「アルトゥロ・ウイの興隆(こうりゅう)」

    目 次

1. はじめに
2. 紹 介
3. 感 想

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1. はじめに
 ベルリナー・アンサンブルが来日し、「アルトゥロ・ウイの興隆」を初台の新国立劇場で上演したので見に行きました。ブレヒトの作品をハイナー・ミュラーが演出し、マルティン・ヴトケが主役のウイを演じています。
 原作はヒトラーとナチスがあらゆる手段を使い独裁者としての地位を確立していく過程を、シカゴのギャングの世界に置き換えて描いたものです。

2. 紹 介−現代ドイツ演劇界の巨匠コンビによる最高傑作がついに登場
 新国立劇場では2001年から海外の優れた演劇作品を紹介し、内外の話題を集めてきました。第4弾となる今回は、「日本におけるドイツ2005/2006」企画のひとつとして、ドイツ演劇界の巨匠ベルトルト・ブレヒトが第二次大戦中に書き下ろした「アルトゥロ・ウイの興隆」を取り上げました。この作品は、ヒトラーとナチスがあらゆる手段を使い独裁者としての地位を確立していく過程を、シカゴのギャングの世界に置き換えて描いたもので、ヒトラー「興隆」の史劇が巧みに組み込まれています。ドイツ語の題に「抑えることのできた興隆」とあるように、ヒトラーのみならず、その登場を許した社会環境をも厳しく見つめた作品です。
 さえないギャング団のボス、アルトゥロ・ウイは、市長ドッグズバローと青果トラスト(市場)のリーダーたちとの癒着の実態をつかみ、それにつけこんで強請(ゆす)りにかかります。ドッグズバローはやむを得ずウイと手を組むことになり、その結果、次第に権力を増し、青果産業の支配権を握ってしまうウイ。しかしそれを恐れた青果トラストはウイ追放に乗り出します。強行な手段を講じてでも更なる勢力拡大を狙うウイは、側近や周りの人々を手にかけトラストとの和解を選びますが、次第に孤立し、悪夢にうなされる夜を迎えます……。

 この作品は現代ドイツ演劇のもうひとりの巨匠ハイナー・ミュラーの遺作で、数ある彼の演出作品のなかでも最も優れたもののひとつと言われています。ブレヒト自身が創立したベルリナー・アンサンブルによって本国ベルリンのみならず世界各国で上演され、その公演回数は既に300回を越えるロングラン公演となっています。待望の日本初演となる今回、ギャングの物語とドイツ史のコミカルな合流、新しいブレヒト像を見事に描き出すミュラーの演出、ウイを演じるマルティン・ヴトケの常人離れしたパフォーマンスが紡ぎだす現代演劇の傑作をたっぷりとご堪能ください。
(出典 新国立劇場のホームページ)

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3. 感 想
 40数年前、フランスに留学したとき、パリのシャイヨー宮にある劇場で、TNP[Thatre National Populaire] がジャン・ヴィラールの演出で同じ演目を演じたものを見て、素晴らしかった記憶があります。それと比べて今回の公演はもう一つ違和感がありました。その違いがどこにあるのかを考えてみました。TNPの演出は原作に忠実で、上演中に歴史上の出来事が字幕で表示されていたと思います。それに対して今回は脚本そのものが変わり、更に演出も新しくなり、原作の狙いとズレがあるような気がします。今回の演出で役者が裸になる場面がありましたが、その意味がよく判りませんでした。折角買い求めたプログラムを紛失してしまい、余り詳しく説明できないのが残念です。

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[Last Updated 9/30/2005]