19  さだまさし/ベスト

  目 次

1 はじめに
2 曲名、演奏者
3 風に立つライオン(詩)
4 「風に立つライオン」に寄せて
5 編曲者渡辺俊幸氏のプロフィル
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1 はじめに
 2007年3月に「5 本の紹介」に「29 風に立つライオン」を加えました。この本はさだまさしさんが作詩・作曲した曲が書名になっており、次項にあるように、第12曲に収められています。作詞した経緯は目次の『4 「風に立つライオン」に寄せて』にあるとおりです。
 さらに、このページを編集中の2007年3月18日に、たまたま聞いた「日曜喫茶室」に編曲者である渡辺俊幸さんがゲストとして出演されました。さだまさしさんとは古くからのつきあいであり、最近はNHKの大河ドラマの作曲者として活躍されているようです。氏を紹介するために、氏のホームページからプロフィルを転記させて貰いました。(この項と5項を除いて、出典はさだまさし/ベストのライナーノートです)

2 曲名、演奏者
1 北の国から −遥かなる大地より〜螢のテーマ−
  作曲:さだまさし/編曲:渡辺俊幸
2 道化師のソネット 作詩・作曲:さだまさし/編曲:渡辺俊幸
3 雨やどり 作詩・作曲:さだまさし/編曲:渡辺俊幸
4 案山子 作詩・作曲:さだまさし/編曲:渡辺俊幸
5 関白宣言 作詩・作曲:さだまさし/編曲:福田郁次郎、さだまさし/弦編曲:藤田大土
6 関白失脚 作詩・作曲:さだまさし/編曲:act21 Tour Band 各自てきとう
7 秋桜 作詩・作曲・編曲:さだまさし/弦編曲:渡辺俊幸
8 精霊流し 作詩・作曲・編曲:さだまさし
9 無縁坂 作詩・作曲:さだまさし/編曲:信田かずお
10 親父の一番長い日 作詩・作曲:さだまさし/編曲:山本直純
11 防人の詩 作詩・作曲:さだまさし/編曲:渡辺俊幸
12 風に立つライオン 作詩・作曲:さだまさし/編曲:渡辺俊幸

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3 風に立つライオン(詩)

 突然の手紙には驚いたけど嬉しかった

 何より君が
 僕を怨んでいなかったということが
 これから此処で過ごす僕の毎日の大切な
 よりどころになります
 ありがとう ありがとう

 ナイロビで迎える3度日の4月が来て今更
 千鳥ヶ淵で昔君と見た夜桜が恋しくて
 故郷ではなく
 東京の桜が恋しいということが
 自分でもおかしい位です おかしい位です

  3年の間あちらこちらを廻り
  その感動を君と分けたいと思ったことが
  沢山ありました

 ビクトリア湖の朝焼け 百万羽のフラミンゴが
 一斉に翔び発つ時 暗くなる空や
 キリマンジャロの白い雪 草原の象のシルエット
 何より僕の患者たちの 瞳の美しさ
 この偉大な自然の中で病いと向かい合えば
 神様について ヒトについて
 考えるものですね
 やはり僕たちの国は残念だけれど何か
 大切な処で道を間違えたようですね

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 去年のクリスマスは
 国境近くの村で過ごしました
 こんな処にもサンタクロースはやって来ます
 去年は僕でした
 闇の中ではじける
 彼等の祈りと激しいリズム
 南十字星 満天の星 そして天の川

 診療所に集まる人々は病気だけれど
 少なくとも心は僕より健康なのですよ
 僕はやはり来てよかったと思っています
 辛くないと言えば嘘になるけど
 しあわせです

 あなたや日本を捨てた訳ではなく
 僕は「現在(いま)」を生きることに
 思い上がりたくないのです

 空を切り裂いて落下する滝のように
 僕はよどみない生命(いのち)を生きたい
 キリマンジャロの白い雪
 それを支える紺碧の空
 僕は風に向かって立つライオンでありたい

くれぐれも皆さんによろしく伝えて下さい
最后になりましたが あなたの幸福(しあわせ)を
心から遠くから いつも祈っています

おめでとう さようなら

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4 「風に立つライオン」に寄せて
「ケニアでは南十字星は見えますか」それはある結婚式で、ふとまさしさんから尋ねられた言葉であった。その時、何故まさしさんが南十字星の事を尋ねたのか判らなかった。
 それから数ヵ月後に送られてきた「風に立つライオン」の歌でその疑問が判明するとともに昔日の感慨を新たにした。
 小生達がいた頃のケニア・クナール州立病院にはまだ現地卒業の医師はいなかった。盟主国イギリスをはじめ、インド、イタリア、ソビエト連邦、日本等の外国の医学部を卒業した医師達によって診療が行われていた。薬剤も医療器具もさらに病棟の設備も不十分で、マラリアの蔓延するなか、まるで野戦病院の様相を呈していた。しかし、患者達は力強かった。治療によって回復する事を信じ、一方では運の悪さを嘆いていた。ケニアは赤道直下にある位置上、昼はあくまで炎るく、高地特有の爽やかな気候、夜は満天の星の見守るしとねの自然のもと、彼らは人間(ホモ・サピエンス)という動物も牛や象やライオンと同じく生・老・病・死の避けられない事を我々文明人より強く日常的に思っていたに違いない。「風に立つライオン」は小生のアフリカでの2年あまりの体験及び浅学菲才のゆえの雑談を医師を例にとり人としての生き方をまさしさんの感性と才能で創作した曲である。
 この歌は現代人の心の不摂生の為、過剰にしみついた魂の脂肪に対する警告でもあるように聴こえる。小生もアフリカの大地を通して学んだ事をすこしでも役立てて「風に立つライオン」のようになりたい。この歌で何人の人が医師をこころざしたであろうか?小生の所属する大学にも数名いる。まさしさんが尋ねた南十字星とは、ケニア・タンザニア国境にあるキリマンジャロ「スワヒリ語でキリヤマ・ヌジャロ(即ち輝く山)」よりも高い所から地上へ降りそそぐ"夢という光"の事だったのだと最近感じている。夢はパンドラの箱が開いて最後に人間に残ったのぞみだから。
柴田紘一郎

5 編曲者渡辺俊幸氏のプロフィル
 愛知県名古屋市出身。青山学院大学入学と同時にフォークグループ「赤い鳥」のドラマーとしてプロ活動に入る。「グレープ」のサポートミュージシャンを経て、さだまさし氏のミュージカルプロデューサー及びアレンジャーとして活躍。79年渡米後、バークリー音楽院にてクラシック及びジャズのコンテンポラリーな作編曲技法を、ボストンコンサーバトリーにて指揮法を学ぶ。又、LAにてアルバート・ハリス氏に師事し、ハリウッドスタイルのオーケストレーションと映画の為の作曲技法を学ぶ。 帰国後、作曲家として数々の映画、テレビドラマ、アニメーション等の音楽を担当。また、2003年8月よりオーケストラ・アンサンブル金沢のポップスディレクターに就任し、指揮者としての活動も始める。最近の代表作として、東宝映画「モスラ」シリーズ、「サトラレ」、「解夏」、NHK大河ドラマ「毛利元就」、「利家とまつ」、NHKドラマ「大地の子」、「ハルとナツ」、フジテレビ「優しい時間」、純音楽的作品「交響的幻想曲 能登」、「ファンファーレ・フォー・ザ・セレブレーション」、祝典序曲「輝ける勇者たち」(防衛庁・自衛隊50周年記念曲)がある。「リング〜最終章〜」が第20回ザ・テレビジョン ドラマアカデミー賞、劇中音楽賞受賞。2005年愛知万博の開会式の音楽監督を担当。

洗足学園音楽大学 音楽・音響デザイン学科 客員教授。

【ホームページ】
http://www.toshiyuki-watanabe.com/

【所属先】
株式会社フェイス音楽出版
〒160-0023 東京都新宿区西新宿 4-5-1 幸伸ビル6階
電話:03-5333-3315 ファックス:03-5333-3312
ホームページ:http://www.face-music.co.jp/

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[Last Updated 3/31/2007]