・ピース(平和芸術家)』の称号を与えられたヴァイオリニストとのこと。
参考url: 公式Webサイト

キレのある大変威勢のいい,そして極めて個性の強い演奏です。 ヴィブラートをたっぷりかけ,ポルタメントやフラジオレットまで織り交ぜ,個性を色濃く出しています。 バッハを自分側にぐっと引き寄せ,自分の流儀で料理しているという感じで,これはこれで大変面白く, またその推進力に心動かされます。

一つだけどうしても納得できないのが,フーガの最後の音を途中で堂々と弓を返していることです。 オーケストラやコンチェルトのソロでは見たことがありますが(返しているのが音として聴こえないので許せる), 無伴奏では聞いたことがありません。 正直,この一音のために興ざめしてしまいます(些細なことですが...)。

録音:

残響というほどではありませんが,響きが楽器音に付帯音として加わり, 透明感,高域の伸びが損なわれて,ピュアな感じがせずすっきりしません。 楽器音自体はしっかり捉えられているので,全体の印象としては悪くはないのですが。 惜しいと思います。

(記2007/08/28)


レベッカ・ハルトマン(Rebekka Hartmann)

レーベル FARAO classics
収録曲 パルティータ第二番
録音データAufgenommen in den farao studios Februar 2006
使用楽器 Antonio Stradivari (1703) (by the German Foundation Musikleben) (モダン仕様)
所有盤 B 108029 (C)2006 FARAO classics (輸入盤)
併録曲:Hindemith/Sonate für Violine solo Op.11-6, Zimmermann/Sonate für Violine solo
備考 参考url: 公式WebサイトFARAO classics (B 108029)

緩急強弱を大きく取った,起伏に富んだ積極性のある表現が印象的です。 気配りが隅々にまで行き届き,音色,重音の響きも美しく,技術的にも全く申し分ありません。 モダン楽器ですが,どこかピリオド奏法的で,これがこの演奏を特徴づける最大の要因になっています。

録音:

残響が少しありますが楽器音に被ることはなく,極めて明瞭に解像感高く捉えています。 高域の帯域感も十分にあります。 やや刺激的な感じがありますが,私にはこれくらいがちょうど良く感じられます。

(記2007/08/09)


アリーナ・ポゴストキン(Alina Pogostkin)

レーベル PODIUM
収録曲 ソナタ第二番
録音データ記載なし
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 WOW-016-2 (C)2001 PODIUM (輸入盤)
併録曲:Hindemith/Sonate für Violine allein Op.31-2, Prokofieff/Sonate für Violine solo Op.115, Ysaye/Sonate Op.27-3, Milstein/Paganiniana
備考 参考url: 公式WebサイトPODIUM (WOW-016-2)

ヴィブラートをやや深めに効かせた熱っぽく艶のある音色に特徴があります(短い音にまでしっかりと付けられている)。 全体に荒削りですが,力強く堂々としている一方で,音のつながりの美しさなどの緻密さも持ち合わせています。 これがバッハにふさわしいかどうかは別にして,心をグッと掴む魅力があるのは確かです。

録音:

残響がそれほどあるわけではないのですが,響きが付帯音となって音色を濁しています。 悪いとまでは言いませんが,今ひとつすっきりしません。

P.S.

公式Webサイトを見ると,"Alina Pogostkina"(ポゴストキナ?)と名前の表記の最後に"a"が付いていました(昨冬は"a"はありませんでした)。 入手経緯については編集日録 2006年12月13日に記載しています。 PODIUMレーベルの扱いのあるアリアCDさん,CDショップ カデンツァさんに依頼すれば入手は可能と思います。

コンクールではかなり活躍されているようで,最近では,第9回シベリウス国際ヴァイオリンコンクール(2005年)で第一位とのことです。

(記2007/08/07)


ジャクリン・ロス(Jacqueline Ross)

レーベル Gaudeamus
収録曲 全集
録音データRecorded at St. Michael's Church, Highgate, London, 8 & 9 May and 1 & 2 June 2006
使用楽器 Andrea Amati, 1570, A=415Hz (バロック仕様)
所有盤 CDGAU358, CDGAU359 (P)(C)2007 Sanctuary Records Group Limited (輸入盤)
備考 参考url: Sanctuary Classics (CDGAU358, CDGAU359)

バロックヴァイオリンとしては中庸で受け入れやすい演奏だと思います。 緩徐楽章は速めで軽くさらっと流しています。 適度な起伏が心地よく,また音色も美しく,全体によくまとまっています。 ただ反面,強く主張するような演奏ではないので,印象が薄いというのが正直なところです。 私としては,三重音や四重音を十分鳴らさず短かく切り上げてしまう奏法や,その拍への入れ方など, 細かい点ですが少し馴染めないところがありました。

録音:

残響の多い環境での録音で,楽器音と残響は比較的分離されており,残響の質もそれほど悪くないので, 聴き苦しいということはありませんが,残響比率がやや高く,明瞭度の低下,音質の変化,残響のまとわりつきの鬱陶しさはそれなりにあります。 私の好みの録音ではありません。 オーディオクオリティは良好です。

(記2007/07/20)


スザーネ・ラウテンバッハー(Susanne Lautenbacher)

レーベル Vox Unique
収録曲 全集
録音データRecorded in Stuttgart, 1973-1974
使用楽器 記載なし(モダン仕様)
所有盤 SVBX 526 (C)2003 Vox Unique (輸入盤)
備考 Vox UniqueがVoxの過去の音源をCD-Rで復刻したもの。 2007年7月頃よりプレス盤に変更。

正統路線を極めたかのような堂々たる演奏! 何の迷いも感じられないひたむきな表現に,そして淀みのないテンポ感,静かな推進感に心奪われます。 深々とした,そして極めて充実した重音の響きの美しさ,一つ一つの音のつながりの美しさ, これはもう芸術的「技」としか言いようがありません。 技術的にはそれほどキレの良い演奏ではありません。 正直言って「あれっ?」という第一印象でした。 しかし,聴き進むにつれてそんな印象はどこかに吹っ飛んでしまいました。 なぜそんな不満を持ったのか,今となってはもう思い出せません。 味わい深い好演!

録音:

曲によって多少のばらつきがあります。 残響は多めですが,明瞭感,解像感は残響量の割には悪くありませんが, 音色はやはり残響が被って変化がみられ,また,全体にキンキンしています。 どことなく「古臭さ」を感じる音質です。 マスターテープの問題か,時折わずかに「ブッ」というような乱れが感じられるのが残念です。

P.S.

ジャケットもインクジェットプリンタで印刷されたもので,まるで海賊盤風ですが, Voxのオリジナルのマスターテープからきちんと復刻されたようで,音質も良好です。

注文は上記のWebpageに掲載されているメールアドレスにオーダーメールを送ります。 支払いはPayPalでした。 ショップではなく一個人とやり取りするような感じであること,オーダーしてから2週間くらい音沙汰がなかったことから, 本当に大丈夫か?と一抹の不安を覚えましたが,結局何のトラブルもなく無事入手出来ました。

(記2007/07/19) 一部修正
(記2004/07/16)

P.S.

最近は輸入CD店でも比較的安価に入手可能でした。 2007年7月頃よりCD-R盤からプレス盤に変更されましたので購入・確認してみました。 音声そのものはCD-R盤と全く同じようです(いくつかデータレベルで比較して完全一致しました)。 解説書等はインクジェットプリンタ出力から印刷に変わっていますが,記載内容は全く同じです。 本当に単にそのままプレス盤になっただけでした。

(記2007/07/19)


クリスティアン・テツラフ(Christian Tetzlaff)

レーベル hänssler CLASSIC
収録曲 全集
録音データHoff kirke (church) at Østre Toten, Norway, March/June 2005
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 CD 98.250 (P)(C)2006 hänssler CLASSIC (輸入盤)
備考 参考url: hänssler CLASSIC

推進力ある音楽の流れの中に柔軟性の高い自在な弓使いでニュアンスを織り込み, 節度を保ちつつも極めて情緒的で,オーソドックスでありながら現代的な印象をも受ける演奏です。 第一印象こそ線の細い印象を受けましたが,練り上げられたきめ細やかな,そして,確信に満ちた表現に, 聴くほどに共感を覚えていきます。 (でも,音楽の流れを乱す無理のある装飾の入れ方だけはちょっと...パルティータ第一番AllemandaのDoubleだけなんですが...)

録音:

少し残響が感じられますがまとわりつくようなことはなく,楽器音を主体にとらえた好ましい録音です。 ただ,その楽器音がクリアに聴こえるかというとそうでもなく,一枚ベールをかぶったような, 楽器の質感に触れられそうで触れられないもどかしさのような,すっきりしないものを感じます。 惜しいと思います。

(記2007/07/11)


クリスティアン・テツラフ(Christian Tetzlaff)

レーベル Virgin CLASSICS
収録曲 全集
録音データMarch & November 1993, St George's Brandon Hill, Bristol
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 TOCE-11597/98 東芝EMI株式会社 (国内盤)

全体に速めのテンポで,すっきりと端正にまとめられています。 推進力のある演奏ですが,決して乱雑になることなく,細部までコントロールが行き届いています。 どちらかと言えばオーソドックス,真正面から真摯に取り組まれた好感の持てる演奏です。

録音:

残響過多まではいきませんが,直接音成分よりも間接音成分がやや勝っており, 明瞭度が損なわれ,高域の抜けも良くなく,今ひとつすっきりしない録音です。

(記2007/07/11) 一部修正
(記2002/06/03)


ヴィヴィアン・ハーグナー(Viviane Hagner)

レーベル altara
収録曲 パルティータ第二番
録音データ14th-15th September 2005, Jesus Christus Kirche, Berlin
使用楽器 Stradivarius "Sasserno"(1717年製)(日本音楽財団から貸与)(モダン仕様)
所有盤 ALT1016 (P)(C)2005 Altara Music/Bonnier Music (輸入盤)
併録曲:Bartok/Sonata for Solo Violin Sz.117, Hartmann/Suite No.1 for Solo Violin
備考 参考url: 公式Webサイト

一音たりともおろそかにしない丁寧な弾き方が印象に残ります。 真摯に,謙虚にバッハの表現を追求し,自己の力量を全て出し切って完成させているように思います。 ジーグまでの4曲は控えめですが,シャコンヌでは感情がにじみ出し,熱気と高揚感が加わっています。 音色も細やかなニュアンスを持ち艶やかで美しく,技術的にも完璧で申し分ありません。 ただ,やや型にはまった感があり,もう少し何か惹きつけられるものがあればと思います。

録音:

かなり残響の多い録音。 ある程度の明瞭度は確保されているものの,残響音のまとわりつきによる音色への影響は避けられず, 聴き苦しい音になっています。 本来の音色が楽しめないのは非常に残念!

(記2007/06/08)


ヒロ・クロサキ(Hiro Kurosaki)

レーベル ORF
収録曲 パルティータ第二番
録音データ20. JUNI 2005
使用楽器 Giovanni Battista Rogeri, Brecia 1690 (バロック仕様)
所有盤 ORF CD 449 (P)(C)2006 ORF ALTE MUSIK (輸入盤)
SACDハイブリッド盤(SACD Multi-ch/SACD Stereo/CD Stereo)
カップリング曲:バッハ/ヴァイオリン・ソナタ ハ短調 BWV1017, ト長調 BWV1019(ヴォルフガング・グリュクサム(Wolfgang Glüxam)(Cembalo))
備考 トリゴナーレ音楽祭 ライヴ録音(Trigonale 2005
参考url: Ö1 Shop(o1@orf.at)

バロック・ヴァイオリンによる演奏。 フレーズや拍の頭に重きを置き,速い音型など端折ったように弾き飛ばして聴かせ(実際には端折られていないのですが), 微妙なテンポの揺らぎ(ギクシャクしているが不自然ではない)と強弱を駆使して,極めて彫りの深い情緒豊かな音楽を聴かせてくれます。 バロック・ヴァイオリンの醍醐味が堪能できる好演です。

録音:

ライヴ録音。 かなり残響の多い,そして残響時間の長い環境での録音で,その残響音の取り込みも多いのですが, 楽器音自体が比較的オンマイクで直接音主体で収録されており,残響音の被りがほとんどなく明瞭感は良好です。 残響のまとわりつきは鬱陶しく,また,少々音の捉え方が濃いものの,高域の伸びもあり, バロック・ヴァイオリンの質感も良く捉えられているので,印象は悪くありません。 残響成分の質感は悪くなく,残響が許せる方には好録音かもしれません。 低域側のレンジも広く,会場の雰囲気もリアルに感じられます。 録音レベルがかなり高いのも好印象です(他のCDを聴いた後に同じボリューム設定で聴くとあまりの大きさにびっくりします)。 併録のソナタのチェンバロも,音の立ち上がり,粒立ち,響きがリアルに美しく捉えられています。

(記2007/05/15)


ジョン・ホロウェイ(John Holloway)

レーベル ECM
収録曲 全集
録音データRecorded July and September 2004, Propstei St. Gerold
使用楽器 Ferdinando Gagliano, Napoli, 1760 (バロック仕様)
所有盤 ECM New Series 1909/10 B0007621-02 (P)(C)2006 ECM Records GmbH (輸入盤)
備考 参考url: 公式Webサイト, ECM New Series 1909/10

バロック・ヴァイオリンによる演奏。 弓使いが粘らず,また起伏も控えめであっさりしているので,淡泊な印象を受けます。 感情に流れず淡々と,しかし,適度な緊張感と推進力をもってひたむきに築き上げられる流麗で清涼感のある音楽に好感を持ちます。 音色も透明感があって美しく,また,重音・分散和音の表現がなめらかで,時折はっとするような響きが聴こえます。 よく練り上げられていると思います。 (でもちょっとこぢんまりとまとめすぎているかな...)

録音:

かなり残響量が多く,また残響時間も長く,響きが混沌としています。 楽器音自体は比較的しっかりと捉えられており,残響量の割に明瞭度は何とか保たれているものの, やはり楽器音へのまとわりつきが鬱陶しく,楽器の肌触りも失われており, 私としては許容限度を大きく越えています(残響が多い録音としてはましな部類に入るとは思いますが)。 オーディオとしての音質は悪くなく,残響が許せる方には良好な録音かもしれません。

(記2007/04/24)


斎藤アンジュ玉藻(Tamamo Ange Saito)

レーベル Art Union
収録曲 パルティータ集
録音データ2006年6月,7月,杉並公会堂
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 ART-3098 (P)2006 ART UNION RECORDS (国内盤)
備考 参考url: 公式Webサイト

意欲みなぎる力演で,荒削りながら直球勝負的に切り込む潔い表現が印象的です。 全体を貫くテンションの高さ(刺激的な音色)が,良くも悪くも聴き手にそれ相応の緊張感を要求してきます(もちろんそうでない部分もあるのですが,そういう印象ばかりが記憶に残ってしまうのです)。 これはこれで素晴らしいのですが... 柔らかさ,豊かさ,暖かさといった方向へも表現の幅を拡げ,押し切る音楽から脱却されていくことを期待します。 (ぜひライヴで聴いてみたい,と思う演奏ではあります)

解説書に音程にこだわっている旨の記載があるのですが, どちらかというと私にはしっくりこない部分の方が多いように感じます(旋律や分散和音で上擦って聴こえる時があります)。 また,技術的な詰めにも若干の不満が残ります。

録音:

少し響きを伴っていますが,残響時間は長くなく,残響で大きく明瞭感が損なわれていることはありませんが, 高域の抜けが良くなく,今ひとつすっきりしません。 惜しい録音です。

(記2007/04/09)


ワンダ・ウィウコミルスカ(Wanda Wilkomirska)

レーベル Connoisseur Society
収録曲 ソナタ第一番,パルティータ第二番
録音データRecorded by Connoisseur Society in New York City, NY in the mid-1960's
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 CD 4270 (C)(P)2006 In Sync Laboratories, Inc. (輸入盤)
カップリング曲:Bach/Partita No.1 BWV825, Partita No.2 BWV826 (João Carlos Martins, piano)
備考 参考url: Connoisseur Society

思いの強さが音としてにじみ出た熱演。 全体にテンションが高く,厳しい表情で貫かれています。 また緩徐楽章での雄大な表現も印象的です。 リピートが全て省略されているのが残念です。

録音:

やや多めの残響を伴っていますが,楽器音を主体に捉えて明瞭感を確保しており,どちらかといえば好ましい印象です。 時々バックグラウンドに「ゴー」というノイズ(?)が入ります。 部屋の外から漏れてきた音ではないかと思いますが,少々気になります(突然大きくなったりするのでびっくりします)。 マスターテープの問題か,時折音像が不自然に移動したり,不連続を感じたり,ボッというようなノイズを感じることがあります。 オーディオ品質はあまり良いとは言えません。

(記2007/03/28)



演奏:3.0
録音:3.5

ローナ・グローヴァー(Lorna Glover)

レーベル GLOBE
収録曲 全集
録音データ記載なし(1990年頃?)
使用楽器 Ilfredos Cappa of Taurini in 1720 (バロック仕様)
1980年にW. Boumanによってバロック仕様に改修,ネック,バスバー,指板などが交換されているとのこと。 チューニングはA=440Hz。
所有盤 GLO 6002 (P)(C)1990 Klass Posthuma Production v.o.f. (輸入盤)
備考 グローヴァー氏は1944年生まれ。 18世紀オーケストラの創設メンバー,Netherlands Ballet Orchestraのソロヴァイオリニスト。 モダンとバロックの両方を演奏。

バロックヴァイオリンによる演奏。 全体にテンポが速めで小気味よいと言えば確かにそうなのですが,どちらかといえばせかせかした感じが強いです(フレーズ間の「間」が若干詰まっているのが原因か?)。 一方でテンポの速さに反して,ここぞというところで音楽が沈滞してしまっているところも多々見受けられ, 良い印象を受けるところとそうでないところの落差が大きく,なかなか印象が定まりません。 技術面でももう少しキレがあると良かったのですが(そういうキャラクターなのかもしれませんが)。 バロックヴァイオリンらしいガット弦の質感の良く出た,エッジが効いてなおかつ透明感のある音色は好印象です。

録音:

音のとらえ方の異なるおそらく2種類の録音が混在しています。 後で録音し直して差し替えたのではないかと思いますが,楽章毎に全く印象の異なる録音が入れ替わるのはいただけません。 全体として,少し距離感があってモノラル的,残響少し多めに取り入れられていますが, その割には楽器音の質感がそれなりに良くとらえられており,印象は悪くありません。 そして,後で差し替えられたと思われる楽章は,よりオンマイクで明瞭感,解像感が高く,音色も自然でかなり良い印象です。。 後者の録音で統一されていれば私としては文句なしなのですが...惜しいです。

P.S.

N.M.さんのご厚意で聴かせていただくことが出来ました(解説書はA.I.さんから)。有り難うございました。 →やっと入手できました!(2006/11/29)

(追2006/12/13) やっと入手! ということで2回目...
(記2004/02/12)


CD image
演奏:3.0
録音:3.0

クリスチャン・フェラス(Christian Ferras)

レーベル Ages Records
収録曲 全集
録音データUSA , December 1977
使用楽器 記載なし(モダン仕様)
所有盤 Ages 509 008-2 (P)(C)2006 Ages Records (輸入盤)

真面目でひたむき,派手さはありませんが,芯の太い艶やかな音色で奏でられる力ある音楽に内なる情熱のほとばしりを感じます。 ただ,推進力,躍動感は薄く,また技術的精度という面で出来が今ひとつで(音程を探るところがあったり,しっくりこないときがある), 私としては少々不満が残ります(そういうことを目指した演奏ではないとしても...)。

録音:

曲毎に少しずつ傾向が異なりますが,総じて雑味の感じられる濁った音質です。 残響が特に多いというわけではないのですが,反響が被って音を濁しているように思います。 ソナタ第一番,第二番,パルティータ第一番がこの点で良くありません。 パルティータ第二番は少しマシですが,距離感があってこれで明瞭感を落としています。 また,シャコンヌだけ音の捉え方が異なります(左右の位相ずれが感じられる)。 ソナタ第三番はさらに遠くなって残響に埋もれ,最も良くありません。 極端に悪いものはないものの,どれを取っても今ひとつ冴えない録音で残念に思います。 また,たとえばソナタ第二番では,曲の途中で音場感が頻繁に変わったりすることもあり, さらに印象を悪くしています(録音そのものではなく編集上の問題と思われます)。

(記2006/11/21)


CD image
演奏:4.0
録音:3.0

スザンナ・ヨーコ・ヘンケル(Susanna Yoko Henkel)

レーベル the spot records
収録曲 全集
録音データRecorded July 24th & 25th, August 7th, 8th, 21st and 22nd 2004 at the minster St. Marien in KWS Klostergut Wiebrechtshausen
使用楽器 Giovanni Battista Rogerius from 1705 (モダン仕様)
所有盤 28869-4 (P)(C)2006 the spot records (輸入盤)
備考 参考url: ヘンケル氏公式Webサイトthe spot recordsCD Baby

現代的・都会的で洗練され,力感のある凛とした佇まいが印象的です。 全体に速めのテンポで,情緒表現は控えめに,憎らしいほど淡々と曲を進めていきます。 これがまたクール! 緩徐楽章の軽い弓使いも新鮮な印象を生み出しています。 技術的にも申し分ありません。 ニュアンスに富む音色も素晴らしいです。

一点残念なのは,後半のリピートの省略が多いことです。 前半のリピートは全て行われているので,聴いていて気になるというほどでもないのですが, なんとなく物足りなさを感じるのも事実。 最近の録音では全てリピートをされているものが多いので,ちょっと残念に思います。 (でも,ソナタ第二番Andanteの後半のリピートは行われています...2カッコがあるから?)

録音:

残響の多い,残響時間の長い環境での録音です。 楽器音へのまとわりつき,過去の音との混じり合いが鬱陶しく,音色へも大きく影響しているので, 私の好みの方向とは全く違いますが, 楽器音の輪郭,芯は,残響量の割にはくっきりしているので,まだ何とかぎりぎり我慢の範囲です。

(記2006/11/05)


CD image
演奏:3.5
録音:3.5

ジョン・キング(John King)

レーベル NALU Music
収録曲 パルティータ第三番
録音データRecorded 1996-98 at Paul Oldack Productions
使用楽器 ウクレレ
所有盤 NALU Music & Compact Discs (輸入盤)
カップリング曲:バッハ/無伴奏チェロ組曲第一番よりPrelude, Sarabande, Gigue, 無伴奏チェロ組曲第六番よりGavotte, 無伴奏チェロ組曲第五番よりGavotte, 無伴奏チェロ組曲第四番よりBourree, 平均率クラヴィーア曲集Book IよりPrelude BWV846, カンタータNo.147よりJesu, joy of man's desiring
備考 参考url: NALU Music(J.キング氏の公式Webサイト?)CD Baby

ウクレレによる演奏。 一瞬,ハープかと思うほどの美しい響き!(メロディーのそれぞれの音を違う弦で弾く「カンパネラ・スタイル」という奏法?による効果らしい)。 ウクレレがこれほど美しい響きを発する楽器だとは想像もしませんでした。 ちょっとした衝撃を受けました。

演奏も実にしっかりとしています。 撥音が力強く躍動感に富み,また,ときにふと繊細な表情をも見せる,その表現レンジの広さがこれまた素晴らしい。 個々の音の粒立ちもよく揃っていますし,難しいところでも余裕をもって表現する技術力の高さにも脱帽です。

しかし,実はカップリングで収められている無伴奏チェロ組曲の方がより溌剌としており数段出来が良く感じられます(特に第六番のガヴォット! これは4.0点を付けたい)。 無伴奏ヴァイオリンの方は全体に表現が小粒で遠慮がちなのが残念です。

楽器の音域やカンパネラ・スタイルのためか,音型に大きく手が入れられていますが,違和感を感じることはほとんどありません。 むしろ高域の美しい響きを積極的に活かした編曲部分もあって楽しく聴くことが出来ます。 無伴奏ヴァイオリン,無伴奏チェロのどちらもこの演奏で全曲を聴いてみたい...ほんと!

録音:

撥弦音を明瞭にとらえ,かつ楽器の響きをバランス良く取り入れた好録音です。 残響の取り入れも少なからずあるように思いますが,この録音においてはプラスに働いています。

残響が嫌いな私としては積極的に認めたくはないのですが... ただ,ウクレレやギターのような撥弦楽器では比較的気にならない場合が多いように思います。 もちろんあくまで直接音が主体で残響が楽器の響きを助ける補助的な取り入れ方がされている場合に限りますが。

(記2006/10/13)


CD image
CD image
演奏:4.0
録音:3.5

ドゥヴィ・エルリー(Devy Erlih)

レーベル ACCORD
収録曲 全集
録音データDisques Adès, 1969
使用楽器 記載なし(モダン仕様)
所有盤 476 9685, 476 9686 (P)1969 (C)2006 Universal Music Classics France (輸入盤)

激しく,人間臭く情をほとばしらせた熱演! 誰が何と言おうと己のやり方を頑固に通す信念に支えられたような力強さがあります。 緩徐楽章であっても力のこもった弓使いでグイグイと音楽を牽引し, 急速楽章では推進力に溢れ疾走していくのが最高! 細部にわたって練り上げる気などなく,自己の強い思いに忠実であれ,といったように感じられます。 こんな演奏なので技術的に万全でないところもありますが,そもそもそんなところを狙っておらず,何の欠点にもなっていません。 勢い任せのようでいて決して乱雑になることなく,一貫したスタイルとして確立しているところが立派です。

今の世の中,こんな個性むき出しの演奏はなかなか聴けません。 思わず一緒に熱くなってしまいます。 素晴らしい貴重盤復刻に感謝!

録音:

残響の少ない空間での録音(背景に多少の響きは感じられます),スタジオでの録音ではないかと思います。 響きに邪魔されることなく楽器音そのものを堪能できる,私の大好きな音のとらえ方の録音です(これを評価して3.5点に)。 ただ,マスターテープの質があまり良くないのか,鮮度が今ひとつであり, また強奏部で歪が感じられたり,ドロップアウトのようなエラーがあるのも残念です。

さらに,編集があまり上手くなく,リピートや曲の途中で不自然なつながり方をしているところが散見されるほか, 頭切れがあったり(ソナタ第一番フーガ), 質が一段落ちる楽章があったり(ソナタ第三番フーガ)と, 全体的にはあまり出来が良くないというのが正直なところです。

とはいえ,この音のとらえ方は魅力的! オーディオクオリティや編集の悪さをカバーして余りあるものがあります。 現代の残響まみれのデジタル録音よりはるかに音楽にのめり込めます。

(記2006/10/06)


CD image
演奏:4.0
録音:3.5

ヴィクトル・ピカイゼン(Victor Pikaizen)

レーベル МЕЛОДИЯ(Melodiya)
収録曲 全集
録音データRecorded in 1971
使用楽器 記載なし(モダン仕様)
所有盤 MEL CD 10 01000 (P)(C)ФГУП "Фирма Мелодия" (輸入盤) (5枚組)
カップリング曲:Paganini/24 caprices for violin solo, Op.1, Introduction and Variations on "God Save The King", Variations on "Pria ch'io l'impegno", Introduction and Variations on Non piu mesta from Rossini's "La Cenerentola", Mostras/"Caprice"(Recitativ and Toccata), Khachaturian/Sonata-monologue for violin solo, Levitin/Variations, Op.45, Vainberg/Sonata No.3 for violin solo, Op.126
備考 参考url: ピカイゼン氏プロフィール(仙台国際音楽コンクールWebサイトより)
参考url: hmv.co.jpの商品紹介

比較的落ち着いたテンポで,冒険することなく真面目にキッチリと演奏されています。 全体に緩急強弱は控えめで,急速楽章であっても疾走することなくひたすらインテンポで淡々と押し通しています。 しかし,決して退屈しないのがこの演奏のすごいところ! 内面から静かに深々と表現しようとする真摯で謙虚な姿勢が一つ一つの音ににじみ出しているかのようで, そうして発せられる凝集された音,意志のこもった音楽に釘付けにされてしまいます。

録音:

少し響きを伴っていますが,あくまで楽器音が主体であり,そこそこ明瞭感があります。 帯域感もあり,音色も自然で美しくとらえています。 ソロの録音として至極オーソドックスな印象を受けますが,私の好みに照らし合わせてもまずまずの好録音と言えます。 ソナタ第一番,パルティータ第一番が特に良く,あとの曲は響きが少し多めで鮮明度やや劣る印象です。

(記2006/09/15)


CD image
演奏:3.5
録音:3.0

ネマーニャ・ラドゥロヴィチ(Nemanja Radulovic)

レーベル TRANSART
収録曲 パルティータ第二番
録音データ2005年7月 ランス(フラヌリ・ミュジカル夏季音楽祭におけるライヴ録音)
使用楽器 ジョヴァンニ・バティスタ・グヮダニーニ1765年製作(モダン仕様)
所有盤 TR 136 (P)(C)2005 TRANSART (輸入盤)
輸入代理店:株式会社マーキュリー ※日本語解説書付き
カップリング曲:ミレティチ/無伴奏ヴァイオリンのための舞曲,イザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第二番,第三番,パガニーニ/奇想曲作品1より第一番,第十三番
備考 ラドゥロヴィチ氏は1985年,セルビア生まれ。
参考url: ラドゥロヴィチ氏公式Webサイトマーキュリー(輸入代理店)(※でも以前あったこのCDの情報が見あたりません...)

意気込みがそのまま音となって放出されているような,ライヴらしい熱演。 深いヴィブラートに,音がつぶれんばかりの(つぶれてしまっているところも所々あります)高い弓圧, 勢いある弓遣いで,濃厚に,そして,激しく感情をほとばしらせています。 それでいて,勢いに任せて乱暴になってしまうということがなく, 楽器をしっかりコントロールして表現しきっています。

このような野性味あふれる演奏,久しぶりに耳にする気がします。 全集をこの調子でやられると聴く方もつらいかもしれませんが, ライヴでパルティータ第二番だけ聴くなら,こんな演奏もありかなと。

なお,基本的にリピートが省略されているので(サラバンドの前半だけはリピートしていますが), あれあれっという間に曲が進んでしまって,この点だけは少し物足りず残念に思います。

録音:

ライヴ録音。 残響の取り込みは控えめで,直接音を明瞭にとらえています。 高域がわずかに落ち気味で,もう少し伸びが欲しかったところです。 もうほんのわずか近い距離感の方が私としては好みです。 とはいえ,ライヴとしては良い方ではないかと思います。 時折ブチブチ,ミシミシというノイズが入るのが気になります。

(記2006/08/30)


CD image
演奏:3.0
録音:2.5

アドルフ・ブッシュ(Adolf Busch)

レーベル Biddulph Recordings
収録曲 ソナタ第三番
録音データRecorded on 18 May 1942
使用楽器 記載なし(モダン仕様)
所有盤 80211-2 (P)(C)2004 Biddulph Recordings (輸入盤)
カップリング曲:Beethoven/Violin Concerto in D (with Fritz Busch conducting, the New York Philharmonic-Symphony, recorded on 9 February 1942)
備考 参考url: Biddlph Recordings

年代を思うと,思いのほか癖のない表現だなぁという印象です(間違った偏見は捨てないと...)。 細部まで磨き上げるというよりは,あくまで全体の大きな音楽の流れを重視したアプローチに思えます。 技術的には,フーガやアレグロ・アッサイで少しキレの悪さが見られ,表現についていけていないところがあるのが残念です。 癖がないといっても,やっぱりその当時のスタイル,奏者の個性が前面に感じられる演奏には違いありません。

録音:

モノラル録音。 楽器音自体は多少の残響を伴っているものの,音の芯はしっかり捉えられているように思います。 ただ,高域の帯域感が全くなく,詰まってしまっていて,生気が感じられないのが残念です。 どういう復刻なのかよくわかりませんが,この時期の録音とは到底思えないくらい驚くほどノイズがありません。 何らかのノイズ除去処理が行われているものと思われます。 精彩がないのはノイズ除去処理の影響かもしれません。 ノイズまみれでも構わないので,出来るだけ再生音そのままを復刻してくれる方が有り難いのですが...

(記2006/08/09)


CD image
演奏:2.0
録音:3.5

能宗さち

レーベル SC企画
収録曲 ソナタ第一番,パルティータ第二番,第三番
録音データRecorded September 2004 - April 2005 Kyoto
使用楽器 記載なし(モダン仕様)
所有盤 SC-0010 SC企画 (国内盤)
備考 能宗氏は大阪出身,東京芸術大学卒業(解説書より)。 京都JEUGIA 三条本店にて入手。 発売元/製造元がSC企画とありますが,自主製作ではないかと思います。 LIVEレコーディングで,つなぎ無しの一発録音,とあります。

失礼ながら正直なところ技術的にかなり苦しさがあります。 表現上,相当個性的な面があるのも確かですが,例えばソナタ第一番のフーガの三重音以上の奏法(グキッと完全に2つに音が分かれている)や弓をぶつけて弾く極端なスタッカートには, 好み・スタイル以前の疑問を感じたりもしますし,技術面からくるリズムの崩れなども散見されます。 そういった不満をとりあえず横に置いておいて...パルティータ第二番,第三番は最大限の力を発揮された充実感ある演奏に思いますが, それに比べてソナタ第一番が少々弾き込み不足という印象を受けます。

録音:

"LIVEレコーディング"とあるのですが,いわゆるコンサートを録音した"LIVE"ではないようです。 スタジオでの一発録りという意味ではないかと想像します。 残響がわずかに感じられますが,ほとんど気になりません。 音色に少し癖があり,少々キンキンしてはいますが,明瞭感,解像感の高い, 演奏を子細に伝えてくれる私好みの好録音です。 演奏者を身近に感じるアマチュア的な手作りの風合いのある音作りで,この点も好印象です。

P.S.

購入して始めて聴いたとき,このCDをどう紹介したものか...と少々頭を抱えてしまいました。 自分の演奏を広く世に問うというよりは,ご自身の研鑽の一つの目標としてこのCD制作に取り組まれてきたのではないかと勝手に想像しています。 そう思いながら何度も聴いていると,様々な不満は次第に薄れ,親しみがわき,応援したくなってくるから不思議です(録音が好みであるということも手伝っていると思います)。 今後一層の研鑽とその成果(ぜひ全集の完成を)を期待します。

(記2006/07/20)


CD image
演奏:3.5
録音:3.5

ローマン・トーテンベルク(Roman Totenberg)

レーベル MCS (Media & Communication Systems)
収録曲 全集
録音データ記載なし(1971年 Heidelberg)
使用楽器 記載なし(モダン仕様)
所有盤 Bestell-Nr. CD 99115 Vol.1, Vol,2, Vol.3 Media & Communication Systems GmbH Sachsen (輸入盤) (*3枚分売)
備考 トーテンベルク氏は1911年生まれ,ポーランド出身。

真摯で厳しく,堂々とした風格を持つ演奏であり, その密度の高い,緊張感の高い音楽は聴き応え充分です。 確信に満ちた力強いボウイングで推進力をもって奏されるフーガなど特に素晴らしく思います(ただ,パルティータ第三番までこの調子なのでちょっと疲れます)。 テンポは少し遅めですが(総演奏時間が160分を越え,CD2枚に収まりきらない), 遅さを全く感じさせない充実感があります。

録音:

各曲毎に少しずつ録音傾向が異なりますが,総じて残響が少なく,楽器音を明瞭にとらえた好録音です。 録音環境の反響音がすこしかぶって音色に影響しており, また,少し中低域の支えが弱く,現実感に乏しいのが少し残念です。 全体にやや古い感じのする録音ですが,明瞭感,解像感の高さもあって, 印象は悪くありません。

P.S.

録音年代がはっきりしません。 ステレオ録音で,"DAD"という表記(デジタル録音,アナログ編集)を信用すれば1980年代以降と思われるのですが, 音を聴く限りもう少し古いのではないかと思います。 もしご存じの方がおられましたらご一報いただけると助かります。

本盤は,いつもお世話になっておりますMさんよりeBayのショップから購入可能とご連絡いただき,無事入手することが出来ました。 有り難うございました。 現時点(2006/07/10)でまだ購入可能のようです。 (2008/03/04時点ではショップがなくなっています→下記参照)

(記2006/07/10)

録音データに関し,LPレコードを所有されているT.O.さんより,1971年 Heidelbergの録音であると教えていただきました。 有り難うございました。

(記2007/09/04)

M.Y.さんより,こちらのeBayのショップから購入可能とご連絡をいただきました。 貴重な情報を有り難うございました。

(記2008/03/04)


CD image
演奏:3.0
録音:2.0

アンリ・マルトー(Henri Marteau)

レーベル Caprice
収録曲 パルティータ第三番
録音データBerlin den 26 november 1912 & 14 februari 1913
使用楽器 記載なし(モダン仕様?)
所有盤 CAP 21620 (P)(C)1999 Swedish Broadcasting Corporation P2 and Caprice Records (輸入盤) (4枚組)
"The String Players, HENRI MARTEAU Swedish pupils & colleagues"
原盤:Deutsch Grammophon 47993-97 [2479 ah, 15038 L, 2480 ah, 15039-40 L]
備考 アンリ・マルトーとその弟子・同僚の演奏を集めた4枚組のCDで,マルトー氏の演奏はCD1に収められています。 私が所有している中で最も古いバッハの録音です。 hmv.co.jpにもリストアップされていますが, 現在入手可能かわかりません。

およそ100年前の録音で,どんな演奏だろうかと興味津々でしたが, スマートで現代においてもそのまま違和感なく通用するようなセンス良い整った演奏であることに驚きました。 特にPreludioのスピーディでキレのある演奏は聴きものです。 技術レベルも思いのほか高く(近年の演奏家には及ばないとしても),癖のない素直な表現に感銘を受けます。 歴史的演奏に対する見方(50年代以前の巨匠のスタイルが私の頭の中にイメージとして染みついています)が変わるほど, 私にはインパクトのある演奏でした。

録音:

SPの復刻で,盛大に針音が入っていますが,100年前近い古い録音にも関わらず, 細かいニュアンスまで聴こえてきそうな,十分に鑑賞に耐えうる録音です(もちろんSP復刻の音質であるという前提で)。 残響など皆無で,帯域は狭いものの音色も驚くほど自然です。 当時の録音環境は本当に貧弱でしたでしょうから,そんな中で最大限の情報量を残そうという努力の結果ではないでしょうか。 こんな良い録音で残されていたことを心から感謝します。

P.S.

本CDには,Göran Olsson-Föllingerというヴァイオリニストが演奏したバッハ無伴奏も収録されています(パルティータ第三番Preludio(1936年録音),同Gavotte en Rondeau(1942/43年録音))。

なお本CDは,いつもお世話になっておりますLBさんのご厚意によりお譲りいただき,聴かせていただくことが出来ました。 貴重なCDを有り難うございました。

(記2006/06/26)


CD image
CD image
演奏:3.5
録音:3.0

エレーヌ・シュミット(Hélène Schmitt)

レーベル Alpha
収録曲 全集
録音データ2004年9月 パリ,ノートルダム・ド・ボン・スクール病院礼拝堂
使用楽器 カミッロ・カミッリ製作(18世紀最初期)(バロック仕様)
所有盤 (写真上) Alpha 082 (P)2004 (C)2005 Alpha (輸入盤) (s1, p1, p2)
(写真下) Alpha 090 (P)2004 (C)2006 Alpha (輸入盤) (s2, s3, p3)
輸入代理店:マーキュリー(MAレコーディングズ販売)※日本語解説書付き
備考 参考url: Alphaマーキュリー(輸入代理店)

バロックヴァイオリンによる演奏。 緩急が激しく,彫りが深く陰影に富んだ語り口が印象深いです。 明確な意志のこもったアーティキュレーション,ロングトーンのふくらませ方,張りと透明感ある音色,楽器の鳴りが素晴らしく, 特に緩徐楽章は情緒豊かで強く心に響きます。 一方,テンポの崩しが急速楽章にも激しく及んでおり,疾走感が失われ音楽に乗り切れないところがあるのはとても残念です。 バロックヴァイオリンらしさを極めたような演奏で,一貫性があるといえばあるのですが, 緩徐楽章と急速楽章のコントラストがもう少しあってもよかったのではないかと思います。

録音:

残響量が多く,また,残響時間もかなり長い録音ですが,残響が楽器音に大きく被ることはなく,比較的自然な音色で明瞭にとらえられています。 響きの減衰も美しく,空間性を見事に表現していると思いますが, やはり響きが多すぎて楽器音へのまとわりつきが鬱陶しく,私の好みの録音ではありません。 しかし,楽器とマイクとの距離感,楽器音のとらえ方は適切ですし(演奏雑音も適度にとらえられています※1...呼吸音はちょっと大きいかな), 残響を許容すれば直接音と間接音のバランスは悪くなく, 「残響を取り入れるならせめてこうして欲しい!」という見本のような録音と言えます。 3.0点としましたが,印象はそれほど悪くありません。

CDのたすきに「天才技師ユーグ・デショーの自然録音でおくる……」などと書かれていますが,まあそれだけのことはあると思います。

※1 別に演奏雑音を有り難がっているわけではありません...念のため(^^);。 私にとって演奏雑音は,奏者との心理的距離感をぐっと縮め,親近感をもたらしてくれる一つの大切な要素なんです。 演奏雑音の全く聴こえてこない録音は,私には実在感が希薄でどこかよそよそしく,工業製品的な作り物のにおいがしてしまうのです。 何を音楽的と感じるかは人それぞれだと思うのです。 それにしても,シャコンヌの中間部での,呼吸に伴って発せられる声にはちょっとびっくりします(けっこう色っぽかったりします...失礼しました...)。

(記2006/06/09)


CD image
演奏:3.5
録音:4.0

ステファニー・マリー・ドゥガン(Stephanie-Marie Degand)

レーベル Intrada
収録曲 パルティータ第二番
録音データ2002年2月15,16,22,23,24日 パリ,サル・アデャル
使用楽器 ミッテンヴァルトのエゲディウス・クロッツ 1960年製作 a=415Hz (バロック仕様)
所有盤 INTRA002 (P)(C)2002 Intrada (輸入盤)
輸入代理店:マーキュリー(MAレコーディングズ販売)※日本語解説書付き
邦題:「無伴奏ヴァイオリンでたどる5世紀の旅」
カップリング曲:ビーバー/パッサカリア,パガニーニ/24の奇想曲より第5番,第15番,第24番,イザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番,第6番,タンギー/ソナタ・ブレーヴェ
備考 ビーバー(17世紀),バッハ(18世紀),パガニーニ(19世紀)はバロック楽器で,イザイ(20世紀),タンギー(21世紀)はモダン楽器で演奏されています。
参考url: マーキュリー(輸入代理店)

バロック楽器による演奏で,確かにバロック楽器に適した奏法で演奏されているのでしょうけど, 力強くシャープなボウイングでドライブされるその音楽は,どちらかといえば現代的に響きます(特に重音奏法など……少なくとも私にはそう聴こえます)。 確かな技術に支えられた推進力ある前向きな表現には胸がすく思いがしますし,透明感ある音色,重音の美しい響きには聴き惚れます。 でも...この演奏ならモダン楽器で聴いてみたい,と思うのは私だけでしょうか? これはこれで素晴らしいとは思うのですが。

録音:

奏者の存在を身近に感じることの出来る,実在感のある録音です。 あまり広くない空間での録音なのか,空間性を感じさせる反響が多少あるものの,残響と言える響きはほとんどありません。 楽器音を明瞭に,解像感高く,適度な距離感で捉えていますが(もう少し近めでもいいかも),反響のかぶりによる音色のくすみがほんのわずかに感じられるところが本当に惜しい!(4.0点はちょっとおまけです)

(記2006/05/26)


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演奏:3.0
録音:3.0

ザイーダ・レヴィン(Zaida Levin)

レーベル MSR Classics (Musicians Showcase Recordings)
収録曲 パルティータ集
録音データ記載なし
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 MS1047 MSR Classics (輸入盤)
備考 ザイーダ・レヴィン氏は,ニューヨーク出身。 解説書によると,現在はイタリアのウンブリア(Umbria)州ペルージャ(Perugia)で活動されているとのこと。
参考url: MSR Classicsの紹介ページ

緩急強弱は控えめで,破綻をきたさないテンポでキッチリと弾きこなしています。 誠実さが好印象である一方,あまりにもインテンポ過ぎ,教科書的で今ひとつ意図が伝わってこないように思います。 この路線を突き詰めるなら突き詰めるで,目指す姿を明確に打ち出す演奏であって欲しい。 技術的にキレの良くないところが所々ありますが,無理をしていないのでこの点はほとんど気になりません。

録音:

各曲で少しずつ録音状態が異なります。 パルティータ第三番は,残響があるものの直接音に大きく被ることがなく, 明瞭感があり,音色も自然で印象は悪くありません(ただ,すこしジリジリと歪むところがあるのが残念ですが)。 一方,パルティータ第一番,第二番は残響が直接音に被り気味で,明瞭感に劣り,音色もくすんで良くありません。 パルティータ第三番の録音で統一して欲しかったと思います(これなら3.5点を付けたかも)。

(記2006/04/26)


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演奏:3.5
録音:2.5

ジーノ・ヴィンニコフ(Zino Vinnikov)

レーベル IM Lab
収録曲 全集
録音データRecorded at the Lutheran Church of St. Catherine (St. Petersburg Recording Studio) between 26 February, 09 March 2004
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 IMLCD133 IM Lab (輸入盤)

力強くキリッと引き締まった,そして終始厳しい表情で貫かれた,真摯で緊張感の高い力演だと思います。 深いヴィブラートのかかった(そして感情の乗り移った)音色にしつこさを感じるところもありますが, 伸びのある充実した響きに聴き惚れてしまうところも多いです(特にソナタ第三番のアダージョやフーガの響きに感激)。 技術的なキレ,安定感も十分で,かなり大胆に弓を使って鋭いアクセントをつけていますが, しっかりコントロールされて崩れることがありません。 またアクセントの後の力の抜き方も絶妙で,個々の音の表情,つなぎのニュアンスも豊かで素晴らしいです。

録音:

残響時間のかなり長い環境で録音されており,響きのまとわりつきがかなり鬱陶しく感じられます。 音色も曇ってしまっていますし,かなり過去の音まで混じり合って混沌とした響きになってしまっているように思います。 直接音も何とか感じられないことはないのですが,残響過多で明瞭感に乏しいです。 私の我慢の範囲をわずかに越えています。 演奏に伴うノイズとは思えないジリジリという歪のような付帯音が感じられる曲があるのも残念です。

(記2006/03/15)


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演奏:3.0
録音:3.0

シェルバン・ルプー(Sherban Lupu)

レーベル Electrecord
収録曲 全集
録音データ記載なし
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 EDC 583/584 (P)(C)2003 Electrecord (輸入盤)
備考 ルプー氏はルーマニアのヴァイオリニスト。 現在,イリノイ大学音楽学部ヴァイオリン科教授。
参考url:ルプー氏公式Webサイト

要所でヴィブラートをしっかりかけ,情感をストレートに音に表出するタイプで, どちらかといえばモダン楽器によるオーソドックスで少し懐かしさを感じさせるスタイルに思います。 速めのテンポで推進感があり,果敢で意欲的な音楽作りが印象的に残ります。 起伏はそれほど大きくありませんが,勢いに頼ることなく個々の音に丁寧にニュアンスを与えて表現しているところも好印象です。 技術的なキレは今一歩という感じがしますが,表現力がそれを十分にカバーしていると思います。 (ちょっと濃いめの)味のある好演奏です。

録音:

少し残響感があり,少し残響音の被りの影響を感じますが,明瞭感を大きく損なうほどまではいっていません。 とはいえ,音色への影響は避けられず,高域の伸び感に欠けるくすんだ音になってしまっています。 それほど悪い印象はないとはいえ,3.5点を付けるには及びません。

あと,「チッチッチッ」音(ソナタ第二番フーガの最後), 「ブッ」音(パルティータ第二番アルマンドの1:18付近), など,製盤上の問題と思われるノイズが入ります(これ以外にも怪しいところが何カ所かある)。 工業製品としての品質があまり良くないように思います。

(記2006/02/28)


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演奏:3.5
録音:3.5

リチャード・トニェッティ(Richard Tognetti)

レーベル ABC Classics
収録曲 全集
録音データRecorded July and December 2004 at the Eugene Goossens Hall of the Australian Broadcasting Corporation's Ultimo Centre.
使用楽器 Violin by Giovanni Battista Guadagnini, Parma 1759, played on gut strings at Baroque pitch a'=415Hz. Bow by John Dodd, c. 1800, with a pernambuco stick and ivory frog and button. (バロック仕様)
所有盤 ABC 476 8051 (P)(C)2005 Australian Broadcasting Corporation. (輸入盤)
備考 トニェッティ(トネッティ)氏はオーストラリア出身,オーストラリア室内管弦楽団の芸術監督兼リーダーとのこと。
参考url:Buywell(オーストラリアの通販ページ)

バロックヴァイオリン(?)による演奏(ガット弦を張り,バロックピッチのA=415Hzにチューニングした,とあります)。 時折装飾が織り込まれています。 微妙なテンポの崩し,弓のスピードコントロール,力の抜き方が絶妙でニュアンスに富む豊かな表情を生み出しています。 全体に柔らかく軽いタッチで,明るく軽やかで優しい音楽に仕上がっています。 音色はやや細めですが,伸びがあり透明感があって美しく,荒れることはほとんどありません。 自分の思いを確実に音に変換する,技術力の確かさも感じられます。 バロックヴァイオリンの良さが現代的な感性で活かされた,そして,どこを切っても奏者の匂いが感じられる個性的な好演奏です。 表現が一貫しており,どう聴いて欲しいのかが何となく伝わってくる気がします。

録音:

ホールでの録音で,少し残響が感じられるものの,楽器音そのものは比較的近接で明瞭に,解像感高く,美しくとらえられています。 高域の伸び感も十分あり(ちょっときつめかも),音色も自然に感じられます。 もう少し残響を抑えて欲しかったところですが,残響の質も悪くないと思いますので, 私の好みの録音とは方向が違うものの,まずまず納得できる好録音です。 残響を取り入れるなら,せめてこういう音のとらえ方をして欲しいものです。

パルティータ第三番の第二曲以降,なぜか左右チャネルの相関が希薄になります。 ヘッドホンで聴いていると,頭がねじれるような違和感が走ります。 ちょっと残念です。

(記2006/02/01)


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演奏:3.0
録音:3.0

千住真理子

レーベル Victor Entertainment
収録曲 全集
録音データRecorded on January 18(BWV1001), August 5(BWV1002), March 23(BWV1003), September 27(BWV1004), May 16(BWV1005) & October 13(BWV1006), 1994 at PHILIA HALL, Yokohama
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 VICC-40229/30 (P)(C)1995 ビクターエンターテイメント(株) (国内盤)

この曲に対する強い思い入れが丹念に,丁寧に織り込まれています。 感情の起伏が音に,そして音楽の流れにそのまま大きな起伏となって表れているように思います(「熱っぽく」はありますが「激しく」ではないです)。 大きく共感を覚えるところもあれば,ちょっとやりすぎかなと思えるところもあり,表現が練り切れておらず, 少し感情移入に頼りすぎているのではないかという印象を受けます。

丁寧かつ思い切りの良いボウイングから出てくる音はなかなか聴き応えがあります(ソナタ第三番のフーガなど特に素晴らしく聴き惚れます)。 音色が少しざらついているのが残念です。 全体にゆっくりしたテンポであり,無理な表現をされていないので崩れることはないのですが, 技術的に詰め切れていない思えるところが散見されるのが惜しいところです。 この演奏,健闘されていますし,実は結構いいじゃないかと思ってしまったのですが,不満も大いにあるということで...

録音:

録音時期が1曲ずつ異なり,それぞれに音作りが少しずつ異なりますが,全体としては違和感はありません。 比較的近接での録音だと思うのですが,残響の取り込みが少し多めで,明瞭感が落ち,音色がくすんでしまっているのが残念です。 また,なぜかどの曲でも音に連動して「ジッ」という歪のような付帯音がまとわりつきます。 演奏に伴うノイズには聴こえないのですが...何でだろうと思います(複数の環境で同じように聴こえるので再生機器の問題ではないと思います...盤の劣化?)。 この点も印象が良くありません。

P.S.

1回目に2.0点という評を付けていましたが,改めて聴き直してみて,なんでそんな点を付けてしまっていたんだろうと思います。 長い間そのまま放置していて申し訳ありませんでした(でもやっぱりちょっと厳しめのコメントになってしまいました)。 千住さんは現在も精力的にバッハ無伴奏を演奏し続けておられるようで,今の千住さんがどのような演奏をされているのか興味深いところです。 この路線の演奏を突き詰めていって欲しいと思います(ぜひ再録音を!)。

(記2006/01/19) ※2回目
(記2002/05/09)


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演奏:3.5
録音:3.5

エルマー・オリヴェイラ(Elmar Oliveira)

レーベル Elan Recordings
収録曲 ソナタ第一番,パルティータ第二番
録音データ9/1988 at St. Matthew's Church, Hyattsville, Maryland
使用楽器 Antonio Stradivarius (1692) (モダン仕様)
所有盤 CD 2212 (P)(C)1989 Elan Recordings (輸入盤)
カップリング曲:Marutinu/Three Madrigales for Violin and Viola (Va: Sandra Robbins)
備考 参考url:オリヴェイラ氏公式Webサイト

至極オーソドックスな演奏に思います。 遅いテンポで一歩一歩踏みしめるように,丁寧に,慎重に演奏されているため, 音楽が前に流れず歯がゆい思いをしたり(ただし,ソナタ第一番のPrestoとパルティータ第二番のGigaは推進力に満ちていて素晴らしい), 楽節(?)の終わり毎に見栄を切るように拍をのばしたりするところに野暮ったさを感じることもありますが, 音楽を丹念に緻密に仕上げていく姿勢には心打たれるものがあります。 さらに,磨き上げられた強靱な鋼を連想させる,硬質で渋く輝く音色が大変魅力的です。 少しスタイルの古さを感じますが,地味ながらも高い技術力に支えられた生真面目な演奏はやっぱりいいなぁ,と素直に思います。

録音:

教会での録音のようですが,残響はそれほど感じられません。 ただ,比較的初期の反射音成分が多いのか,音色が少しくすんでいます。 楽器音を解像感高くとらえているだけに,この音色のくすみは残念です。 私の好きなタイプの録音なので3.5点としましたが,もう少しクリアにとらえて欲しかったと思います(大おまけです)。

(記2006/01/06)


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演奏:3.5
録音:2.5

アラ・マリキアン(Ara Malikian)

レーベル Warner Music Spain
収録曲 全集
録音データ不明
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 5046701432 (P)(C)2003 Warner Music Spain, S.A. (輸入盤)
備考 参考url:マリキアン氏公式WebサイトEl Corte Ingles(スペインの通販サイト)

モダン仕様のヴァイオリンによる素直な演奏ですが,重音を分散和音的に,そして一番上の音だけをふくらますような弾き方にピリオド奏法的なところも感じます。 全般に落ち着いたテンポで丁寧に演奏されており,重音もアクセント的に一気に弾き鳴らすことはせず, 音楽の流れよりも美しく響かせることに主眼が置かれているように思います。 その結果,音色もとても伸びやかで美しく印象が良いのですが,逆に特にフーガなどで音楽が少し沈滞するように感じられるところもあり, 痛しかゆしというところです。 一方,ソナタの終楽章などの急速楽章は前向きなテンポがとても気持ち良く,落ち着いた中にも適度な変化,緩と急のコントラストが明確にあって, 最後まで楽しく聴くことができました。

録音:

残響時間のやや長い環境での録音ですが,楽器音を比較的近接でとらえているので,明瞭感,解像感は良好で, 残響量の割に印象の良い録音です。 音色は残響の影響を受けてやや変化が感じられるのが惜しいと思いますが,残響が許せる方には好録音であると思います。

ただ,なぜか強い音で歪んでいます。 貧弱な再生機器で,能率の低いヘッドホンを無理矢理ドライブしたときに発生する,あんな感じのざらついた付帯音がまとわりつきます。 複数の機器で同様に発生していますので,録音側の問題だと思います。 これがなければ3.5点を付けるところですが,この分を差し引いて2.5点としました。 残念です。

(記2005/12/16)


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演奏:3.5
録音:4.0

シュムエル・エルバス(Shmuel Elbaz) (*マンドリン)

レーベル 自主製作
収録曲 ソナタ第一番,パルティータ第一番,第二番
録音データEshel Studio, Tel Aviv, October 2003
使用楽器 記載なし(マンドリン)
所有盤 品番なし (P)(C)2004 Shumuel Elbaz. (輸入盤)
備考 エルバス氏は,1966年イスラエル生まれのマンドリン奏者で,Kerman Mandolin Quartetのメンバー。 参考url:CD BabyのCD紹介ページ

クラシックマンドリンによる演奏。 マンドリンは調弦がヴァイオリンと同じ(はず)なので,編曲はほとんどされていないと思います。 マンドリンというと,トレモロ奏法を思い浮かべてしまうのですが,この演奏ではトリル以外では使われていません。 全体的にはどちらかというとブルーグラスのマンドリンの印象に近いです(私だけかも)。

演奏は意外にも(失礼!)たいへんしっかりしており,技術的安定感がありますし,細部の表現にまで気配りが行き届いています。 速いパッセージでも崩れることなく,気持ちのよいテンポで弾ききっています。 音そのものにも力があり,決して平板になることなく活気ある音楽になって耳に届きます。 そして,マンドリンの気楽で素朴な響きと,どちらかというと堅いバッハの音楽とのアンマッチがまた楽しい! 緩徐楽章などももたれることなくサラッと弾き流していますし, スチール弦のシャーンという透明感ある美しい響きを活かした和音なども聴きものです(シャコンヌのあの延々と続く分散和音など!)。

録音:

若干残響がありますが,楽器音はオンマイクで極めて明瞭にとらえられており, 高域の伸び感も十分にあり,音色も自然で申し分ありません。 マンドリンという楽器そのものの美しい響き,ピッキングのニュアンスを良くとらえた好録音です。 もう少し残響を抑えてくれればなお良かったのですが,楽器音そのものをほとんど邪魔していないので十分に許せます。

P.S.

使用されているマンドリンはクラシックマンドリンのようですが,私の知っている底の丸いものではなく, ブルーグラス等で使われているようなフラットマンドリンのような底の平らな形をしているようです。 タイトルにVol.1とありますが,Vol.2はまだ発売されていないようです。 Vol.2にも期待します。

(記2005/11/22)


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演奏:4.0
録音:3.0

ギドン・クレーメル (Gidon Kremer)

レーベル ECM
収録曲 全集
録音データ2001年9月25日-29日 ロッケンハウス,聖ニコラウス教会(BWV1002,1004,1006),2002年3月10日-15日 リガ(BWV1001,1003,1005)
使用楽器 Giuseppe Guarneri del Gesu, the "Ex-David" from 1730 (モダン仕様)
所有盤 UCCE-9068/9(UCCE-2045/6) (P)(C)2005 ECM Records GmbH (国内盤)
発売・販売:ユニバーサルミュージック株式会社
備考 クレーメル氏2回目の全集録音。

強いアクセントを伴う(彼らしい)思いっきりの良い奏法が基調ですが, 絶妙な緩急強弱で実に多彩なニュアンスが織り込まれ, 広大な大地の地平線を眺めているような,果てしない表現世界が目の前に広がります。 様々なエピソードを語るようにそれぞれの楽章が描写され, 全体として六編の壮大な物語を構成するかのような一貫したストーリー性さえ感じられます。

難所を全く感じさせない曲運び,一挺のヴァイオリンから出ているとは思えない和声の響き,声部表現など, テクニックは冴え渡っていますし,楽器の持つ能力を極限まで引き出すようなダイナミックレンジの広い鳴らしっぷりも見事です(従って,やはり音色はどちらかと言えば刺激的で美しくはないですが...というか,そもそも美しい音を出そうという気がない?)。 しかし,この演奏においては,こういった表面的な要素よりも,内面的な要素が強くにじみ出ているように感じられます。

この演奏,彼が長年様々な試みを通して培ってきた表現力がいかんなく発揮されたオリジナリティの強い音楽であり, そしてまた現代的感性で磨き上げられた紛れもないバッハでもあると思います。 この曲の表現可能性はまだまだ無限にあるんだということ,様々な解釈や表現を受け入れる極めて懐の深い音楽なんだということを, 改めて思い起こさせてくれます。

しかし,私は,この演奏を素晴らしいと思いつつも,どこか得体の知れぬ薄気味悪さを感じ, 実のところ諸手を挙げて賞賛する気になれないでいます...ごめんなさい... いつか真に理解できる日がやってくるのだろうか...

録音:

よく響く環境で録音されており,残響がかなり多く取り入れられています。 楽器音は比較的明瞭にとらえられており,また,残響の質も悪くないため,残響量の割には印象は悪くなく, 豊かな響きを好む方には好録音と言えるかもしれません。 しかし,やはり残響過多で楽器音への被りによる音色への影響は避けられず, 変にギスギスしていますし,残響のまとわりつきも鬱陶しく感じられます。 残念ながら私の好みからは大きく外れます。

二ヶ所で録音されていますが,録音の傾向はほぼ同じで,通して聴いても全く違和感がありませんが, どちらかと言えば,リガでの録音よりも聖ニコラウス教会での録音の方が響きが素直で多少良いように感じられます。

P.S.

クレーメル氏の20年ぶりの再録音ということで,一体どんな演奏が聴けるのか, 期待と不安が入り交じる複雑な心境で聴き始めました。 そして,ある意味,至極まっとうに年齢を重ね成長されたんだという当然の結果に, ちょっぴりさびしさを感じてしまいました(私は一体何を期待していたのか...あぁ情けなや...)。

(記2005/11/18)


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演奏:4.0
録音:3.5

ギドン・クレーメル (Gidon Kremer)

レーベル Philips
収録曲 全集
録音データ1980年3月23-29日(BWV1001,1002),1980年2月5-6日(BWV1003,1005),1980年6月14-16日(BWV1004,1006),オランダ,ハーレム,ルター教会
使用楽器 ストラディヴァリウス?(詳細な記載なし)(モダン仕様)
所有盤 PHCP-20360/1(454 325-2) (P)1981 Philips Classics (国内盤)
発売・販売:ユニバーサルミュージック株式会社
備考 クレーメル氏1回目の全集録音。

多少の弓の暴れなど何のその,前のめりに曲をドライブする,とにかくこの尋常でない推進力に圧倒されます。 しかし,単に勢いだけに頼ったり,その技術力に溺れたりした演奏では決してありません。 一つ一つの音には明確に意志が込められ(緩徐楽章でさえ!),確信に満ちた揺るぎない表現を貫いています。 そして,力強く鋭い弓使いで,異次元の響きと動感を獲得することに成功しています。

表現も音色も極めて刺激的で反発を覚えることもありましたが, 真正面から真摯に取り組み,卓越した技術力で思いの丈をストレートに具現化しようとするその姿勢に, 素直に共感・感動できる快演でもあります。

録音:

比較的オンマイクで明瞭に楽器音をとらえた好録音です。 わずかに響きを伴っており,すっきりしない面が残りますが, それでも解像感高く細部までしっかりと伝えてくれます。 あともう一歩というところ。 惜しい!

P.S.

LPの時代,シェリング盤の次に購入した思い出深い演奏です。 あまりの強烈さになかなか受け入れることが出来ませんでしたが, 今では最も気に入っている全集の一つとしていつも手元に置き,聴き続けています。

(記2005/11/18) ※2回目
(記2002/05/30)


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演奏:3.5
録音:3.0

ポール・ズーコフスキー(Paul Zukofsky)

レーベル Vanguard
収録曲 全集
録音データ1971, 72
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 VSD 71194/6 Vanguard (輸入盤) (*LP)

猛烈とも思える推進感に圧倒される演奏です。 急速楽章では破綻・崩壊寸前のぎりぎりのところ狙っているのか,ばく進的テンポ設定に度肝を抜かれます。 最初は乱暴とも思える弾きっぷりに反発を覚えましたが,何度も聴いているうちに粗さは気にならなくなり, 勢いある表現に惹きつけられるようになりました。 そうなってくると,逆に,比較的落ち着きのあるパルティータ第一番,ソナタ第二番などはちょっと物足りなくなってきます。 不思議なものです。

録音:

曲ごとに少しずつ録音の質が違い,2.5〜3.5程度のばらつきを感じます。 パルティータ第三番が残響感もほとんどなく生々しい録音で最も好ましいです。 一方パルティータ第一番,ソナタ第二番,第三番はあまり良くなく,やや距離感があり,響きが被って明瞭感が落ち,音色も曇りがちです。 パルティータ第三番の録音で統一して欲しかったところです。

P.S.

ズーコフスキー氏は1943年生まれ,アメリカ出身。 私が探した限り,CD化されていないようです。 なかなかの快演ですので,ぜひCD化してほしいところです。 →CD化されました!(下記参照)

(記2004/04/08)(改2005/10/20)


CD image
演奏:3.0
録音:3.0

ヴァータン・マヌージアン(Vartan Manoogian)

レーベル University of Wisconsin-Madison School of Music
収録曲 全集
録音データ記載なし
使用楽器 Joannes Baptista Guadagnini (1747年製) (モダン仕様)
所有盤 品番なし (C)2004 University of Wisconsin-Madison School of Music (輸入盤)
備考 参考url: UW-Madison School of Music Online CD Store

一つ一つの音のキレの悪さ,音程の甘さ,リズムの崩れなど,技術面での不満は大いにあります。 しかし,こういった弱点を持ちながらも,果敢に表現に挑戦し,そのスピード感ある前向きな流れに圧倒される曲, 雄大で深みある表情を持つ曲など,感銘を受ける曲がいくつもあります。 一方で,やはり技術的弱さからくるギクシャク感が勝ってしまう曲もあり,出来不出来の差が大きく, 結果,全体的に大味な印象を受けてしまうのが残念なところです。

録音:

残響感が少し多めにありますが,楽器音そのものは比較的しっかりととらえられており,この点では好ましく思います。 しかし,響きそのものに癖があり,量は少ないものの付帯音となってまとわりつきます。 また,これが音色の癖,高域のヌケの悪さにもつながっていると思います。 オーディオ品質に関しても,少し歪み感が多いように感じられ,クオリティも今ひとつという印象です。 曲によって少しずつ録音の傾向が異なり印象も異なりますが,総合的に見て上記のように感じられます。 前半3曲が幾分マシ,それに比べ後半3曲がやや落ちるように感じられます。

P.S.

読み方は,「ヴァルタン・マヌーギアン」かもしれません。 マヌージアン氏は,ジュリアード音楽院を経て,スイス・ロマンド管弦楽団のコンサートマスターを務め, 現在,University of Wisconsin-Madison School of Musicの教授とのこと。

(記2005/10/18)


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演奏:3.5
録音:3.0

高橋満保子 (Victor 2001) (全集)

オーソドックスなスタイルの演奏です。 音楽の密度の高さ,一つ一つの音の移り変わりのニュアンスの豊かさ,ふくよかで暖かい音色など, 実に充実感ある音楽を聴かせてくれます。 技術的には,全体に今ひとつキレに欠け,稀ではありますが音程がばらけてしまうように感じられるところがあるなど若干の不満が残りますが, 真面目でストレートなバッハとして聴き応え十分の好演奏に思います。 最初は何の変哲もない普通の演奏に聴こえたのですが,聴き込むうちにだんだんその良さがわかってきました。

録音:

やや残響が多めに取り入れられています。 楽器音自体はしっかりととらえられており,明瞭感は悪くありませんが, 残響の影響で音色のくすみ,ヌケの悪さが感じられますし,残響のまとわりつきが気になります。 CD1とCD2では,CD2の方がやや間接音比率が高く,楽器音が響きに埋もれがちであり,若干印象が良くありません。 正直なところ全体的な印象はそれほど悪くないのですが,やはり私の好みとは離れており,少し厳しいとは思いましたが3.0点としました。

所有盤:

NCS-393-394 (P)2003 Victor Entertainment, Inc. (国内盤)
録音:2001年4月11, 12日/5月23, 24, 25日 バッハホール

P.S.

高橋満保子氏は,京都出身,1970年のチャイコフスキー・コンクールでディブロマ賞を受賞, 現在,神戸女学院大学音楽学部非常勤講師。 製造元はビクター・エンターテイメントですが,自主製作的なCDではないかと思います。

(記2005/10/03)


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演奏:4.0
録音:3.5

ルミニッツァ・ペトレ(Luminitza Petre) (自主制作 録音不明) (全集)

モダン楽器による正統路線の演奏です。 緩急強弱はあくまで控えめ,聴き手に強くアピールするタイプではなく, ひたむきに,誠実に音楽を創り上げていっているように感じられます。 確かな技術をもって,力強く揺るぎない,そして見通しの良い音楽を構築しています。

しかし,そういった演奏でありながら,息苦しさがなく,緊張感を強いられることもありません。 一つ一つの音符に込められた細やかな表情が,端正で気品ある演奏の中にほのかに情緒を漂わせ,聴き手を暖かく包み込んできます。 心の動きがそのままアーティキュレーションとして音楽に織り込まれていく, 奏者と呼吸を共にするような,そんな自然で豊かな表現力が素晴らしいです。 伸びのある艶やかな音色,重音の響きの美しさも特筆できます。

さらに,全曲を支配するテンポ感の良さ,特に速い楽章での推進力! 淡々としたインテンポ感の強い着実な曲運びの中に感じられる独特のドライブ感, 緩徐楽章での情感豊かな表現とのコントラスト,実に気持ちがいいです。

伝統的なスタイルの中に,控えめに,しかし,くっきりと,奏者の言葉が刻み込まれています。 完成度が云々といった言葉では到底語り尽くせない魅力にあふれています。 「表現する」とはこういうことなのかと,目から鱗が落ちる思いです。 素晴らしいです。 感動しました。 (ちょっとほめすぎか...)

録音:

残響がやや多めに取り入れられている録音ですが,明瞭感,解像感は比較的良好です。 楽器音そのものが適度な距離感をもってしっかりと,肌触りがわかるほどにとらえられています。 とはいえ,やはり響きの音色への影響は避けられず,今ひとつスキッとしない面が残ります。 私の好みではないのですが,残響量の割に印象が悪くないため3.5点としました。 しかし,もう少しすっきりととらえて欲しかったと残念に思います。 惜しい録音です。

なお,パルティータ第二番シャコンヌで,0:34〜0:39の約5秒間,位相に乱れがあり, 左右チャンネルがほぼ無相関になっています(リサジュー波形でも確認)。 なぜこんなことになっているのかよくわかりませんが,明らかに違和感を感じます。 ちょっとしたことですが,残念です。

所有盤:

品番なし (ラ・ヴォーチェ京都 PLV-1001) (輸入盤)

P.S.

ペトレ氏は,ルーマニア出身。
ラ・ヴォーチェ京都によると, 「S. ゲオルギュとZ. ブロンに師事し,現在バーデン=ヴュルテンベルグ州立歌劇場(シュトゥットガルト)のコンサートマイステリンとして活躍中」とのことです。 使用楽器はマッテオ・ゴフリラー(Matteo Gofriller 1628)。

(記2005/09/20)


CD image
演奏:4.0
録音:3.0

ユリア・フィッシャー(Julia Fischer) (Pentatone 2004) (全集)

要所要所でのアクセントやテンポの揺らし方に個性的な側面が感じられるものの, 全体としては,過度の感情移入や個性的表現を避け,モダン楽器らしい端正で素直な表現によって, バッハの音楽の表現のあり方を追及しているかのように感じられます。 技術的にも全く隙がなく,確信に満ちた足取りで淀みなく躍動的に音楽が流れる様は圧巻です。 伸びやかなボウイングから繰り出される響きの美しい音色も素晴らしいです。

現在までに築かれてきたモダン楽器によるバッハ演奏を完全に消化し, スタンダード路線の極めて完成度の高い音楽を構築していると思います。 今後,「彼女らしさ」を加えて,個性的な演奏へとさらに発展させていって欲しいと思います。

録音:

SACD Stereoでの試聴。 残響時間が長いというわけではありませんが,初期反射より少し遅めではないかと思われる間接音比率が高く,明瞭感に悪影響を及ぼしています。 楽器音に濁りが生じ透明感がなく,中域に付帯音が感じられ,高域の伸び感のないくすんだ音色になってしまっています。 演奏が素晴らしいだけに,このすっきりしない録音は本当に悔しく思います。

CD層は録音レベルが少し低く,最後の1ビットがほとんど遊んでしまっています。 もう3dBくらいは上げられるのではないかと思います。 少しもったいない気がします。

所有盤:

PTC 5186 072 (P)(C)2005 PentaTone Music b.v. (輸入盤) (※東京エムプラス直輸入盤)
Recording venue: Doopsgezinde Singelkerk, Amsterdam, 12/2004
SACDハイブリッド盤(SACD Multi/SACD Stereo/CD Stereo)

P.S.

フィッシャー氏は,1983年ドイツ,ミュンヘン出身。 国際コンクールでの優勝歴が8回あり,そのうち3回がなんとピアノによるものとのこと。 このバッハはフィッシャー氏21歳での録音。

このCDには,フィッシャー氏のインタビューと, パルティータ第二番のサラバンド,ジーグの録音風景を収録した特典DVDが付属していました(限定盤)。

(記2005/08/29)


CD image
演奏:3.0
録音:3.0

コーネリア・レシャー(Cornelia Loscher) (ORF 2004) (パルティータ第一番)

リズムを際立たせるような,独特の崩し方,緩急の付け方に特徴があります。 曲を手中に収め,入念にコントロールしているかのように感じます。 独自性を出そうという気持ちはよくわかるのですが,私としては今ひとつしっくりとせず, 少々聴き疲れしてしまうのが残念なところです。 決して悪い演奏ではないのですが,もう少しなにか惹きつけられるところが欲しかったと思います。

録音:

残響はそれほど多くないのですが,初期反射音の割合が多いのか,音色に透明感がなくすっきりしません。 やや距離感があり,明瞭感も今ひとつ良くありません。 惜しいと思います。

所有盤:

ORF CD 380 (P)(C)2004 (輸入盤)
"Solo ... spielt die Ö1-Geige"
カップリング曲:イザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタ ト短調 op.27 Nr.1, アラン・リド/牛のフェルディナント(語りとヴァイオリンのための), ブーレーズ/無伴奏ヴァイオリンのための賛歌

P.S.

レシャー氏に関する情報がほとんど見つかりませんが,
CDショップ カデンツァによると, 1980年ザルツブルグ生まれとのこと。 リドの曲では,弾き語りに聞こえますが,本人の語りかどうか定かではありません。

(記2005/08/16)


CD image
演奏:3.0
録音:2.0

ジル・コリャール(Gilles Colliard) (EMEC 2003) (全集)

バロック仕様のヴァイオリンによる演奏ではないかと思います。 緩急,強弱を巧みに利用して表情豊かに表現されています。 アタックを抑えた柔らかなトーン,響きが心地よいです(もちろん残響のことを言っているのではありません)。 急速楽章で安定感を欠いているのが少々残念です(音程,リズムの微妙な乱れ?)。

録音:

残響の取り込みの非常に多い録音です。 しかも残響時間が長く,明らかに後続の音に被って混濁しています。 当然明瞭感も良くなく細かい音型なども聴き分けが困難ですし,音色もまともではありません。 楽器の質感なども全く感じ取ることが出来ません。 残念ながら私にとっては最悪に近いと言わざるを得ません。

さらに,編集点としか思えない不連続点が散見されます(例えば,ソナタ第三番フーガの4:10あたりなど)。 音楽の流れそのものはそれなりにつながっているのですが,その背景にある残響音が不自然に途切れています。 編集されたという確証があるわけではありませんが,仮に編集点ではないとしても,違和感を感じることには変わりありません。 些細なことですが,こんな些細なことであっても興ざめです。 編集そのものについては否定的に思っているわけではありません。 やるならバレないようにうまいことやってくれ,と言いたいだけです。

所有盤:

E-060/1 EMEC Disribution (輸入盤)
Recorded at Santa Enfemia de Cozollos, Olmos de Ojeda, Palencia (Spain), August 9th, 10th and 11th 2003.

(記2005/07/13)


CD image
演奏:3.0
録音:3.0

ヴァネッサ・メイ(Vanessa Mae) (Angel 1996) (パルティータ第三番)

奏者の外見から受ける印象とは全く異なり,ごく普通の演奏に思います。 癖がなく,また音色も美しく聴きやすいのですが,まだまだ曲を自分のものに出来ていないのか,今ひとつ棒弾きという感が否めません。 テンポどりもぎこちなく,無理矢理表情をつけようとしているようで,少し違和感があります。 気取っているというか,吹っ切れていないというか, 「クラシックなのでまじめに弾いてみました」みたいなものを感じるからでしょうか(思いっきり先入観かも...ごめんなさい)。

録音:

高域の伸び感もあり,楽器音としては比較的自然で印象は悪くないのですが, 中域の響きのかぶりがやや多く,付帯音が鬱陶しく感じられます。 この癖のある付帯音によって,再生装置毎に音の印象がころころ変わります。 それほど残響量が多いわけではなく,悪い録音ではないと思うのですが, なぜか息苦しくイライラしてきます。 ちょっと損していると思います。

所有盤:

7243 5 55395 2 6 (P)(C)1996 EMI Records Ltd. (輸入盤)
"THE CLASSICAL ALBUM"
カップリング曲:Brahms/Scherzo for Violin and Piano, Beethoven/Romance No.2, Bruch/Scottish Fantasy, Trad./I'm A-Doun for Lack O' Johnnie(A Little Scottish Fantasy)

(記2005/06/24)


CD image
演奏:4.0
録音:3.5

久保陽子 (自主製作 2004) (全集)

確固たる意志,揺るぎない信念を感じます。 美しさや完成度を求めず,自分の思いをありったけ楽器にぶつけて表現に集中する真摯さに心打たれます。 実際,音色はきつくガサガサしていますし,技術的にも隅々まで磨き上げているという感じではありません。 しかし,そういった点をカバーするに余りある音楽的魅力にあふれています。 とりわけ私が気に入ったのは,その自信に満ちた推進力です。 全体にテンポが速めなのですが,単に速いだけでなく,音楽を前へ前へと推し進めようとする力強さが胸のすく疾走感につながっています。 奏者の強い思いが見事に具現化されていると思います。 拍手!

録音:

残響が少々気になり,その質もあまり良いとは思えないのですが, 楽器音はまずまず明瞭感があります。 高域成分は十分に持っていますが,伸びているという感じではなく,少しきつい感じがします。 解像感の高さにはつながっていますが,自然さという点で今一歩で,どことなくすっきりしません。 と,不満も多い録音ですが,総合的な印象は悪くないということで,大おまけの3.5点です。

所有盤:

KBYK-1002/03 (P)(C)2004 KUBOYOKO (国内盤)
録音:2004年1月〜6月 水戸芸術館コンサートホールATM

(記2005/06/23)


CD image
演奏:3.5
録音:4.0

レイチェル・バートン・パイン(Rachel Barton Pine) (Cedille 2004) (ソナタ第一番,パルティータ第二番)

バロック仕様の楽器での演奏(A=415Hz)。 ごく自然に弾きこなしているという印象で,バロックヴァイオリンであることを強く意識したアプローチではないように思います。 抜群の技術力を駆使し,隅々まで神経を通わせた高い完成度を感じさせる音楽を構築しています。 自己主張を抑え,安易に歌うことを避け,ストイックにバッハを追求するかのような姿勢に共感を覚える一方, そんな中でも何かもう一つ光るものが欲しい,と,どこか物足りなさを感じるところもあります。 ガット弦が弓圧に耐えきれず,弦が悲鳴を上げているように聴こえるのも少々残念に思います。

と,不満を述べましたが,高いレベルでバランスの取れた素性の良い素晴らしい演奏であることには違いないと思います。 自己表現をさらに磨いて光と深みを加えていって欲しいと思います。 今後に期待!

録音:

ほんのわずかに残響感がありますが,楽器音にはほとんどかぶっておらず,クリアで極めて明瞭感の高い好録音です。 音色もきつくなることなく自然で聴きやすいです。 わずかな残響が薄くベールのようにかぶって質感を覆い隠しているのが惜しいです。 とはいえ,私としては十分に納得できる良い録音です。

所有盤:

CDR 90000 078 (P)(C)2004 Cedille Records (輸入盤)
"Solo Baroque", Recorded January 29-30, and February 1, 2004 at WFMT, Chicago
カップリング曲:Westhoff/Suite II in A Major, Biber/Passacaglia in G Minor, Pisendel/Sonata in A Minor

P.S.

公式サイトがあります。 私としては,アグレッシブなバッハを期待していたので,ちょっと肩すかしを食らった気分です。 バロックヴァイオリンという選択は本当に残念です。

(記2005/06/03)


CD image
演奏:3.5
録音:0.0

ウート・ウーギ(Uto Ughi) (Fone 2004) (ソナタ第一番,パルティータ第二番)

ライヴということもあって,演奏上の傷が散見され,また,音程もしっくりこないところが多く, 正直言って技術的には大いに不満です。 しかし,この全編にわたる厳しい姿勢,匠の技とも言える味わい深さ,なかなか聴かせるじゃないですか。 氏が長年かけて培ってきた「芸」の世界が堪能できます。 時代を感じさせるちょっと古風な芸風が,これまたいい感じです。 これぞライヴの醍醐味!

録音:

楽器音が明瞭にとらえられた好録音。 会場の響きも最小限に抑えられています。 聴衆のざわめきがやや多めに取り入れられていますが,それほど気になるものではありません。 オーディオ的なクオリティは決して高くはありませんが,直接音主体で音色も自然であり, 細かい表情の変化までしっかりと聴き取れます。 ライヴの音のとらえかたとしては,かなり私好みと言えます。

しかしこの録音,残念なことに疑似ステレオ化処理されている疑いが濃厚です (これだけ楽器音を明瞭にとらえているにも関わらず,リサジュー波形を見ても左右の信号にほとんど相関が見られません)。 ヘッドホンで聴いていると位相操作されているときに感じる,頭がねじれるような,強烈な違和感が走ります。 また,スピーカ聴取でもわずかながら違和感が伴います。 疑似ステレオ化処理の確証があるわけではありませんが,聴取に苦痛が強いられることも事実,抗議の意味を込めて0点とします。 何度も申し上げますが,疑似ステレオ化処理は百害あって一利なし! なぜ最新の録音でこんな処理が必要なのか,モノラル(的)でなぜ悪いのか,理解に苦しみます。 是非やめていただきたい。

所有盤:

FONE 2005 CD (P)(C)2005 The Music Production (輸入盤)
"Live in Roma", Auditorium Parco Della Musica Sala Santa Cecilia, Roma, 26 Novembre 2004.
カップリング曲:Ysaye/Sonata No.4 Op.27, Paganini/Capricci N.1, N.9, N.13, N.15, Paganini/Paganiniana

P.S.

SACD盤も同時に発売されているようです(FONE 034SA)。 SACDでもやっぱりこんな位相操作がなされているんでしょうか?

(記2005/06/01)


CD image
演奏:3.0
録音:3.0

レオニダス・カヴァコス(Leonidas Kavakos) (ECM 2002) (ソナタ第一番,パルティータ第一番)

バロック奏法的なタッチで,一種の軽さが感じられる演奏です。 時折装飾音符なども聴かれます。 重音など,和音を響かせるのではなく,分散和音的,装飾音的に扱うことで, 主旋律を際立たせようとしているように思います。 音色も透明感があり美しいです(ちょっと冷たい感じがしますが)。 技術的にも申し分ありません。 ただ,きれいにまとまった好演奏であるとは思うのですが,やや内向的な印象であり, 正直なところ少し物足りなさも感じます。

録音:

かなり残響量の多い録音です。 音の輪郭は比較的失われていませんが,残響時間が長いこともあって明瞭感が良いとは言えません。 残響が楽器音に被っているので,音色にもかなり影響が感じられます。 響きの質は悪くないとは思いますが,響きのまとわりつきが鬱陶しく,私の好みではありません。 演奏者の息づかいがかなり大きく入っているのですが,楽器の距離感に対して呼吸音がかなり近く感じられ, ちょっと違和感を感じます。

所有盤:

ECM New Series 1855 (472 7672) (P)(C)2005 ECM Records GmbH (輸入盤)
Recorded October 2002, Radio Studio DRS, Zurich
カップリング曲:Igor Stravinsky/Duo Concertant, Suite Italienne

(記2005/05/18)


CD image
CD image
演奏:3.5
録音:3.5

フランソワ・フェルナンデス(Francois Fernandez) (Flora 2002) (全集)

バロック・ヴァイオリンによる演奏。 短い音符は軽い弓づかいで小気味よく,長い音符はノンヴィブラートでの透明感ある響きが美しく, バロック・ヴァイオリンの長所がうまく活かされていると思います。 自然なフレージングで癖がないのですんなりと耳に入ってきますし,なにより全体を通して明るい雰囲気で貫かれているのが好印象です。

一方,一つ一つの音の処理にばらつきがあったり,急速楽章でテンポが引っ張られたり,端折ったように聴こえたりと, 技術的な正確さという点では少々不満を感じます。 惜しいです。

録音:

教会という非常に残響の多い環境での録音ですが,比較的オンマイクで録音されているのか, 直接音が主体で明瞭感は悪くなく,音色もそれほど失われていないように思います。 取り入れられてる響きの質も悪くないと思いますので,響きが許容できる方には好録音と言えるかもしれません。 とはいえ,響きのまとわりつきはやはり鬱陶しく,私の好みの録音でないことには変わりありません。

所有盤:

(Vol.1)FLORA 0402, (Vol.2)FLORA 0403 (C)KELYS productions (輸入盤)
Enregistre en juillet 2002, a l'eglise de Basse-Bodeux (Belgique)(録音:2002年6月,ベルギー,アルデンヌ,バス・ボデュー教会)

P.S.

解説が英語ではないので,何が書いてあるのか全くわからないのですが, このCDを輸入している
サラバンドのホームページで,以下のように紹介されています。

「シキスヴァルト・クイケンに師事し,クイケン・クァルテットの第2ヴァイオリニストやラ・プティト・バンドのコンサートマスターを務めてきたフェルナンデスの「無伴奏」。 彼は全曲の表題("Sei Solo a Violino senza Basso accompagnato")の冒頭にある「Sei Solo」を「6つの独奏曲」ではなく「あなたは一人である」という意味でとらえ, このCDの制作を自分一人だけで行うことにこだわりました。 録音場所である教会にヴァイオリンを携えて一人でこもり,テープを回しっぱなしにして演奏,録音。 編集とブックレット制作の技術的な面以外すべて,自分の手だけでこの全曲CDを完成させたのです。」 - サラバンドのホームページより

サラバンドのホームページは,本家FLORAのホームページからもリンクが張られていました。

(記2005/04/29) Vol.2を加え全集扱い
(記2004/01/06) Vol.1のみ


CD image
演奏:3.5
録音:2.5

ダニエル・フロシャウアー(Daniel Froschauer) (Deutsche Schallplatten 2004)
(ソナタ第一番,第三番,パルティータ第三番)

正統的で落ち着きがあり,細部まで丁寧に仕上げられた好演奏です。 癖のないニュートラルな表現で,ほのかに暖かくホッとする雰囲気を持っています。 ロングトーンの透明感,重音の響きの美しさも素晴らしく思います(録音が良くなく,氏の本来の音色をストレートに聴けないのが本当に残念!)。 躍動感や緊張感はありませんが,頑張り過ぎず,日常に自然と溶け込むようなバッハもなかなかいいんじゃないかと思いました。

録音:

非常に残響の多い録音です。 比較的近距離で録音されているのか,運指時に発せられる雑音などもかすかに聞こえてくるような音のとらえ方です。 音の輪郭もぎりぎり失われずにいるので,何とか鑑賞には耐えうるのですが, とにかく残響時間が長いので,現在の音と過去の音とが混濁して明瞭感に著しく悪影響を及ぼしており, 音色も変にギスギスしたものになってしまっています。 残響自体は教会の実際の響きを忠実にとらえているものかもしれませんし, 「豊かな響き」と言えないこともなく,これを心地よいと思われる方もおられるかもしれませんが, 私にとってはこのまとわりつく残響が我慢の限度を越えています。

私はフロシャウアー氏の音に,音楽に,ダイレクトに触れたいだけなんです。 私は教会の中で演奏を聴きたいとも思わないし,教会の音場を自室で再現したいとも思いません。 私にとって教会の響きは,氏の素晴らしい演奏を曇らせてしまう阻害要因でしかないからです。 残念です。

所有盤:

TKCC-15294 (P)2005 Deutsche Schallplatten Records (発売元:徳間ジャパン) (国内盤)
2004年6月30日,7月1日 サンクト・ヤコブ教会(ウィーン,オーストリア)にて録音

P.S.

フロシャウアー氏は,1997年よりウィーンフィルのメンバー。 また,ピアニストの鳥羽泰子とチェリストのラファエル・フリーダーと
アリスタ・トリオを結成し, オーストリアと日本を中心に活動中とのこと。

(記2005/04/28)


CD image
演奏:3.5
録音:3.5

今井信子 (BIS 2001) (パルティータ第三番)

肩の力を抜いて,心の中から自然とわき出てくる喜びをそのまま音楽にしたかのようで, 明るく暖かく,飾らない素直さがとても心地よいです。 という演奏なので,パルティータ第三番という曲のキャラクターのせいもあるとは思いますが, この曲をとことん追求し,練り上げたという感じではなく, 気楽な気持ちでちょっと弾いてみました,というふうに聴こえます(もちろんそう感じるだけであろうとは思いますが)。 突き詰めた演奏とは別種の魅力を感じます。

録音:

かなり残響の多い録音ですが,楽器音がしっかりとらえられており,高域の伸び,楽器音の自然さが比較的よく保たれているのではないかと思います。 好みの録音ではありませんが,残響が与える悪影響がそれほど大きくなく,悪い印象ではありません。

所有盤:

BIS-CD-1229 (C)(P)2004 BIS Records (輸入盤)
"ANTIQUITIES"
カップリング曲:Bach/Italienisches Konzert BWV971 for solo accordion, Gamba Sonata No.1 BWV1027, Guillaume de Machaut/Motet 23, Rondeau 14, Heinrich Isaac/Amis des que, A fortune contrent, John Dowland/Lachrimae Antiquae, Can she execuse my wrongs, If my complaints

P.S.

アコーディオンの御喜美江さんとの競演盤。 今井さんがヴィオラではなくヴァイオリンを弾いておられることに驚きました。 ヴァイオリンでの無伴奏ヴァイオリン全曲録音を期待してもいいんでしょうか? (俄然期待してしまいますが...無理でしょうねぇ...)

(記2005/03/11)


CD image
演奏:3.5
録音:3.5

キャティー・ランズデール(Katie Lansdale) (Cyberphunx Music 1999,2000) (全集)

このCD,曲順がBWV番号順ではなく,s2-p1-s3/p2-s1-p3 という配列になっています。 まあこれはいいとして... パルティータ第一番の演奏順がちょっと変です。 通常,例えば Allemande - Double は,Allemandeを演奏してからDoubleを演奏する,という順序ですが, この演奏では,Allemandeの前半 - Doubleの前半 - Allemandeの後半 - Doubleの後半,という順序になっています。 リピートはされていません。 他の楽章も同様です。 意図については不明ですが,やはり奇異な感じがします。 また,解説書によると,パルティータ第三番の装飾は,バッハ自身の鍵盤楽器への編曲の装飾を参考にしているとのこと。

肝心の演奏ですが,大きな呼吸でのびのびと快活に表現されているのが非常に好印象です。 さらに,やや金属的ではありますが,ビブラート控えめの透明で伸びのある音色もすがすがしく魅力的です。 重音をサラッと流し,どちらかと言えばこの曲のポリフォニックな面を強調するよりも主旋律に重きを置くような演奏なので, 物足りなさを感じる面もあるものの,このような,はつらつと素直に音楽の喜びを表現した演奏もなかなか良いのではないかと思いました。 というキャラクターなので,長調のソナタ第三番やパルティータ第三番が最も楽しめます。 一方,パルティータ第二番などは,それでも少し構えているのか,少々伸びやかさに欠けるのが残念です。

録音:

残響が少しあってまとわりつく感じがあるものの,明瞭感,解像感はかなり良いです。 曲の終わりのロングトーンで,弓をあげるまでのかすれ音まで明瞭に聞こえてくるのは立派。 残響の影響か,少し音色に色づきを感じるのが残念ですが,手作り風の音作りが好感が持てる,かなり私の好みに近い録音です。 中でもパルティータ第三番はかなりいい出来に思います。

所有盤:

品番なし (C)2001 Cyberphunx Music Productions. (輸入盤)
Recorded 1999-2000 in Yale University's Sprague Hall.

P.S.

レーベルのホームページに演奏者の紹介が, また,バッハのCDの紹介も掲載されています。

(記2005/02/24)




演奏:
録音:

久保田巧

レーベル EXTON
収録曲 全集
録音データ (Vol.1 ソナタ集) 2002年3月19-21日,(Vol.2 パルティータ集) 2004年3月23-25日
山形・余目町文化創造館 響ホール
使用楽器 記載なし (モダン仕様)
所有盤 (Vol.1) OVCL-00119 (P)(C)2003 Octavia Records Inc. (国内盤)
(Vol.2) OVCL-00181 (P)(C)2004 Octavia Records Inc. (国内盤)

真面目でひたむき,感情を押しとどめ,この曲が持つ神聖さ,普遍性を追求するかのような演奏です。 パルティータにおいても舞曲的な要素はほとんど感じられず,まるで敬虔に祈りを捧げるかのような禁欲的な印象が強いのですが, そんな中でほんのりと感じられる暖かさ,情緒感が,この演奏をより感銘深いものにしています。 音色,響きの美しさも格別です。 表現的にも技術的にも,あらゆる面で完成度が高いと思います。 どちらかといえば躍動的な演奏が好きなのですが,その対極に位置するような演奏にも関わらず, 深い感動を与えてくれました。

全曲で160分を越えていますが(従って,これだけでもCD2枚に収まりきらない),遅いという印象は全くありません。 逆に,いつまでもこの音楽の中に身をゆだねていたいと思ってしまうほど充実しています。

録音:

わずかに残響を伴っていますが,極めて明瞭で解像感が高く,高域の伸び感も十分ある好録音です。 楽器音が自然で透明感があり,細かなニュアンスまでつぶさに,リアルに伝わってきます。 ホールでの録音としてはこれ以上望めないと思える出来です。 私の好みの音作り,音の捉え方とは少し違いますが,一般的にも優秀録音として通ると思いますし, 私としてもかなり満足しています。 どちらかといえば,先に発売されたソナタ集の方がピュアな感じがします。

P.S.

前回,録音評価を4.5点としていましたが,やはり私の好みと少々方向性が異なるということで, 今回4.0点としました(残響のないスタジオでレコーディングして欲しいという気持ちに変わりはありません)。 また同様に,前回,「まるで『日本代表』が演奏しているようで,久保田さんの顔が見えてこない」といったコメントを書きましたが, ずっと聴き続けているうちに,これこそがまさに久保田さんそのものではないか,と思えるようになってきました。 ということで,私にとっては演奏・録音共にトップクラス,いつも手許に置いて聴き続けたい全集盤の一つに仲間入りしました。 素晴らしい演奏に感謝!

蛇足ですが,無伴奏フルート・パルティータ(ヴァイオリン編)もいいのですが,ここまでやるなら, ぜひとも無伴奏チェロ組曲全曲(ヴァイオリン編)に挑戦して欲しい!と思います。 (やっぱり無理だろうなぁ...)

(記2005/02/10) パルティータ集を加え全集扱い
(記2003/08/07) ソナタ集のみ


CD image
演奏:3.5
録音:3.5

ライナー・クスマウル(Rainer Kussmaul) (SIMPK 1995) (パルティータ第二番)

ライヴらしい勢いがあり,またバッハの音楽に対する真剣さ,厳しい姿勢が伝わってくる意欲的演奏です。 演奏上の傷が散見されるのが残念ではありますが, この傷をいとわない大胆さ,熱意が魅力的な表現につながっているとも思います。 バロック仕様の楽器が使われているようですが,確かに音色はそうかもしれないと思うものの, アプローチ自体は現代楽器的に感じます。

カップリングの2曲のソナタは,一転,活気にあふれ,ノリにのっているという感じで,愉快痛快,これぞライヴ! 私はどちらかといえば無伴奏よりこちらの方に感激しました。

録音:

かなりのオンマイクで録音されたようで,極めて解像感,明瞭感の高い録音。 これのどこがライヴ録音なんだ?,と一瞬思ってしまいました。 よく聴くと残響が少しあり,ホールの空間性が感じられますが,邪魔になるものではありません。 ただ,残念なことに,帯域バランスがすこし崩れているように思います。 高域が強調され,楽器音を支える低域成分が希薄に感じられます。 その結果,自然さが失われ,耳に突き刺さるようなキツい音になってしまっています(なぜかヌケもよくありません)。 音の捉え方は私の好みではあるのですが。 また,無伴奏とカップリングのソナタとを比べると,ソナタの方がよりクリアな音に感じられます。 マイクセッティングが微妙に違うのでしょうか。 この点も残念です。

所有盤:

SIMPK Live 1 (輸入盤)
Klingendes Museum Live 1 "Gagliano in Concert"
Mitschnitt eines Konzerts im Musikinstrumenten-Museum des Staatlichen Institutes fur Musikforschung Preußischer Kulturbesitz, Berlin, von 22. Oktober 1995.
カップリング曲:Bach/Sonate fur Cembalo und Violine BWV1015, BWV1019

P.S.

クスマウル氏は,ベルリンフィルのコンサートマスター。
ベルリン楽器博物館でのライヴ録音。 使用楽器はジェナーロ・ガリアーノ(Januarius Gagliano, 1750年頃)とのこと。

入手および上記コメントに際しては,いつもお世話になっております斉諧生さんの音盤狂日録(2004年10月19日),および, そこからリンクされております「クスマウル&シュタイアーのデュオを聴く」(SEEDS ON WHITESNOW アーカイブ)を参考にさせていただきました。 有り難うございました。

(記2005/02/03)


CD image
演奏:3.5
録音:2.0

天満敦子 (King 2004) (全集)

極めて感情表出の激しい熱演に,ただただ圧倒されます。 美しく歌うというよりは絶叫調,そのあまりのテンションの高さに常に緊張を強いられ, 聴いているこちらも大変疲れますが,ここまで全身全霊を傾け,全てをさらけ出して表現しようという意欲に感動を覚えます。 とうとうと響くソナタの第一楽章,力強く推進感に満ちたフーガなどは特に聴き応えがありますし, パルティータ第二番の練り上げられた表現はさすがと思います。

ただ,些細なことではありますが,不満がないわけでもありません。 フレーズの終わりの音を後押ししたり,シャコンヌの中間部後半(177小節あたりから)で, あまりにもったいぶった弾き方になって音楽の流れが途切れてしまっているのが少々ひっかかりますし, パルティータ第三番まで同じように力で押してくるあたりも,少し違和感を感じてしまいます。 ソナタ第三番は他の曲に比べるとややオーバーヒート気味に思います。

また,思い入れの強さを技術が受け止めきれていないと感じられるところも時折見受けられます。 もっとも,これが気になったのは聴き始めて最初の数回だけで, 何度も聴いているうちに意識から消えて全く気にならなくなりましたが。

録音:

非常に残響の多い録音で,直接音成分がほとんど感じられず,明瞭感が全くありません。 残響感は曲により多少異なります。 また同じ楽章内でふらつきが見られるところもあります。 さらに,残響によって失われた高域成分をイコライザで無理矢理持ち上げたような音作りで, 変にギスギスしており,音色の自然さ,バランスを完全に失っています(本当にイコライジングされているかどうかはわかりませんが)。 残念ながら私の好みからは最も遠い録音です(1.5点を付けたいくらいだ!)。

また,録音レベルが低く,波形を見た範囲では,CDの16ビット中最後の1ビットが全く使われていません。 すなわち15ビット録音相当であり,ダイナミックレンジを6dB近く損しています。 些細なことですが,ただでさえ良くない録音をさらにさえないものにしていると思います。

所有盤:

KICC 481/2 (P)2004 King Record Co., Ltd. (国内盤)
録音:2004年8月12,13,16日 横浜フィリアホール

P.S.

「無伴奏に魅せられて〜バッハへの手紙」(銀の鈴社)という本を書かれています(未読)。

(記2005/01/25)


CD image
演奏:3.5
録音:3.5

カレン・ベントレイ(Karen Bentley) (Neptunus Records 2001) (パルティータ第二番)

個性を追い求めず,謙虚に,真面目に,正統的なアプローチでまとめられた演奏です。 透明感のある輝かしい音色が特に素晴らしく(少々ナイロン弦ぽいところが惜しい!), シャコンヌの中間部など,和音の響きの美しさは格別のものがあります。 丁寧に,丹念に,一つ一つの音に心が込められているのが感じられますが, ジーグなどは丁寧すぎて推進感に乏しく,また全体的にも少し控えめすぎるかなと思います。 技術的に特に優れているというわけではありませんが,破綻するようなところも全くなく,気持ちよく聴き入ることが出来ました。

録音:

残響を少し伴っていますが,オンマイクで収録しているのか,極めて明瞭感,解像感の高い好録音です。 やや高域がきついのですが,シャキッとしていて私としてはむしろ好ましく,全く気になりません。

所有盤:

NEPCD005 (c)2002 Neptunes Records and Ariel Ventures (輸入盤)
"Dancing Suite to Suite"
Recorded on October 23 and 24, 2001 at Skywalker Sound Scoring Stage, San Rafael, CA.
カップリング曲:Ole Pullar Saxe/Dance Suite for Solo Violin, Odd Bakkerud/Fanitullen for Norwegian hardangerfele...

P.S.

公式ホームページがあります。 ヴァイオリン,ヴィオラの他に,Norwegian hardangerfele(ノルウェーの9弦のヴァイオリン風民族楽器?)を演奏されるようで, このCDの最後にこの楽器による演奏と思われる小品が収められています。 ヴァイオリンのようで明らかに違う音色を持っています(薄っぺらく安っぽいけど味のある音色...)。 カップリングの2曲はどちらもわかりやすい音楽で楽しめました。

(記2004.12.29)


CD image
CD image
演奏:4.0
録音:2.5

セルゲイ・アジジャン(Sergej Azizian) (Classico 1996-97,2001-02) (全集)

力強く,速めのテンポで淀みのない曲運びが小気味よく, 量感たっぷりにスーッと美しく伸びる響きに魅了される快演です。 時折みせる完璧な重音の響きにはゾクゾクさせられます。 重厚で密度感高く,鋭く切り込んでくるフーガなど, 多声部のところを分けて弾いているのに,それぞれの声部が渾然一体となって響いてきます。 圧巻としか言いようがありません。 バッハはきっとこういう響きを聴かせたかったに違いない,なんて,わかったようなことを思わせます(笑)。 こう表現したい,という明確な意志が伝わってくるこの演奏,何度聴いても飽きません。 パルティータ集は,急速楽章でわずかに乱れが見られるのが少々残念です。 一方ソナタ集は,磨きがかかっており,充実度が高いです。

録音:

残響時間が長く,さらに直接音成分よりも間接音成分の方が多いと感じられる録音で, まとわりつく残響が鬱陶しく,私の許容範囲を大きく越えてしまっています。 全く好みではありません。 細部や微妙なニュアンスが聴き取りにくいのはもちろんのこと, 音色も響きが大きく被って全く良くありません。 素晴らしい演奏を録音が台無しになっており,残念でなりません。 ソナタ第二番,第三番が,ほんのわずかにマシというのが救いです。

所有盤:

パルティータ集(写真上):CLASSCD 161 (1996-97年録音) (輸入盤)
ソナタ集(写真下):CLASSCD 411 (2001-02年録音) (輸入盤)
Recorded in Bronshoj Church, Copenhagen.
カップリング曲:Tocata & Fugue BWV565(World Premiere Reording)

P.S.

アジジャン氏は,1957年アルメニア生まれ。 1993年からCopenhagen Philharmonic Orchestraのコンサートマスター,1997年よりThe Royal Danish Academy of Music in Copenhagenの講師。 パルティータ集のジャケットの絵がヘビメタのCDのようで...ちょっと薄気味悪いです。

(追2004.12.16) ※ソナタ集を追加し全集扱い
(記2002.09.04)(追2002.10.07)


演奏:
録音:

フランクリン・デラノ・フォスター(Franklin Delano Foster) (Delano Music 録音不明) (ソナタ第一番)

大変失礼ながら,技術的に大いに難あり!です。 Adagio, Sicilianoはまだ良いとして,Fugaはう〜んちょっと苦しい,Prestoに至ってはもうメロメロです。 とにかく左手のキレが良くないです。 そういった難点に目をつぶって聴くと,アクセントの付け方や音色に個性が見えてくるのですが, 残念ながらそれらを楽しむまでに至りません。

録音: 残響は多めですが,音の捉え方は悪くなく,芯がしっかりしているのでそれほど印象は悪くありません。 もちろん私にとっては,残響のまとわりつきが鬱陶しいこの録音は好みではありません。

所有盤: 品番なし (P)1998 Delano Music Company (輸入盤)
"Alone and Two's Company"
カップリング曲:Paganini/Caprice Op.1, No.1, No.17, Telemann/Duet for two violins - Menuet, Seixas/Duet for two violins - Toccata

P.S. 公式ホームページがあります。 ソリストとしてサンフランシスコ交響楽団を含む多くの楽団と共演,多くのアンサンブルのコンサートマスターとして演奏, などと書いてありますが,申し訳ありませんが,この演奏を聴く限りちょっと信じ難いです。

(記2004.11.19)


演奏:
録音:

ノクトゥーラ・ングウェニャーマ(Nokuthula Ngwenyama) (EDI Records 録音不明) (パルティータ第一番,第二番) (*ヴィオラ,ギター)

パルティータ第一番はヴィオラ(Viola Scordatura)とギターによる演奏(ギターはミヒャエル・ロング(Michael Long))で, 原曲のB minorのまま演奏されています。 Viola Scordaturaとありますので,調弦を変えているのかもしれません。 パルティータ第二番はヴィオラのみによる演奏で,D minorからG minorに移調されています。 パルティータ第一番では,まずギターで演奏され,Doubleをヴィオラが演奏するという変則的な構成(つまり交互)になっています(意図不明)。

パルティータ第一番のギターは,非常にゆったりしたテンポで,さらにフレーズ毎に「ため」が入るため,テンポ以上に遅く感じるというか, 曲が止まってしまいそうな感じがして,最後まで聴き通すのがつらいです。 最初のAllemandeだけで9:20もあります。 やっと終わったかと思うとリピートだったりして,脱力してしまうこともしばしば。 一つ一つの音に感情を込めて弾こうとしているのは伝わってくるので,表現自体は嫌いではありませんが, このテンポ感だけは勘弁して欲しいです。 一方ヴィオラも,ギターに合わせるように中庸テンポですが,こちらは「ため」がないので,はるかに聴きやすいです。 丁寧で彫りの深い表現,深々としたヴィオラらしい音色が印象的です。

パルティータ第二番は,ヴァイオリン的流麗さが見られる一方,起伏,彫りの深さがやや控えめで, 第一番で感じられたヴィオラならではの良さが薄くなってしまっているのが少し残念に思います。 (録音が良くないせいかもしれません)

録音: パルティータ第一番と第二番は,エンジニア(?)が違うようで,音もそれを反映してか全く異なっています。 パルティータ第一番のギターが最も良く,わずかに響きを伴っているように感じますが, 極めて明瞭感が高く,弦の振動,ボディーの響きが良く捉えられています。 ヴィオラも同様に,わずかな響きを伴いながらも明瞭感が高くて気持ちの良い録音です。 一方パルティータ第二番は,響きが多く,明瞭感,音色を大きく損なっています。 これはいただけません。 残念です。

所有盤: EDI16738 (P)(C)2004 EDI Records, Inc. (輸入盤)

P.S. 公式ホームページがあります。 ングウェニャーマ氏は,カリフォルニア出身,ジンバブウェ人と日本人の間に生まれたとのことです。

(記2004.11.17)


演奏:
録音:

ギャレット・フィッシュバッハ(Garrett Fischbach) (自主製作? 2002-04) (全集)

サラリと流す「軽さ」が魅力の好演! しかも,一つ一つの音にしっかりとアクセントがあって,折り目正しさもあります。 細身でひたすらクリアな音色も美しいです。 キレのある演奏ではありませんが,技術的不満は全くありません。 精神性を追求する厳しい演奏とは全く別次元の,優しく暖かな眼差しを感じる(そして,ちょっと垢抜けない) 個性的演奏に思います(緩徐楽章での今ひとつしっくりこない装飾はご愛嬌ということで)。 この曲を聴いてホッとする,なんて珍しいです。

録音: 録音時期によって多少質が異なります。 パルティータ第三番は,残響がほとんどなく,極めて明瞭,解像感も高く,音色の自然さ,透明感,全てにおいて群を抜いています。 文句なしの4.0点です。 続いてソナタ第一番,パルティータ第一番,第二番で,やや響きを伴っているものの,明瞭感は悪くありません(3.5点)。 しかしながら,やはり響きの影響を受けて精彩を欠いているのは残念なところです。 ソナタ第二番,ソナタ第三番は,響きが大きく被って全く良くありません。 大おまけでも3.0点というところです。 パルティータ第三番の録音で統一して欲しかったところです。 残念!

所有盤: 品番なし? (C)2004 Garrett Fischbach (輸入盤)
Recorded: 2002-2004, Upper Ridgewood Community Church, Ridgewood, NJ, USA.

P.S. 公式ホームページがあります。 フィッシュバッハ氏は,現在メトロポリタン歌劇場管弦楽団のヴィオラ奏者?!とのことです。

(記2004.11.10)


演奏:
録音:

ターニャ・アニシモワ(Tanya Anisimova) (Cellestial Records 2000,01) (全集) (*チェロ)

チェロによる演奏。 パルティータ第一番がB minorからG minorに,パルティータ第三番がE majorからD majorに, それぞれ移調されている他は,原曲の調で演奏されています。 ヴィオラやチェロで演奏する場合は五度下げて演奏するのが当然と思っていただけに,ちょっと驚きました。 そういったことから,音型や和音の変更などの編曲がなされています。

また,楽器の制約による編曲というよりは,意図的に編曲していると思われるところも幾つかあります。 左手によるピチカートが加えられているところもあります。 と書くと,キワモノ的に思われるかもしれませんが,さにあらず,それらしくはまっているから不思議です。

肝心の演奏ですが, 緩徐楽章では,チェロの響きを活かした深々とした情緒溢れる表現が印象的ですし, 急速楽章では,ボディ感たっぷりで迫力があります。 倍音成分がキリッと立った芯の強い音色,粗削りながら力強い弾きっぷりにも魅力を感じます。

ヴァイオリン曲をチェロで弾いているということ,さらに,移調していないためにポジションがどうしても高めになってしまう, といったことで,さすがに技術的な面では少々苦しいと感じるところがありますが, ヴァイオリンにはない,そして原曲がヴァイオリン曲であることを忘れさせてくれるチェロならではの良さが感じられますし, なによりこの曲に対するこだわりと表現意欲に溢れているところが良いと思います。

録音: 録音時期が約1年異なるCD1とCD2で多少異なりますが, どちらも響きの少ない環境で,しかも圧迫感を感じるほどのオンマイクでの録音です。 極めて明瞭感,解像感が高く,私好みの音の捉え方の典型と言えます。 「松ヤニが飛び散る音が聴こえる」とか「マイクを楽器の中につっこんで録音したような」なんて表現を聴くことがありますが, そんな印象に近いです。 ただ,CD1の方はややくぐもった感じがありますし,CD2の方もスカッとしきれていないところが本当に惜しいと思います。 それでもCD1は3.5点くらい,CD2は大おまけですが4.0点を付けたいくらいです。

ただし,一部の曲で問題があります。 パルティータ第一番のCorrenteは,まるで疑似ステレオ化されているかの如く, 左右チャンネルの相関が希薄で(リサジュー曲線が4つの象限に散らばります)で,かなり聞き苦しいです。 録音の質も他の楽章のものと異なり,少し落ちます。

もっとひどいのはパルティータ第二番のCiaccona!。 まず明らかな逆位相から始まって,途中で二度無相関状態に変化します(リサジュー曲線で明らか!)。 変わり目で音質が変わるので,違う録音をつなげているのではないかと思われます(つなぎ目はほとんどわからないので,この点はすごいと思いますが...)。

この二つの楽章のために,せっかくの好録音が台無しになっています。 演奏が気に入らなくて,後から録音し直したものに差し替えているのかもしれませんが, もう少し配慮して欲しかったと思います。

所有盤: 品番なし? (C)2001 TANYA ANISIMOVA (輸入盤)
Recorded: Silver Spring MD, (CD1)03/2000-07/2000, (CD2)06/2001-09/2001

P.S. 公式ホームページがあります。 無伴奏チェロ組曲も録音しています。

(記2004.10.29)


演奏:
録音:

アンドレアス・リュッケ(Andreas Lucke) (Cavalli Records 1992) (ソナタ第三番)

細部まで練り上げられた緻密さ,凝集感の高さが印象的です。 弓運びに勢いがあり,力感に溢れているのに,スムーズで音色の輝きを失わないところがなかなかいいです。 あまりにストレートな表現に最初は少々印象が薄かったのですが,聴くたびに味わいが深まってきます。 特に,声部の描き出しの美しいアダージョと緻密にがっしりと構築されたフーガが素晴らしく, 一方,ラルゴはちょっとあっさりしすぎ,アレグロ・アッサイはもう少し勢いが欲しかったと思います。 ちょっと残念。

録音: 残響感が少しありますが,それよりも初期反射音が大きいように感じられます。 明瞭感,解像感は悪くないのに音が濁って聴こえる(だぶって聴こえる)のは,この初期反射音が原因だと思います。 高域の伸び感も悪くないので,この音の濁りは本当に惜しいです。

所有盤: CCD 111 (P)(C)1993 CAVALLI RECORDS (輸入盤)
カップリング曲:Ysaye/Sonate Nr.3 "Ballade" op.27/3, Kreisler/Recitativo und Scherzo-Caprice op.6, Milstein/Paganiniana Variations, Ernst/Der Erlonig Grand Caprice op.26, Barkauskas/Partita fur Violine solo, Wieniawski/La Cadenza(Nr.7 der Etudes-Caprices op.10)

P.S. リュッケ氏は,1955年生まれ,1979年よりバンベルク交響楽団のメンバー, 1992年よりソリストとしての活動を開始,とのこと。

(記2004.10.20)


演奏:
録音:

バイバ・スクリッド(Baiba Skride) (Sony 2004?) (パルティータ第二番)

力強く快活,しかも,隅々まで神経の行き届いた繊細さも併せ持った,高いレベルでバランスの取れた好演です。 一つ一つの音,そして,音の移り変わりの微妙なニュアンス,本当に美しい。 技術的にも表現的にも完成度が高く,隙が全く感じられません。 ただ,あまりにもニュートラルすぎるというか,無難すぎるというか, もう少し個性の主張,冒険があって欲しかったと思います。 演奏者自身を印象づけるところが少ないのが惜しいです。 今後に期待!

録音: スーパーオーディオCD(SACD)。 CD層での試聴です。 残響のまとわりつきがやや鬱陶しく感じられるものの, 明瞭感,解像感は非常に高く,細かい動き,微妙なニュアンスも克明に聴き取ることが出来ます。 高域もスキッと伸びており,音色も自然です。 残響の取り入れ方,音作りが私の好みから少し外れるので3.5点としていますが, 一般的な観点からすれば優秀録音と言えるのではないかと思います。

所有盤: SK 92938 (P)2004 Sony Music Entertainment (Germany) GmbH / DeutschandRadio (C)2004 Sony Music Entertainment (Germany) GmbH (輸入盤) (*SACD)
カップリング曲:Ysaye/Sonata No.1 in G minor for Violin Solo, Bartok/Sonata for Violin Solo

P.S. 公式ホームページがあります。 スクリッド氏は,1981年生まれ,ラトヴィア出身。 2001年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝。

(記2004.10.04)


演奏:
録音:

ヤッシャ・ハイフェッツ(Jascha Heifetz) (EMI 1935) (ソナタ第一番,第三番,パルティータ第二番)

持ち前のテクニックを活かして颯爽と弾ききっています。 バッハの音楽に身構えている感じもなければ,細部まで磨き上げようという感じもありません。 バッハを自分のスタイルに当てはめて弾いている,という風に私には聴こえてきます。 粗さ,強引さを感じるところもあり,こういったことが一種の古めかさ感じさせる要因の一つになっているのではと思いますが, 当時としてはこういうスタイルが普通だったんだろうなと想像しています。 今ひとつ私の肌には合わないのですが,そう思って何度も聴いているうちに,妙に納得してしまう魅力ある演奏でもあります。

録音: モノラル録音。 明記されていませんが,音を聴く限りアナログレコードからの復刻のようです。 サーというノイズが多いものの,スクラッチノイズは比較的少なく,復刻状態はかなり良いと思います。 古い録音なので帯域が狭く音色が変化しているのは仕方がないのですが,こもった感じはなく,十分鑑賞に耐えうる音質だと思います。 スタジオでの録音で,残響がほとんどない環境で出来るだけ明瞭に録音しようとした結果だと思います。

所有盤: CDH 7 64494 2 (P)1974,1975 EMI Records Ltd. Compilation & digital remastering (P)1992 EMI Records Ltd. (C)1992 EMI Records. (輸入盤)
Rec.: London, No. 3 Studio, Abbey Road, 1935
上記の曲の他に,パルティータ第三番のメヌエット,イギリス組曲から数楽章(ハイフェッツ編)が収録されています。 パルティータ第三番は1925年の録音とあります。

(修2004.09.01) ※2回目
(記2002.12.13)


ヤッシャ・ハイフェッツ(Jascha Heifetz) (Centurion Classics 1935-37) (パルティータ第二番)

上記のEMI盤のパルティータ第二番と同じ演奏です。 同様にアナログ盤からの復刻で,しかも,ノイズの入り具合がそっくりで,原盤も同じではないかと思われます。 ただ,音作りは若干異なります。 こちらの方がEMI盤よりもややS/N比が向上し,明瞭感,音の鮮やかさが改善されています。 一方音色は少し色づけというか癖が感じられ,EMI盤の方が自然に思います。 どちらが良いかは好み次第というところでしょうか。

所有盤: Centurion Classics 2067 (P)(C)2003 FLEX MEDIA ENTERTAINMENT GMBH (輸入盤)
Recorded in 1935-37
カップリング曲:モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番(Recorded in 1934)

(記2004.09.01)


ヤッシャ・ハイフェッツ(Jascha Heifetz) (membran 1935-37) (パルティータ第二番)

クアドロマニアシリーズの1セット。 上記のEMI盤,Centurion Classics盤のパルティータ第二番と同じ演奏です。 ノイズの入り具合から原盤が同じ,音質はCenturion Classics盤と同等に思います。

所有盤: 222137-444 (P)TIM Cz (C)2004 Membran International GmbH (輸入盤)
「クアドロマニア」シリーズ4枚組 "Jascha Heifetz Violin Masterworks"
カップリング:ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲(1934年録音),ブラームス/ヴァイオリンソナタ第二番(1935年録音), シューベルト/ピアノ三重奏曲D898(1941年録音),チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲(1937年録音),グラズノフ/ヴァイオリン協奏曲(1934年録音), メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲(1949年録音),ブラームス/ヴァイオリン協奏曲(1939年録音)

(記2004.09.26)


演奏:
録音:

シモン・ゴールドベルグ(Szymon Goldberg) (自主製作? 録音不明) (ソナタ第一番,パルティータ第二番)

真摯で厳しく,ストレートな表現に好感を持ちました。 コンサートの緊張感の高さがひしひしと伝わってきます。 ライヴということもあって,所々ミスがありますし,音程に不安を感じるところもありますが, そういったことをカバーするに十分な気迫に満ちた演奏に思います。

録音: モノラルのライヴ録音。 録音年代不明です。 会場の響き,環境ノイズが取り込まれていながらも,比較的明瞭に捉えられており,素直な感じのする録音です。 残念ながら,元々のLPの盤質が良くないためか,楽器音の歪み感が多く,かなりきつい感じがします。 ぎりぎり鑑賞には耐えうるとは思いますが,全体の質としてはやはり良くありません。 プライベート盤という位置づけなら仕方ないという気もしますが。

所有盤: D-7003/4 自主製作?(Collector's Limited Edition) (輸入盤) (*LP)
"The Art of Szymon Goldberg (Live Recordings)"
カップリング曲:モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第五番,ヘンデル/ヴァイオリン・ソナタ第四番,ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第九番「クロイツェル」

(記2004.09.22)


演奏:
録音:

オラシオ・フランコ(Horacio Franco) (Quindecim Recordings) (選曲集) (リコーダー)

リコーダーによる演奏。 楽器の音域に合わせて編曲されており,音型が変えられていたり,旋律の途中でオクターブ跳躍があったりしますが, 楽器の制約上仕方ないと思って聴けば,それほど違和感はありません。 重音は,拍の前に装飾音のように出して演奏しており,それなりにそれらしく聴こえます。 複数の声部が同時に動くところは,拍ごとに時分割で複数の音を出そうとしているので, なんだかやたら装飾の多い,わけわからん曲にしか聴こえてきません(特にソナタ第三番のフーガ!)。 さすがに無理を感じます。 原曲を思い浮かべながら聴くとなるほどと思うのですが...

それにしても,このやけクソなアグレッシブさ! すごいです(※注:全部が全部そうというわけではありませんが...総じてそういう印象を受けます)。 無謀とも思えるテンポ設定(それでも破綻寸前でなんとか踏みとどまっています), 音のつぶれや音程の上擦りなど意に介さない強烈な吹き込み(?)... バロック音楽を聴いているという気がしません。 技術的に本当に巧いのかどうかよくわかりませんが,分散和音など超絶的と思えるところも随所に出てきます。 音楽的に好きかと問われると疑問符が付いてしまいますが,ゲテモノ的面白さ(ごめんなさい!)は抜群です。 この積極果敢,チャレンジ精神旺盛な演奏に敢闘賞!

収録曲(順不同):

  • J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第一番より Adagio, Presto (alt recorder in f, a=406Hz)
  • J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第二番より Allegro (2 alt recorder in f, a=415Hz)
  • J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンパルティータ第二番より Gigue, Chaconne (2 alt recorder in f, a=415)
  • J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンソナタ第三番より Fuga, Allegro assai (alt recorder in f, a=415Hz)
  • J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンパルティータ第三番より Preludio (alt recorder in f, a=392Hz)
  • J.S.バッハ/無伴奏フルートパルティータ (voice flute in d, a=415Hz)
  • C.P.E.バッハ/無伴奏フルートソナタ (voice flute in d, a=415Hz)

録音: 非常に残響の多い環境で録音されており,主音に残響音が大きく被って明瞭感がかなり失われています。 細かい音の動きなど,もやもやして聴き取りにくいです。 また,リコーダー特有の風切りノイズが歪みのように汚く被ってきてしまっています。 損していると思います。

所有盤: QP101 (P)(C)2003 Quindecim Recordings (輸入盤)
Recorded at Library of Exmonasterio del Desierto de los Leones, Cuajimalpa, Mexico. D.F., February 2 to 6, 2003.

P.S. オラシオ・フランコ氏は,メキシコを代表する古楽系リコーダー奏者,とのこと。

(記2004.09.15)


演奏:
録音:

ユーディ・メニューイン(Yehudi Menuhin) (Tahra 1968) (パルティータ第二番)

技術的な難点は多々あります。 しかし,この気迫,推進感,心技とも最高潮に達したかのような充実感, 数々の技術的欠点を覆い隠すに十分です。 メニューインというと,天才肌で感性に任せて弾くタイプかと思っていたのですが, この演奏ではそういった感じがなく,真摯に,謙虚に,この曲に真正面から取り組む姿勢がうかがわれ, 彼の演奏がどちらかというと苦手な私も,この快演には感動しました。

録音: ライヴ,モノラル録音(デジタルデータレベルで左右チャンネルが一致する完全なモノラル!)。 ホールトーンが程よく取り込まれているという感じで,響きやや多めに取り込まれているものの, 主音にそれほど被っておらず,明瞭感は良好です。 音色もそれほど損なわれていません。 響きがやや多めで私の好みから少し外れることから3.0点としましたが,決して印象は悪くありません(モノラルであることはマイナス要因ではないです)。 モノラル録音なので立体感はありませんが,響きの取り入れ方がうまいので, 心理的にホールの空間性を感じることが出来ます。 ステレオ録音なら,主音とホールトーンが分離して,なお聴きやすくなっていたのではないかと思います。

所有盤: TAH 533 (P)(C)2004 TAHRA (輸入盤)
録音:1968年10月6日 ベルンでのライヴ
カップリング曲:モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第4番(Karl Bohm/RIAS Sinfonie-Orchester, 1951年録音)

(記2004.09.07)


演奏:
録音:

ユーディ・メニューイン(Yehudi Menuhin) (Biddulph 1951) (ソナタ第一番,パルティータ第三番)

細部にこだわることなく,感性の赴くまま,思うがままに弾いているような,そんな印象を受けます。 スタジオ録音だと思うのですが,構えたところが感じられず,ライヴのような自由闊達さを感じます。 まるで1930年代の演奏を聴いているような錯覚に陥いります(録音の古さからくる印象もあるでしょうけど)。 技術的な不満はやっぱりありますが,こういうアプローチの演奏なので,気にしてはいけないのかもしれません。

録音: アナログ盤からの復刻。 サーというノイズがかなり盛大に入っていますが,プチプチ音はほとんどありません。 いかにも古いアナログ盤という感じの歪み感,音色をしています。 元々の録音が残響なく明瞭に楽器音を捉えているため,音質が悪いながらも何とか鑑賞には耐えると思います。

所有盤: LAB 162/3 (P)(C)1999 Biddulph Recordings (輸入盤)
Recorded in October 1951; first issued on Japanese Victor SD 3034/5(s1), 3030/41(p3) [in set JAS 214]
"Menuhin: The Japanese Victor Recordings"
カップリング曲:Bach/Sarabande from Partita No.2, Tartini(arr. Kreisler)/Sonata "Devil's Trill", Beethoven/Sonata No.5 "Spring", No.9 "Kreutzer", Brahms(arr. Joachim)/Hungarian Dance No.1, Dvorak(arr. Kreisler)/Slavonic Dance No.2, Negro Spiritual Melody, Novacek/Perpetuum Mobile, Granados(arr. Kreisler)/Spanish Dance, Sarasate/Romanza Andalusa, Malaguena, Habanera, Ravel(arr. Catherine)/Piece en Forme D'Habanera, Wieniawski/Scherzo Tarantelle, Kreisler/Caprice Viennois, Bartok(arr. Szekely)/Rumanian Folk Dances

(記2004.09.06)


演奏:
録音:

アンドレ・アルメーヌ・スターキアン(Andree-Armene Stakian) (Gallo 録音不明) (パルティータ第二番)

遅めのテンポで丁寧にじっくりと歌っているのは良いのですが, 実際のテンポ以上に後ろに後ろに引っ張られる感じがして, 音楽の流れに乗り切れません。 シャコンヌは18:14もあって,ちょっと聴き疲れします。 中間部で高揚感を出そうと頑張っているのはわかるのですが, テンポが遅いために音を持続しきれず,息切れしてしまっているのも残念です。

録音: 残響時間の長い環境で録音されたようで,明らかに残響成分が直接音よりも多く, 明瞭感が良くありませんし,音色も冴えないものになってしまっています。 音量をいくら上げてもはっきりと聞こえてこず,苛立ちます。

所有盤: CD-510 (C)(P)1991 VDE-GALLO (輸入盤)
カップリング曲:Andre Jolivet/Suite rhapsodique pour violon seul, Jean Martinon/Sonate no.6 op.49 no.2 pour violon seul, Paul Hindemith/Sonate pour violon seul op.31 no.1

P.S. スターキアン氏は,スイス,アルメニア(?)出身。 Corrado Romano, Andre Certler, Sandor Veghらに学び, 1973年より,ジェノバのConservatoire de Musiqueで教鞭を執っているとのこと。

(記2004.08.24)


演奏:
録音:

ミリヤム・コンツェン(Mirijam Contzen) (Arte Nova 2004) (パルティータ第三番)

洗練されたスマートさを持つ現代的,都会的な演奏です。 速めのテンポでスイスイと音楽が流れていくのが何とも気持ちよいです。 ヴィブラートを控えめにし,楽器そのものの響きを活かすような奏法で,透明感ある美しい響きを出しています。 何の不安も感じさせない技術力の高さも素晴らしいです。 しかしながら,良くも悪くも全く「アク」が感じられず,あまりにもスムーズすぎて何となく物足りない, なんていう贅沢な不満を持ってしまいます。

録音: 残響がかなり多めに取り入れられていますが,音の捉え方が良いためか, 明瞭感,解像感は悪くありません。 音色はやはり残響の影響を受けていると思います。 悪い録音ではないとは思いますが,私にとってはまとわりつく残響が鬱陶しく,好みの録音ではありません。

所有盤: 82876 57741 2 (P)(C)2004 BMG Ariola Classics GmbH (輸入盤)
Recording: January 12-14, 2004, Reitstadel Neumarkt
カップリング曲:Tibor Varga/Le Serpent, Bartok/Sonata for Solo Violin Sz117, Stravinsky/Elegie, Ysaye Sonate Op.27-4

P.S. コンツェン氏は1976年生まれ,ドイツ,ミュンスター出身(母親は日本人とのこと)。

(記2004.08.02)


演奏:
録音:

オットー・ビュヒナー(Otto Buchner) (Calig 録音不明) (パルティータ第二番,第三番)

湾曲弓(通称バッハボウ)を使った演奏。 湾曲弓を使うとどうしても三重音以上(特に連続するとき)の発音の際に, わずかに音楽の流れが沈滞してしまう傾向にあり,この演奏も例外ではないのですが, 全体に優しさ漂う穏やかな演奏ということもあって,音楽的にうまく溶け込ませていると思います。 三重音以上では,例によってオルガンのような,とてもヴァイオリンとは思えない独特の響きが興味深いところで, シャコンヌ中間部の重音が連続する部分など,美しい響きに満たされていて非常に印象的です。 ただ,こういった重音と,単音や二重音との響きの質の差に,わずかに違和感を感じないでもありません。 湾曲弓の是非,好む好まざるはあるにせよ,単に「湾曲弓を使った」という以上の音楽的内容を持ち合わせた佳演であると感じます。

録音: 残響が少なめで明瞭感の良い好録音です。 湾曲弓による独特の響きを自然にうまく捉えていると思います。 古い録音だと思うのですが(録音年代不明),思いのほか古臭さは感じません。 (アナログディスク再生時の歪み感は考慮に入れていません)

所有盤: TST 75349 CALIG-VERLAG GMBH (輸入盤) (*LP)

P.S. パルティータ第二番,第三番以外の録音があるかどうかは不明です。 湾曲弓を使用した演奏としては演奏,録音とも良いと思いますので,是非ともCD化して欲しいところです。

(記2004.07.27)


演奏:
録音:

アイザック・スターン(Isaac Stern) (INA 1953) (ソナタ第一番)

ライヴらしい勢いと厳しさに満ちた演奏です。 甘さを廃し,贅肉をそぎ落としてズバッと切り込んでくるような,そんな鋭さを感じます。 無機的とも思える表現ながら,決して無味乾燥にならず,かえってストレートに心に響いてくるように思います。 全くこの人らしい,といえるのではないでしょうか。 結構好きです,こういうの。 演奏上の傷はけっこうありますが,ライヴならではの勢い優先の表現ということで,仕方ないかなと思います。

録音: モノラルのライヴ録音。 少々距離感があるものの音の捉え方は悪くなく,そこそこ明瞭感があって印象は悪くありません(3.0点を付けようかと思ったくらいです)。 1953年のライヴ録音ということを考えると,かなり良い状態ではないかと思います。 記録用の録音といった感じで,周囲雑音等も遠慮なく飛び込んできますが,こういうのはほとんど気になりません。 オーディオ的クオリティはやはりあんまり良くなく,高域の伸び感の不足(こもった感じはありませんが), わずかな歪み感,テープノイズなどあります。 これは仕方がないでしょう。

所有盤: IMV054 (P)2004 INA (輸入盤)
録音:1953年2月,パリ,サル・ガヴォー
カップリング曲:Beethoven/Sonata No.2 Op.12-2, Paganini/La Campanella, Prokofiev/Sonata Op.80, Vieuxtemps/Concerto No.4 Op.31, Haydn/Adagio(Concerto Hob.VIIa:1), Suk/Burlesque Op.17-4, Kreisler/Siciliano et Rigaudon dans le style de Francoeur

P.S. スターン氏唯一のバッハ無伴奏ヴァイオリンではないか,ということです(単楽章の録音はあったと思いますが)。

(記2004.07.09)


演奏:
録音:

マーク・キャプラン(Mark Kaplan) (Mitch Miller Music 1991,92) (全集)

一聴しただけで情感溢れる表現に魅了されてしまいました。 技術力の高さ,抜群の切れ味にも脱帽! 奇を衒わないストレートな表現と相俟って, この曲の造形的美しさをくっきりと浮き彫りにしています。 気持ち良いくらいにシャープなのに,緊張感よりもむしろ暖かさを感じる, そんな豊かな表現力が本当に素晴らしい。 細身で透明感ある音色もとても美しいです。 感動しました!

録音: 残響がやや多めに取り入れられているものの,主音に被っていないので, 明瞭感,解像感が高く,演奏の細部までしっかりと聴こえてきて好印象です。 音色はやや金属的であり,また,残響の影響が皆無とは言えず,わずかに損なわれているのが本当に惜しいですが, これならまずまず納得できます。

所有盤: MMM 14630-2 (C)1995 Mitch Miller Music (輸入盤)
Recorded at Concordia College: 1/1991, 6/1991, 1/1992

P.S. キャプラン氏は現在UCLAの教授とのこと。 UCLAのホームページに紹介があります。

(記2004.06.22)


演奏:
録音:

録音:

ジノ・フランチェスカッティ(Zino Francescatti) (Biddulph/DOREMI 1950,52) (パルティータ第二番,第三番)

ポルタメントの入り方など,演奏スタイルの古さを感じさせるところはありますが, 武骨で小細工のない直線的な表現が気持ちの良い好演に思います。 特に速いパッセージの推進感あるテンポどりが爽快! 張りのある発音のしっかりした音色にも魅力を感じます(細かいヴィブラートはちょっと好みではありませんが)。

録音: パルティータ第二番が1950年,第三番が1952年のモノラル録音。 第二番は比較的近接で録音されており,残響もほとんど感じられないので,古いなりにも聴きやすい音質です。 第三番はやや距離感があり,残響感もあって明瞭感がなく,ややこもった感じがします。 いずれにしても古い録音なので帯域感がなく,また,オーディオ的クオリティも決して良くありませんが, 音の捉え方がそれほど悪くないので,十分鑑賞に耐えます。 DOREMI盤は,アナログディスクの復刻なのか,スクラッチノイズが聞こえます(アナログ復刻としてはかなり上出来と思いますが)。 一方Biddulph盤はマスターテープからの復刻なのか,スクラッチノイズ等はありません。 音の傾向は両者ともあまり変わりませんが,やはりBiddulph盤の方に分があるように思います。

所有盤: (写真上)80207-2 (P)(C)2004 Biddulph Recordings (輸入盤) カップリング曲:バッハ/ヴァイオリン協奏曲第二番
"Zino Francescatti Vol.1" DHR-7780 (C)(P)2002 DOREMI (輸入盤) カップリング曲:パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲第一番
録音:23 May 1950(パルティータ第二番),24 April 1952(パルティータ第三番)

P.S. DOREMI盤にカップリングで収められているパガニーニの協奏曲には,オイストラフ盤で見られた疑似ステレオ処理がなされていました。 幸運なことにバッハの方は普通のモノラルで助かりました。 最初にDOREMI盤を掲載したときの録音評は1.5点でした。 スクラッチノイズが気になるということでそういう点になってしまったのだと思いますが, 今の基準でみれば,クオリティは良くないものの音の捉え方が良いということで,それほど悪くない評価になります。

(追2004.06.04) Biddulph盤掲載にあたり全面修正
(記2002.09.30) DOREMI盤掲載


演奏:
録音:

コンラッド・フォン・デア・ゴルツ(Conrad von der Goltz) (Cascade 録音不明) (ソナタ第一番,第三番,パルティータ第二番,第三番)

至極オーソドックスなアプローチに思います。 奇を衒うことなくじっくりと真摯に取り組りくんでいる様が伝わってきます。 この点に関しては好印象です。 しかし,残念ながら技術が伴っていません。 音程が悪くしかも不安定,緩急も曲想で変化するというよりは左手の難易度で発生しているように聴こえます。 ただ,それに対して右手の技術はしっかりしているので,技術に不安を覚えながらも結構聴けます。 また,パルティータ第二番の出来が図抜けて良く,上記の弱点はほとんど気になりませんでした。

録音: ひどい!(怒) まるで銭湯の中で録音したような音です。 主音が響きに埋もれて細部が全然伝わってきませんし,当然音色もまともではありません。 特にソナタ第一番がひどいです。 他の曲は幾分マシで,息づかいが聞こえてくるような距離感をもった録音ですが,それでもやっぱり響きが多すぎます。

所有盤: 222104-444 (P)Cascade Medien GmbH (C)2004 Membran International GmbH (輸入盤) 「クアドロマニア」シリーズ4枚組,カップリング:無伴奏チェロ組曲(No.1,2,3,5,6)(演奏:ヴィクトール・ヨーラン)

(記2004.05.25)


演奏:
録音:

ナタリー・シャボー(Nathalie Chabot) (Ligia Digital 2002) (ソナタ第一番,第二番,パルティータ第二番) (ピアノ伴奏付き)

ロベルト・シューマンによるピアノ伴奏付き(ピアノ伴奏はセルジュ・ハインツ(Serge Heintz))。 ピアノ伴奏が加わり,ヴァイオリンもリズミカルで幾分軽やかに感じます。 反面,ピアノ伴奏による拘束感も感じます。 伴奏が加わることで表現の幅が広がるかと思いきや,かえって平板になってしまっているように思います。

それなりにうまくまとまっていますし,決して悪い演奏ではないと思うのですが, 普通の演奏に求めていることをこのピアノ伴奏付きの演奏に求めるとガッカリします。 聴く側としては全く別の曲として接する必要があると思います。 しかし,そう思って聴いてもこの演奏はちょっと中途半端な印象を受けます。 ピアノ伴奏付きを選択するなら,ピアノ伴奏付きでしか出来ない表現を追求して欲しい。

録音: やや響きを伴っていますが,明瞭感,解像感は比較的良好に思います。 ただ,音の捉え方が濃厚で,ちょっとうるさく感じます。 もう少しすっきり捉えられていれば良かったのですが。 惜しいです。

所有盤: Lidi 0103120-03 (P)(C)2003 Ligia Digital. (輸入盤)

(記2004.05.18)


演奏:
録音:

川畠成道 (Victor 2003) (パルティータ第二番)

なんと感情のこもった人間味溢れる演奏であろうか。 気持ちが表現に,音色に,素直に表出されていると感じます。 それでいて,技術的な切れ味の良さのために,感情過多でもたれることがなく,むしろ躍動的で引き締まった印象さえ受けます。 いろいろな要素が高い次元でバランスが取れています。 素晴らしい!

録音: 残響が多めに取り入れられていますが,主音と残響音が比較的分離して聴こえるので, 残響量が多い割に明瞭感,解像感は悪くありません。 しかし,音色への影響はわずかに感じます。 そして,分離しているとはいえ,私には残響音が鬱陶しく感じられます。

この録音,stereo誌4月号(音楽之友社)の録音評でオール10の満点評価を得ています。 なるほど,そう言われてみればそうかもしれません。 多くの方にとっては,確かに超優秀録音として受け入れられてもおかしくないと思います。 しかし,私はあえて言いたい! こんな素晴らしい演奏だからこそ,残響という粉飾を一切排したピュアな録音で聴かせて欲しかった。 この残響がなければ,感動がどれだけ倍増したことであろうか。 残響が素晴らしい演奏を台無しにしてしまっている,と感じる人もいるということを少しはわかって欲しい。

この残響過多の録音に対する抗議と,stereo誌の録音満点評価への反発の意味を込めて, 録音評を3.0にしようかと真剣に悩みましたが,あまりにアンフェアと思いましたので3.5点にしました。 しかし,それくらいの気持ちがあったことをご理解いただきたいと思います。

所有盤: VICC-60386 (P)2004 Victor Entertainment Inc.(国内盤)
アルバムタイトル:「シャコンヌ」,Recorded on November 2-4, 2003, at Jesus Crist Church, Berlin. (エヴァンゲリッシュ教会)
カップリング曲:バルトーク/無伴奏ヴァイオリンソナタ Sz.117

P.S. 公式ホームページがあります。 またもや日本人ヴァイオリニストのレベルの高さを思い知らされました。 しかも「日本代表」的でなく,地味ながらも紛れもない川畠さんの個性がしっかりと光っていると感じます。 是非とも全曲録音を!

(記2004.05.07)


演奏:
録音:

ヨアンナ・マドロシュキェヴィッチュ(Joanna Madroszkiewicz) (Gramola 2000-02) (全集)

ソナタ第一番の出だしから,その鋭角的な表現にびっくりします。 リズムの崩し方も,緩急をつけているというよりは,いびつさを強調するような感じです(奇異に感じるところまではいきませんが, 間違いなく全体を特徴づけています)。 全体的に強烈(「厳しい」とはちょっと違います)な印象が強いのですが, そんな中でふと優しい,暖かい表情が垣間見えたりします。 パルティータ第三番は,軽く明るい表現が印象的でした(全集の中では異質に思いますが)。

録音: 残響感が多少多めに取り入れられています。 比較的オンマイクの録音で,明瞭感,解像感は残響量の割には悪くないと思います。 音色は残響の影響を受けてあまり良いとは感じませんし,妙に刺激的にも感じます。 明瞭感がそれほど悪くないのでどうしようか悩みましたが,まとわりつく残響と音色の変化が気になり, どうしても3.5点を付ける気になれず, 厳しいとは思いましたが3.0点としました。

所有盤: Gramla 98752/53 (輸入盤)
Recorded 2000-2002 at Augustiner Lesesaal der Nationalbibliothek, Vienna.

P.S. レーベルのサイトに紹介があります。 「ポーランド生まれでフーベルマンの系統のシュテファン・ヘルマン,アルテュール・グリュミオー,ギュンター・ピヒラーに指導を受ける。 パガニーニ国際コンクール優勝。バッハ,モーツァルト,ベートーヴェン,ブラームスから現代作品までレパートリーは幅広いが, 同朋の作曲家カロル・シマノフスキーの演奏にはとりわけ定評がある。 その素晴らしい演奏はフーベルマン,ハイフェッツ,ミルシティンに例えられるが,彼女自身の個性もくっきりと刻んでいる。」 とのことです(K.N.さん要約)。

(記2004.04.20)

名前の日本語表記ですが,レコード芸術誌2008年8月号に「ヨアンナ・モンドロシュキエヴィチ」とありました。 ちなみに準特選盤でした。

(記2008/08/05)


演奏:
録音:

アンタル・サライ(Antal Szalai) (BMC 録音不明) (パルティータ第二番)

正当路線の演奏であり,個性的というわけではありませんが, とにかく隅々まで神経が行き届いており,磨き上げられた美しさがあります。 音色も曇りがなく,重音も濁りがなく,聴いていて本当に気持ちがよいです。 この技術力の高さの上に,さらに個性を積み上げていってほしいと思います。

録音: やや残響感がありますが,比較的近接で録音されており,明瞭感,解像感とも悪くなく, 細部までしっかりと聴き取ることができます。 音色もそれほど残響の影響を受けていないと思いますが,私にとっては少し鬱陶しく感じます。

所有盤: BMC CD 047 (P)2001 Budapest Music Center Records
Recorded at the Phoenix Studio, Hungary
カップリング曲:Kreisler/Recitativo and Scherzo-Caprice Op.6, Ysaye/Sonata Op.27-3, Petrovics/Rhapsody No.1

P.S. レーベルのホームページに紹介があります。 サライ氏は1981年生まれ,ハンガリー出身。 ブタペスト音楽アカデミーでバルトーク弦楽四重奏団のペーター・コムローシュに師事, その後,ティボール・ヴァルガ,ジョルジ・パウクのマスターコースに参加して学んだとのこと。 録音年について明記されていませんが,2001年頃だと思います。

(記2004.03.31)


演奏:
録音:

ワディム・レーピン(Vadim Repin) (A&E 1990) (ソナタ第二番)

真正面から小細工なしに攻めた引き締まった演奏で,技術的にも巧い!と思うのですが, なぜか今ひとつ心に響いてきません。 発音が不安定に聴こえる(おそらくそう感じるだけなのですが)ところがあったりはするのですが, それが直接の要因とは思えません。 欠点らしい欠点もなく(逆に完成度はそれなりに高い),優れた演奏と感じてもおかしくないはずなのですが... 不思議です。

録音: 多少残響感がありますが,明瞭感は悪くありません。 高域の伸び感はそれなりにあるのですが,やはり残響の影響を少々受けており,スキッと抜けるような感じはありません。 少し距離感があり,そのせいか少し現実感のない音に感じます。 また,録音レベルが少々低いように思います。 気のせいか,カップリングのブラームスのソナタの方が,残響感が少なく,より明瞭ですっきりしている感じがします(なんで同じように録音しないんでしょう...)。

所有盤: A&E TECC-30034 (N.M.氏からの借用盤)
カップリング曲:Brahms/Violin Sonata No.3 Op.108, Wieniawski/Faust Fantasy Op.20

P.S. レーピン氏の公式ホームページがあります。

(記2004.03.19)


演奏:
録音:

ウォルフガング・シュナイダーハン(Wolfgang Schneiderhan) (DG 1955) (パルティータ第二番)

オーソドックスながら,切れのある重音奏法,まったく淀みのないテンポ感など,力強くキリッと引き締まった表現が好印象です。 緩急強弱も必要最小限,小細工が全くなくストレートそのもので,かえって清々しく感じます。 前半の4楽章は速めのテンポが気持ちよく,シャコンヌは前半と比較するとやや腰を据えてじっくり取り組んでいるという印象を受けます。

録音: モノラル録音。 ほんの少し残響を伴っていますが,気になるほどのことはなく,十分な明瞭感があります。 古い録音のためもあって,やや歪み感が多く,また,音色も古臭さがありますが, この時期の録音と思えば十分に鑑賞に耐えうると思います(さんざん迷いましたが,3.0としました)。

所有盤: (N.M.氏からの借用盤)

P.S. シュナイダーハン氏は,1915年ウィーン生まれ,2002年死去。 1938年〜1949年ウィーンフィルのコンサートマスターを務めたとのこと。

(記2004.03.12)


演奏:
録音:

マイケル・レビン(Michael Rabin) (EMI 1955) (ソナタ第三番)

極めて切れ味のよいテクニックでズバッと切り込んでくる表現の鋭さ, 息もつかせぬほどの密度感,凝縮感に満ちたフレージング, 前に前につんのめるほど推進感に満ちたテンポどり, 完璧とも思える重音の響きの美しさ, もうただただ圧倒されっぱなしです。

時代を感じさせるスタイルの古さはありますし,ややテクニックに頼った表現であり,深み,味わいに乏しいといえばそうかもしれませんが, これはこれで一つの方向を極めていると思います。

録音: モノラル録音。 響きのほとんどない環境で録音された生々しい録音で,私の大好きな音の捉え方ではあるのですが, 少々帯域感に乏しい感じがします(キンキンしていてこもった感じはないのですが)。 惜しいです。 残念!

所有盤: "Michael Rabin 1936-1972"より (N.M.氏からの借用盤)

P.S. レビン氏は,1936年ニューヨーク生まれ,1972年不慮の事故で35歳の若さで他界。 このバッハの録音,1955年ということは,20歳にもなっていないということになります...絶句。 このCD,いろいろ探しましたが残念ながら現役盤が見つかりませんでした。 ぜひ復刻して欲しいと思います。

(記2004.03.09)


演奏:
録音:

フランコ・グッリ(Franco Gulli) (Trio 録音不明) (ソナタ第一番) (*LP)

極めてオーソドックスにそつなくまとめられていると思います。 技術的安定感も素晴らしく,安心感,充実感がある一方, どこか模範演奏的なにおいがして,強く印象に残るということはありませんでした。 ビブラートもちょっと細かすぎる