本の紹介 絵のある人生

  目 次

1. 本との出会い      
2. 本の概要
3. 本の目次
4. あとがき
5. 読後感


安野光雅著

岩波新書

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1. 本との出会い
 安野さんの本は、図書館にある十冊位の旅行記(勿論風景の水彩画が沢山入っている)の中から、自分で実際の風景に触れたものを中心に数冊読みました。また安野さんには、テレビの絵画講座で教えを受けました。ラジオの「日曜喫茶室」でも、時々お耳にかかっています。安野さんの水彩画は私のお手本とするところで、たまたまこの本が出たことを新聞広告で知り、読んでみました。

2.本の概要(本のカバーより)  絵のある人生−見る楽しみ、描く喜び
 いい絵とは何だろうか。名画はどのように生まれ、画家たちはどう生きたのか。プロとアマ、油絵と水彩画、写実と抽象、そして美術的価値と価格などにもふれつつ絵画の豊かな世界へと案内。ブリューゲル、ゴッホらの興味深い逸話や自らの経験を語るとともに、これから絵を描いてみようとする人への具体的な手ほどきも行なう。

3. 本の目次
1 絵を見る……心を動かされる満ち足りた時間………………………………1
 看板の花嫁/「美術に上下の区別なし」/「美しい」と「きれい」/絵を見る満ち足りた時間/絵はわたしの道連れ/絵を描く二つの立場/発見と思い入れ

2 絵を描く……ブリューゲルの作品を手がかりに……………………………19
 「雪中の東方三賢王の礼拝」/描かれた雪の重さ/想像では「自然」に追いつけない/作品の生まれるまで−−仕事の手順/遠近法のこと/絵に込められたメッセージ/ルネサンスという時代

3 絵に生きる……ゴッホの場合、印象派の時代…………………………… 69
 科学の時代へ/写真機の登場/線の主張/宮廷画家の終焉/印象派の光/洋行の時代/ゴッホの生涯/印象派の遺産

4 絵を素直に……ナイーヴ派、アマチュアリズムの誇り……………………115
 映画「スカーレット・ストリート」/ピロスマニと「百万本のバラ」/エミリーおばさんの絵/ナイーヴ派の天使、アンリ・ルソー/ナイーヴ派の誇り

5 絵が分からない……抽象絵画を見る眼……………………………………131
 デッサン力と抽象絵画/抽象絵画と大疑問/バイオリンの実験/芸術的価値と市場価格/ラファエル前派から抽象絵画の部屋へ

6 絵を始める人のために……テクニックは重要な問題ではない……………149
 本当の基礎とは何だろうか/画材などは?/水張りの方法/実験的に一枚描いてみますか/読んでおくといい本

7 絵のある人生………………………………………………………………181
 「きっかけ」などはなかった/好きなものを描いた/思い出の手紙/個展と針のむしろ/絵に託した人生

 あとがき………………………………………………………………………199

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4. あとがき
 この本は、数年前のこと、鈴木稔にすすめられて、書く約束をしたのがはじまりでしたが、なんとしたことか、彼はわたしが約束をうやむやにしているうちに退職し、約束の件は一瞬放免されたかに思ったのは、表向き誠意を看板にしているわたしとして、心に呵責を招くものでありました。
 わたしは、時の過ぎゆくことの、あまりの早さを嘆くことを以て、お詫びに代えたのでしたが、彼の温顔はしかし、天網恢々にして、何ごとも漏らすものではありませんでした。
 「絵のある人生」とは、彼の言葉であり、この短い一言は、魔術にも似て、わたしを、万巻の書でも書けるような錯覚に落としたのです。文中にもし尊大な気分が読み取れたら、それは魔法のせいです。編集の仕事を引き継いでくれたのは坂巻克巳です。
 はじめ、口述をとられました。正直に言えば、老練な刑事に囲まれ、たはこを勧めたり、子どもや、女のことを聞いてみたりしたのち、「全部吐いてしまったら楽になるよ」という、よくある手口にのって、そこまで言わなくてもよかったか、と思う自白調書をとられたようなものです。
 思うにこの刑事の一人は珍しく絵を深く理解する人でした。速記で時間を縮めてくださったのは増井潤一郎でした。
 「自白(表現)は恥多きもの」なのに、それを軽減していただき、無罪放免にこぎつけられたのは、これらの方々のおかげです。
 この本は敬称略を建前としました。やむを得ず敬称を省きましたが、心中最大の感謝を秘めています。
   2003年7月1日     安野光雅

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5. 読後感
 安野さんの風景画には、教育テレビで平成7年の1月〜3月に「安野光雅風景画を描く」で接しており、他にも何冊か画集を見ていますが、この本は絵を鑑賞し、または描くときの考え方、描き方が書いてあり、絵を愛する人には必ず参考になると思います。
 風景画を描くとき現場でスケッチし、またはイーゼルを立てて描くことが大事だと思っていました。「6 絵を始める人のために」では一度スケッチした絵を元に、スケッチを見て間接的に画を描くことを奨めています(P.172 ここで、対象は風景ではなく静物です)。画を描くとき、こういう練習をすることも大切なんだと気が付きました。
 自分で画を描くようになって、美術館に行っても、絵の見方が違ってきたと思っていますが、たまには絵の本を読むことによって、描き方も違ってくるものだと確信しています。

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[Last updated 12/31/2004]